2009年6月30日火曜日

電話をもたない患者さんとの やりとり

アーミッシュの人々は、携帯電話はおろか、固定電話ももたない生活をしている場合が多い。検査で異常が認められて、婦人科医や他の専門医に紹介するなどの手続きが必要になったとき、患者さんと連絡をとるのがいつもより大分大変である。

1.まず、患者さんに手紙を送る。(フォーマットはパソコンに入っているので、この作業は楽。)

2.手紙を受け取った患者さんは、日ごろから関係のある近所の人の電話などを借りるなどして、折り返し電話を入れてくださる。このときにたまたま自分が机に戻っているといいのだが、あいにく診察室に入ったばかりだったりすると、患者さんを長くお待たせしてしまう危険がある。スタッフが気を利かせて、診察室に声をかけてくれた場合は、目の前の患者さんに一言断って、電話にむかう。

3.口頭で結果と次のステップへの段取りを伝える。患者さんが自力で行ける範囲の紹介先を探す必要があったりすると、1回の電話で作業が終われない。こちらから患者さんに直接電話を入れられないので、場合によっては患者さんが近所の人の電話番号を伝えてくれる。「近所」とはいっても、数マイル離れていたりすることもある。

今日は患者さんが行ける範囲の場所に紹介先を見つけることができてほっとした。(見つけたのは自分ではなくて、会社本部の係りの人である。自分は患者さんへの連絡係だったにすぎない。)

ふだん電話の恩恵にどっぷりつかっていることに気づかされる。

健康保険制度改革

去年の今頃は、オバマ候補(当時)とマケイン候補の対健康政策を表にまとめて比較した。(宿題として。) そのときは断然オバマ候補の政策がよいと思っていたが、ここへきて、選挙前に聞いていたことと、今聞こえてくることは大分違っている。保険会社を含め、お金のある組織からの圧力がそれだけ大きいということか。

とりいそぎ、chage.org などのサイトを通して、署名活動に参加する。署名活動といえば、Planned Parenthood や Amnesty International のインターネット署名もよく参加している。ワシントンに行ったり、ラリーに参加するにはとても及ばないが、ささやかな行動である。塵も積もれば山、インターネット署名の可能性を信じて。

メディカルアシスタントの欠員

もともとメディカルアシスタントに1人欠員があったところへ、急な事情でもう1人去ってしまった。欠員2人はとてもきつい。

が、いいこともある。あまりに人手が足りないために、普段ならメディカルアシスタントがやってくれている段取りを自分がやらざるを得ない。これが案外よいもので、患者さんに挨拶をしたところから、ある意味問診が始められる。今日の来院の目的や最終月経開始日を尋ねつつ、アセスメントは始まるし、全体の流れの中に education 的内容も織り交ぜられる。

「効率」は落ちているかもしれないけど、受付→検査室→診察室 を患者さんと一緒に移動しつつ過ごせるのはよい。アトランタのダウンタウンのクリニックでのボランティア時代を思い出す。

2009年6月27日土曜日

健康フェア

市の中心部にある広場で、この季節毎週金曜日にライブコンサートが開かれている。今日はそのわきで、地元の健康関連組織がテーブルを並べ、健康フェアを開催した。地元の病院、アメリカがん協会の支部、ペンシルバニア州の健康局、救急車の会社などが参加していた。私のクリニックもテーブルを出して、たくさんのパンフレットやボールペン、マグネット、キーホルダー(全部無料)を並べたほか、希望する人には血糖値測定のサービスをした。(普段私のクリニックでは糖尿病の管理はしないのに、あえて血糖値測定のサービスをするのは変なのだが。)ほかのテーブルでは、新型インフルエンザ、がん予防、BMI、花火使用時の安全、非常時避難グッズの話など、それぞれパネルやパンフレットを駆使して展示していた。お客さんは、すべてのテーブルに立ち寄って、スタッフのサインを集めると、抽選でギフトカードがもらえるということで、結構おもしろがって参加してくれていた。

自分にとっては、同じまちではたらく、看護師、NP、栄養士など いろいろな人と出会えたのがよかった。

体重やBMIについて説明していた栄養士は、「1日にコーラなどの炭酸飲料を2缶飲むと、1ヶ月で5ポンド(約2.3kg)の砂糖を体に取り入れたことになるんですよ~~」と言いながら砂糖5ポンドの袋を見せ、さらに、「1ヶ月で2.4ポンド(だったと思う)の脂肪を体に蓄えることになりますよ~~」、とこれまたその重量の水の入ったペットボトルを人々に見せていた。これは見るものに結構インパクトを与えるものだった。

皮膚がん対策は、この町の人にとってとても大事なテーマ。夏、平気でじゃんじゃん日焼けをする人が多すぎる。無防備で焼けてしまうというよりは、焼きたいと思って焼いている人が多い印象。冬は冬で、日焼けサロンに日常的に行く人が多すぎる。美白が望まれる日本と違って、こんがりと焼けた肌=美しい という感覚なので厄介だ。日焼け・皮膚がん予防・ビタミンDなどを扱った展示はとてもよかった。

2009年6月25日木曜日

薬の勉強会

昨夜、製薬会社の主催する、薬の勉強会があった。近くの開業医が知らせてくれて、参加した。夕食が出たのだが、タダなのは倫理的に良くない。「接待」になってしまう。患者さんや健康保険が薬に対して払ったお金の一部が、自分の目の前のご飯になったのかと思うと、気分はさえない。などと思いつつ、結局ちゃんと食べちゃった。

薬の話そのものも良かったが、私はどちらかというと講師のプレゼンテーションのやり方に学ぶところが多かった。「こんな天気のいい日の夕方に、みなさんいらしてくださってありがとうございます。」という歓迎の挨拶に続き、20人ちょっとの参加者にさささっと自己紹介をさせて打ち解けたムードを作りつつ 参加者のバックグラウンドをしかりと確認していた。スライドは視覚的に非常にわかりやすく作られていて、仕事後のぼーっとしがちな頭にも、大事なメッセージが入ってきた。Take home message(参加者がお持ち帰りすべき大事な内容)は最後のスライドでもう一度確認。これら講師のやっていたことは、決して目新しいことではなくて、むしろ基本事項であるが、当たり前のことをちゃんとやれる人ってすごいと思う。

中国出身の女性のドクターだった。自分の名前を中国語で言ったら、わわわわっと何か中国語で返された。でも私は決まったせりふ(しかも超少ない)以外中国語が分かるわけもなく、すぐに英語にもどった。

「承認」による動機付け

今週の週刊医学界新聞の記事(エッセイ)がよかった。
自分のためのメモ 兼、興味のある方へのお知らせとして、リンクを張ります。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02835_04

2009年6月23日火曜日

目の前の女性、世界の女性

国連人口基金東京事務所のウェブサイトがリニューアルしたというニュースをあるメーリングリスト経由で知り、早速見てみた。http://www.unfpa.or.jp/

1分に1人
年間で53万6,000人
世界のどこかで
お母さんが亡くなっています
という記述にハッとする。今日の仕事を無事終えることで必死の私には、ともするとクリニックの外の世界、さらには世界中の女性に思いをはせる想像力が欠如しがち。

女性として必要な基本的ケアが全世界に行き渡っているとは言いがたい。望まない妊娠を避けること、助産師や医師などの専門家の見守りのもとで妊娠期を過ごし、お産を迎えられることーーこれらは先進国でも発展途上国でも変わらず大事なこと。実はアメリカにおける全妊娠の半数近くはunintended つまり意図しなかった妊娠というのが現実。Aさんの女性健診、Bさんには避妊カウンセリング、そしてCさんの妊婦健診ーーこういった活動を通して健康と安全をお手伝いすることが、今「1分に1人」ペースのお母さんの死亡を少しでも減らすことに一歩近づくんだと思う。私が1日に出会える患者さんの数には限りがあり、私個人ができることにも限りがあるけど、自分の守備範囲はがんばりたい。

先のウェブサイトでは、「お母さんの命を守るキャンペーン」が展開されている。早速サポーター登録した。読者のみなさんもぜひ。
http://www.unfpa.or.jp/mothers/

2009年6月22日月曜日

赤ちゃんの写真

日本だと、産後1ヶ月くらいで実施されることが多い産後の健診だが、私のクリニックでは産後6週間目に実施している。当院の産後検診受診率は、非常に低い。良くて3-4割ではないかと思う。(後で確認してみたい。)産み月にはそれこそ毎週患者さんとお会いするのに、それっきり さよーなら、となってしまうことが少なくない。

今日産後健診におとずれた患者さんは、赤ちゃんの写真の束を持ってきてくださった。連れて来るのは大変だったから、せめて写真だけでも、と。そして、スタッフ用に1枚写真を分けてくださった。

受付のそばの、スタッフがよく通る場所にコルクボードがあって、そこに患者さんからの手紙や写真を貼り付けるようにしている。だけど今日は暇がなくて、結局1日中写真を自分の机に置きっぱなしにしていた。でもお陰で、診察の診察の間に自分の机に戻ってくるたびに一瞬だけど赤ちゃんの絶妙な笑顔を拝むことができて、非常に癒された。妊婦健診では赤ちゃんの姿こそ見えないけれど、自分は彼のためにも頑張っていたんだな、と思うと、次のパワーが沸いてくる。

2009年6月21日日曜日

CGFNSの最新ニュース

CGFNSの最新ニュースへのリンクです。
http://www.cgfns.org/email/sna/june09/2009-06_SNA.pdf

庭と心

アパートから歩いていける範囲の教会にしばらく行っていたのですが、ここ2ヶ月ほどは行っていませんでした。ふと思い立って、えらい遠いのですがクエーカーの教会(ミーティング・ハウスと呼ばれている)に2回(日曜日×2)続けて行きました。

今日とても印象的だったことば:
「普段私たちは physical(肉体的な)世界に生きているけれど、spiritual(心の)世界にも同時に生きている。心の世界は庭と一緒で、無視してほうっておいても、まあ何とかなる。でも庭に気を留めて、手入れを怠らないようにしていくと、やがて豊かな庭ができあがるように、心に気を払って大事にしていくことで、心の世界を大きく成長させることができる。」

クエーカーの教会は、牧師も賛美歌もなくて(あるところもあるらしいけど)、沈黙のときを共に持つことが基本。仏教の座禅に似ているかも。イライラや怒りの気持ちがだんだん静まっていって、手が温かくなって、息も楽になる感じがしました。

ダンス発表会

昨日土曜日は、H家のMちゃんのダンス発表会がありました。夜7時から11時まで、3歳から高校生までの各年齢グループのダンスをたっぷり見ました。各グループが、クラシックバレエ、モダンバレエ(?)、タップダンスなど、いろいろな種類のダンスを交代で踊ってくれました。演目ごとに衣装が変わるので、舞台裏は大変だったと思われます。3歳くらいのグループだと、1列に並ぶということだけでもやっとという感じ。(でもかわいい。)舞台袖で先生が踊っている姿を見ながら一生懸命まねして踊ってくれていました。6-7歳くらいのグループだと、自分たちが何をするのかちゃんと分かっていて、自信たっぷりかつ楽しそう。高校生たちの踊りは、本格的。ソロやデュエットに挑戦する人もいました。Mちゃんのコンテンポラリー・ダンスは、表現力をすごく試される作品でした。私は体を動かすことは幼いころからとても好きですけれど、ダンスに親しむ機会はあまりないまま大人になってしまったので、自由自在(に見える)に体を動かせるダンサーたちをみて、とてもうらやましく思いました。歌を歌ったり楽器を弾くときって、楽譜というものがありますけど、ダンスにもそういう筋書きみたいなものってあるのでしょうか? あんなに多彩な動きを覚えて、体で再現できて、しかもその動きが他の人と揃っているなんて、全く感心すること然りです。

2009年6月18日木曜日

日本医師会と日本看護協会の見解

6月3日、日本医師会がNP導入に対する見解を発表しました。
日本医師会ウェブサイトより:
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090603_2.pdf
一方、日本看護協会の見解(6月16日)は、ロハス・メディカルの記事に報告されています。
http://lohasmedical.jp/news/2009/06/18031805.php

日本でNPが活躍できる日が来るまでの、遠い道のりを感じます。でも出来るところからやっていかないとね。

昨日はなんだかとてもくたびれて、8:45には寝てしまいました。今日はピッツバーグ勤務でしたが、キャンセルが相次いで、結局診察した患者さんは5人だけでした。5人といっても、なぜか団子のように連続していらしたので、じっくりのんびり時間をかけることもできず、とてもバランスの悪い1日でした。なかなかうまくいかないもんです。

NPメーリングリストの仲間たちの中には、NPについて日本の学会誌や専門誌に投稿したり、日本の学会で講演したり、研修ツアーを企画したりなど、極めてパワフルな人たちが何人もいます。アメリカにいながらにして、日本の状況についても非常に詳しかったりして、すごいのです。私は、まだまだ自分の今日1日で精一杯。メーリングリストのディスカッションにもなかなかタイムリーに返信できていません。週末までお預けです。とても刺激的(でもとてもあたたかい)仲間たちに出会えて私は幸運です。

2009年6月16日火曜日

処方権

prescriptive authority を日本語でいうと、処方権になるだろうか。ペンシルバニア州では、NPが薬を処方するためには、NPのライセンスに加えてこの処方権を獲得しないといけない。新規申請にあたっては、NP養成課程で45時間以上の薬理学を学んでいること、監督医と協力合意書(collaborative agreement)を交わすこと、損害補償保険に入っていること、などの条件を満たす必要がある。(詳しく知りたい方はこちらhttp://www.dos.state.pa.us/bpoa/lib/bpoa/20/nurs_board/crnp_application_for_prescriptive_authority.pdf

会社を通してこの処方権の申請を行っていた(つもりだった)のだが、わたしのクリニックと会社本部との間で行き違いがあり、早い話が書類を紛失されていた。1ヶ月以上たっても処方権獲得の連絡が来ないので、州の看護局に問い合わせたところ、「そもそも申請書が届いてないですよ。」と言われ、書類一式を最初から作り直す羽目に。そんなこんなで最初の申請書を書いてから2ヶ月以上かかって、先日やっと処方権を手に入れることができた。

ティーナに処方箋を書いてもらう手間がなくなったため、この点に関しては大分楽になった。「クスリはありがたい存在だが、文字を並べ替えたらリスクになるように、危険性ももっている。」とは、日本の大学時代の薬理学の先生のことば。気を引き締めよう。

2009年6月14日日曜日

アーツ・フェスティバル

Point State Park。 右端にハインツ・スタジアム(野球)、その隣にカーネギー・サイエンスセンターが見える。写真をクリックすると、拡大します。
ピッツバーグで開かれている(今夜まで)Three Rivers Arts Festival に行ってきた。本当は H家の Nおばあちゃんと一緒に行く予定にしていたのだが、急に都合が悪くなったとのことで、やむを得ず私ひとりで行った。ひとりでダウンタウンに行くのは心細い(道が複雑!)だったが、駐車場もうまいこと見つかってほっとした。油絵、水彩画、ガラス工芸、革工芸、木工、陶芸、アクセサリーなどの作品のアーティストが自ら展示即売するテントがずらーりと並んでいた。日本人女性アーティストも2人見かけた。(でも忙しそうだったので、声はかけず。ものすごい賑わい。)
キルトのブースが、私には一番おもしろかった。これが看板。
子供の絵を元にしたキルト。
カメレオンのキルト。
私もやってみた。
私みたいな通りすがりの人が縫ったものを、後で合体させて、大きな作品にするという。
青空のもと、美しいものをたくさん見て、また明日から始まる1週間への活力、いわば心のご飯を食べた気分。

2009年6月13日土曜日

ファーマーズ・マーケット

先日、郡(county)の観光案内所で、郡内の農場リスト(紙1枚)を手に入れた。農場は農場でも、その場で作物を販売しているところだけがこのリストに載っている。かわったところでは、ヘラジカ(elk)、アカシカ(red deer)や特殊な肉牛を売っているところなど。でも私の興味は肉よりも野菜と果物。土曜の昼下がり、野菜を売っていると書かれている農家に出かけていった。

ところが、野菜はまだなくて、花しか売っていなかった。残念。5月まで霜の降りるこのあたりでは、まだこの時期は露地野菜は育ってないのね。7月になったら野菜も並ぶらしい。そして、私のアパートの近くにも週1回出張してきて販売するらしい。もうすこしの辛抱。スーパーの野菜に疲れてきてます。

2009年6月11日木曜日

一言の配慮

検査結果を報告するために患者さんに電話をかける場面がよくあります。患者さんが電話にすぐ出てくださるときは話が早いのですが、留守番電話になっている場合は、メッセージを残すことになります。「折り返しお電話ください」と言って、内容については詳しく触れないのですが、場合によっては「これはnothing serious なことですので。」とか、「good news です。詳しくお話したいのでお電話ください。」といった一言を加えることが、とても大事だと学びました。特に生検などの検査結果を待っている患者さんの場合は、留守電メッセージの言葉にも敏感になっているので、気をつけないといけません。serious な結果について話さないといけないときは、留守電にメッセージを残すより、何度か電話をかけなおして、なるべく患者さんが電話に出てくれるときを見つけたほうがいいのかな、と思っています。「nothing serious」とメッセージを入れたら、うそになってしまいますしね。何か気の利いた言葉はあるでしょうか?

さて、
火曜日は月曜にひきつづき、Aオフィスに出張。
きのうはいつものオフィスでしたが、大繁盛。
本日はピッツバーグのオフィスに出張。
という具合に忙しくしてました。
今が金曜だったらいいんですけど、まだ木曜です。行き帰りのバスではぐっすり寝てました。バスだと自分で運転していくより時間がかかるのですが、運転を人にまかせてボーっとするなり寝るなりできるのがよいです。明日はいつものオフィスです。でもティーナは休みなのでNPは私だけです。がんばります。

2009年6月8日月曜日

仕事・残業考

月曜日は11時から仕事なので、朝運動するようにしている。9時過ぎ、プールから帰ってくると、職場のマネジャーから携帯に留守電が入っていた。折り返し電話すると、今日はAオフィスに行ってくれとのこと。急いで準備して、50分ほど離れたAオフィスに車を走らせた。AオフィスのNPが家族の看病のために先週末から休んでいて、それで私がピンチヒッターに呼ばれたのだ。

たまっていた検査結果を整理し、患者さんの診察をした。診察した人数こそそんなに多かったというわけではないのだが、移動&慣れない(前に3度ほど来たけど)場所での仕事で、帰宅するとどーっと疲れを感じる。

しかし、とまとまん(夫)の仕事量と比べたら、私のなどおそらく比較にもならない。

とまとまんはこのところ、帰宅がとにかく遅い。昨夜は12時ごろだったらしい。それからやっと晩ご飯。柿の種で空腹をしのぎながら仕事に励んでいた彼の姿を思い浮かべると、彼の会社が本当に憎たらしい。残業が常態化していて、ナースの勤務でいえば「日勤+準夜勤の連続勤務」みたいな体制がふつうになっている。恐ろしい環境だ。夕飯がぱっと食べられる場所があればまだいいが、食べに行けない(すぐそばには食べられるところがないので、食べに出るくらいだったら少しでも先に仕事を片付けたいとのこと)から、昼食後も連続で10~12時間働く計算になる。仕事がまずありきで、人手が十分あるかとか、どのくらい残業が必要か、といった考慮なしに、ひたすら仕事の山を追わせる とまとまんの上司にバシッと一発食らわせたい。

いつも私のことを応援してくれているとまとまん。私も彼のことを応援しているが、最近は「今日も1日頑張ってね!」というよりも、「無理したらあかんで。」とか「しんどいときは休んでいいねんで。早退していいねんで。」と言わざるを得ない。とまとまんも好きで残業しているわけでないと知っているから、「なるべく はよ帰りや。」と言うのは余計なプレッシャーをかけるだけだと思いつつ、つい言ってしまう。「定時」なんて全く無意味で、夜7時台の帰宅なら早いほう、仕事が終わらなければ、土日に出勤してでも間に合わすーーーどんなに高い使命感をもって働くエンジニアだとしても、睡眠・栄養・自分らしくすごす時間を十分とらずに心身を維持するのには限界がある。いやむしろ、いい仕事をするべく、睡眠も栄養も自分の時間もちゃんと取らないかんのに。

ウィークデイの疲れから回復するどころか、週末の間もさらに働いて、さっそく月曜から帰宅は12時なんて、どう考えてもおかしい。おかしいと本人も思いつつ、それをこなしていかないといけない立場だという。「とまんとまんの健康より大事な仕事はないよ!!」と私が叫んだところで彼の仕事量が減るわけでもない。むなしい。

私の怒りともどかしさは、一体どこに向けたらいいのか。会社に対する怒りなのに、ついとまとまんに対してガミガミ言ってしまうので、自己嫌悪に陥る。猛烈会社員+専業主婦というカップルだったら、夫の帰宅時、お疲れさまと優しく迎え入れるのだろうか。そして朝はさわやかに出社を見送るのだろうか。とまとまんや私の友人で、就職してから心身を壊した人は少なくない。からだや心がSOSを挙げるに十分な状況があったのだと思う。もう少し、もう少しの辛抱だ、と頑張って、ついに閾値を越えてしまったのではないかと思う。すでに目いっぱい頑張っている人に、頑張ってとは言えない。言いたくない。バーンアウトへの道にアクセルを踏んでしまうように思うから。

とまとまんは mission と passion を強く感じて今の仕事を選んだ。彼がとてもやりがいを感じる仕事だ。でも今の仕事量は彼をこき使いすぎていると思う。好きな仕事だったら何でも耐えられるというものではない。日本の会社(とひっくるめて言うのはよくないと思うが)は、滅多なことでもない限り社員がやめないことを前提に、社員を奴隷のように使ってはいまいか? 

1万キロ以上離れていると、お茶いっぱい入れることも、肩ひとつ揉むこともできない。私に出来ることは、モーニングコール、話を聞くこと(なるべくnon-judgementalに。とまとまんと違って、私はつい口を挟むからいかん)、頑張る以外の選択肢もあることを示すこと(休むの歓迎、やめてもOK。倒れるほど頑張らないで。)、そして、少しおおげさに聞こえるかもしれないが、どこで働いても食べていけるように、自分をmarketable にしていくことか。つべこべいわず、Aオフィスだろうが、ピッツバーグのオフィスだろうが、声がかかれば 世界中どこでもささっと参上して働かなね。そうそう、今の小失敗も大失敗も、将来の本のいいネタになるんだった。みなさん、出版のアカツキにはぜひ本を買ってくださいね。(笑) 笑いごとでなく、とまとまんの体・心・たましいを 私は心配しています。

週末の報告

土曜日
・水泳:550ヤード(正午まで開いていると思っていたプールが11時45分に閉まってしまい、追い出された。800は泳ぐはずだったのに~)
・Aldi にメリーさんと買い物。りんご屋さんにも行った。新鮮なズッキーニも売っていた。
・料理:そこそこ作り置きができた
・掃除
・natural progesterone の本(もう1ヶ月以上人から借りているので早く読まないと。)
・朝晩とまとまんとスカイプ

日曜日
・C公園:初めて訪れる。1時間ちょい歩く。かつてはメリーゴーランドやジェットコースターがあって、かなりの賑わいを見せていたそうだが、今は散歩する人をたまに見かけるくらい。立派なメリーゴーランド小屋(中は現在空っぽ)は残っている。
・Tシャツ2枚購入:公園の帰りにGoodwill でTシャツ2枚(各2ドル)購入。Boys 12歳児用がなぜか私にぴったり。 (あとでメリーさんにTシャツに2ドルは too much と笑いながら言われた。メリーさんなら1ドルか50セントで買うって。ま、2ドルでも十分お買い得。)
・洗車&ワックスがけ:1時間半かかった。かなり重労働
・メリーさんが夕飯をご馳走してくれた。かつてのこの町の賑わいを白黒写真で振り返る本を貸してくれた。人でごったがえすC公園にしても、ダウンタウンにしても、この町は100年前のほうがよっぽど栄えていたように見受けられる
・natural progesterone の本(まだあと3分の2残っている。先が長い。)
・朝晩とまとまんとスカイプ

週末勉強をさぼりました。natural progesterone の本は勉強と言えなくもないけど。気分転換はいっぱいしたので、新たな1週間がんばります。

2009年6月5日金曜日

ふ~、金曜日

ふ~っ。ついに金曜日。

昼から1時間は、電子カルテのデモンストレーションがオンライン会議で行われた。パソコン上での動きを、ふーんと眺めた。今日のところは、自分で手を動かして入力したりすることはできなかった。実際導入間近になったら、シミュレーションしつついろいろクリックしてみて、どこに何があるかを知っておかないと、実際の場面で大いに手間取るだろう。

月曜日以来あんまり運動ができていなかったので、今日はしっかり泳いできた。自分ひとりで1レーンを独占して泳げるのは気持ちよかった。(途中しばらく別の人とシェアした。)

帰り道、メリーさんの家に寄ってしばらくおしゃべりして過ごした。メリーさんと私はとてもよく笑う。メリーさんは私が遊びに行くときは、いつもニコニコしているのだが、実際のところは日ごとの体調に波があったり、親戚のことを心配していたり、少なからず心身のストレスがある。それでも「くよくよしてても仕方ない。」と前向きに1日1日を大事に過ごしているところに私はいつも感銘をうける。1人暮らしながら、いつ訪ねても部屋がこぎれいに整っているところもすごい。薬の入れ物もお行儀よくカウンターに並んでいる。「高齢者サポートのプログラムで、缶詰やらシリアルやらをいろいろもろたんやけど、食べれんものが多いけん、もらってくれると助かるんやけど?」、と言うので、今夕はかなりのお土産をもらってしまった。メリーさんの胃腸はとてもデリケートなので、繊維が多い食品は苦手なのだ。早速私は今晩のデザートに、いただいた果物(缶詰)をありがたく食べた。

とまとまんとゆっくり話すはずが、仕事があるということで、きょうは15分もしゃべれなかった。極めて残念。明日にかなり持ち越し。

2009年6月4日木曜日

ピッツバーグ出張

今日は休んでいるNP をカバーするために、ピッツバーグのオフィスに出張した。初めていく場所だったし、駐車場探しが厄介だろうなと思ったので、朝6時半に家を出てバスで行った。久々に都会に出ると、活気がなんとも心地よい。わーい、人がいっぱいだ、バスがいっぱい走ってる、なんて思いながら歩いて、目的地を探した。ダウンタウンは道が斜めに走っているのでちょっとややこしい。(川2本が合流するあいだの三角地帯だからしょうがない。)街のあちこちにペチュニアなどの花の鉢が上から吊ってあって、とてもきれいだった。

朝一、まず妊婦健診の用紙がまたぜんぜん違うのでつまずく。初回の妊婦健診なので、やること書くことが多い。ルティーンにオーダーされている検査の時期や内容もここではちょっと違うということが分かったので、スタッフに教えてもらう。ふーっ、やっと終わったと思ったら、次の方も初回の妊婦健診。少しは私も学習するから、お一人目よりはスピードアップ。結局3人、初回の妊婦健診の患者さんがつづいた。婦人科や性感染症のスクリーニングのほうは、用紙が一緒だし、物も置き場所がちょっと違うくらいなので、やりやすかった。

「来てくれてありがとう!」というあたたかい歓迎ムードいっぱいのスタッフの下で働くと、自分が役立てることがとてもうれしかった。この先2週間の間に、また何回か行く予定。通勤がちょっと大変だけど、すがすがしい気分で働けて幸せ。

2009年6月3日水曜日

アーミッシュ・クリニックの時間

今日はアーミッシュの人が多く住んでいる地域に出張して診察した。本当は午前中だけのはずだったけれど、予約をちゃんと守って来てくださった患者さんが多かったので、診察が1時40分まで続いた。もともとの予約数もいつもより多かったんだけど。

今日とても精神的に楽だったのは、時間が遅くなったのがぜんぜん自分のせいでなかったということ。今日は私が患者さんを待つ側だった。50歳代から70歳代の患者さんが多いということもあって、診察前の事務手続きや着替えに時間がかかる。なので、私にとってはとても都合のよいことに、診察と診察の間に隙間の時間が生まれたので、そこですかさずカルテを書き上げることが出来た。これだけでも気分がほんとに楽だった。

年齢による落ち着きの影響もあるかもしれないけど、アーミッシュの患者さんはあくせくしてなくて、ゆったりしていて、私たちスタッフの昼ごはんがいつになるのかしらという心配までしてくれて、何で私はいつもあんなに焦りを感じながら仕事をしているのだろう? と思わせられた。いつものオフィスに戻ると、いつもの通りみんな忙しそうにしていたので、昼ごはんを急いで食べて、診察を始めた。そしてあっという間にいつものペースに戻ってしまった。

アーミッシュクリニックは半日ちょいだったけど、腹ペコになったけど、少しゆっくりめに息をしながら働ける環境だったので癒された。物事が予定通りに手際よく進まなくても、焦らず、怒らず、穏やかに過ごす患者さんやスタッフと一緒にいると、去年6月に参加したジョージア州の農村でのservice learning を思い出した。あの時も、辛抱強く待つ患者さん、辛抱強く臨機応変に働く仲間たちがいた。あのときの心の在りようを、普段のサツバツとした環境にも応用できると、もっと心落ち着けて、心満たされて働けるかな?

2009年6月2日火曜日

100日目

1月5日に今の仕事を始めてから、勤務日だけを数えると今日で100日になった。

マネジャーの、言いたい放題の要求(私からすると、ね)にはちょっとついていけなくて、イライラがたまっている。そう簡単におっしゃいますけど、実際にやってみてくださいよ、とよく思う。今日は私、職場で小噴火しちゃいました。

イライラといえば、ほかのスタッフの人たちがクリニックの建物の前で休憩時間にタバコを吸う姿を見るのも精神的によくない。自分でタバコを吸っていながら、患者さんのカルテには"Advised to quit" (禁煙を勧めた)などとよく書けるもんだ、と思う。スタッフの何人かは、毎日のように連れ立ってファストフードの店(いろいろある)に行って昼食を買ってきている。人のことは人のことなんだけど、人様の健康を応援する仕事に就きながら、自らは不健康な選択をしているスタッフを目にするのは悲しい。(とくにタバコ。)ファストフード=超不健康とは限らんし、付き合いってものも大事だし、たまには自分も一緒に行こうか、と思うこともあるけど、行ったところで特別好きでもないものをお金を出して買うのはやっぱり楽しくないので、結局自分は弁当派のまんまだ。ちょっとanti-social だよなとは思いつつ。たまにWendy's に行くというとき、チリとベイクトポテトで参加。以上、愚痴。

ハレツしそうな頭で仕事から帰ってくるとき、近所の80歳の友、メリーさんから電話が入った。彼女の家に寄ってみると、ライスパイ(ライスプディングよりも水気が少なくて、もっとケーキに近い感じ)を作ってくれていた。イタリアの伝統では、これをイースターのときによく作るという。甘さ控えめで、ほっとする味だった。

この3分の2ほどをお土産に持たせてくれた。近所の天使のやさしさに感謝。

2009年6月1日月曜日

Pressure Cooker

Pressure cooker というのは圧力鍋のこと。英語では、プレッシャーで精神的にしんどいときに、比喩的にも使える(と思っているんだけど、あってるか?)。きょうはそんな一日。盛りだくさんな診察内容。明日はカルテの山との戦い。

疲れすぎて空腹感がない。日経メディカルオンライン上で、竹中郁夫さんという方がやっているブログを興味深く読んだ。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/takenaka/200905/510898.html
麻生首相、看護師の業務拡大の検討を指示―医師と看護師のスキルミックスが始まるか?(5月26日付)
「1人でもできる!」開業看護師は日本でも育つか?(5月29日付)

シャワーでも浴びて気分転換してみます。