2014年5月11日日曜日

避妊カウンセリングの勉強会

NPやCNM (Certified Nurse-Midwife, 助産師) として他のクリニックで女性の健康に深く携わっている人たちと、夕飯を囲みながらの勉強会があった。主なテーマは避妊方法のなかでも nondaily (毎日何かしなくてもよい)タイプの避妊方法をいかに効果的に勧めていくかということ。

半年ないしは1年以内に妊娠したい希望がある女性を除き、ほとんどの女性にとって、子宮内避妊具(IUS/IUD)や皮下埋め込み型避妊薬、すなわちLARC (long-acting reversible contraceptives) は第一選択薬となりうる。3年、5年、また10年間連続使用でき、その間いわゆる日々の手入れのようなものは要らない。卵管結紮術などの不妊手術と並ぶ、高い避妊効果が得られるうえ、いつでも止められる。中止後妊孕性はすぐ戻る。(本人の高齢化とか別の要素があれば別だが。)

これに加えて、3ヶ月に1度の注射薬(DMPA)、1ヶ月使える膣内リング 、1週間ごとの張り替えでよいパッチ、なども毎日飲まないといけないピルと比べると、ぐっと簡便だ。

リーダーが話し合いのきっかけとなるような質問を投げかけ、参加者がそれに対して意見や自分の持つ必殺技についてコメントしていく、という方法がとられた。

初めて会う人の方が多かったのだが、働く場所こそ違え、抱えている悩みや困難は共通するものが多かった。問題に対して、他の人がどんな工夫をしているのかを聞くのはとても面白かった。自分の小技を話せるのもよかった。

自分が今回学んだ方法の一例:
インプラント(Nexplanon/Implanon) を始める前に、「当座」、「今」妊娠しないための方法として、取り急ぎprogestin-only Pill を1−2パック使ってもらい、progestin の経口バージョンに親しんでもらってから後日インプラント開始のために再来院してもらう、という方法。DMPA からインプラントの移行というのは何度もやっているが、progestin-only Pill からの移行というステップもいいなと思った。

それから、職場のロケーション、患者さんの人種構成、年齢構成によって、好まれる避妊方法に違いがあるという話ーーーこれは経験上感じていたことではあるが、改めて他の人の口から聞いて、やはり、と思うところがあった。

あくまで経験的な「傾向」なので、単純な一般化は危険であるが、たとえばどういうことかというと、

  • 黒人の患者さんの間ではDepo Provera (3ヶ月に1度の注射薬による避妊)愛用者が他の人種より多い。これには、体重増加を気にしない or むしろ体重増加を好ましいとさえ考える人の割合が黒人の中で多い、という要因がある。また3ヶ月に1度という簡便性、また無月経という簡便性もしばしば好まれている。(一方で、月経が毎月なきゃ嫌だ!という人もいる。)
  • 一方白人患者さんの場合は、体重増加の可能性がある避妊方法は嫌われる傾向がある。
他にこぼれ話として、
  • 地域によっては、遅くても20歳までに第1子を産んでいるのが一般的なので、19歳くらいの女性が、「私は不妊じゃないか」と相談に来ることも珍しくない。
  • 高校や大学卒業などの患者さん本人の目標達成までの3−5年という間、LARC を使えば妊娠の心配なく過ごせるのだ、という事実をもっともっと伝えて行きたいが、未だに未経妊/未経産の女性にIUD/IUSを使うことをよしとしない医師が周りにいて困る。(私はそういうことないが。)
  • 避妊薬による軽度の副作用やまれな副作用を恐れるがあまり、避妊しなかったり効果の低い避妊法を使っていて予期せぬ妊娠を招いてしまうという「副作用」を過小評価している患者さんが多い。(←きわめて同感。特に、肥満、もともとの慢性疾患などがある場合はなおさら。)

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