2014年12月15日月曜日

体のオーナーが決めること

皮下に挿入するタイプの避妊薬、Nexplanon (3年間使える)を使い始めた患者さん(Bさんとしよう)が、使用開始後2ヶ月足らずで使用中止を希望された。

Nexplanon にかぎらず、避妊薬の中には、使用後しばらく種々の副作用が起こることがある。副作用のうち、生命に関わるような重篤なものは、すぐに対処しなければならないが、多くの場合は、軽度〜中等度の不快症状であることが多い。

使い始めてわずか1日、1週間、1ヶ月といった短い期間では、これら不快症状が今後よくなって落ち着くのか、それとも継続しそうか、それともますますひどくなるか、といった傾向がまだまだ見えないことも多い。使用開始から2−3ヶ月をへて、やっと霧が晴れるかのように、症状が落ち着くこともしばしば。

ゆえに、可能であれば、約3ヶ月は継続して使用を続けてみることをお勧めしている。そして症状が持続する、または悪化するようであれば、使用中止するのがやはりごもっともといえよう。

先のBさんの場合、2−3ヶ月のいわゆる「お試し期間」が終わる前に使用中止(抜去)に至った。小芋は避妊薬の一般的な傾向とか、今後の一般的な見通しとかは、患者さんに伝えられるけれど、最終的には体のオーナーである患者さんが納得して決めることが一番大事だと思っている。

2014年12月14日日曜日

外陰部の健康:やっていいこと、わるいこと

こちら、米国の助産師の学会が作っている患者さん向けの資料。外陰部の健康によいこと、わるいこと、が丁寧に書かれている。
http://www.midwife.org/ACNM/files/ccLibraryFiles/Filename/000000002192/Vulvar%20Care.pdf

患者さんが「よかれ」と思ってやっていることが、外陰部にとってはむしろ害ということがよくある。凝り固まった信念をゆるがす(?)のは大変なので、口で話すだけでなく、こういう資料を「お土産」に渡すと効果的。

同僚の医師たちにも好評。

過去の関連記事。
http://koimokko.blogspot.com/2014/02/blog-post_20.html

2014年12月11日木曜日

電話会議

先日アクセプトされたグラント・プロポーザルだが、その後、グラント提供者側と小芋のチームとで、電話会議を持った。

会ったことのない方々と、電話会議するのって、とても大変。だれが何をしゃべっているのか、わからなくなることもしばしば。かくいう自分自身も、発言するときに、「あの、小芋ですけど、」と最初に断るのを忘れがちだったので、人様のことを言う資格はなし。

とても嬉しかったのは、
子芋たちのプロジェクトをサポートしたい、という相手方の熱い気持ち。

そして、
「前に小芋さんが学会発表したときのことを覚えていますよ。」と相手方の一人が言ってくれたこと。

スタッフ(自分も含め)が休みに入る前にやらないかんことが山とある。がんばろう。

2014年12月10日水曜日

恋するフォーチュンクッキーで自己メンテ女子

12月3日付の京都新聞記事、
「がん検診、『恋チュン』替え歌動画で呼びかけ 京都・長岡京」というタイトルの記事(http://kyoto-np.jp/politics/article/20141203000032)をm3.com経由で読み、
長岡京市健康推進課と保健センターの職員さんたちが子宮頸がんと乳がんの検診を歌って踊って呼びかけるようすを早速見た。
http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/vod/0000004330.html

とっても笑顔で、軽快で、替え歌もダンスもむっちゃ楽しい。

「家族の健康も大事。けれども自分のメンテもね。」
「長岡京市のみなさん、検診そんなに怖くないよ。Hey! x 3」
「カモンカモンカモン baby 予約しよう!」

なんて粋な呼びかけかただろう!!!

途中、歌と踊りの合間に画面に登場するパネルには、、
「何もなければおめでとう! 見つかってもおめでとう!」という子宮頸がん経験者の言葉あり、
また、「生涯で乳がんになる確率は女性12人に1人」という切実な数字もあり、
5分の間にメッセージがたくさん詰まっている。

「仕事、育児と忙しい。面倒だとも思うかも。地道なポスター気づいてくれない。Year x 3」というところに保健師たちのもどかしさを感じ、思わず涙がでた。

替え歌を考えたスタッフ、このビデオのために練習したスタッフの皆様に頭がさがる。

2014年12月9日火曜日

ポケモン・カード

友人Aさん(米国人)の甥っ子B君(6歳)は、ポケモンのカードを何十枚も持っている。先日会った時に、コレクションをずらーーっと自慢気に見せてくれた。そして私にも6枚くれた。ポケモン図鑑みたいな本も持っていて、そちらも見せてくれた。

彼はサンタさんに、とにかくポケモンのグッズならなんでもいいからください、とお願いしているそうである。

昔ANAの飛行機に乗った時に、ポケモン柄のクリスマスカードをもらったのだが、使う機会がなくて、ずっと便箋入れに残していた。ここぞとばかり、B君にこのクリスマスカードをお礼状がわりに送った。

今度帰国したら、日本の姪っ子甥っ子たちに、アメリカのポケモン・カードを見てもらうつもりである。彼らの感想を聞くのが楽しみ。

2014年12月8日月曜日

患者さんからの質問メール

学期末が近いということもあって、いつも以上に患者さんからの質問メールが多い。メールで質問して事がすめば、勉強の時間を削らなくてすむぞ、という魂胆も見え隠れする。

質問は、私の大学のEmail アドレスにくるものもあれば、ポータルサイト(電子カルテの機能の一部)を通して電子カルテ上に飛んでくるものもある。Email宛に受け取った質問も、返信時はなるべくポータルサイト経由にするようにしている。その方が安全(なはず)なので。

ごく簡単な質問は、回答も1−2行で済むけれど、ちょっと込み入った質問となると、短時間で書いて答えるにはふさわしくないものも。答えるべきか否か、答えるならどのように、どこまで、を考えながら返事する。

患者さんにとっては至極便利な機能だが、NPにとってはなかなか手ごわいことも。

でもこういう便利な機能は、大学クリニックだけでなく、今後おそらく学外の医療機関を利用してもますます一般的になっていくだろうし、患者さんが医療者とコミュニケートする術を育てるのも私の役目の一つだと思っている。メールでできることとできないことを示しながらやっていこうと思っている。

こちらは過去に書いた関連記事:
http://koimokko.blogspot.com/2014/02/blog-post_25.html

2014年12月2日火曜日

プロポーザル通る

先月提出した、あるグラントのプロポーザルが通ったという連絡が夕方入った。
心底うれしい!

本当は12月1日までに結果を連絡します、ということだった。どうせThanksgiving 前後は何もないだろうなとは思いつつも、先週から実はそわそわしていた。昨日の夕方5時を過ぎても、何もメールが来なかったので、間違ってメールを削除してしまったのではないか、と焦りまくった。ついに今日の夕方4時過ぎに電話を入れた。すると、まさに今夕に最終決定するところです、というではないか。(ならば、それはそうと早く知らせておくれ〜。)

よい結果でよかった。待った甲斐があるというもの。

サポートしてくれた皆様に感謝。これから半年強忙しくなるぞ。

2014年12月1日月曜日

幸せな仕事

Thanksgiving の連休が明けて、今日から学期末までが大忙しである。

休みは休みでうれしいが、仕事に戻ったら戻ったでとてもうれしい。わたしは幸せ者だ。

2014年11月30日日曜日

鹿の肉

無事に友人Aさんの住む羊牧場から帰ってきた。休憩も入れて、約6時間の旅。お尻がすっかりぺったんこ。なんだかピッツバーグはとても暖かい。同じ州なのに、結構違う。

帰ってきてすぐ洗濯 × 2回。羊と遊んでいたので、コートがだいぶ汚れていた。それから料理。やっぱり休日のルチーン業務のためには、もう1日早く帰ってきた方がよかったか。いやいや、4連休だからこそ、中2日ゆっくりできたわけで、土日だけの休みではなかなか行かれない。

Aさんのお母さんが持たせてくれたお弁当とおかずはとても役立った。近所の人がくれた鹿の肉で作った煮込み料理は格別である。

2014年11月29日土曜日

羊飼い

Thanksgiving の休みを利用して、友達A さんの実家にやってきた。トウモロコシを育てたり羊を飼ったりしている農家である。

こちらは産まれたばかりの子羊。

今シーズン、子羊はすでに44−45匹産まれたそうな。

外の牧場にいる羊もいる。水飲み場の氷を朝晩割らないといけない。一夜にして、厚さ7−8cmの厚みになってしまう。それを斧で割る。割れた氷をざるですくって取り除き、ホースで水を足す。作業が終わったら、ホースは室内にしまう。そうでないと、ホース内が凍ってしまう。一連の作業を写真でお見せできず残念。

2014年11月28日金曜日

非・女性と言わないのと同じこと

NPやPAのことを語るときに、mid-level provider とか、non-physician clinician という言い方を呼びかたをする人がいる。つまり、医師と看護師の中間的な診療者、また非医師診療者というわけである。

先日聞いた講演で、「こういう言い方は、男性のことを『非女性』と言っているようなものでおかしいです。男性のことは男性、女性は女性と呼ぶでしょう?」と演者が言っているのを聞いて、ほんまや!と思った。mid-level とか non-physician clinician という言葉に感じてきた違和感はこういうことであったか。

医師とNPの仕事は重なるところも多いが、NPの仕事の本髄、姿勢はやはりナースやな、としばしば思う。小芋はそこがとても好きであり、誇りに思うところでもある。

2014年11月27日木曜日

待ちに待った、新しいスタッフ

先日から、新しいNP、Zさんがメンバーに加わった。昨冬に小芋のメンターであったNPが退職して以来、ようやくフルタイムのNPの到来である。心底うれしい。長いこと私の職場の部屋(2人部屋)には、パートタイムの医師がときどき来る以外、1人部屋に等しかったが、これからは何かと助け合える。

一人フルタイムのメンバーが加わっただけで、クリニック全体の動きがこんなに改善するとは、驚きである。1人あたり、少なくとも日に20人の患者さんを診るんだが、Zさんがいなかったころは、Zさん分の20人+ を皆がどこか無理をしながら分配していたわけだから、当たり前といえば当たり前である。


2014年11月26日水曜日

教育者、研究者、でかつ臨床家

最近、ピッツバーグで教育者 兼 研究者、それでかつNPなどの高度実践看護師として活躍する人たち何人かと交流することができて、至極刺激を受けた。

臨床家として、組織の中で働く小芋のようなNPは、一NPとしての患者さんとの関わり、また組織という団体行動のなかでの役目は果たせるけれども、組織のなかでリーダーシップをとっていくことは、とっても難しい。私のなかでの個人的な成長こそはあっても、組織の中での発言力を増やしていくことは難しい。しょせん、コマなんである。

その点、教育者・研究者という切り口ももって活躍している専門家たちの活躍ぶりに、低迷ぎみであった次のステップへのエネルギーが、またむくむくと湧いてきた。まだこうありたい!というクリアな形はないけれど、小芋に「次の道」がいることは確実である。

とまとまん曰く、よろしい傾向だ、と。次を考えよ、ってずっと言っていたのに、やっとやる気になったか?とでも言わんばかり。とほほほ。

2014年11月25日火曜日

慣れないグラント申請

最近とんとブログを書かなくなってしまっていた理由の一つは、あるグラントに応募するために必死でもがいていたためだ。

興味深いグラントの募集要項を見たのが、〆切のなんと2週間前であった。そこから、信頼する何人かに同時に相談を始めた。当初のむっちゃ粗い、小学生の夢物語のような、走り書き的文章を、最終的に正式なプロポーザルに変身させられたのは、リサーチを生業とする何人かの恩師の助言のおかげである。

プロポーザルの可否がわかるのは来週くらいで、もし通ったらすごく嬉しいが、通ったら通ったで、またすごく忙しくなるだろう。ということで、この1週間はこのことをさっぱり忘れて、ノンビリしておこう。


2014年11月24日月曜日

質の良い白衣のセール

Medelita (medelita.com)という白衣やスクラブを売っているメーカーが、いま20%引きセールをやっている。普通の通販よりも値がかなり張り、小芋にとってはセールでもまだ高いと思うほど。:-(  でも白衣の質に大変満足して使っている。かれこれ約1年使っているが、まだまだ生地がとてもしっかりしている。過去に買った安い白衣は、もっとペラペラな感じだった。

2つ違うサイズを注文して、試着してからどっちにするか決めて、気に入った方にだけに名前をいれてもらい、気に入らなかった方を返品する(つまり返品する方も、買い取る方も、どちらも一旦送り返す)、ということも可能。ありがたいことに送料は、返品時も無料。


2014年11月23日日曜日

10マイルのレース

もう2週間前のことになるが、地元ピッツバーグで開催された10マイル(16km) のレースに出た。走り込みがあんまりできていなかったので、スローペースで始めたが、意外と調子よく走れて、ペースを次第に上げていくことができ、かなり満足のいくタイムでゴールできた。階段昇りの効果以外に考えられない。


これが終わると、冬の間はあまりめぼしいレースがない。(5km のとかはぱらぱらあるが。)ピッツバーグマラソンまで、スタミナとやる気を絶やさないようにせねばならん。

2014年11月11日火曜日

緊急避妊薬Ella を扱わない、困った薬局

コンドームが破れた、コンドームを使わなかった、あるいはピルを飲み忘れた、などの理由で緊急避妊薬を使う場合、Plan B、Next Choice などレボノルゲストレル剤は処方箋なしで購入できる。(米国内の場合)

ただし、事が起こってから、すでに3日以上経過した場合は、処方薬Ella (ulipristal acetate)もしくは、銅付加IUDの方がレボノルゲストレル剤よりも効果が大きい。

つまりElla を処方するケースというのは、そういう時間的事情がある場合が多いのだが、どういうわけか巷の薬局(大きなチェーン店でも)では、Ellaを扱っていないところもまだあるようだ。「Ellaの処方をPlan B one-step に変更してもよいでしょうか?」などと薬局から電話がかかってくることも。いやいや、訳あってEllaにしているのですよ、変更しないで〜。

患者さんにどの薬局に行くべきか伝えないというのは残念な現実だが、患者さんが時間を無駄にしないためには、漏れなく伝えないといかん。



2014年10月30日木曜日

続・Mirena の新しいインサーター

Mirena の新しいインサーターを早速使う機会があった。糸が手元で邪魔しないのはとてもよい。

Mirena を子宮内にリリースして(形がI字からT字になる)から、インサーター全体ごとさらに挿入してMirena を子宮底まで進めた後、手元のスライダーを根元まで下ろすのだが、スライダーを降ろし始める時に、独特のプラスチック的な摩擦音がする(Skylaのインサータもそうだった)ので、次からは、「ちょっと音がしますよ。」とあらかじめ患者さんに予告することにしようと思う。

2014年10月28日火曜日

デリのデリバリー

もらって嬉し、届けて嬉し、おかずのデリバリー。このところは友達にもらうことの方が多く、なかなか自分のをシェアするにいたらなかったが、ごく最近やっと少し再開。

人に喜ばれると、単純に舞い上がる小芋。またがんばろう。


2014年10月27日月曜日

Mirena の新しいインサーター

子宮内避妊システム Mirena のインサーターが改良されて、Skylaのようなすっきりとした形になった。これでもう、インサーターの根元で糸がからむようなことはない。

2014年10月26日日曜日

介護職員による血糖値チェック

京都府内の介護施設の介護職員が入所者の血糖値を測っていた事実があり、それが医師や看護師のみに許された医療行為だったということで問題だ、とニュースになっていたのを読んだ。

指先にチクっと針を刺して血液を1滴絞り出し、手のひらより小さいくらいの血糖測定器で血糖をはかっていたのだと推察する。糖尿病患者さんやその家族の人を含め、一般の人でも指導を受けて練習したら、すぐにできる類のものである。

小芋は、介護職員にこのような行為を委嘱できる法的手段がない方が問題だと思う。介護職員がはかった血糖値を看護師に報告し、看護師がそれを判断して次の医療行為を行う、というのが現実的ではないだろうか? いちいち医師か看護師が血糖測定しないと医師法違反になる、というのが今2014年の医療かとおもうと、がっくりくる。

介護士養成のプログラムに血糖値測定が入っていないのであれば、今後導入する、または卒業後に研修を受けて、パスしたら認定をあたえ、血糖値測定しても法律違反にならないようにする、などの対策はどうだろう。

2014年10月25日土曜日

初めてのかぼちゃランタン

こどものいる友達と、Jack-o' lantern (かぼちゃをくり抜いてつくるランタン)を作ることになった。小芋にとっては人生初。

まずはカボチャを買いに行った。初心者にはバスケットボール大のがオススメだ、と聞いていたが、もう少し小さめのを買った。

とまとまんの たっての希望により、このような図柄に。

まずは天井をくり抜く。右に写っているのは、とまとまんが今朝添付ファイルで送ってきた下絵。

中身を書き出したところ。種は後でオーブンで乾燥させておやつにするつもり。猫には舐められないように気をつけた。

反対側もとまとまんの下絵に従い、次の通り。

友達のと比べると、小芋のが一番小さい。

ロウソクを灯してみた。おおおっ!

反対側はこんな感じ。

とても満足。予想以上に楽しかった。

2014年10月24日金曜日

ひさびさの更年期

大学内のクリニックで働くようになってからというもの、患者さんの顔ぶれは、17歳から30歳代、ときたま40歳代の患者さん、という感じであった。

最近、閉経後の患者さんとお会いする機会があり、とても新鮮だった。

問診票に、初経や月経周期に関する欄はあっても、閉経がいつだったかを書く場所がなかったですよ、と指摘された。まったくおっしゃる通り!

2014年10月23日木曜日

遺伝性乳がん・卵巣がんの勉強会

東京で11月22日に開かれる、遺伝性乳がん・卵巣がんの勉強会の情報。
もし東京にその時期いたら、参加したい。でもできないので、読者のみなさまにお知らせする次第。


「性と健康を考える女性専門家の会」勉強会
日本における 遺伝性乳がん・卵巣がん
---アンジェリーナ・ジョリーの告白から学ぶべきこと---
講師 市川 喜仁 独立行政法人 国立病院機構・霞ヶ浦医療センター
         産婦人科医師(家族性腫瘍相談外来担当)

詳細はこちら
http://square.umin.ac.jp/pwcsh/info.html#20141020

2014年10月22日水曜日

面接をする立場

小芋の人生で就職面接というと、今まではもっぱら志願する立場だった。このところはそれと反対に、他のスタッフと協力して、応募してくる人の履歴書を読んだり面接したりする立場になって、いろいろと学ぶことが多い。

履歴書の書き方、
面接のときの話しぶり、
面接後どのようにフォローアップしてきているか、 などなど。

インターネットには履歴書サンプルとか、面接の心得とか、いろいろな手引きがあるが、どこかウソンコである。実在の応募者がどのようにアプローチしているのかを間近に見られるのは、とても貴重な機会だなぁと思う。

2014年10月21日火曜日

性暴力の報告用紙

大学キャンパス内および周辺で起きた種々の犯罪を、大学に報告する専用の報告用紙がある。窃盗、薬物乱用、未成年のアルコール摂取、ストーキングなどのほか、強姦や強姦未遂などの性的暴力、デートレイプ、などもこの報告用紙の対象である。

加害者が見ず知らずの人か、知り合いか、交際相手かなどは関係ない。犯罪は犯罪。

事件の概要(分かる範囲で場所も)については簡単に書くが、学生の名前などの個人情報は書かない。

この秋、性暴力の被害にあった患者さんと出会うことが増えて、この報告書をしょっちゅう書いている。この秋特別に性被害が増えた訳ではなくて、多分最近の小芋の尋ね方の何かが、患者さんに以前よりも話させているのだと思う。

毎年の犯罪統計にあがってくる性暴力の件数は、あくまで報告のあった件数に過ぎないので、多分実際の数と比べると氷山の一角。ただし、同じ学生が、クリニックで小芋に相談し、また別のところで教授なり寮の職員に相談したりして、それぞれの職員がみな報告書を書いた場合は、報告の重複がありうる。

ゆえに「正確な」統計というのは無理だが、大学側も、学生も、職員も、性暴力の頻度の多さをもっともっと把握するようになってほしいという思いで、今日も報告書を書いた。

2014年10月20日月曜日

Prior Authorizationの悪夢

オバマ政権の医療制度改革のおかげで、避妊薬はおおむね健康保険でカバーされるようになり、患者さんの自己負担は多くの場合なくなった。IUDやインプラントもカバーされるようになったのは非常に大きい。

一方、比較的新しいピルでジェネリックがないものなどに関しては、保険会社に自己負担を求めたり、prior authorization という事前認可を必要としていたりする。

prior authorization は、医療者側が、保険会社に対して、これこれしかじかの理由で、他の薬ではダメで、こっちの薬が必要なんや、と訴えて、承認を得ることをいう。単にこっちが好きだから、とかいう理由では、却下される。A薬ではこういう副作用がでた、B薬は効かなかった、などと全うな理由を挙げないといかん。

最近、薬のprior authorization 以上にしんどかったのは、画像診断に関するprior authorizationだ。医師と相談した結果、ある患者さんに訳あってCTをオーダーしたのだが、これのprior authorization を得るために、電話やFAXなどのやり取りで、私は結局のべ3日間で合計2時間は費やした。他の患者さんの診察を抱えながら、隙間の時間や昼休みを目一杯使い、帰りも居残ってーーー。あぁ。

結局今回はなんとかprior authorization が認めれたので、頑張った甲斐があったが、このシステムは、あたかも患者さんあるいは医療者側が「諦める」のを狙って待っているようである。

保険会社が医療システムを牛耳っていることを示す、一例である。

2014年10月18日土曜日

インターネットで緊急避妊薬を買う方法

After Pill という商品名の緊急避妊薬(レボノルゲストレル)がインターネットで販売されていることを知った。1錠20ドル+送料5ドル。もしくは3錠60ドル+送料5ドル。巷の薬局で売っているPlan B や Next Choice (いずれもレボノルゲストレル)は35ー45ドルほどすることが多いので、かなり割安感がある。
AfterPill.com

避妊のエラーから薬の服用まで時間がたてばたつほど、効果は低くなるため、できるだけ72時間以内、遅くとも120時間以内には服用しないとならない。コトが起こってから緊急避妊薬を購入する場合は、最寄りの薬局に行くのが一番早いが、前もって備えておく場合には、オンラインでの購入もありだと思う。

なお、避妊のエラーから120時間近くたっている場合は、レボノルゲストレル剤よりも、処方薬Ella (ulipristal acetate剤)の方が効果が高いのだが、そちらもインターネットを介して手に入れる方法があるとのこと。ヤミ取引ではなく、一件一件のオーダーを医師がレビューして、必要に応じて患者さんと追加のコンサルテーションをした上で、処方箋を出すようだ。コンサルテーション代や送料を含めて59ドルとのこと。
https://www.ella-kwikmed.com

都会に住んでいる人は薬局探しに困ることはないが、田舎に住んでいる人や、車がなくて薬局に行く足がない人には、特に朗報だと思う。

こちらにも関連情報あり。
http://ec.princeton.edu/questions/ella-online.html

2014年10月16日木曜日

2年目のピア・サポート

大学内クリニックの仕事に就いた昨年、大学内の別の部門のLさんが私のピアとなった。侵入職員サポートの一環である。
http://koimokko.blogspot.com/2013/11/blog-post_19.html

Lさんとは以来、2ヶ月に1度くらいのペースで喫茶店で朝ごはんを食べながら会っていて、就職2年目の今も恒例となっている。昼ご飯時でもいいのだが、その日その日の仕事次第ではちゃんと昼休みがとれない危険性がお互いにあるので、あえて朝ごはん時にしている。

仕事の内容は違っていても、自分の専門とする仕事が大好きだという点でLさんと私はとても似ていて、また抱えている困難もどこか似ていて、近況をシェアしあうだけで、とても励みになる。Lさんは小芋にとって、とても貴重な存在だ。


2014年10月15日水曜日

日本の研究者との出会い

知人Aさんの紹介で、日本から数ヶ月の予定で来られている看護学の大学教授Bさんに会う機会を得た。AさんとBさんとお食事をしながら、実に刺激的な話をたくさん聞いた。

学部生と院生の授業を担当し、自身の研究活動をし、そのうえさらに今回の来米のための時間とお金を作ってピッツバーグに飛び、いま毎日米国の研究者と中身の濃いディスカッションをなさっている様子は、話を聞くだけでもビリビリくる。

出会いに感謝。

2014年10月14日火曜日

長期間使えていつでもやめられる避妊法と10代の妊娠

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1400506#t=abstract

10代の患者さんを対象に、避妊薬について丁寧に教え、患者さんがどの方法を選んでもそれを無料で提供するプロジェクト(CHOICE Project) を行って3年に渡って患者さんのその後を追跡した結果、患者さんの妊娠率、出産率、人工妊娠中絶率がいずれも大幅に下がった、という研究結果。

このプロジェクトは、避妊薬について説明する際に、避妊効果の高いものから低いものの順に避妊薬の特徴を示したゆえに、長期間使えていつでもやめられる避妊法(Long-acting reversible contraceptives, LARC) すなわち IUD/IUSやインプラントの特性が強調される形となっていた。

小芋の過去の失敗談をもとにいうと、これとは反対に下記のようにメンテナンスに手のかかる順に説明していたのでは、効果の高いLARCの説明に至る前に自分の息が切れるか、患者さんが飽きてしまう。

日々飲むピル→毎週張り替えるパッチ→月ごとに入れ替える膣内リング(NuvaRing)→ 3ヶ月ごとに打つデポプロベラ(注射薬)→3年ごとに入れ替えるインプラント→3−10年ごとに入れ替えるIUD/IUS 

患者さんにいつ妊娠したいですか?と尋ねて、もし1−2年以上妊娠したくないという答えが返ってきた場合は、避妊効果が高く、かつメンテナンスの楽な方法から順番に説明するのが理にかなっていると思う。そもそも、避妊効果が高い方法というのは、メンテナンスが楽で、「うっかり」という事態に陥りにくい。

もっとも、患者さんの妊娠プランや好みによっては、ピルやコンドームががベストな選択という場合もあるので、決してそれらを批判したり悪者にしたりはしないように気をつけたい。

すべての方法をひとつひとつ懇切丁寧に説明するのは、時間的に無理だし、必要もないと思うが、ざっくりとしたオプションの「幅」というのはどの患者さんにも知っていてほしいなと思う。

もっと知りたいという患者さんには、資料を渡したり、以下のようなウェブサイトを勧めて、それらを読んで質問リストを作って次回持ってきてもらっている。
ARHP.org/methodmatch   (興味のある方法をピックアップして比べられるところが、まるでオンラインショッピングみたい。)
YoungWomensHealth.org (避妊方法だけでなく、若い女性向けの健康に関する情報が満載。)

とりあえず今日、あるいは今月、来月の間に思いがけない妊娠をしないために、当座の方法としてピルやパッチやリングを使いながら、その間により長期的な方法について考えて、LARC に移行するというのもよくやる。

2014年10月13日月曜日

休みでない祝日

今日は Columbus Day という祝日。

郵便局や政府系機関に勤めている人の多くはお休みだが、街全体としてはあまり休みって感じでない。バスは平日ダイヤで運行。わがクリニックは通常営業。私も普通通り仕事。(ちなみに、元旦、Memorial Day、独立記念日、Labor Day、Thanksgiging Day、クリスマス、などはより多くの人が休むので、もっと祝日らしい。)

Labor Day (9月の第1月曜日) からThanksgiving (11月の第4木曜日) までがやたら遠い。(涙)

アメリカにもっと祝日を! 

2014年10月11日土曜日

中国語の落ちこぼれ

図書館で 中国語2のクラスがなくなって以来、有志数人で自主勉強会を開いてきたが、夏に日本に帰って以来、すっかり足が遠のいてしまった。

友達からリマインダーが来たが、今のレベルだととてもついて行けないので、しばらくはお預け。早く復帰できるようにがんばろう。

2014年10月10日金曜日

ピンクのベンチ


10月は乳がん啓発月間だ。シンボルカラーであるピンク色のライトアップとか、噴水の水をピンク色にしたりとか、町のあちこちでピンク色を見る。

今回、公園のベンチもピンク色になっていたので、撮影した。

このベンチ、季節ごとに誰かが模様替えしている。ベンチ自体を交換しているのか、ペンキを塗り替えているのかは定かでない。また違う模様になったら写真を撮ろう。

2014年10月9日木曜日

避妊薬の新しいポスター発売


先月ManagingContraception.com から、避妊薬のポスターの改訂版が出た! 新しい子宮内避妊システムSkyla も入り、アップデートされている。診察室の壁に必須のアイテムである。
早速買ってもらって、オフィス中のポスターを張り替えた。

2014年10月8日水曜日

性教育とファイナンシャル教育

最近とまとまん こと我が夫は、ファイナンスについていろいろと勉強していて、小芋にもよく知識や知恵をおすそ分けしてくれる。小芋も刺激されて、関連のオーディオブックを図書館で借りて読み(聞き)始めた。

とまとまんに「こういうファイナンスについての知識って、もっと早く、できれば中学校とか高校とかで習っていればよかったなぁ。」とぼやいた。

すると、とまとまん曰く、
「性教育とファイナンシャル教育って似てるよ。どちらも、学校で習う機会は乏しい。親も教えてくれるとは限らん。そもそも、大人でもちゃんと分かってない人が多い。性のことも、ファイナンスのことも、生きていくにはむっちゃ重要やのにな。」

名言。

2014年10月7日火曜日

婦人体温計の進化

基礎体温とは、安静にしているときの体温のことで、通常は朝目覚めてすぐ、寝たままで口の中(舌下)で測る体温のことを指す。

正常に排卵している女性の場合、排卵の前後で低温相と高温相の2相性を示す傾向がある。排卵傾向の有無など、月経周期を評価するため、また避妊あるいは妊娠を目指すための情報として、基礎体温の記録は参考になる。

たった1日とか1週間測ってもあまり意味はなく、最低1−2ヶ月連続で測ってこそ、意味のあるデータがとれる。

基礎体温を測るには、いわゆる婦人体温計と呼ばれる、通常の体温計よりも一桁細かい体温計を使う。たとえば、普通の体温計は36.5℃、36.6℃、というように0.1℃刻みだが、婦人体温計は、36.50℃、36.51℃、のように、0.01℃刻み。

体温計を口にくわえて5-10分過ごす間に、二度寝してして体温計が口からはずれてしまったり、測ってもその値を記録するのが面倒くさかったり、しかも毎日(とりわけ朝に!!)測るというのが結構な手間。(小芋の場合、学生時代に宿題のため3ヶ月測り続けるだけでもとても苦痛であった。)

最近は10秒とか20秒という短時間で測れるもの、体温計自体が日々計った体温を自動的に記録していってくれるもの、目覚めてから計るのではなく、寝ている間に身につけて就寝中に体温を持続的に測ってくれるもの(Ran's Night)など、選択肢が増えた。

iPhone やアンドロイド携帯にデータを転送して記録できるもの、というのも出てきていているそうな。http://www.healthcare.omron.co.jp/product/mc/mc-652lc.html
デザイン的にも洗練されていて、感心する。

ちなみに、日本の妊活ブーム(?)の影響もあってか、同じAmazon のウェブサイトでも、日本のサイト(.co.jp)のほうが、アメリカのサイト(.com)よりも種類が格段に豊富である。

2014年10月6日月曜日

前兆を伴う片頭痛と避妊薬

片頭痛(偏頭痛)持ちの患者さんのなかでも、視覚の変化、失語症、しびれを初めとする前兆(aura)を伴う患者さんは、エストロゲン入りの避妊薬を使うと、脳卒中のリスクが特に上がるため、エストロゲンを含む避妊薬は禁忌(使っちゃいかん)である。

WHO(世界保健機関)やCDC(米国疾病対策予防センター)が発行してある文書にも、その点は明記されている。

http://www.who.int/reproductivehealth/publications/family_planning/9789241563888/en/
http://www.cdc.gov/reproductivehealth/unintendedpregnancy/usmec.htm

これらガイドラインは、決してすごく新しいものというわけではないのだが、他のクリニックでエストロゲン入り避妊薬を処方されて、「薬がそろそろなくなるので(or もうなくなったので)、新しい処方箋をください。」と言って現れる患者さんが依然として後をたたない。

患者さんが前の担当医に片頭痛のことを十分伝えておらず、担当医が前兆の情報を聞き漏らしたのだろう、と思えるケースもあるが、中には、前兆のことも含めて担当医は知っていて(患者さん曰く)、それでもあえてエストロゲン入り避妊薬を使ってきた、という例もあって、厄介だ。

幸い、現在勤めているクリニックは、クリニックの方針として、WHOガイドラインを遵守する、と定めている。私の個人的なイジワルでもなんでもなく、患者さんの安全を守るためにわれわれクリニックはこの方針で行くのだ、と言えるところが心強い。

「この問題を教えてくれてありがとうございます。より安全な他の方法(プロゲスティン剤など)に変えたいと思います。」と言ってくれる患者さんがいる一方、
「ずーーーっと何年も使ってきたこのピルのために今日私は来たのに、それを処方してくれないなんて!!!」と怒りをあらわにする患者さんもある。

従って、患者さんとの話の冒頭で仮に前兆を伴う片頭痛の話をつかんだとしても、そのことをすぐ指摘せず、まずは会話の中で信頼関係を作り、話の流れの中で上手に非エストロゲン剤を勧めるように持って行くのがコツだと思っている。もちろん理由も話すが。

ポイントは、「あなたの健康は大事だ。」というメッセージ。そして、「いま元気なあなたが、仮に避妊薬のせいで命を落とすようなことをあってはいけない。より安全な方法を使いましょう。」というメッセージ。

しかし、どんなに工夫して話を持って行っても、「納得できん!」と泣いてまで訴える患者さんもある。そういう方には、別のクリニックに行って相談してもらうほかない。リスクが高いと分かっていながら処方して、患者さんを危険にさらすことは自分にはできない。

2014年10月5日日曜日

秋の実

紅葉とともに木の実がとても美しい。

このカラフルな木の実は、2年前に とまとまんとワシントンDCに行ったときに初めて見て感動した。ピッツバーグでもよく見ると見つかる。名前は知らない。
これは今日撮った写真。

この秋、とまとまんはピッツバーグに来ることができず、ひとりでこの実を見るとさみしくなる。でもせっかくなので、今の時期だけのこの美しさを楽しもうと思う。

2014年10月4日土曜日

ラグタイムのコンサート

当初の予定では、実に5か月ぶりで5時間離れたところに住む友達の家に昨夜行って、週末を過ごすはずだった。

が、友達の家庭の諸事情により、急遽今週末はどうしてもあかん、ということになり、あと残り3時間半で着くという時点で引き返して帰ってきた。至極残念だったが、しかたない。

気を取り直して、今朝はヨガ教室に行ったが、なぜか今日に限って休み。

しかも急に、コートを引っ張りだすほどの寒さ到来。

そんなこんなで落ち込みがちだったんだが、夜はラグタイムというジャンルのピアノのコンサートに自分を引きずって連れて行った。これがすこぶるよく、大いに笑った。(特に、スーパーマリオブラザーズの曲。)また涙がポロポロ出てくるほどに美しい調べにも出会った。

友達のところに行っていたら、このコンサートには行けなかったので、これもまたよかったんだとおもう。

2014年10月3日金曜日

子宮頸がん検診用ショーツの開発

以下は、福島医大の医師らによって開発された、子宮頸がん検診用ショーツを紹介する新聞記事。実際の使用感はどうなのかな?

http://www.minpo.jp/news/detail/2014092518246
http://www.minyu-net.com/news/topic/140925/topic1.html

2014年10月2日木曜日

PMS治療薬プレフェミン

日本で、月経前症候群 (PMS) の緩和を効能としたプレフェミンという薬が、先月ゼリア新薬という製薬会社から発売されたそうだ。これは、購入時に薬剤師から情報提供を受けることが必要されている(要指導薬品)が、処方箋は不要。

主な成分はチェストベリー (chasteberry) というハーブ。希望小売価格は30錠で1800円とのこと。
http://www.zeria.co.jp/image/upimg/mv14101416311.pdf

月経3周期に続けて使用したことで、9割の女性のPMS症状が改善した、という触れ込みであるが、症例数が少なく、またたった3周期だけの治験のようなので、リサーチの質としては頼りなく思う。長期使用した場合の効果、安全性はどうなのかな?

比較&参考までに、NIH傘下にある、補完・代替治療法センターのウェブサイトを見てみると、チェストベリーに関するエビデンスは限られているとのこと。(書き方がとても冷めているかんじ。)
http://nccam.nih.gov/health/chasteberry

一方、欧州医薬品庁モノグラフではwell-established use の 医薬品だとされている、とプレフェミンのウェブサイトhttp://prefemin.jp に書いてあったので、そのモノグラフたる資料を探してみたら、あった。Vitex agnus-castus というのが、chasteberry  のラテン名。
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Herbal_-_Community_herbal_monograph/2011/08/WC500110099.pdf
ただしここには根拠となる文献の引用やリンクは載っていない。

見比べるとおもしろい。

2014年10月1日水曜日

結婚についてのNPRインタビュー

昨日NPR(National Public Radio)のMorning Edition という朝のニュース番組を聞いていたら、Rebecca Traister という作家に結婚をテーマにインタビューしていた。その中で、次の言葉が特に印象に残ったので、メモ。

The fact is there are all kinds of married lives and all kinds of single lives, and more people are now free to go down a variety of paths.

(小芋訳:実際のところ、ありとあらゆる結婚生活があり、ありとあらゆるシングル生活があります。以前と比べて、より多くの人がいろいろな道を選べるようになりました。)

まことに然り。「結婚が幸せ、シングルが不幸せ」、ではなく、またその逆でもなく。

社会の変化、女性の選択の変化について論じていてとても興味深く、おススメ。
インタビューの録音はこちらから聞ける。
http://www.npr.org/2014/09/30/352661280/marriage-pattern-shifts-seen-by-some-as-destabilizing-society
英語を聞くより読む方が得意な方は、インタビューの書き起こしをどうぞ。
http://www.npr.org/templates/transcript/transcript.php?storyId=352661280

2014年9月30日火曜日

薬を「食べる」

中国語を母国語とする患者さんと話していると、しばしば「eat medicine」とか 「eat a pill」といった表現を聞く。おそらく、中国語では薬を飲むというときの動詞が「食べる」と一緒なんだろうと思う。

ご存知の方も多いと思うが、英語では薬を飲むことを take medicine という。drink でも eat でもなく、take を使う。

eat medicine と聞いても、意味は明らかなので、そのまま会話を進めている。

2014年9月28日日曜日

めざせ70歳からのライズィング・スター

お陰さまで、今年も10km レース完走。素晴らしい天気と景色が楽しめた。

タイムは去年より2分以上遅く、4年前より4分遅い、、。どこまでが練習不足に因るもので、どこからが齢によるものかはナゾ。

1kmあたりのラップタイムでみれば、過去の複数の5kmレースよりは今日の方がいいタイムやった、と自分をなぐさめている。

個人的な目標は70歳代部門からの入賞(!?)。ゆえに、あと35年くらいかけて準備。(笑)
男女とも80歳代の参加者も結構いて、励まされる。

次の予定は、10マイル(16km)レース。距離が長い方が、はぁはぁしないでテロテロと走れるので、小芋向き。とはいえ、過去1ヶ月よりは練習の頻度と内容を改善しないといかん。

2014年9月27日土曜日

性被害のよくあるパターン

「アパート(あるいはバー等もあり)で飲んで、盛り上がって、その日その場で知り合った人(もしくは知り合い)と話しているうちに仲良くなって、体を触れ合ったりして、そこまでは同意の上だったが、そこから先、服を脱いだりセックスする気は全くなかったのに相手に強行され、レイプもしくは性的暴行という事態にまでいたった。」

と、クリアに覚えていて話せる患者さんはまだよいのだ。

酔いすぎていて、何をされたか記憶になく、でも裸で目覚めたことからすると、レイプされたと思わざるを得ない、とか、相手の顔や名前も定かに思い出せない、といったことも珍しくない。

警察にすでに届けました、という患者さんは少なく、届け出るように強く進めても、ためらう患者さんが多い。

いま、米国中で、性被害に対する政府や大学の取り組みが盛んになってきている。とはいえ、警察や大学が把握している性被害件数は氷山の極めて一角だろう。

小芋は性被害がすでに起きてしまった後の対応を精一杯しているが、無力感というか、自分が出来ることの限界を強く感じるところでもある。

2014年9月25日木曜日

寮に新入生を訪ねる

新入生が学内の様々なサービスの存在を早期に知り利用できるよう、そのきっかけ作りとして、大学職員が手分けして新入生の寮に出向き、ざっくばらんに新入生と交流するという企画が先日からはじまった。

私の場合は、夜7時から開催するという約束だったので、10分前くらいに寮に出向き、運転免許証を見せて寮に入れてもらい、ラウンジに行った。

10人ほどの新入生と、RA (Resident Assistant 、同じフロアに住む高学年のアドバイザー役)と椅子やソファーを丸く並べて座った。アイスクリームを食べながら、まずはお互いの自己紹介。学生には、名前と、専攻と、好きなこと(趣味・楽しみ)を言ってもらった。

そのあとクリニックの紹介、最後に気軽な質問の時間を持った。いろいろフリートークして、始まってからだいたい45分くらいでお開きにした。

<参加してよかったこと>

  • 寮の中のラウンジという、クリニックよりももっとリラックスできる場で新入生と交流できたこと。
  • 新入生はなかなか上手に最初の一ヶ月を乗り切っている様子だったこと。
  • RAの活躍ぶり、仕事の一端をみることができたこと。
  • ざっくばらんに新入生の質問に答えることができたこと。
  •  インフルエンザワクチンの接種をなぜ勧めるか話せたこと。
  • 「小芋を指名して診察を予約することはできるの?」という質問がでたこと。
  • 新しい環境に慣れたり、勉強についていくのはきっと大変だし、むっちゃ忙しいと思うけれど、自分の好きなことをする時間や自分のケアをする時間を忘れんといてね、というメッセージを発信できたこと。ハッピー&元気だからこそ前向きに頑張れて成功に至るのであって、努力→成功→ハッピー、という方程式ではないんだよ、と。(どこまで伝わったかは謎。自分が聞く立場だったらキョトンとしていたと思われるが、願わくば学生のころにこのココロを知っていたかった。)


<改善の余地がある点>

  • 開催時間は夜7時から10時の間で、という指示だったので、7時からの開催にしたのだが、仕事の後さらに居残って、催しに出向く立場からすると、6時とか6時半のほうが助かる。夜はバスが減るし、次の日は朝から普通に仕事だし。
  • 参加した新入生はTシャツがもらえる(学生が出席するようTシャツで釣っている?)が、職員の方には何も出ない。無休。夕飯が出るとか、夕飯分のカフェテリアのクーポンがあったりすると、ありがたかったな〜〜。
  • RAと開催日を相談して決めた後、新入生40名弱一人一人に招待状を送らねばならなかった。しかも自筆のヒトコト添えて。これが結構大変だった。メールで送るのではだめだったのか。

2014年9月24日水曜日

宇宙旅行のようなMRI検査室

以下は、スペイン、バルセロナの病院が、子どもの患者さん向けにMRI検査室を宇宙のようにデコレーションしたことを報告する記事。

一見の価値ある写真だ。
http://guardianlv.com/2014/09/barcelona-hospital-makes-mri-a-space-age-adventure-for-kids-video/

子どもだけじゃなくて、大人にとっても、こういう環境はとてもいいと思う。医療器具が空間にとてもなじんでいて、違和感がない。

2014年9月23日火曜日

なにがあってもとにかくhappy、の心

バスの中で斜め前の女性が小芋に向かってほほえんで、「そのバッグいいわね。」と言ってくれたので、普通に「ありがとうございます。」とお礼を言った。アメリカ人は、知らない人が相手でも、服装とか髪型とか持ち物について「すてきね。」などとよくコメントする。

小芋がバスを降りるとき、同じ女性が、これまた大きな笑顔で、Be happy! Keep that way! (ハッピーでいてね。その調子よ!) と言ったので、一瞬小芋の頭の中は ? が浮かんだが、彼女がいいと言ったのは、「バッグ」ではなく、「バッヂ」であったことにそこでやっと気がついた。

小芋のかばんには、「I am HAPPY No Matter What」(なにがあっても、私はハッピー)と書かれたバッヂが付いている。小芋の知り合いNさんの知り合いOさんが、「誰か必要そうな人にあげて。」とNさんに渡し、それをNさんが小芋に渡してくれたもので、かれこれ1年以上かばんに付けている。

バッヂをもらった頃はとてもワクワクしたのだが、ずっと付けていると、完全に見慣れた「風景」の一部となってしまい、あまり目に入らなくなっていた。

今日はいろいろと落ち込むことがあって、へこんでいたが、バスに乗り合わせた女性のおかげで、このバッヂのことを思い出せたし、また彼女の見事な笑顔にも救われた。

自分の目の前でたとえどんな惨事が起こっていようとも、自分の心の中の天候は、自分が決めることができるんだ、ハッピーに維持することができるんだ、というメッセージは、とても力強く心強い。小芋はすぐ忘れて落ち込むので、しっかり肝に命じておかねば。

バッヂがどんなデザインかは、こちらのサイトで見ることができる。購入も可。

2014年9月19日金曜日

勇気の出る言葉

Association of Women's Health, Obstetrics and Neonatal Nurses のメール配信、AWHONN Brief 9月12日号にJohn Legend氏の次の言葉が引用されていた。

You learn so much from taking chances, whether they work out or not. Either way, you can grow from the experience and become stronger and smarter.

小芋訳:
思い切ってやってみることで、人はむっちゃたくさんのことを学ぶもんや。それがうまく行こうと行かなかろうと。どっちにしても、その経験から成長することができるし、より強く、より賢くなる。


いつも、当たってくだけて、また当たって、を繰り返している小芋人生にとって、とても励みになる言葉。忘れんように、メモした次第。

2014年9月18日木曜日

疲れている学生たちと小芋

新学期が始まって、丸4週間となる昨今、患者さんの疲労感が強くなっているのを感じる。気温もだいぶ下がってきて、ただでさえ体調を崩しやすい時期だが、その上さらにテスト勉強のストレス、睡眠不足などが蓄積してきているのだろう。

幸い小芋は、風邪ひとつひかずに済んでいるが、夕方にどーーーっと疲れを感じる。食事と睡眠が乱れがち。風邪の手前をさまよっている感覚がある。

人のケアのためには、自分のケア。分かっているけど、毎日ちゃんと実践するのはやっぱり大変。さぁ、これからさっさとシャワーや。

2014年9月17日水曜日

落ち着いて見えるらしい

「小芋はいつも落ち着いていていいね。」と最近あるナースにいわれた。

実際のところは、診察内容的にも、患者さんの人数的にもかなり目一杯の日々が続いていて、本人の中では、非常に慌てふためいていたり、ぎゃーーーーーーー!と叫んでいたりする。

それが表面上に現れていないとしたら、素晴らしいことだ。

とまとまんには、「小芋の顔にはすべてが書いてあるから、こんなに分かりやすい人間はない!」と常々よく言われる。正直、ナースのコメントがどこまで正確かは不明。

患者さんに複数の訴えや要望がある場合、なるべくそれを分解して、限られた診察時間内に出来る内容にしぼり、残りは後日に回す形にするよう努力しているが、それでも時間が押せ押せになってしまうことはどうしてもある。

焦りを見せず、患者さんをせかすこともなく、優先順位をつけて、ポイントをおさえて、患者さんにも自分自身にも納得がいく対話に「限られた時間のなかで」仕上げることは、いつも難しい。

2014年9月16日火曜日

活躍する60−70代ナースプラクティショナー

本当は定時で帰り、近くにすむNP友達のZさんを車で迎えに行き、私が運転してローカルなNP勉強会に行くはずだった。

が、諸事情でどうしても遅くなってしまった。

Zさんは気を利かせて、自分が迎えにいくよ、と言ってくれて、私の職場まで車で来てくれて、彼女の車で勉強会に行った。

勉強会に行ってよかったのは、今日のテーマそのものよりも、Zさんをはじめ他のNPと話せたことである。Zさんもそうなんだが、勉強会には60-70歳代のNPも来ている。まだまだ現役で医療現場で働いていたり、大学で教えていたり、少し仕事を減らして週に2−3回だけクリニックや高齢者施設で働いていたり、と働き方はいろいろだが、NP第1世代の勢いと意欲がビンビンと感じられる。隣にすわっているだけでもドキドキする。

長い一日のあと、体はむっちゃ疲れていても、勉強会のお陰でこころのエネルギーがチャージされた。

2014年9月15日月曜日

日本でのミレーナ保険対象範囲が広がった

子宮内避妊システム、ミレーナの日本での効能書きに、従来の「避妊、過多月経」に加えて、「月経困難症」が新たに加わったとのこと。なお、過多月経または月経困難症に対して使用する場合は健康保険の対象となるが、避妊目的の場合は保険適応でないらしい。
(興味のある方は、バイエル薬品のウェブサイトを見ると、資料が読める。)

月経過多or月経困難症が先立つ理由で、「ついでに」避妊も、という場合は保険が使えるのに、純粋に避妊だけを目的とすると保険適応外、というのはとても残念。月経量が特別に多くなくて、そこまでひどい月経痛がない人であっても、ミレーナによって月経の量や頻度が少なくなるのは大きなメリット。

ちなみに、ミレーナの米国内での名前はMirena で、「ミレーナ」というよりは「マイリーナ」と発音されることが多い。

2014年9月14日日曜日

不規則な勤務に弱い小芋

今学期から、週一回、昼ちょい前から夜7時半くらいまでの勤務の日がある。それに加えて、土曜日の担当(こちらは不定期)も始まった。土曜日に働く週は、その分平日に代休がある。

夜働こうが、土曜に働こうが、週当たりの勤務時間は変わらんはずなんだが、体力的には何だかとても疲れる。遅出の日は、朝ゆっくりできるので、その間に走りにいくこともできていいが、夜帰ってきてからが忙しい。そして、週末の休みが日曜だけだと、休むことも家事をすることも、なんだかどっちも中途半端になってしまっているかんじがする。

昔、日本の病院に勤めていたころ、日勤・日勤・深夜勤・深夜勤・準夜勤・準夜勤、てなかんじの5〜6日連続勤務を曜日も関係なしにやっていたが、今振り返ると、一体自分はどうやって生きていたのか、不思議だ。その頃の生活を思えば、今の勤務体制など、まだずっと規則的。

ぶつぶつ言うのは終わりにして、おかず作りをせねば。

2014年9月13日土曜日

誕生日

先日の誕生日のこと、
出勤すると、自分の部屋のドアにこの張り紙。

カードとカップケーキももらった。
カップケーキは写真撮影前にひっくり返してしまい、せっかくのicing が無惨な姿に。

ふたを開けたところ。痛々しい。
どのみち、小芋はicing が苦手なので、きれいにはがして、スポンジケーキの部分だけを食べました。

2014年9月10日水曜日

秋のヒマワリ

朝晩キンと冷えるようになってきた。
この野生(たぶん)のヒマワリも、もうすぐ季節が終わるだろう.
森の表情の移ろいに、いつも驚く。

2014年9月9日火曜日

体重増加作戦

日本帰国中、せっせと美味しいものをたくさん食べて、体重を増やしたはずであったが、残念なことに体重計上はわずかしか増えていなかった。

最近何人かの人に「やせたなー」と言われて、ショック。体重計の目盛り的には決して減っていないのだが、そういう印象を他人に与えてしまっていることが悔しい!!

三食の食事に加えて、午前と午後のおやつ、夕食後のデザートも励行してきたが、最近運動量が増えているので、おやつもさらに増やさないといかん。ということで、今週は大きなバナナ一房をどかんと月曜に職場に持って行った。日数分よりも本数の方が多いので、1日2本食べる日もないと、食べ終わらない。バナナだけでなく、棒状チーズやグラノーラ・バーもこまめに食べるようにしている。

朝食の量も、さらに増やしていく予定。

太りにくい体というのは、人様にはうらやましがられるが、持ち主にとっては、メンテナンスが意外と厄介で、苦労するものだ。食べるという行為が、純粋な楽しみ&喜び、また生理的欲求のためだけで終わらず、いわば「仕事」のように意識して取り組まないといけないから。

良く言えば代謝のよい体、悪く言えば食費のかかる体。持って生まれたものなので、付き合うほかないない。つべこべ言わずに(言ってる?)頑張るんば。

2014年9月8日月曜日

眠れない夜は

以前、よい睡眠を得るための心得、Sleep hygiene について書いた。
http://koimokko.blogspot.com/2014/02/blog-post_3.html

これはたしかにとても有効な習慣なのだが、今この瞬間まさに寝られんくて困ってるんや!、というときには即効性に欠ける。

眠れん、眠れん、と考えてくると、余計にいらついて、ますます眠れなくなる。

そんなときにおススメなのは、深呼吸することである。一番簡単なのは、ゆっくり大きく息を吸って、その倍くらいの時間をかけてさらにゆっくり吐くこと。静かな音楽をかけてもいい。

これでは簡単すぎてつまらん、とか飽きてしまうという場合は、上手に呼吸やリラックスを誘導してくれる録音をCDなりYouTube などで聞くという手がある。「呼吸法、リラックス」といった単語をキーワードにすれば、わんさかと出てくる。

米国内のいろいろな大学の学生用クリニックのウェブサイトをみると、リラックスを促すいろいろなオーディオ(MP3) が掲載されていて便利だ。別にその大学の学生でなくても、誰でも利用できる。

こちらはマサチューセッツ工科大学のもの。2−3分の短いものから、20分を超える長さのものまで、各種揃っている。
http://medweb.mit.edu/wellness/resources/downloads.html

こちらはウィスコンシン大学のもの。バックグラウンドにハープの音色の入ったもの、森の中にいるような自然の音の入ったもの、あるいは音楽なしで人の声だけのもの、が選べる。こちらも種類が豊富。
http://www.uhs.wisc.edu/health-topics/stress/relaxation.shtml

いろいろ探しすぎたり、試しすぎたりして、眠れなくならないように、ご注意。(笑)

2014年9月7日日曜日

ハイキングブーツでトレーニング

2週間前にハイキングブーツを買い、それを通勤時に履いている。行きはだいたい40分かけて、一般歩道と公園の中のトレイルを通るコースを歩く。この靴にしてから、多少の雨やぬかるみでも足元を気にしなくてよくなった。買って正解だった。

前から登山靴は持っていて、雪の日など、冬には結構常用していた。が、あまりにごっついあまり、通勤にはちょっと大げさなのだった。

ハイキングブーツで歩くと、ランニングシューズで歩くよりは、少し負荷がかかるようで、職場に着くころには結構汗をかいている。坂道や階段ではかなり心拍数もあがる。

そのお陰か、走っていても、前よりへこたれにくくなった。月末のGreat Race まであと3週間。がんばろう。

本当は、帰りも歩くといいトレーニングになるんだが、夕方はお腹ぺこぺこのため、ついついバスに乗ってしまい、歩く距離が短い。今週は、なるべく夕食後に走りにいくのが目標。

2014年9月5日金曜日

落語:みどりの窓口

全日空の飛行機に乗ったときは、オーディオプログラムの中で、必ず「全日空寄席」を聞いている。公開録音された落語や漫談が聞ける。

これまで聞いた中で、飛び抜けて面白かったのが、立川志の輔氏の「みどりの窓口」という演目。あまりの面白さのあまり、飛行中に4回かそれ以上繰り返し聞いたので、とまとまんと再会するなり、かなり再現できた(?したつもり)ほどだった。(ただし、話ながら自分で笑い出してしまう。)

この演目の入ったCDが売られているようだが、You Tube でも見られるということが最近分かり、涙の(面白いあまり)再会をした。

話の内容は、題名の通りJRのみどりの窓口が舞台で、そこで働く職員一人と、ヒト癖あるお客さんとのやり取りが、面白おかしく巧みに語られる。

お客さんにどんなに無茶なことを言われても、辛抱強くけなげに対応している職員さんの姿には、仕事の種類こそ違え、NPとして患者さんとやり取りするときの葛藤と似たところを感じ、共感をおぼえることもあった。人と関わる仕事をしている人なら、仕事の種類に関わらず、私と同じような気持ちになるんじゃないだろうか。

かなりお勧めの作品。

2014年9月4日木曜日

インフルエンザ・ワクチン接種のコンテスト

わがクリニックでもインフルエンザのワクチン接種が始まった。どんな理由で来院した患者さんであっても、その機会をとらえてなるべくワクチンを受けてもらいたいところ。

そこで、スタッフへの意識づけとして、ワクチン接種を受けた患者さんの人数を競うコンテストがひそかに始まった。

たとえば、私が患者さんにインフルエンザワクチンを勧めた結果、晴れて患者さんが接種に同意して、ワクチン接種に至ったら、私に1ポイントがつく。

ナースが患者さんを部屋に誘導して、バイタルサインをとって、その流れの中で早くも患者さんからインフルエンザワクチン接種の同意を得て、接種にいたれば、それはナースに1ポイント。(この場合、私が患者さんと会う前に、もうワクチン接種が終わっている。)

ナースは、このほかに、独自の予約枠も持っていて(抜糸、ドレッシング交換、HPVワクチン接種、ツベルクリン反応検査、デポプロベラの注射など)、そういった機会にもにインフルエンザワクチンを患者さんに実施したら、そのつどポイントが稼げる。

単純なゲームみたいだが、スタッフには意識づけの効果は結構あるように思う。もちろん、勧めたからって患者さんがみんな接種に同意してくれるわけではない。しかし初めは「注射はきらい。ノーサンキュー!」とそっけない患者さんでも、丁寧に勧めれば「注射は嫌いだけど、たしかにインフルエンザで試験が受けられなくなったり、何日も休む羽目になったら最悪だよな、受けた方がいいかもな。」と気持ちが変わることも珍しくなく、医療者のやる気とカウンセリング技術がものを言うところだ。

ちなみに、このコンテストの集計であるが、電子カルテの機能を使うと、簡単に一覧表が出せるらしい。クリニックのなかだけの、秘密のコンテストである。

2014年9月3日水曜日

ヘルスフェアのアイディア

毎年開かれている学内のヘルスフェアは、身体的健康だけでなくて、精神的、スピリチュアル的、社会的、経済的、、など健康のいろいろな側面に視点を当てている。学内外のいろいろな団体の協力もあり、かなり規模が大きい。

今年のフェアの計画にあたり、新しいアイディアを出すように、という指示がでていたので、小芋は次の二つを出した。

1)バックパック・セーフティー
慢性痛を招かないためのバックパックの選び方、詰め方、背負い方etc. (このまえ以下のブログに書いたようなこと)
http://koimokko.blogspot.com/2014/08/blog-post_78.html
http://koimokko.blogspot.com/2014/08/blog-post_28.html

2)外陰部のケアの仕方
洗いすぎない洗い方、排尿後の拭き方、下着やパンティーライナーとの付き合い方など、
イマドキの大学生の過剰な清潔信仰をほどく試み。

個人的には、2)のニーズをひときわ強く感じている。

患者さんのなかには、よかれと思って日々外陰部をゴシゴシ一生懸命洗って、せっせと拭いて、そのうえパンティーライナーやTバックの下着を常用したりして、外陰部の炎症を起こし、薬局で買える商品をさらにいろいろ使った上で、成れの果てに私のところにやってくるような方が珍しくない。

でもヘルスフェアにはこの話題はちょっと向かない(過激??)ということで、、、(まあそういう反応が出るだろうとは予想していたが)今回は見送り。ゆえに1)のバックパック・セーフティーのほうを担当することになるかも。

2014年9月2日火曜日

ヨガで寝る

今日はチャレンジングな患者さんが続き、いつも以上にクタクタになった。

が、意を決して、ヨガ教室に行った。もちろん遅刻したけど、50分は参加できた。最後のリラクゼーションの場面ではコトンといつの間にか寝ていた。

患者さんの話と診察をもとに探偵のようにあれこれ考え、治療や提案をし、「大丈夫!」(いろんなレベルの「大丈夫!」があるが)のメッセージを伝え、時間が押せ押せになっていてもなんとか1日の中で帳尻を合わせるように時間配分しーーーとやっていると、1日中神経がどこか張りつめていて、ゆるめ方を忘れてしまいがち。それを「ほどく」にあたって、ヨガは最適。

今学期は、なるべく週2回ヨガに行くのが目標。

おっと、早く寝なくては。

2014年8月29日金曜日

最近の渡航歴をルチーンで尋ねることのメリット

患者さんがクリニックに来院すると、まずは看護師が患者さんを診察室に案内し、患者さんの主訴を大まかに聞き取って、カルテに記載してくれる。また体重・身長・BMI・血圧・体温・脈拍数などを計ってくれる。これらに加えて、患者さんの最近の海外渡航歴もルチーンで聞いてくれるようになった。

これは大変便利である。大学生は留学や、インターンシップや、旅行などで、何かと海外に行く機会が多い。また実家が海外で、夏休みや冬休みに帰省する学生もいる。何か体の不調があるとき、最近の生活や環境の変化を確認することはとても大事だが、初めから渡航した地域や時期が書いてあると、一つの大きな手がかりになることも珍しくない。

また、渡航と主訴とがまったく関係なさそうでも、「夏休みに○○国に行っていたそうですね。どうでしたか?」とアイスブレイキング的に聞くことにも使える。

今、エボラ出血熱の広がりが懸念されているが、それに限らず、また感染症に限らず、どこかの国の健康問題は、飛行機でひょいっと、いつやってくるかわからない。明日は我が身。

2014年8月28日木曜日

ショルダーバッグに思う

昨日バックパックのことを書いたが、その後巨大なショルダーバッグを掛けてのっしのっしと歩いている人をみかけて思った。「こりゃ、片肩にかけるバックパックと同じかそれ以上に首―肩―背中―腰の負担が大きいぞぅ。この人の将来の背中の健康が心配。」

片肩にかけるショルダーバッグやメッセンジャーバッグのたぐいは、どうしても左右の肩への負担が不均衡になる。財布や携帯電話などの小物だけをいれたポシェットくらいだったらたぶん問題ないけど、教科書・ノート・ランチ・飲み物などを詰めた荷物となると、相当な重さになる。しかもそれを毎日かつぐとなると、累積する体の負担は無視できない。

ファッション的には格好よく見えても、後の人生で引き受けなくてはならないかもしれない痛みや不便のことを思うと、決しておススメできんなぁ、と思ってしまう。

あえて使うのであれば、なるべく荷物を減らし軽くする、肩にかけている時間はなるべく短くする、左右交互にかける(いつも同じ肩にかけない)、肩こり・背部痛などは体からの黄色信号として真摯に受けとめ使用を再考する、といった心得がほしいなぁ。

世の中の人は、みな小芋のように健康マインド、予防重視マインドではないと分かっていても、ついついこういうことを考えてしまう。

2014年8月26日火曜日

バックパックの使い方のコツ:慢性痛を予防するために

この辺りの小学校でも新学期が始まったとみえて、バックパックを背負った子ども達をよく見かけるようになった。中には、体に似合わないほど大きなバックパックを背負っている子どもも少なくない。後ろから見ると、バックパックに足が生えて歩いているような。

大学キャンパスともなると、分厚い教科書やら、ノートパソコンやら諸々の荷物でかなりの重さと大きさになったバックパックを、一日中えっさほいさしている学生が目立つ。

その大荷物を、片方の肩だけにかけていたり、お尻が半分以上隠れるくらい肩のストラップをだらりんと長めにつかっている学生を見ると、小芋はつい声をかけたくなる。

いきなり道ばたで声をかけるのはさすがに抑えているが、クリニックにくる学生にはチャンスがあれば注意を促している。

1 ) 必ず両肩のストラップを使うこと
2 ) 背負うとき、片手でバックパックを持ち上げてそれをエイヤッ!と振り回すように背負うのではなく、なるべく椅子や机の上にバックパックを一旦置き、両腕をそろりと差し込み、負荷が両肩に均等になるようにしてからかつぐこと
3 ) なるべく荷物は軽くすること

これだけでも、慢性的な肩こり、首・背中・腰の痛みの予防になる。

次の資料は、カイロプラクティックのクリニックのものであるが、バックパックの選び方、荷物の詰め方、背負い方、背負った後の微調整にいたるまで、とても丁寧に書かれていて、参考になる。
http://www.reformbodyclinic.ca/images/pages_images/Backpacks_Not_Backpain.pdf

かくいう小芋もバックパック愛好家だが、荷物を詰めすぎて重くなりすぎないように、普段はわざとやや小ぶりのものを使っている。なんでも入るほど大きいと、ついついいろいろ入れてしまう傾向があるので。ははは。

子宮頸がん、乳がんの検診率上昇す

共同通信社が8月25日に配信したニュースによると、日本のがん検診受診率が子宮頸がんに関しては32・7%、乳がんは34・2%と、以前よりも上昇したとのこと。(国民生活基礎調査)

改善はうれしいが、上昇したと言っても、受診しているのはまだ3人に1人。さらなる改善の余地はまだまだあると思う。特に、子宮頸がんは、検診をまだ一度も受けたことのない人や、検診から5−10年以上遠ざかっている人ほど、ハイリスク。会社の健康診断の項目の一つ(オプションではなく)にして、仕事を休まなくても他の検査の前後にがん検診も受けられるようにするとか、検診をうけると健康保険料を安くするとか、どうだろう?

2014年8月25日月曜日

家庭菜園の野菜をいただく

日本人のご夫婦が、「ニラを育てているので、いつでも取りにいらっしゃい。」と言ってくださっていたのだが、なかなか行けず、昨日やっと行けた。キッチンばさみとビニール袋をたずさえて。

ニラが本当にたくさんあった。ニラのほか、シソ、小松菜、キュウリも頂いた。

帰ってきて、早速ニラと卵のふんわり卵焼きを作った。シソはトマトと甘酢で和えた。小松菜は油揚げと一緒に煮浸しに。キュウリはまだ加工していない。まずは味噌を付けて食べようかな。

小さい家庭菜園でも、かなりいろいろ作られていて、うらやましい。Ground hog  に作物を食べられたり荒らされることがあるので、金網を張ったりしての対策が大変だそうだ。

近いうちにまた遊びに行くつもり。

2014年8月24日日曜日

匿名の親切

4-5日前のこと、郵便受けに絵はがきが入っていた。

差出人も宛名も書いていない。言葉が次のように書いてあった。

Let go of worries or insecurities, you are perfect just the way you are. You're amazing.
Spread the love with another random act of kindness♡.

 <小芋訳>
心配や不安は捨ててしまい。あんたはそのまんまで完璧や。あんたはすばらしい。
行き当たりばったりの親切な行為で、愛を広めていこうや。

一体誰が入れたんだろう。私のことを知っている人なのか。それとも本当に無作為にたまたま私の郵便受けに入れたのか。親切、というか、嬉しビックリな出来事であった。

random acts of kindness で思い出すのは、ピッツバーグの新聞、Post Gazette にある、その名もRandom Acts of Kindness というコーナーだ。新聞読者が、自分が受けたいろんな親切行為について投稿している。覚えている内容をいくつか挙げると、

  • タイヤがパンクして困っていたら、通りかかりの見ず知らずの人がスペアタイヤを素早く取り付けて、名前も言わずに立ち去った。
  • おばあさんが大雪の降った翌朝、さて雪かきせねば、と思って外に出ると、何者かがすでに雪かきしてくれていた。
  • 亡くなった人の思い出話をしながらレストランで食事をしていたら、ウェイトレスに勘定をお願いしたときには、もう他の誰かが自分たちの会計を済ませてくれていた。
  • 子ども達にクリスマスプレゼントを買う金銭的余裕がなく、どうしようかと思っていたら、ある日郵便受けに おもちゃ屋のギフトカードが入っていて、それを使って子どもにクリスマスプレゼントをすることができた。
世の中凶悪な犯罪ややひどい災害のニュースには事欠かないが、思いがけない親切を受けたり、またそういう親切を体験した人の話を知ると、世の中捨てたもんじゃないな!と思える。

2014年8月23日土曜日

炊飯器を携えての旅

車で旅行して、安いホテルなどに泊まる場合、炊飯器を持って行くと便利。お米さえ持って行き、水を加えて炊けば、あっというまに主食のできあがり〜。

先週末から今週にかけて、ホストブラザーAくんとBくんの家族が、ボストンとナッシュビルからそれぞれ集まって、中間地点のウェストバージニア州でキャンプをしていた。キャンプは、電気のないところでやるとのことだったが、その前日にモーテルにひとまず一泊していた。

で、私はそのモーテルの部分だけに参加して1泊してきた。(翌、月曜からは仕事だったから、キャンプは参加できず。)3時間半かからずに着くはずが、なぜか私が運転すると4時間半。(休憩のしすぎ?)

家からお米4.5合、キノコご飯のもと(日本から持ってきた、レトルトパック。2−3合用)、一口大に切ってお醤油とみりんに漬けた鶏モモ肉、干し椎茸、などを持っていった。

現地についてからお米をといで、全部の材料をいれ、モーテルの部屋のコンセントにプラグを差しこんで炊いた。最大で5合炊きの炊飯器に、これだけの材料をなみなみと入れたので、沸騰するまでにかなり時間がかかったが、無事できた。(あふれなくてよかった。)

ちなみに、つけあわせは、キュウリとトマトのヨーグルトサラダにした。キュウリとトマトを薄切りにして、たっぷりのプレーンヨーグルトと塩をかけてさっくり混ぜる。スパイス好きの人は、お好みでクミンをかける。まぁ、これはまったく和食ではなく、インド風であるが、さっぱりして冷たくておいしい。キノコご飯にも不思議とあう。クーラーボックスで運べる材料で、簡単に現地で作れるレシピ。

おかげさまで、全部きれいに食べてもらえた。Aくんが、「そういえば、こういう感じのご飯、ミシガンでも作ってくれたよね?」と言った。20年近くも前、私が交換留学生だった当時のことである。彼は当時11−12歳。よく覚えてくれていたものだ。

2014年8月22日金曜日

夏休み明けの最初の1週間終わる

夏休みが終え、仕事復帰して最初の1週間が無事終わった。1日ごとに患者数がうなぎのぼりに増えた。来週からはたぶん、隙間のないスケジュールになるだろう。

仕事そのものはとても順調(もうちとスピードをあげたいが)なのだが、勤務時間内外でオリエンテーション関連イベントの手伝いが入って、むしろそれで疲れた。

来週からは落ち着いて仕事ができるのがうれしい。

2014年8月21日木曜日

幸せについて特集したラジオ番組

先日車のなかでラジオを聞いていたら、幸せについていろいろな人にインタビューしていた。その中で印象に残った言葉をメモしておく。

その場でメモしてたわけではなく、あくまで小芋の記憶と理解(たぶん思い込みもふくめて)に基づくものなので、そういうもんだと思って、よかったらチラ読みを。

これは、ある牧師さんの話。幸せであるためのコツは、子どもに道路を渡るときに言うことと同じ。"Stop, look and go." (立ち止まって、よく周りをみて、それから渡りなさい。)大人はこの立ち止まるということがなかなかできない。むしろ慌て、急ぎがち。早いということが、すなわちかっこいい、よい、仕事ができる、などと思いこんでしまっている。だけど、立ち止まらないと、何が起こっているのかも見えなくなるよ。

これはまた別の人の話。今やっている行動に集中している人ほど、幸福感が高い。逆に、何かしながらも別のことを考えている人は、幸せ度が低い。生活の中でどの行動をしているときに(例えば仕事、入浴など)、他のことを考えている人の割合が何パーセントか、とかいう統計を紹介していた。セックス中も10%の人は他のことを考えているそうな。

最後、この人の話は詳細を再現できないが、覚えているところだけ書く。幸せというのは、わざわざ作ろうと思って作れる(合成できる)ものである。天然繊維も合繊繊維も、繊維は繊維であるのと一緒で、自分が楽しくなる・嬉しくなる行動をあえてすることが、幸せづくりにつながる。なぜなら自分が行動で作り出した幸せ感も、周りの環境とかによってもたらされた幸せ感も、脳は見分けることができないから。ーーとかそんな感じの話だった。

メモは以上。他にもインタビューはあったが、特に印象深かったのが、この3人。興味のある方は、録音された番組をこちらでお聞き下され。そうすれば、小芋のメモがどのくらいあっているか、間違っているか、分かること請け合い。自分も週末に料理をしながら聞き直す予定。
http://www.npr.org/programs/ted-radio-hour/?showDate=2014-08-15

2014年8月20日水曜日

"Be Generous" という本

遠くに住んでいる友達が、心落ち着けるためにmeditation (瞑想)をはじめたいが、いい本はないか、というので、この本を送った。

タイトル:Be Generous: 101 Medications & Suggestions to Get You Through the Day and Night
(寛大であれ:一日、一晩を生き抜くための瞑想と提案101個)

著者:David Marell

手のひらサイズのちっちゃい本で、短い詩のような文章がちりばめられている。
クスッと思わず笑えるものが多い。眠れない夜、イライラしているときに読むのにもおススメ。

2014年8月19日火曜日

おかえりカード

メリーさんとは、小芋がペンシルバニア州で最初に住んだアパートの近所に住んでいた女性で、雪の日にうっかりロックアウトしてしまったビーチサンダル姿のなさけない小芋を救った人だ。

小芋がピッツバーグに引越し、メリーさんも別の地に引越、お互い遠くなってしまったが、今でもときどき電話をする。50歳年上だが不思議なくらい、気が合う。

そのメリーさんが、Welcome Home! (おかえり!)と書いたカードを送ってくれていた。日本から戻ってきて、たまった手紙やダイレクトメールを整理する中で、メリーさんのカードを見たときは本当に嬉しかった。いつ戻るか正確に覚えていなかったが、カードを送っておけばそのうちに帰ってきているだろう、と思ったのだそうだ。

クモの巣とホコリまみれのアパートで、掃除と洗濯と買い物と料理をさぁどこからやるか、と途方に暮れていたなかで、このカードに元気をもらった。

ちょっと遠いが、また折りをみてメリーさんに会いにいこう。

2014年8月18日月曜日

小芋の中に住むメンター

南京虫を疑った発疹も大分落ち着き、晴れて新学期を迎えることができて感激である。

朝から早速診察がはじまった。電子カルテが夏の間にアップデートされていたのと、自分自身が久しぶりなのとで、5月と比べると明らかにスピードが落ちている。まだ今日は余裕のあるスケジュールなので助かった。

3ヶ月ぶりの診察なので、朝はやはり不安があった。けれど、始まってみれば、私のなかに退職した我がメンター(NP)やA医師が元気に「住んでいる」のを感じ、1年前の自分と今の自分は全く違うな、と思った。夏休みを経ても、彼女らに教わった考え方や、患者さんとのコミュニケーションの取り方が、幾分小芋流になった形で、しかと住まっているのだ。

正直に言って、メンターもA医師がいなくなってしまって、とてもさみしい。でも、他のスタッフとは今年も(少なくとも今現在!)働けることをありがたいと思う。一緒に働けることが「当たり前」でなく、ある意味奇跡のようなタイミングなんだなと思うようになった。

夏休みの間、小芋宛に患者さんから来たメールや電話は、夏も働いている同僚に適宜連絡して対応してもらっていた。メールと留守電は遠隔地からもアクセスできるが、電子カルテは職場でないと見られない。同僚が私のリクエストに応えて対応してくれていた様子を、今日電子カルテ上で遡って読むことができた。同僚のサポートに改めて感謝。

大学内クリニック2年目の初日は、こうして素晴らしい1日となった。明日もとても楽しみだ。

遠くから、近くから、いつも応援してくれている家族と友人達みんなに「ありがとう!」

2014年8月17日日曜日

総閲覧数、10万超える

ふと気がついたら、このブログの総閲覧数ただいま10万と75件。
ちなみに、旧ブログのほうは、2万4千余。合わせると、12万4千余。

遠くから、近くから、応援してくださっている皆様に感謝。

こまめに読んでくださっている方々、まとめ読み、つまみ読みしてくださる方々、それぞれの味わい方で、今後も楽しんで頂ければありがたい。

小芋のスランプ、失敗談に励まされるという声を聞くので、「が〜〜ん!」落ち込むこともネタとしてアップグレードさせて、これからもぼちぼち書いていこう。

2014年8月15日金曜日

南京虫かもしれない

日本から帰ってきて数日後から、毎日1−2個、虫さされのような発疹がぽつぽつと出現。腰に出たかと思うと次は首筋、足のすね、肩、指、かかと、とてんでんばらばらのところに出るのだ。

初めは放っておいたが、さすがに3−4日このパターンが続くと、無視できなくなり、南京虫(トコジラミ)の可能性もあるから、おととい主治医のところに行った。

南京虫は、よく「朝ごはん、昼ご飯、晩ご飯」のように、何個かの発疹が数センチずつ離れた状態でかたまってみられるのだが、私の場合は、前述のように発疹が各地に孤立しているので、主治医も首をかしげた。

かといって、南京虫でない!ともいいきれないので、帰ってきてから寝具や衣類の洗濯と乾燥に忙しくなった。普段私は乾燥機は使わないんだが、この場合は仕方ない。

主治医が勧めていた、マットレスや枕のカバーを注文した。これにより、もし仮にマットレスや枕内に南京虫が住んでいても、カバーの中で飢え死にする。また新たな南京虫は侵入できない。

もし本当に南京虫であれば、日本から帰ってくる途中のホテル、電車、バス、飛行機のどこかでもらってきたのか。

ここ1−2日は、新しい発疹はないので、すこしほっとしている。ただし、もし南京虫だったら、300日血を吸わなくても生存できるらしいので、まだ油断はならない。(この点で、疥癬より厄介だと思う。)

南京虫は大学のクリニックで日常的に診る疾患。痒みや発疹そのものにも増して、生活と精神面へのダメージが以下に大きいか、ということを今回身をもって体験できてよかった。たぶん。

2014年8月14日木曜日

遠くのオーガニック野菜 v.s. 近くの通常栽培野菜 v.s. 中国野菜

Dirty Dozen というウェブサイトで、どういう野菜・果物により農薬が使われているか、傾向が紹介されている、と友達が教えてくれた。
http://www.ewg.org/foodnews/list.php

これを参考にして、農薬使用が多いとされている野菜・果物に関しては、オーガニックの物をなるべく買おう、と思っている。

しかーし、
オーガニックとうたっている野菜でも、地元産ではなくて海外産(たとえばメキシコ、チリ)だと、自分の体にはいいかもしれんが、環境への負荷は大きい(わざわざ飛行機で運んでいるから)。

そうなると、普通に農薬を使って栽培された近郊の野菜の方が、トータルではよいように思う。なんとなく。

なので、海外産のオーガニック野菜はあまり買わない。

ここまでは分かりやすいと思う。

難しいのは、中国系・アジア系の食料品店に行ったとき。普段近くのスーパーではお目にかかれない、日本で親しんだ野菜達に一同に会してしまう。きゃー、と興奮しつつ、いろいろ買ってしまう。

しかし、こういうお店では、野菜の出身地が表示されていないことが少なくない。またオーガニックという選択肢はないことが多い。しめじやエノキ茸は、家に帰ってみて見ると、中国産だった。君たち、飛行機で来たのだな。(ちなみに、キノコ系は農薬はあまり使われないようである。)

なるべく地産地消、なるべくオーガニック、と思っていても、アジア系マーケットではそのルールが適応できず、もしかすると、農薬たっぷりで育ち、飛行機に載せられてアジアからやってきた野菜達をありがたがって食べてきたのかもしれない。

ということで、野菜はやはり自分で作れたら一番よい。今年も秋冬の葉もの野菜をまこう。

2014年8月13日水曜日

もやし作り再開

しばらくやっていなかったが、もやし・スプラウトなどをまた作ることにした。一番の動機は、野菜が高いということ。

緑豆もやしが、今のところ一番作りやすい。

ブロッコリーのスプラウトは、種が古いせいか、うまくいっていない。

また変化or 発見があったら、お知らせする。

どんな感じでつくっているか興味のある方は、こちらをどうぞ。
http://koimokko.blogspot.com/2011/08/blog-post_31.html

2014年8月12日火曜日

自分で自分を整えるということ

日本で自宅にいるときは、せっせとご飯をよく作っていた。もっとも、2人暮らしだと、自分がやらなくても、とまとまんが作るので、どっちにしろ食いはぐれることはない。

さて、こっちに戻ってきて1人でいると、ご飯作りがいいかげんになってしまう。ご飯作りがいいかげんになると、ちゃんと食べなくなり、ちゃんと食べないと、パワーもでない。自分がやらないからといって、とまとまんが突如現れてつくってくれるわけでもなく、あるもので済ますか、買いにいくか、いずれにしても行動を起こさないかぎり、ご飯は登場しない。(あたりまえ〜。)

自分のためだと思うと、今いちやる気にかけるので、無理矢理(?)とまとまんのために買い物と料理をしようと思い立った。食べるのは他でもないこの自分なんだが、とまとまんの元気のためには自分が元気でないといけない、自分が元気でいるためにはちゃんと食べねばならない、そのためには買い物も料理も頑張っておこう、という回りくどい理屈である。

こね回した理屈ではあるが、それでも、重い腰を上げて買い物に行き、8品作ってガラス容器に移して冷蔵庫に納めるところまでいったので、しめたものだ。

そうして作ったおかず達を、Skypeのむこうの とまとまんに報告(自慢?)しながら食べた。一度自分のペースがつかめたので、次はもっと楽になるはず、と期待。

食事に続いて、運動のペースも復活させるべく、夕方歩いた。夕焼けがとてもきれいだった。ダウンタウンのシルエットがとてもかっこよかった。

自分で自分を整えるということは、楽じゃない。それでも、ペースがちょっとずつつかめてくると、うれしいし、楽しい。それと、自分で自分を整えるってとても大変なんだ、と身にしみて感じておくことも大事だと思う。なぜなら、患者さんに生活習慣の変更を提案するときに、謙虚になれると思うから。

2014年8月11日月曜日

仮出勤

仕事は来週からなんだが、提出する書類があったり、気分的な準備がしたかったりで、久々に職場に行った。

まず、今月と来月の勤務予定が分かってよかった。

電子カルテはあちこち細かなアップデートがあったようである。まだよくわかっていない。

久々に見た自分の白衣のうち何枚かが結構やつれて(?)見えたので、この機会にリタイヤさせることにした。去年買った3枚だけ残した。

去年つけていたノートを家に持って帰った。これを来週までに一度読み直す。

2014年8月9日土曜日

帯状疱疹と口唇ヘルペスのダブルパンチ

時差と疲労と睡眠不足と月経が重なったためか、昨日の朝、帯状疱疹がでた。

発疹の出方とピリピリ感から、「これは帯状疱疹!」とすぐ思ったので、昨日の朝のうちに主治医のクリニックに電話して、薬を処方してくれるように要望した。(これは米国の医療の便利なところ。)

午後、薬局に薬を取りにいく頃には、口の周りもピリピリしてきて、発疹はないものの「あー、これはまた口唇ヘルペスに違いない!」と確信。

帯状疱疹と口唇ヘルペスの原因は違うウイルスだが、どちらもヘルペスウイルスで、おなじ薬が効く。

おかげさまで、薬を飲み始めて以後、症状は順調に軽減。ただ、8時間ごとに1日3回飲むって、忙しい。

帯状疱疹と口唇ヘルペスが同時に出るとは、今の免疫状態はかなりへこたれているか。

2014年8月8日金曜日

看護師・NP免許更新のための公証手続き

ペンシルバニア州に住んでいるので、ジョージア州の看護師・NP免許は失っても今の仕事にはなんら響かない。が、ジョージア州の免許が私の元々の免許(書き換えでない)ので、何となく毎度更新している。ジョージア州に寄付金を出しているようなものだが。

外国人がジョージア州の看護師およびNP免許を更新するにあたっては、合法的に米国に住んでいることを示す書類を提示しなければならないーーというのは今に始まったことではない。今回はコピーを送るだけでなくて、公証人の前でサインした書類も送らなければならない、という通知が来た。

AAA(日本でいうJAF)の会員は、AAA事務所にいけば安く公証を済ませられるよ、と教えてくれた友達のお陰で、1枚につき5ドルの手数料 x 2枚、計10ドルで済ますことができた。近所の公証人の事務所だと、全部で25-30ドルくらいかかりそうだったので、大分安くなった。

浮いたお金を使って、書留で書類を郵送した。せっかく安く公証を済ませても、普通郵便で送ってもし書類が届かなかったら、結局また最初からやらないといけなくなるので。

2014年8月7日木曜日

お茶漬けと缶詰スープからの脱出

いつまでもお茶漬けと缶詰スープだけではいかんので、意を決して買い物へ。

エンジンをかけたが、車が動かない。

押してダメなら、引いてみな、てなもんで、少しバックしてみたら前にも動くようになった。やれやれ。

ガソリンスタンドで、タイヤの空気を入れる。

当座の食料の調達と、料理。日本でちりめんじゃこを買い忘れていたことに気がつき、がっかり。切り干し大根も買い忘れてた。かつお節はカビてしまっていた。残念!

友達に預けていた植物を引き取る。

夕方ともなると、眠気が強くて起きているのがやっと。
今日は以上。

2014年8月6日水曜日

クモの巣の豊漁

2か月は日本で過ごしているとあっという間だったが、ピッツバーグではクモの巣が猛威を振るうに足る時間となっていた。あっちにもこっちにもクモの巣。

また、部屋全体に火山灰が降ったのか(ちょっと大げさ)と思うくらい、一面にうっすらとホコリが積もっていた。

スーツケースを開ける前に、一通り家中を拭き掃除する羽目になった。

それと、旅の前に残していった洗濯物と、帰宅中にできた洗濯物とをせっせと洗濯した。2ヶ月前のパンツがなぜか3枚か4枚もあって、がっかりした。いつも出かける前には洗濯物を終わらせて出るのに、相当忙しかったものと見える。(←人ごとみたいだが。)

前にも書いたが、スーツケースを開けて、荷物を整理するのがまた大仕事。整理しているのか、余計に散らかしているのか、よう分からん。

そんなわけで(?)、今日は郵便を取りにいく以外は一歩も外に出ず、お茶漬けと缶詰のスープでしのいだ。冷蔵庫をカラにして電源まで抜いて出かけていたので、今もって、冷蔵庫はすっからかんである。さすがに明日には買い物に行かねば。

2014年8月5日火曜日

帰宅直後の別れ

無事にピッツバーグに帰ってきた。飛行機は多少遅れたが、乗り継ぎ便に差し支えるほどではなく、荷物もわりとすぐ出てきて、さらに今回は友達が迎えにきてくれたので、これ以上ラクなことはない、と思えるくらい順調だった。

とはいえ、四国の住まいを出てから、義姉の家、とまとまんの実家、伊丹空港そばのホテル、に1泊ずつ泊まってからの飛行機 × 3本の旅なので、まぁどこからカウントするかによるが、長い旅であったことは間違いない。

帰ってきて早々、頭く〜らくらの状態であるが、明日引っ越す予定の医師Aさんと軽く夕飯を食べた。Aさんにはこの1年本当にお世話になった。特に、我がメンターが退職してからは、Aさんをますます頼りにして、よく相談に乗ってもらっていた。

Aさんの次の仕事は、まるでAさんのために あつらえたものかと思うくらい、Aさんの本領が発揮されそうな素晴らしい仕事だ。だから、Aさんのことを思うと、今回の転職も引越も、ワクワクする。一方、自分のことを思うと、むちゃくちゃ悲しい。Aさんと過ごせたはずの「これから」を「失う」と思うから。

だけど、自分の人生のなかで、Aさんと9ヶ月働けたんだ、すなわちAさん「なし」の人生でなくて、Aさん「あり」の人生になったんだ、と思うと、すごくついていたなー、と思う。

奇しくも、Aさんが去年わたしに非公式のオリエンテーションをしてくれたのと同じレストランの、おなじテーブルで、今日も夕食を囲んだ。

いつでも、メールでも電話でもコンタクトしてきていいからね!と念を押してくれたAさんに感謝。離れていても、ずっとつながっていたいと思うし思ってもらえる関係があることに感謝。Aさん、これからも世話になるよー!

非公式オリエンテーションの話:
非公式な2ヶ月半面接の話:
http://koimokko.blogspot.com/2013/10/blog-post_30.html

2014年8月1日金曜日

女友達の日

8月1日は、女友達の日(National Girlfriends Day)だそうだ。今日初めて知った。

CDC(米国疾病対策予防センター)のウェブサイトには、友達同士でより健康に安全に過ごすためのコツが書いてあって、面白い。

http://www.cdc.gov/Features/GirlfriendsHealth/

友達は自分の努力を応援してくれるし、一緒に運動することもできるし、自分がいい加減にしていても、注意を促してくれる存在だ、と書かれている。

よく運動すること、健康的に食べること、定期的に診察を受けること、ドラッグ・アルコール・タバコをやめること、ーーーーこのへんのコツは、まぁ普通といえよう。

もう一歩踏み込んで、性の健康、パートナーからの暴力についても踏み込んでいるところに注目。

あなたとお友達は何でも話すことが出来ますね。セックスを含めて。健康的な妊娠や性感染症を防ぐためのコツをシェアしましょう。

てな具合だ。

2014年7月31日木曜日

荷造りウツ

ピッツバーグに戻る日が近づいてきたので、スーツケースを開けた。

荷造りが嫌い。あの広くて狭いスペースにモノを詰めるのが、何度やっても難儀。
でもって、着いた先でまた荷ほどきをするのも嫌い。

だれのためでもなく、自分が好きで往復しているので、誰にも当たり散らせないはずなんだが、とまとまんに当たってしまうのである。気の毒な とまとまん。

2014年7月30日水曜日

運転免許証の更新

運転免許証の更新に行った。

みごとに今回もゴールド免許。前回の更新以来、日本国内ではまったく運転していないので、当然やけど。

帰国中、レストランでもスーパーでも、お店の人の非常に丁寧な対応に感銘を受けてばかりだったが、免許更新に行った場所の職員さんの対応は、無愛想に感じた。他がよすぎるので、ギャップが生まれただけかも。アメリカ基準でいったら、べつに普通だったかな。

2014年7月29日火曜日

うなぎの対策

夕食をつくっているとき、ラジオでは土用の丑の日にちなんで、絶滅危機にあるウナギを救うには、みなさんはどうしたらいいと思いますか? というかんじのテーマで、リスナーからの意見を求めていた。

ずばり、
食べないことである。

日本にいると、土用の丑の日とかいって、盛んにあおられるが、
ピッツバーグにいりゃ、そういう日があることすら、忘れている。

ウナギ以外でも、日本国内、おいしいものだらけではないか!

2014年7月27日日曜日

2週間の旅

この2週間、実家も含めて日本国内をあちこち回っていた。

1週間とか2週間の帰国だと、自分ととまとまんの実家を回るだけで終わる。それはそれでいいんだが、両家の移動もなかなか大変で、家族・親戚に会うだけで精一杯。それゆえ帰国中でも、友達にはなかなか会えない。

今回人に会うために2週間を費やせた、というのは、とっても幸せなことだった。とはいえ、会いたいな〜と思う友達や知人のうち、実際に会える人は半分にも満たない。会いたい人に連絡しすぎると、自分の日程がギュウギュウになり、苦しい。しかし連絡したいのにしないのも忍びない。ゆえにどちらにしろやはり苦しい。

日本ってなんでこんなに広いのかー。
面積ではカリフォルニア州より狭いことになってるが、やっぱり広い。
アメリカのある友人は、
「私は○月○日にどこそこにいますので、来られる人は会いに来てくださーい!」
ってアナウンスすればいいのさ、と言うが、
この方法は失礼な感じがして、出来た試しがない。

私のために時間を作ってくださった皆様に頭が上がらない。
ふだんなかなか会えないイトコ、助産師として働いていた頃の同期の友人、エモリー時代にお世話になった友人、学生時代から私の憧れだった看護師や、恩師の紹介のお陰で今回初めてお会いした人など。アメリカ西海岸に住む友人と思いがけず日本で今回会うことができたのも、非常に幸運だった。

長年会っていなかった友人、特に学生時代初めて再開した友人が語ってくれたウン年分の近況は、話すとあっという間だった(しかも終始笑顔)けれど、実際にはものすごく長い時間と苦労がかかっているわけで、それをダイジェストでシェアしてもらえるのは、本当にありがたいことだった。

みなさん、ありがとう!!!

2014年7月14日月曜日

寝込む

喉が痛いなぁ、と思いながら何日か過ごしていたら、ついにダウン。
1日ゴロゴロと寝続けて、よくなった。よくもまぁ、こんなに眠れるもんだ。

食事の時間になると、がばっと起きて、いつも以上によく食べるので、とまとまんは「ホンマに体調悪いんか?」と思ったらしい。決して、とまとまん料理を期待して寝込んだのではない。念のため。

2014年7月13日日曜日

ちきりん『未来の働き方を考えよう』

この本のサブタイトルは「人生は二回、生きられる」だが、この本を読んでいると、2回どころかもっと多様に生きられそうに思えてくる。

世界が変わる、時代が変わる、自分自身も家族も変わるなかで、いかに自分オリジナルの人生を作っていったらいいのか、ヒントを与えてくれる。

自分の働き方、生き方に楽しく悩める小芋に、とてもぴったりの本。おススメ。

2014年7月12日土曜日

あなたは1年以内に妊娠したいですか?

あなたは1年以内に妊娠したいですか?

この質問にたいする答えが、yes の場合、no の場合、そして分からないウンヌンという場合それぞれに応じたアドバイス満載のウェブサイトを発見。
http://beforeandbeyond.org/toolkit/

かかりつけ医など女性のプライマリーケアにあたる医療者が、ルチーンで毎年この質問を患者さんに投げかけ、患者さんにあったサポートが効果的にできるように作られている。自分のルチーンケアを振り返る手がかりとして、また一歩踏み込んで調べたいときの資料として役立つと思った。

ここでpreconception care (受胎前のケア、妊娠前のケア)というくくりで扱われている内容って、生殖年齢にある女性のWell-woman Visit (1年に1回の診察)でやっている内容そのものだ。

「あなたは1年以内に妊娠したいですか。」とわざわざ質問することなしに診察を終えることも可能だが、あえて最初のほうでこの質問を投げかけると、医療者が患者さんのプランを把握しなおすために役立つだけでなく、患者さんにも一瞬止まって考えてもらうことになるし、その質問のあとに続く内容にも影響するので、鍵となる質問だなと思う。

2014年7月11日金曜日

宗教を理由として避妊薬を保険対象外にすることを認めた判決

6月30日、米国最高裁判所は、ある私企業の経営者が、自らのキリスト教の信仰の自由を理由に、従業員に提供する健康保険から避妊薬・避妊器具などを保険の適用から外すことを認める判決を下した。

小芋は、これを非常に残念に思っている。

妊娠すること自体が命取りとなりかねない持病を抱えた女性にとっては、避妊薬・避妊器具は命綱でさえある。また避妊薬は、避妊のためだけに使われているのではない。子宮内膜症、月経過多、貧血、月経痛をはじめとするいろいろな症状の対策としての役割も大きい。また、ピルなど、卵巣がん予防効果を大きく発揮するものもある。

従業員達は必ずしも経営者と同じ考えとは限らないし、たとえ同じ信仰を持っていたとしても、自分の健康状態や子どもを何人欲しいかという希望によっては、むしろ避妊薬・避妊器具を使いたい人だっていると思う。

保険の対象外でも、もちろん自己負担すれば、避妊薬・避妊器具は使えるはずだと思うが、そうなると、使い勝手や避妊効果の大きさよりも、目先の費用で一番安い物を選ばれやすくなったりするだろう。

一人一人の女性が、個人的な意思決定をすればよいし、するべきだ、と小芋は信じる。経営者の個人的信仰によって、現に今生きている女性の健康を守る手段へのアクセスが大きく後退するのが、やりきれない。

2014年7月10日木曜日

婦人科受診はスカートで、の謎

子宮頸がん検診など、婦人科系の診察を受けるうえでの心得について日本語で書かれたパンフレット、本、雑誌の記事などに、よく服装についてのコメントが書いてある。

たとえば、
「ゆったりとしたスカートがおススメです。」
「パンツ(ズボン)はNG。」
「服装はなるべくパンツやタイトスカートより、フレアースカート、ロングスカートでお願いします。」(えらい細かいなぁ!)

患者さんがジーンズで現れようが、レギンス姿だろうが、診察室にバスタオルあるいはそのくらいの大きさの布1枚あれば、まったくへっちゃらだ、と小芋は思う。

今の職場では、下半身だけの診察でよい場面では、下半身だけ服を全部脱いでから柔らかい紙製のカバー(バスタオルサイズでふわっとしている)を腰から足にかけて掛けてもらっている。

全身の診察をするときは布製の診察用ガウンに着替えてもらうことが多いが、患者さんが着ているのがブラとざっくりしたTシャツだけ、というようなときは、わざわざガウンに着替えるかわりに、ブラの背中ホックだけ外してもらって、あとは必要なときだけとTシャツをまくれば、背部や胸部の診察も問題なし。

ガウンに着替えるより、上半身だけでも自分の服のままでいるほうが、患者さんがリラックスしやすいように感じている。小芋は、病院ガウンを着ただけで、病人になった気分になる。

ただ、ぴちぴちタイトなシャツを着ていたり、複雑に重ね着しているようなときは、ガウンに着替えたほうが、お互いのためである。

なお、クリニックによっては、用意しているガウンが紙製(使い捨て)のところがある。布製だと業者に洗濯に出す必要があるので、紙製のほうがちょっとコストが安いかもしれない。でも、これはまるで死に装束みたいで格好悪いし、着心地は悪いし、診察の最中にビリビリ破れるときもあり(特に汗を吸うと簡単に破れる)、小芋は嫌いだ。

2014年7月9日水曜日

婦人科検診で内診をするべきか

American College of Physicians (米国内科学会)が、妊娠中でなく、かつ特に症状のない成人女性に対しては、ルチーンの内診は不要だ、とする臨床ガイドラインを出した。
http://annals.org/article.aspx?articleid=1884537

もちろん、子宮頸がん検診のときに膣鏡を使って子宮頚部を肉眼的に観察し、頚部の細胞を採取することは必要だ、としているが、その場合でも、双手診は不要だ、としている。双手診とは、片方の手をお腹の上に置き、もう片方の手を膣に入れ、両方の手で子宮や卵巣を”サンドウィッチ”するように行う内診のこと。

今回のガイドラインの土台になったのは、1946年から2014年までに英語で書かれた文献の、系統的レビュー。レビューの結果、結局内診しても、卵巣がんや細菌性膣炎の診断にメリットが特にあるわけでないことがわかり、また内診が卵巣がんによる死亡率や罹患率を下げる効果もないことが明らかになった、と。むしろ内診によって、かえって診断のしすぎ、治療のしすぎ、また余計な不安・羞恥心・痛み・不快感などを招いている、としている。

このガイドラインに対し、ACOG (米国産科医婦人科医学会)がどう言っているか見てみると、現在の科学では、無症状かつ低リスクの患者さんに内診をすべき・すべきでないという科学的根拠に乏しいのを踏まえた上で、するかしないかは個々の患者さんと診療する側が話し合って決めるべきだ、としている。
https://www.acog.org/About-ACOG/News-Room/College-Statements-and-Advisories/2014/ACOG-Practice-Advisory-on-Annual-Pelvic-Examination-Recommendations

その一方、ACOGは、内診することによって、性機能障害や尿漏れなどの問題を把握するきっかけになったり、解剖学を患者さんに説明したり、正常な様子を患者さんに伝えて安心を促したり、患者さんの質問に答えたり、といった科学的根拠には必ずしも上がってこない内診のお得感(?)もある、とアピールしている。

今回のACPガイドラインとそれに対するACOGのコメントを読んで小芋が思ったことは、次のとおり。

  • たしかに、内診がきっかけとなって、患者さんと更年期以降の患者さんの膣萎縮症状について自分から話題にあげたり、尿漏れや性器脱の発見に至ったりすることがないでもない。
  • しかし、患者さんにとってみたら、内診大好きなんて人は皆無であり、なかには内診のことを考えただけで受診を避けてしまう人もいるくらいだ。
  • 今回出たACPのガイドラインは「無症状の成人女性に対する内診には実は明らかなメリットはないんやで。過信すんな、むやみにやるな。」、ということを喚起してくれてて、注目に値すると思う。医療の基本は、Do no harm. (患者さんに害になることをするな。)である。
  • 子宮頸がん検診でも、最低限必要な膣鏡診だけにして、双手診をやらないとすると、骨盤エリアの診察の不快感のざっと半分はなくなるかも。それを歓迎する女性は多いだろう。
  • 婦人科の診察=内診付き、ではなく、主訴・自覚症状・年齢などを総合的に考えて、自分が内診不要だと思う場面では「やらなくていいとおもう」意を患者さんに伝えて行きたい。
  • 一方、問診のなかで、なんらかの問題が浮かび上がって来たときは、むしろ積極的に内診を勧めようとおもう。(極端に内診しないというポリシーに傾きすぎるのも危険。)
  • クラミジア・淋菌感染症の検体をとるときは、これまで以上に自己採取(膣部または尿で)を勧めていこうと思う。
  • ルチーンでやっていたことを止めるって、診療側にも患者さんにとっても、ともすると、はしょっているとか、さぼっている印象を招きかねない。内診をするにしろ、しないにしろ、メリットデメリットの説明を惜しまず、患者さんに安心感と満足感を持って帰ってもらいたい。

2014年7月8日火曜日

モノ厳選修行2・片付け祭り

我が家で「こんまり」さんや ゆるりまい さんの本に刺激されているのは、小芋だけでない。実は とまとまんも。

ということで、雨ザーザーの日曜日、華やかに(散らかし放題)片付け祭りを開催。

とまとまんは、「僕は、もうずっと前からここに書いてあるようなことをやってきた!」と豪語していたが、小芋に負けず劣らず、いらんものが出てくること、出てくること。

大学入試の合格通知を大切に取っておいているのを見て、「卒業証書があるんやから、入試の合格通知はもうええやん。」とフフっと笑った小芋だったが、
その後自分の助産師・看護師・保健師国家試験の「受験票」や看護師籍などの登録完了のハガキを発見し、とまとまんに笑い返された。。。免許証があるので、これらはもうごっそり捨てた。ハイ。

2人で同時に作業すると、大きなゴミ袋いくつも分のゴミがまとまり、すっきり!
と思いきや、「やりかけ」の山や、ひもで縛った紙ゴミや布ゴミ(来週まで捨てられない)などのせいで、祭り前よりずっと荒れた家になってしまった。狭いアパートの宿命であるとはいえ、片付ける前より汚いって、なんか悔しいねぇ。

モノは極力持ってはいかん。そして、引越しなくても、引越のとき並みの片付けは数年に1度せないかん、と強く思う。

2014年7月7日月曜日

ちきりん著『自分のアタマで考えよう』

ちきりんの著作で小芋が読んだ本の4冊目。

タイトル通り、自分の頭で考えることを指南する本。

データを見たら、「なぜ?」と「だからなんなの?」を考えることが大事だ、とちきりんは述べる。その例として、横軸に年代、縦軸に日本における出生数と合計特殊出生率を示したグラフを出して、これをどう見てどういうことが考えられるか、ちきりんが分析したことなどがいろいろ書いてある。

ちきりんの語りのなかで、出生数を増やす方法は、「親世代の人数を増やす」か「合計特殊出生率を高めるしかありません。(p.60)とある。

たとえ合計特殊出生率がこれから一切下がらなくても、親の人数がここまで減ってしまえば当然に子どもの数は急減 (p.53)するので、
合計特殊出生率をあげる」という少子化対策だけではこの問題はもはや解決できないということです。(p.53) と斬っている。

でもって、親世代の人数を増やすには、外部から出産年齢にある人をつれてくるしか方法がありません。(p.60) 

日本と反対に、アメリカには親世代や準・親世代の人がいろんな国から集まってくる国だ。

ピッツバーグに住んでいると、移住という形までいかなくても、仕事や研究や留学の形で滞在している同世代の日本人が、アメリカの出生率を上げるのに貢献(?)している。そうして生まれた赤ちゃん達の多くは、数ヶ月から数年程度の滞米期間のあと、日本に帰国(いや、むしろ I  ターンかな?)していることが多い。

こういう、外国生まれの日本人赤ちゃんたちは、いわゆる「日本の」出生数や合計特殊出生率の統計に入っているのか、ふと疑問に思った。大使館や領事館を通して「出生届」が出されていても、住民票が日本にない場合は、やはり「日本の」出生数には数えられていないかも?? どうなんだろう。

2014年7月6日日曜日

HPVワクチン中止の問題点を突いた新聞記事

厚生労働省がHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の積極的な推奨を中止してから1年以上が経過してしまった。この間、日本の一般向け新聞では、

  • とにかく「HPVワクチン=危険」
  • ワクチンよりも、検診をより充実させればいい

という論調の報道が多かったように思う。(小芋はm3.com を通して、日本の医療系ニュースを読んでます。)

ワクチンと検診の2本だてが大事!と思っている小芋としては、とても残念に思ってきた。

「HPVワクチンなんてしなくても、子宮頸がん検診さえすればいいじゃん。」、という主張は、私からすると「火事は起きてから消火器で消せばいい。」と言っているのと同じに聞こえる。

どんなに気をつけていても、火事は起きる。だって人間は失敗するし、携帯電話が勝手に発火することもある。起きてしまった火事は、消火器や消防車で精一杯対応するしかない。でも、消火器があっても、すでに火事が大きすぎたり消せなかったり、火事がほうぼうで起きていて、消防車が出はらっていて間に合わへん、とかいうんでは困る。だから、火事を起こしにくくする対策と、起きてしまった火事に対する対策の、「どっちか」ではなく、「どっちも」が大事。子宮頸がんも1次予防(病気にならないための対策)と2次予防(病気を悪くしないように早期発見する対策)で行こうやないの。

7月3日毎日新聞配信の以下の記事は、従来の論調と違っていて、ワクチン推奨中止により問題点に光をあてている点で注目に値する。

毎日新聞のサイト
http://sp.mainichi.jp/shimen/news/m20140703ddm013040014000c.html
m3.comから見る場合はこちら
http://www.m3.com/news/GENERAL/2014/07/03/230453/?portalId=mailmag&mmp=MD140703&mc.l=49454054

HPVワクチンの摂取率が高い国ではHPVウイルス感染率がワクチン導入前と比べて下がって来ている現状や、検診を毎年受けていたのにも関わらず 23歳で子宮頸がんを経験し、子宮全摘出術を受けた女性の声を取り上げている。

この記事に書かれていないことで、小芋が追加しておきたいのは、
「がん」までいかず、子宮頚がん検診で軽度や中等度の異常が見つかった場合であっても、精密検査(コルポスコピー)などを受ける中で経験する患者さんの不安(例「私、ガンかもしれないんだわ!」)、検査にかける時間と手間(仕事を休んだり、子どもを預けたり)、医療費(個人にとっても、社会にとっても)、なども馬鹿にならないということ。

それから、小芋が患者さんからよく聞く嘆きには、現在や過去のパートナーに対する不信感、パートナーとの関係性の変化、自己嫌悪感(性感染症にかかってしまった汚い自分!というような)、などもある。こういうのは、HPV感染率、とか子宮頸がん罹患率、というような堅いデータには出てこないけど、患者さんの生活・感情には、しばしば影響を与えているわけ。

先天性風疹症候群の予防のために、子どものうちから男の子にも女の子にも風疹ワクチンを勧めるように、HPVワクチンも男女両方の子ども達に一般的なものになる日がきてほしい。日本では女性向けにしか使ってないが、男女両方に勧めている国もある。

2014年7月5日土曜日

ちきりん著、『ゆるく考えよう』

図書館で借りてきた、ちきりん著の本4冊のうち、初めに読んだのがこの本。早速感想をメモ。

1章「ラクに生きる」中の「人生の主役を生きる」よりp.29一部を引用:
将来のために我慢して、準備して、危ない橋を避け、安全だとわかる道だけを選んでいたら、きっと「大失敗もないけど、飛び上がるほど嬉しいこともなかった」人生になってしまいます。
人生はいつ終わるかわかりません。それは明日かもしれない。だから今まさに、この時点から、自分の人生を主役として演じるべきなのです。

先日前職での協力医が突然亡くなった件もあり、小芋はこの節に非常に強く反応。周囲の反対あっても、看護学を勉強したり、留学したり、遠距離夫婦したりしてきて、人が「よせばいいのに〜」と思うことをたくさんしてきた分、大失敗も、飛び上がるほど嬉しいことも山盛りでこれまできたなぁ、と思う。

問題は、人生は明日、あるいは今日が千秋楽になるかもしれん、というところ。それと、自分だけでなく、とまとまんはとまとまんで、彼の人生の主役だ、というところ。舞台は共有しつつも、それぞれ独自の演目の主役なので、ま、ぶつかることもたくさんあって当然か。

2章「自分基準」で生きる、の中の「一点豪華基準」で選ぼう! よりp. 61 らへん

大事なことを決めるときに、一点豪華基準、つまりは自分にとって一番大事な点を優先した選択をすることが、ベストな選択になるのだということが書かれている。「他の人とは違うけれど自分としてはとても満足できているという「一点豪華人生(P.64より引用)にはすごく共感。小芋はしばしばなかなか「一点」に絞りきれなくて、あれもこれも大事、と悩む。。。

3章 賢く自由に「お金」とつきあう、の中の「10年以上のローンはダメです」 (P.80らへん)

日本に帰省中、アパートにはほぼ毎日のように家かマンションのチラシが入る。別に買う予定は全くないのだが、興味本意で一応目をとおしちゃう。ちきりんのこの項を読んでからチラシを見ると、視点がよりクリティカルになった。

4章 仕事を楽しみ未来をつくる、の中の「成長したい!だけではダメ、よりP.152
引用: 大事なことはインプットではなく、『アウトプットにつながるインプットなのです。

勉強、仕事の姿勢に喝をもらった。

最後に、
「おわりに」、の中の、楽観的であることー「よかった確認」

どんな災い(と思える)事態にも、よかった部分を探して楽観的に捉えようぜ、ということが書いてある。何事にも「ついてる、ついてる」を口ぐせにしている、と本に書いていた牧師のことを思い出した。

2014年7月4日金曜日

ちきりんのブログ記事

「ちきりん」という方が書いているブログ「Chikirinの日記」の6月11日付記事、タイトル「仕事と家庭の両立なんて、目指すのやめたらどう?」を小芋妹から教えてもらった。

もともとは小芋妹の夫が小芋妹に紹介し、小芋妹は小芋に紹介し、小芋はとまとまんに紹介し、と家族の間で広がって、我が家はすっかりちきりんブーム(?)である。

小芋はさっそく地元の図書館で、ちきりんの書いている本を4冊借りて来た。 順次報告していく。

2014年7月3日木曜日

モノ厳選修行

小芋は妹からときどき本を紹介してもらっている。

こんまりさんこと、近藤麻理恵さん著の『人生がときめく片付けの魔法』や、ゆるりまいさん著の『わたしのウチには、なんにもない。』はとても面白いだけでなく、とても刺激的だった。『なんにもない』のほうは、先日妹にあったときに3巻の途中までしか読めなかったので、次回会えるときが楽しみ。

これらの本に影響されて、この帰国中、まず引き出しの服をかなり減らした。といっても、よほどのお気に入りはすでにピッツバーグに行っているので、ここに今残っているのは、かわいそうにも「置いておかれた」服達。ゆえに、そこまで数も多くないし、さらに削るのも比較的楽。実際のところ、置いておいた服よりも、スーツケースに入れて運んで来た上下わずか数着ずつの服の方を良く着ていたりするのだ。

問題は本!
こんまりさんは、とにかく「ときめく」かどうかを基準にすることを勧めているが、いろいろと邪念が入って、ぜんぜんうまく行かない。(指示を守っていない証拠。)
今だいたい半分以下にはなったが、まだまだ。

助産学、看護学系の本は、思い入れがあるので、特に難しい。自分が手放せるもので、かつ現2014年においても使えそうなものは、近くの大学の助産学の先生にお渡しすることにした。(捨てなくてもいいのだ、と思えると、作業のやる気が増す。)

2014年7月2日水曜日

道ばたでベルマークのリクエスト

道を勢いよくカツカツと歩いていると、後ろから「すみませ〜ん!」という声。振り向くと、制服姿の小学生(3年生くらい?)の女の子が自転車でやってきた。

女の子:「ベルマークありますか?」

小芋:「たしかー、4枚くらいならうちにあったかもしれんけど。」

女の子:「ここから遠いですか?」

小芋:「5分くらいやけど(でも今は逆方向に向かっている)。今いるん?」

女の子:「あの、〇〇(スーパーの名前)に明日持って来てもらえないですか?」

小芋:「今晩でもいいん?」(スーパーにベルマーク回収箱があるのを知っていたので。)

女の子:「おねがいします。」

小芋:「覚えとくようにするわ。」

ということでその場は分かれた。帰って来てみると、ベルマークは先日姪っ子に全部渡してしまっていたようで、残念ながら一枚もなかった。

突然知らない小学生にこういうリクエストされて驚いた。それとなぜ「明日」ベルマークがいるのかもよくわからなかった。今から思うと、聞いておけばよかった。なんとも不思議な出会いだった。

2014年7月1日火曜日

協力医の死

小芋の協力医(collaborating physician) だった医師が、突然亡くなったという知らせを、もと上司から受け、非常にショックを受けている。

われわれ皆、死亡率100%とはいえ、やはり、よく存じ上げている方、とりわけ元気な方の突然の死には、やりきれないものを感じる。

2014年6月30日月曜日

来し方行く末 その6 結論



遠距離でも、同居でも、仕事しててもしてなくても、たぶん悩みは尽きない。なのでどうせなら楽しく悩んでいくのが得と思う。

それに、他の誰でもなく、とまとまんと自分は夫婦なので、自分たちに一番心地のよい方法を探っていくのみである。

2014年6月29日日曜日

NPの活動紹介

ご縁あって、とある会で私が今までやってきたNPの仕事について紹介する機会を得た。

予定では小さな教室でこじんまり、のはずだったのに、ふたを開けてみると、大教室で当初の人数より大幅に多い参加者を頂くことになった。

ふだん患者さんと1対1のトークには慣れている私だが、こういう大人数は見ただけでも心臓バクバクである。

いつもとまとまんとの会話は関西弁風なのであるが、こういうパブリックなで場はいちおう標準語が求められる。イントネーションを気にし始めると、気になって落ち着かない。

しかも今回は大学の恩師の1人も来てくださっていた。そんなわけで何重にも緊張してしまった。

当初は声が出ているかどうかも怪しかったが、その辺もオープンに話して笑いをとり、ブルブルする声をなんとか落ち着かせた。スライド4−5枚目になると、まぁまぁ普通に話せるようになった。

質問がたくさんでて、うれしかった。制度・政治・歴史の話はシンプルにして、実際働いている上での実情や個人的実感を中心に具体的に話したのがよかったか。米国で認可されているが日本では未認可の避妊薬の模型なども持って行って、会場で回してもらった。

練習に付き合ってくれた とまとまんよ、ありがとう。

2014年6月28日土曜日

バス停にダッシュする生活

日本に帰ってきて、休みが全く取れない状況で毎晩遅くまで働いている友人たちの話を聞いているうち、一昨年自分が書いていたあるブログ下書き(下記)のことを思い出した。あの頃の自分はすごく苦しかった。必死だった。 残業が慢性化したばかりか、週末にも月1回は出勤していた。日曜日、誰もいないオフィスで、1人静かに働くことが「幸せ〜」であった。

この記事を書いたものの、当時公開できなかったのは、あまりに生々しく毒々しいと感じたから。

渦中にいると、どんなにそれがしんどくても、目の前のことに必死なあまり、そこから離れることとか、違うオプションを選ぶ、ということを余計に難しく感じてしまうものだと思う。(ドメスティック・バイオレンスの状況と多分一緒。)

この記事を書いてから実際に転職するまでに何ヶ月もかかったのは、単に自分が疲れていただけでなく、考えたり行動することに多大なエネルギーが要ったからだ。

その「考えたり」の芽が出るか出ないかの頃の雰囲気が、この記事にはよく出ていると思う。

もしかしたら、世界のどこかの誰かの参考になることもあるかも、と思い、今さらであるが、公開する。

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最近ずっと朝1時間早く仕事に行っている。
でもって、終業時間のあとも、最低1時間、しばしば2時間近く居残っている。
・薬(特にピルやNuvaringなどの避妊薬)のリフィルの依頼(患者さん本人からの依頼もしくは薬局から送られてくるファックス)の対応をし、
・患者さんからの電話(質問など)に折り返し対応し、
・電子カルテ上で検査のオーダーなどやり残していた仕事をやり、
・異常検査結果について患者さんに電話もしくは手紙で連絡し、
・そういえばトイレにぜんぜん行っていなかったと気づいて、慌ててトイレに行き、
・大急ぎで荷物をまとめ、
バス停までダッシュしている。ずっとそう。

どんなに頑張っても、時間内で終われる仕事量じゃない。
朝早く、夕方遅くまでやっても、それでも、やっぱり終われない。

それを人は、「要領」の問題、私自身の「完璧主義」の問題にすり替えようとする。
「早く帰りなさい」という。

早く帰るのはいいが、残した仕事とは次の日(週)にもれなくご対面することになる。
誰かが私の代わりにやってくれるわけでは決してない。

休息が必要だし、でも後回しにしていると永遠終わらないし、かといって、こなそうとしてもやっぱり終わらないし、要はどう もがいても、あかーん。

A) 自分が変わるか、B) 状況を自分が変えるか、それとも C) その場から去るか、しか選択肢はない。

A) 自分が変わるーーには、患者さんにたいした質問もせず、患者さんの話を聞かず、ただ機械的に最低限のことをして、検査結果にもてきとーに対応する、たまる仕事にもしらんぷりとか?? 無茶やし危険。やはり自分タイプでない。

B)状況を自分が変えるーー落ち着いてPCや電話に向き合う時間の確保を再三要求してきたが、理解されず。もっと使いやすい電子カルテへの移行とかできたらいいが、見込みなし。紙カルテに戻るという選択肢ももはやなし。1週間に3つのオフィスをぐるぐる回るスケジュールにたいしても、私はなんも出来ない。

C)その場から去るーー 検討中。というか、これしか現実案はないね。いかに自分を守るか、がテーマになってきている。

2014年6月27日金曜日

5分でいい

これは、下書きのまま公開せずに残っていたメモをもとに書いています。
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在ピッツバーグの日本人向けに開かれている健康に関する催し物で、在米日本人のストレス対策が取り上げられたことがあった。

そのとき、ストレスと付き合うためのいろいろなリラックス方法などが紹介された中で、運動の話がでた。

講師が「『5分でいい』がポイントです!」と強調していたのを、今でもよく思い出す。夏は気候がよくて日も長く、夕食あとに散歩、なんてのも楽勝のピッツバーグであるが、冬は寒くてかつ暗いので、気持ちが萎えがち。

講師自身「今日はやめとこうか。」と思う日も、「5分でいい」と自分に言い聞かせて、外に走り/歩きに行くのだそうだ。

「5分でいい」のよいところは、

  • 5分の運動でも、ゼロよりはずっとよい。
  • 始めるのはすごく億劫でも、一旦始めてしまえば、「ついでにもうちょっと」という気になり、実際には5分以上運動することも容易。
運動の習慣を作りたいときだけでなく、いろいろな理由をつけて休みがちなときにも、「5分でいい」は励みになる言葉だ。

2014年6月26日木曜日

ネガティブなニュースの伝え方

昨日の朝7時、NHKラジオのニュースの冒頭、サッカー・ワールドカップでの日本対コロンビア戦のニュースが出た。

アナウンサーは、すぐに「負けました」とは言わず、
まず、「日本はコロンビアと戦いました。」旨を言い、
次に、「前半は1対1の同点」の説明をし、
さらに、後半でコロンビアが勝ち越し点を入れて行った様子を説明し、
さいごに、最終的に日本が破れた旨を告げた。

聴衆の1人としては、「もったいぶるなぁ」と思いつつも、段階を追ってこのように説明されると、「こりゃ、厳しい状況だな。」という気持ちになり、「負け」と聞くまえに何か心の準備みたいなものができた感じだった。

日本らしい、心配りのようなものをもった報道だなぁ、と思った。

一方、日本チームの選手や監督がけっこう厳しい評価を受けているようで、気の毒におもう。ワールドカップの舞台でサッカーできて、それだけで素晴らしかったんじゃないのかなぁ。ワールドカップに行けなかった国だっていっぱいあったのだし。

2014年6月25日水曜日

骨なし皮なしイワシ

2週間ほど前、米国FDA(食品医薬品局)は、妊婦に対する魚接種の指針を変更した。従来の指針では1週間に12オンスまで食べるように、と上限のみ示していたのだが、今回は、1週間に8オンスから12オンス(227-340g)の魚を食べるように、と下限もつけて出して来た。なお、水銀含有量の少ない魚を勧めている。

米国とヒトコトで言えども広うござんす、で、新鮮な魚介類を安くかえる地域もあれば、そうでないところもある。

ピッツバーグは内陸部なので、普通のスーパーで新鮮な海の幸を期待するのは難しい。もちろん、市内でも市場のあるStrip District まで行けばよい(と聞く)魚屋さんもあるのだが、一人分の買い物のためにわざわざ行くのは億劫。そんなわけで、冷凍の鮭や鯖をまとめて買っておいて少しずつ食べたり、イワシの缶詰を買ってストックしておくことが多い。

イワシの缶詰は、水煮のほか、トマト煮、オリーブオイル漬け、マスタード漬け、などが手に入る。

以前オリーブオイル漬けのイワシ缶詰が安かった(5缶くらいひとまとめで)ので買ったのだが、これはなんと、わざわざ骨と皮を取り除いてある品だった。いいところを取っちゃって、なんともったいない。

帰国中、骨も皮もちゃんと着いた生の新鮮なイワシを買うことができて、幸せである。

2014年6月24日火曜日

結婚についてのヤジに思う

都議会で質問に立っていた塩村文夏議員に対し、「早く結婚した方がいいんじゃないか。」というヤジを飛ばした鈴木章浩都議は、「本当に結婚がしたくてもできない方への配慮が足りなかった。」として謝罪したという。

この言葉からは、結婚したくても出来ない「気の毒な」人たちに対して悪かった、みたいな印象を受ける。

しかし結婚したくなくて結婚していない人、に対しても同様に大変失礼な発言だったと思う。

結婚したいか、子どもが欲しいか、といったことは、極めて個人的なこと。
個人個人、また個々のカップルが考えることであって、
他の人がとやかくいうことではない。

結婚すること、子どもを持つことがまるで「標準」で、それ以外は「異端」「異常」「変人」「半人前」「努力不足」みたいな考え方を、鈴木議員だけでなく、自分のまわりの人々にも捨ててもらいたい。

いろんな性のあり方がある。自分はセックスしたいがセックスレスなパートナーを持つ人、同性愛の人、1人でいるのが一番心地よい人、いろんな人がいるのだ。結婚してもしなくても、セックスしてもしなくても、妊娠してもしなくても、自分が幸せなら、幸せ。

逆に、他人からみてどんなに「標準」で、絵に描いたような幸せでも本人が幸せと思えないなら不幸せ。

鈴木都議のニュースのおかげで、最近思っていたことが書けた。

2014年6月23日月曜日

女性も餅投げを楽しもう

とまとまんの兄の新居の建て前を手伝った。

前日はまずお掃除から。棟梁や、他大工たちに昼食と夜の宴を振る舞う場所(隣家)を、一家総出で徹底的にきれいにした。

当日朝は、約2時間半かけて、お餅数千個を2個ずつビニールの小袋に入れて縛った。幼稚園生から中学生までの 甥っ子姪っ子たちもよく頑張ってくれた。

その間、家の柱や梁がどんどん組み上がって行く。

お昼、大工達に昼食を振る舞う。ここでなぜかビールや日本酒も振る舞われたのだが、私としては、午後も作業を続ける大工さんたちの安全が非常に心配だった。転倒、転落の原因になりはせんかと。

時折小雨に見舞われながらも、私の心配をよそに、夕方4時半ごろには屋根の支えまで一通り組み上がった。

お餅やお菓子を男性たちが2階部分、屋根部分に運ぶ。近所の人が続々と集まってくる。

今回棟梁の指導のもとで餅投げをしたのは、とまとまんの兄、きょうだい(女性の場合はその夫)、それに甥っ子たちであった。

「女は上がられん。」という言い伝えのもと、女性は餅を投げられないばかりか、ただ上に上がることも許されなかった。(アスレチック好きの私としては非常に残念。)

餅を投げたメンバーの話では、
「鯉にえさをやるみたいで、楽しかった!!」
とのことである。実際、とても楽しそうに投げていた。

私としては、せめてとまとまん兄の娘たちや妻は餅を投げる役で活躍できたらよかったのに、と思う。(もちろん、やりたくないなら、無理強いはしないけど。)

棟梁によると、餅投げをする家は減って来ているが、一方で女性が餅投げに参加するケースは増えて来ているのだという。

家を建てている全国のみなさん、どうぞ女性も含め、一家総出で餅投げを楽しみましょう! 

夜の宴では、とまとまんの母ととまとまんの伯母が遅くまで、そして最後まで片付けに当たっていて気の毒であった。

2014年6月21日土曜日

内祝の習慣

日本のある友人の勤める会社では、同期入社の誰かが結婚したり、出産したりしたとき、2000円とか3000円とかいう額のお金を一人一人から集めているそうだ。結婚式に出席するときの万単位のお祝い金には及ばないとはいえ、それでも結構な額だなぁ、と驚く私。同期の人間が15−16人くらいいるみたいだから、合計額も大きい。

面白いのは、そうやってお祝い金が贈呈されたあと、ご丁寧にタオルなどの「内祝」の品が後日送られてくること。おかげで、贈答品会社はウッシッシ、だと思う。けど、私の友人は、欲しかったわけでもないタオルをもらって困惑ぎみであった。

お祝い金→後日内祝の発送、というパターンがもうできちゃっているので、いまさらやめられないようではある。

日本のなかでもいろんな会社・組織があるだろうし、こういうのがどのくらい一般的なのかはわからない。どうなんだろ。

品物をお返しするかわりに、丁寧なお礼状にしたらどうかなぁ、と思う。経済貢献という観点からいうと、私みたいな考えはよくないのか。

2014年6月20日金曜日

不安になる白い空

ここ1-2 年、日本に帰ってくるたび、空が白い日が増えたように思う。場所にもよるが。

雨でも曇天でも常に見えるはずの近くの山が、まるで「ない」かのごとく全く見えない、あるいはうっすらと輪郭しか見えない日が増えていることに、不安を覚える。

もしこれが霧によるものだったら、濃淡があったり、朝方だけ存在して昼間は消えたりすると思うので、白さの原因は霧ではなく、むしろ黄砂もしくはPM2.5のせいだと思う。

雲が出ているわけではないので「曇り」とは呼べず、かといって「晴れ」ともいいがたい、この独特の「白い」天気に、何か名称があったほうがいいんではないか。(もしかして、もうあるかな。)

中国の都市部からピッツバーグに引っ越して来た知人が、「ピッツバーグは空気がきれいで嬉しいです!」と自己紹介の中で言っていたのを思い出す。別にピッツバーグの空気が特別にきれいであるわけではないのだが、比較するとその差が歴然としていたのだろう。

ちなみに、ピッツバーグでは、かつて鉄鋼をはじめ工業が盛んだった頃、大気汚染が非常に深刻だったそうだ。今でも他の地域に住む米国人は、ピッツバーグというと空気が汚い街を思い浮かべる人もいると聞く。実際には、重工業が低迷したおかげで空気はぐっときれいになった。冬はどうしても雪・曇りがちの日が多いが、夏はさわやかな晴天に恵まれる日が多い。

話を戻して、
中国の大気汚染は、生活のなかで中国の製品を買ってきた自分にも責任があるかなと思う。別に好んで中国製品を買って来たわけではないけど、生活用品のなかには、Made in China と書かれたものが本当に多い。自分が何を買うか、使うか、捨てるか、吟味して暮らしたいと思う。

2014年6月19日木曜日

自治体による恋活・婚活支援に思う

四国に帰って来て、県や市の広報誌をみると、毎号のように「婚活」とか「恋活」などの言葉が登場していて驚く。

たとえば、
  • ご両親の代理お見合交流会(45歳までの未婚の子どもをもつ親が対象)の案内
  • 地域で恋活をサポート! 「いちごいちえでBERRY HAPPY」イチゴ狩りの報告
  • 「かがわ出会い応援団」県が昨年作ったポータルサイト
  • 香川県広報誌 The かがわ6月号 特集 「幸せ家族の作り方」
  • 「香川県の切れ目のない支援。ステップ1: 結婚、ステップ2: 妊娠、ステップ3:子育て子育ち」
以前からお見合いとか、相手を紹介するビジネスとか、インターネットでの出会い系サイトとかはあったが、自治体の記事に上記のようなのが載っていると、とても違和感がある。結婚はしたいと思う人がしたらいいものであって、それを政府に促されるのは変だと思う。

それでも、「結婚はしたいのにできない」という人をどうしても応援したい!と言うんであれば、がむしゃら勤務、モウレツ社員を抑制する政策を提案する。

これは出会いのためだけでなく、デートの継続・発展のためにも、妊娠や育児のためにも有用だと思う。そもそも、疲労困憊、睡眠不足の体にむち打って、恋活婚活にはげむって酷ではないか。

たとえば、
有給休暇を最低9割は使わないと、経営者側が罰せられる法律を作る。
電車やバスの終電時刻を早くする。And/or 本数を極端に減らす。

社会全体で がむしゃらに働くことを抑制し、むしろワークシェアリングなどでそこそこ働くほうが個人も会社も得だ!という流れに持って行く方が、
デートや趣味や旅行に時間を使う体力と気力が持てる。

「恋活」とか「婚活」って、いわば受験勉強や入社試験のように、そのときだけパスできればいいもののような響きをどこか感じる。けど、がむしゃら勤務を続けながらだと、仮に恋活&婚活して誰かと出会えたとしても、そこから先の人生に無理がきてしまうと思う。

2014年6月18日水曜日

NP認定の更新

米国のNPの多くは、NP資格を認定している全国レベルの機関で認定を受けている。日本の医師免許や看護師免許のような「国家資格」に近いが、この認定は別に国・政府がやっているわけではなく、独立した団体がやっている、というところが日本とちょっと違う。

州の免許をとる前提として、認定を受けていることが必要要件の一つになっていることが多い。認定=免許でないところも、ちとややこしい。認定をちゃんと更新しておかないと、ペンシルバニア州の免許は更新できない。

さて、認定機関は分野によっていくつかあり、女性の健康分野(WHNP)や新生児専門(NNP)は、ともにNCC (National Certification Corporation)が認定機関になっている。

私にとって、3年に1度の認定更新の締め切りは、今年12月末。今回のクールの冒頭で受けておいた能力テストの分野ごとの出来不出来によって、たとえば産婦人科病理に関しては何時間、薬理学については何時間、などと必要時間数が決められている。私には合計45時間の継続教育が課されていた。

過去2年半に学会やらオンラインやらでポツポツと集めてきた単位を、オンライン上で一覧表にして、分野ごとに課された単位をそれぞれ全部満たしたことを報告した。これが結構な手間。最後に100ドルの更新料を支払った。

なお、学会で発表したり、論文や本を書いたり、大学の講義を受けたりといった活動も、継続教育の単位として認められる場合もある。

継続教育の証明書(賞状みたいな)を全部そろえて提出するのは、ランダムに選ばれた「当たり」の人だけなので、もし当たらなければ、証明書を提出する必要なく、認定が更新される。「当たり」かどうかは、今後数週間のうちに連絡が来るはずである。

1月になったら、また能力テストを早速受けて、2017年の認定更新めざして継続教育の単位を取り始める。継続教育の単位は、能力テスト受験後のものだけが有効となるので、テストは早く受けておいたほうがよいのだ。

2014年6月17日火曜日

NP損害賠償保険の上昇

ペンシルバニア州のNPは処方権(Prescriptive Authority)を得るにあたり、損害賠償保険に入っている必要がある。そのため、前の職場でも、現在の職場でも、雇用者のほうで損害賠償保険に加入してくれているが、これとは別に、任意で個人でも保険に入っている。

この保険料が、年々上がって来ていて、今回の更新ではなんと1000ドル(およそ10万円)にまで上がってしまった。たしか、最初に入ったときは600ドル台だったと記憶している。上昇のスピードの速いこと、速いこと。

州のNP達とのメーリングリストによれば、保険料が去年から今年にかけて2倍になった人もいて、その人は別の保険会社に変更して乗り切ったということであった。

9ヶ月の仕事になって、稼ぎがごっそり減った上に、保険料が上昇するのはこたえるが、今回は今までの保険会社との契約を更新することにした。

2014年6月16日月曜日

せっけん設備要望に対する回答

6月4日の日記に書いたように、JR東日本に駅トイレにせっけん設備を要望したところ、次のようにメールで回答があったので、ご報告。

駅のトイレへの液体石鹸の整備につきましては、今後特にご利用のお客さまの多い駅について、改良工事等に合わせて設置することを検討しております。

2014年6月7日土曜日

Wii をまなぶ

姪っ子甥っ子たちの成長が著しい。ひさびさに一緒に遊べて、とっても嬉しかった。人生ゲームをしたあと、Wii の使い方を2時間に渡りいろいろ教えてもらった。わたしゃ、フラフープ以外はすべて完敗。

2014年6月6日金曜日

日本語と英語の谷間

英語は自分にとって永遠に外国語。語彙も表現力も、日本語>>>英語でずっと来ている。新聞などを手に取ると、歴然とした違いを感じる。日本語の新聞なら、あまり興味のない内容の記事でも読み通せるが、英語の新聞だと、興味がある内容であっても長い記事は途中で疲れてしまい、あとは省略!なんてことはしょっちゅう。

そんな自分であるが、ときたま英語の直訳のような日本語を話してしまい、自分で「しまった!」と思うことがある。自らすぐ気がついて訂正することもあるし、とまとまんに「今の日本語おかしいで。」と指摘されて「はっ!」とすることもある。

考えが先に英語で浮かんで、それを無理矢理英語で言おうとしたときに、こういう失敗をおかす。

日本語で話すときは、日本語で最初から考えていないといけないし、英語で話すときも然り。日本語で考えた考えを英語で言おうとすると、私の場合、言葉が出てこなくなり、ううっ、ううっ、という感じに詰まる。そのあたり、あたりまえだが、母国語と第二言語の差ははっきりしている。同時通訳を仕事にしている人や、バイリンガルの人を尊敬する。

それでも、つっかえながらでも何か話せているときは、実はまだよい。
もっと怖いのは、日本語と英語の谷間にいて何も考えていない瞬間。自覚的には、日米移動後1−2週間がいちばん重症。

谷底に落ちてとても惨めなばかりか、とてもバカになったように感じる。

私の中国語とスペイン語は、まだまだその言語で考えるところまで全然行っていないので、幸か不幸かこういう失敗も心配もない。

2014年6月5日木曜日

年齢差別のある求人

四国新聞配信のニュースによると、6日締め切りで来春採用となる香川県看護職員の応募が低迷しているそうである。県は、優秀な人材を確保するためたくさんの人に応募してほしい、と呼びかけているとのこと。ここまではフムフム、と読んでいたが、「応募の年齢要件」ところで引っかかった。

応募できるのは1980年4月2日以降に生まれた人。ただし看護師経験者だったら55年(おそらくは1955年?)4月2日以降生まれの人も受験できるとのこと。

そうすると、30歳代半ば以降で初めて看護師になった人には、そもそも応募資格もがないことになる。残念だ。優秀な人材を確保するためには、こういう年齢制限を設けるのはもったいないと思う。

2014年6月4日水曜日

トイレにせっけんを!!

先週成田空港に着いたのはもう夜で、バスで東京まで出て(900円。安い。)そこから品川まで行き1泊し、翌朝羽田から国内線でまた飛んで四国まで帰った。

夜東京に着いたということは、それはアメリカ東部時間でいうところの朝、すなわち私のトイレタイム。東京駅構内のトイレでスッキリして、さて手を洗おうとしたところ、傘をひっかけるフックは親切に備えられているのに、肝心のせっけんがなく(切れていたのではなく、設備がそもそもない)、大変ショックをうけた。駅構内のトイレに液体せっけんを備え付けることを希望するメールを、JR東日本に送った。

トイレで用を足した後に、せっけんなしに水だけで手を洗っても、十分にきれいにすることはできないし、ただでさえ駅という非常に多くの人が利用する環境は、つねに感染症の「るつぼ」になりうる場所だ。インフルエンザ, O-157やノロウイルスの流行っている時期のみならず、恒常的に液体石鹸を置き、利用者に利用を呼びかけるくらいであってほしいな、と思う。

1人の意見だとなかなか説得力がないが、数が多ければ力になるはずなので、読者の皆さんもよろしければ要望を送ってみて〜。

2014年6月3日火曜日

お礼行脚

現在日本に一時帰国中。

仕事が終わってから帰国するまでの間、前にも書いたようにメンターに会ったほか、今の仕事につなげてくれた何人かの恩人達に直接会って、この1年の様子を報告した。

たとえば、
求人情報を教えてくれたAさん。
職場のスタッフに私のことを個人的に推薦してくれたBさん。
すべてのことには理由がある、というのが口癖で励ましてくれる50歳年上の友達、Cさん。
など。

遠くて、メールだけになってしまった人もいたが、気持ち的には同様にお礼行脚をした。

それから、普段会えば立ち話するが、なかなかじっくり話す機会のなかったカウンセリングセンターのスタッフ何人かとも、個人的に昼ご飯を介して話をした。普段の昼休みだと落ち着かないが、休みに入ってからだと余裕である。

2014年5月22日木曜日

メンターとのご飯 その2

2月に退職したメンターと1ヶ月半ぶりくらいで会い、ご飯をともにした。

職場の近況、メンターに聞きたいと思っていた臨床的な質問の話もしたけど、それ以上にお互いの人生の進行状況についてたくさん話した。

メンターの年齢は母と同じくらいだが、年上とか若造とかそういう枠なしに、平たーくいろんなことが話しあえる関係を持てて、本当にありがたい、と思う。

2014年5月21日水曜日

乳がん後の性交痛にリドカイン

先月末行われた米国産科医婦人会学会のカンファレンスに関するニュースをMedscape で読み、大変興味深かった。乳がんサバイバーの性交痛の治療として、水溶性リドカインを使ったという報告である。
Medscape の記事 http://www.medscape.com/viewarticle/824432
発表の抄録 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24770139

閉経後の性交痛に関してあまりなじみのない方のために、少し説明しよう。

閉経後、エストロジェン(女性ホルモン)の分泌低下により、膣を含む陰部の皮膚は薄く弱くなりやすい。そのため膣の乾燥、違和感、またセックスに痛みを感じる女性が増える。

通常、この状況を改善するには、エストロジェンを局所的に補う(膣錠、膣リング、クリームなど)のが第一選択。でも、乳がんを経験した人にとっては、たとえ局所的な利用であっても、エストロジェン剤は避けたいと思う人が少なくない。というのも、エストロジェンはいわば乳がんの進行を促進する「肥料」のように働く可能性があるから。

エストロジェン以外では、市販の膣用保湿剤、オリーブ油・Crisco (植物ベースのショートニング)などの植物油で保湿をはかったり、セックスのときは水溶性の潤滑剤を使う手があるが、なかなかエストロジェンほどの効果は期待できない。
以上で解説おわり。

さて、
今回の研究で Martha Goetsch氏ら研究チームは、46人の乳がんサバイバー(平均年齢55.63歳、閉経後の年数は平均8年)を対象に、二重盲検法で4%の水性リドカインもしくは生理食塩水をセックスの前に3分間使用するという方法をとった。リドカインとは、局所麻酔薬の一つ。

結果、リドカイン群で有意に性交痛(もしくはタンポン挿入時の痛み)が軽減したという。しかもパートナーからはリドカインの影響で感覚が麻痺したなどの悪影響は聞かれなかったと。研究開始した時点では46人中20人が性生活から離れていたが、そのうち17人は研究期間中に性生活を持ったとのことである。

膣のatrophy (萎縮)という環境改善をはかる代わりに、直接「痛み」に注目してなされた研究で、アイディアとしては単純(というか、ありそうでなかった)なんだが、実際に研究という形で検討したところが興味深い。研究の規模は小さいが、いま現に困っている患者さんに対しては、選択肢の一つとして提示するに十分値する方法だと思う。vulvodynia の患者さんにリドカインを使うことはあるのだし。

2014年5月20日火曜日

元患者さんからのリクエスト

ヨガ教室でよく会う、70歳代の女性のAさん。前職では私の患者さんだった。

私がヨガマットをくるくると巻いて片付けていると、Aさんがやって来て言った。

「あんたに見てもらお思ったら、こんどはどこに行ったらええんや?」

私:「ええと、Aさんが〇〇大学の学生さんになってくださったら、診察できるんですが。。(今私が働いているクリニックは〇〇大学の学生専用。)もう△△では働いていないんですよ。」

Aさん:「いまさら大学行くのは止めとくは。はっはっは。残念やなぁ。あんたの診察よかったのになー。」

そのように言って頂けたことを、大変ありがたく思う。そして、身が引き締まる。

婦人科の診察を受けるのは、たとえ若い人であっても決して快いことではない。婦人科の診察大好き!なんて人には今だかつてお目にかかったことはないし、今後もないだろう。

閉経後、膣萎縮がすすんでますますデリケートになった女性にとっては、婦人科の診察はなおさら苦痛なものになりかねない。だから、そういう年代のAさんに「あんたの診察よかった」とリクエストされるというのは、非常に大きいことなのだ。

ちなみに昨年Aさんの診察はサテライト診療所で行ったのだが、ディスポーザブルのプラスチック製の膣鏡を使うかわりに、特別に小児用の小さな膣鏡を用意しておいて使った。

ちなみに、Aさんの子宮頸がん検査の経過は過去ずっと良好で、しかも年齢も65歳を超えているので、子宮頸がん検査自体は今後はもう不要。もし今年も私がAさんの診察を担当していたら、尿漏れなどの失禁がないか、膣萎縮が生活に影響を及ぼしていないか(乾燥、痒み、セックスの痛みなど)などの話により時間をかけるところだ。あと、マンモグラムのオーダー。

Aさんが新しい医療者と出会えることを願う。もしくは、Aさんの家庭医が上記のことまで配慮してくれるようだったら(担当者によるかなぁ?)、家庭医に丸ごと担当してもらうというのも一案ではある。

2014年5月19日月曜日

メモリアル・セレモニー

ピッツバーグの日本人コミュニティーの中でとても慕われていた80歳代の男性が先月亡くなった。その方のメモリアル・セレモニーがこのほど開かれた。

もと同僚、友人、家族たちが、男性との思い出をそれぞれ味わい深く語ってくれて、非常にすばらしい会だった。日本からこの会に参加するために今回ピッツバーグに来られた方も少なからずおられるようだった。

仕事の業績が非常に抜きん出ていた方だったが、それ以上に、彼の優しい人柄が晩年も、亡くなった後も、いろいろな人(私も含め)を惹き付けていたのだなーと感じた。

スピーチされた方の中で、男性との個人的思い出を述べるにとどまらず、男性の妻に対してとてもサポーティブなメッセージを述べた方がいて、とても感激した。私のような参列者にとってもよい励みになったと思う。

2014年5月18日日曜日

中国語2、有志の会

図書館で開かれていた中国語2 のクラスがなくなってしまった。残るは、初級クラスと会話クラス。私にとっては、中国語2がちょうどよかったので、とても残念。

ありがたいことに、中国語2のクラスメイトの呼びかけで、自主クラスを続けることになり、今回は3人が集まった。私以外の2人は私よりもレベルが高い。いろいろと2人に聞きまくり、私がクラスの恩恵を一番受けている。

2014年5月17日土曜日

9ヶ月勤務者と12ヶ月勤務者の攻防

大学内に設置された学生専用のクリニックの忙しさは、学生のスケジュールに大きく依存している。学期真っ最中はものすごく忙しく、一方で学期の始まりと終わり、春休み中などは当日でも簡単に予約が取れる。

夏は、夏学期をとっている一部の学部学生と、夏休みなしで通年学ぶ大学院生らしか大学に残っていないので、学生数が激減する。ゆえに、クリニックの利用者も減る。

というわけで、クリニックのスタッフは、12ヶ月通年で働く者と、9ヶ月あるいは10ヶ月だけ働く者に分かれている。

通年勤務のスタッフは、去り行く9ヶ月スタッフをみて、「も〜、うらやましい! 許せ〜ん!」などと叫んでいる。

9ヶ月スタッフ達も、負けじと「ええやろ〜」とおどけて言い返しているが、実際のところはその間給料もフリ〜なので、経済的には激減である。

幸い(?)給料は、最初から9ヶ月分を12等分して毎月支払われているので、夏のあいだに破産(!?)するリスクは多分小さい。健康保険などの福利厚生は夏も継続する。

小さい子どもがいるスタッフは、夏休みの間、自分も家にいることができるのはとてもいいと言っている。子どもがすでに巣立ったスタッフも、少し長めの旅行を計画したり、それぞれに楽しみにしている。お金のやりくりはせないかんが、大人の時分にまとまった夏休みがとれるのは悪くないことである。

私にとっては、この間に日本の家族と過ごせるので、非常にありがたい。ただ、航空券などの移動費用を工面すると、残る貯金はスズメの涙である。NP の給料スケールの最下位ランクに位置しているのが、私のような学校勤務の者のようである。

2014年5月16日金曜日

9ヶ月評価

ボスと、この9ヶ月の評価のためのミーティングを持った。今までの取り組みが全面的によい方向に評価されて、とても感謝だった。今後ますます頑張っていこう的メッセージこそあれ、ネガティブなコメントは何一つなかった。

患者さんを対象に行われたアンケート調査でも、私の名前を挙げて肯定的な体験を述べてくれた人が何人もいたとのことで、ありがたかった。

私自身はおんなじ1人の人間で、前の仕事でも今の仕事でも、素直に頑張るのみなのであるが、組織やボスの違いで、受ける評価まで変わるのは興味深い。

2014年5月11日日曜日

避妊カウンセリングの勉強会

NPやCNM (Certified Nurse-Midwife, 助産師) として他のクリニックで女性の健康に深く携わっている人たちと、夕飯を囲みながらの勉強会があった。主なテーマは避妊方法のなかでも nondaily (毎日何かしなくてもよい)タイプの避妊方法をいかに効果的に勧めていくかということ。

半年ないしは1年以内に妊娠したい希望がある女性を除き、ほとんどの女性にとって、子宮内避妊具(IUS/IUD)や皮下埋め込み型避妊薬、すなわちLARC (long-acting reversible contraceptives) は第一選択薬となりうる。3年、5年、また10年間連続使用でき、その間いわゆる日々の手入れのようなものは要らない。卵管結紮術などの不妊手術と並ぶ、高い避妊効果が得られるうえ、いつでも止められる。中止後妊孕性はすぐ戻る。(本人の高齢化とか別の要素があれば別だが。)

これに加えて、3ヶ月に1度の注射薬(DMPA)、1ヶ月使える膣内リング 、1週間ごとの張り替えでよいパッチ、なども毎日飲まないといけないピルと比べると、ぐっと簡便だ。

リーダーが話し合いのきっかけとなるような質問を投げかけ、参加者がそれに対して意見や自分の持つ必殺技についてコメントしていく、という方法がとられた。

初めて会う人の方が多かったのだが、働く場所こそ違え、抱えている悩みや困難は共通するものが多かった。問題に対して、他の人がどんな工夫をしているのかを聞くのはとても面白かった。自分の小技を話せるのもよかった。

自分が今回学んだ方法の一例:
インプラント(Nexplanon/Implanon) を始める前に、「当座」、「今」妊娠しないための方法として、取り急ぎprogestin-only Pill を1−2パック使ってもらい、progestin の経口バージョンに親しんでもらってから後日インプラント開始のために再来院してもらう、という方法。DMPA からインプラントの移行というのは何度もやっているが、progestin-only Pill からの移行というステップもいいなと思った。

それから、職場のロケーション、患者さんの人種構成、年齢構成によって、好まれる避妊方法に違いがあるという話ーーーこれは経験上感じていたことではあるが、改めて他の人の口から聞いて、やはり、と思うところがあった。

あくまで経験的な「傾向」なので、単純な一般化は危険であるが、たとえばどういうことかというと、

  • 黒人の患者さんの間ではDepo Provera (3ヶ月に1度の注射薬による避妊)愛用者が他の人種より多い。これには、体重増加を気にしない or むしろ体重増加を好ましいとさえ考える人の割合が黒人の中で多い、という要因がある。また3ヶ月に1度という簡便性、また無月経という簡便性もしばしば好まれている。(一方で、月経が毎月なきゃ嫌だ!という人もいる。)
  • 一方白人患者さんの場合は、体重増加の可能性がある避妊方法は嫌われる傾向がある。
他にこぼれ話として、
  • 地域によっては、遅くても20歳までに第1子を産んでいるのが一般的なので、19歳くらいの女性が、「私は不妊じゃないか」と相談に来ることも珍しくない。
  • 高校や大学卒業などの患者さん本人の目標達成までの3−5年という間、LARC を使えば妊娠の心配なく過ごせるのだ、という事実をもっともっと伝えて行きたいが、未だに未経妊/未経産の女性にIUD/IUSを使うことをよしとしない医師が周りにいて困る。(私はそういうことないが。)
  • 避妊薬による軽度の副作用やまれな副作用を恐れるがあまり、避妊しなかったり効果の低い避妊法を使っていて予期せぬ妊娠を招いてしまうという「副作用」を過小評価している患者さんが多い。(←きわめて同感。特に、肥満、もともとの慢性疾患などがある場合はなおさら。)

2014年5月8日木曜日

初めから完璧な関係などない

どんな避妊方法でも使い始めにはいくつか軽い副作用がでることがあるが、それを事前に説明するにあたり、私は新しい靴のたとえをよく用いる。

あるNPはちょっと別のたとえを紹介してくれた。

「どんな親友や彼氏彼女でも、はなからパーフェクトにうまく行くなんてことはないでしょ。(Whether it's your best friend or your boyfriend, a relationship is never perfect from the beginning.) 

いざこざあったり、けんかしたりして、やがていい関係になっていきますよね。

同じように避妊薬との関係 (relationship) も似ていて、最初はぎこちないことがあるかもしれないけど、付き合っているうちにだんだん慣れてうまくいきますよ。」

(このたとえもなかなかよいでないの!)

そしてどういう副作用が起こりうるか、いつ頃落ち着くことが多いかなどを適宜説明。また副作用症状が強かったり、問題が続くときは、打つ手があるのだ、ということも解説。

患者さんにとって、こういう「見通し」が持てることはとても大事と思う。どういう事態になったらクリニックに連絡しないといけないか、どの程度だったら様子見てていいか。過剰に「大丈夫」と言うのでもなく、かといって、恐怖心ばかりかきたてるのでもなく、ちょうどいい塩梅が求められる。