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2024年5月7日火曜日

つかみどころのない学生への対応

 大体年に数人のNP学生のプリセプター(臨床指導者)を勤めている。ときには同じセメスターの前半と後半に1人ずつ、ということもあるけれど、とまとまんとの生活を良好に保つためには、1セメスターに1人に限っておいたほうがよい。

年齢の差、属するジェネレーションの差、性格のちがい、いろいろあるけども、小芋がとても助かるのは、

  • 分かっていること、いないことをざっくばらんに言ってくれる学生
  • 何が怖いか、不安か、教えてくれる学生
  • やったことある、ないをはっきり言ってくれる学生

逆に、思っていること感じていることをシェアするのを控える学生、不安や恐怖をまったく表情に出さない学生、はとても難しいと感じる。知らないこと・できないことがあって当然なので、知らなくてもできなくても「もともと」なのだが、何がカンファタブルで、なにがカンファタブルじゃないかが見えないと、サポートのとっかかりを探すのにとても苦労する。

カルテの記載をみて、あー、ここ分かってたんだな、とか、ここ分かってなさそう、と読み取れることもある一方、学生によっては、カルテの記載を見てもなお、小芋は今ひとつ学生の理解度を把握しかねることも。。。

患者さんの前では、大いに自信を持った姿で臨んでくれてOK。でも、舞台裏でディスカッションしているときには、プリセプターと腹を割って話してほしい。と、学生に直接言っただけで、学生が変わるんだったらどんなに楽か。

実際はそういかないので、プログラムの先生にコンタクトして、

「えーと、今回のAさんと話していて、どうも私うまくサポートできてない感じがするんですけど、授業や他の実習ではどうでしたか」と聞いてみたり、

別の実習先のプリセプターに電話して、どうしてますか?と尋ねたり。

中間評価、学期末評価まで待たず、随時なんかうまく行ってないぞ、と思った時点で先生にコンタクトしてアドバイスを求めるのが得策のよう。


2024年1月22日月曜日

同僚の旅立ち

80歳代まで仕事をしていた同僚のGさんが亡くなった、とのEmailが入った。 Gさんが退職してからまだ1年ちょっとしかたっていない。生涯現役の方であった。 事務の仕事というのはとてもストレスが高いと見えて、スタッフの入れ替わりが珍しくないなか、 Gさんはいつもニコニコしていて、肩の力が抜けていて、挨拶を交わすだけでも なんだかこちらはリラックスするのだった。 電話口でGさんと話す機会があった患者さんや患者さんの家族も、Gさんの落ち着いて柔らかな話しぶりに どんなにか心が楽になったことと思う。 そして、電子カルテのシステムが変わったり、いろいろと技術面で普通の人がサジを投げそうになる 変化が訪れても(たとえ若くても)、Gさんはひょいひょいと新しいことを次々と覚えるのだった。 元気だから仕事が80歳代まで続けられたとも言えるし、仕事してたから元気が続いた面もあったかと思う。 昨秋にGさん宅を訪ねたのが最後に会う機会だった。 Gさん、本当にお世話になりました。いろいろと愚痴を聞いてくださり、ありがとうございました。

2020年11月9日月曜日

同年代のNP学生のプリセプターをした経験

これまでNP学生のプリセプター(実習指導者)を務めてきた際、おおむね20歳代後半ないしは30歳代前半くらいの学生ばかりだった。この秋に来た学生Aさんは、自分と同じ40歳代で子どもが2人いる(子芋は子どもいないけど)方だった。学部の専攻は看護と違う分野で、一度仕事をしてから大学に入りなおして看護学士をとり、看護師として働きながらNPを目指してきた人である。

看護師としての経験はもとより、看護師になる前にしていた仕事の経験、子どもの慢性疾患と付き合った経験、また家族を亡くした経験など、人間としていろんな経験をしてきていることが、NP学生としてのAさんの存在・深みを作ってきているなと思った。

非常に勉強熱心で、よい質問をたくさんしてくれた。COVIDのさなか、実習先の確保がなかなか難しい中、実習をしたい学生は山といるが、Aさんのように一緒に気持ちよく働ける人と出会えてよかった。

とはいえ、やはり学生を育てるのは大変で、お、戦力になってきたぞ、と思うころに実習が終わる。今学期はAさんに続いて、Bさんが実習に来る。二人ともかつての子芋のように実習先を自ら確保しないといけない立場。

Aさんが実習が終わった時に送ってくれたお花。違う角度から撮影。

2020年5月20日水曜日

COVID-19とマスク考

ほんの3か月くらい前までは、マスクは新型コロナウイルスの感染予防に「効かない」(正しくは、明らかに有効だとする研究結果がなかっただけ)とか言って、マスク着用は不要だとする声があったが、いまや少しでも感染を広げないために、自宅から外出するときにマスクを着用するのは新常識・マナーになった。

ありとあらゆる色、形、柄のマスクが出回るようになり、街中でも堂々とマスクができる世の中にがらりと変わった。(2月くらいまでは、マスクしている人に、怪訝なまなざしが注がれていたのが、今では真逆で、マスクしていない人に怪訝なまなざしが注がれる。)

現在子芋の担当している診察の大方は遠隔診療で、患者さんも子芋もお互いの家からビデオでこんにちは、している。遠隔診療のおかげで、お互いマスクをせず話ができるので、表情が分かって非常によい。

週に1回ほど、クリニックに出向いて、ライブでの診察もしているのだが、この場合は当然マスクをせねばならず、患者さんは目の前にいるのに、マスクで顔が隠されてしまうと、自分の笑顔も見せられないし、患者さんの表情も十分読めない。とくに新しい患者さんと会話しているとき、患者さんが実距離以上に遠い感じがしてしまう。

ピッツバーグ周辺では、「赤色段階」から「黄色段階」に先日緩和され、自宅待機命令こそ解除されたが、まだまだソーシャルディスタンスィングが大事な毎日である。

2020年3月30日月曜日

telemedicine 模索中

COVID-19による生活および仕事への影響が本当に著しい。子芋の職場でも極力診察はtelemedicine で行うように切り替わってきており、そのためどのツールを使うか、どのように医療費請求のためのコードを入力するか、などなど日に日にものすごくアップデートがある。メールと添付書類を読んで、自分なりに試行錯誤しているが、頭がとても消耗する。

いろいろなツールが紹介されたなかで、一番とっつきやすかったのは、Doxy.meというもの。他のツールの説明がややこしすぎて困惑していたなか、これは最初の設定がとても簡単で、実際に使うまでの苦労がほとんどなかった。先週3回使ったが、そのうち1回は画像だけつながって音声がなく、電話と併用して使う必要があった。


2019年10月1日火曜日

州外の施設での人工妊娠中絶

(昨日のつづき)
すでにペンシルバニア州の法律で人工妊娠中絶が許された週数(23週6日)を超えてしまった患者さんのカウンセリングにあたっては、中絶ケアに造詣の深い医師に何度も相談した。

その医師が某州のクリニックをよく知っており、そこに患者さんを紹介することができた。

ちなみに、費用は目玉が飛び出る額であった。が、クリニックのスタッフが各種ファンドをコーディネートしてくれたため、患者さんの自己負担は、かなり軽くなった。

3日がかりのクリニックでのケアを済ませて、患者さんは無事に帰宅した。

トランプ政権のもと、Domestic gag rule が始まった昨今、Title Xの助成金を受けている施設では、今まで通りpregnancy options (産んで育てる、産んで養子に出す、中絶する)のカウンセリングをするのは差し支えないけれど、中絶を希望する患者さんに、どこでそのケアが受けられるのかを伝えることは禁じられている。施設のリストの中に、中絶を行う施設を混ぜるのはいいようだが、その中で、これがそうです、と言ってはいけない。

妊娠初期の人工妊娠中絶ですら、ケアが提供できる施設はごく限られているというのに(州によっては、州全体で1か所という場合も)、まして、他州まで赴かないといけない場合に、患者さんが自ら限られた時間のなかで施設を探す、というのは極めて難しい。インターネット検索にもともと慣れた人でなければ、探せないだろう。(というか、それがそもそも政府の狙いなわけで。)

今後もし、先の患者さんと同じような患者さんとお会いした場合、法に触れずして、どのように患者さんにまっとうなカウンセリングができるのか、そしてカルテにどう書いたらいいのか、考えているところ。

2019年9月30日月曜日

月経異常? まずは妊娠反応検査を!

前回のつづき。(なんともう1か月以上空けてしまった。。)

women's health のバックグラウンドがある者は、トレーニングのなかで、何らかの月経異常があるときは、とまれかくまれまず妊娠反応検査、と叩き込まれる。たとえ患者さんがセックス未経験といってもなんでも、まずこの検査をする。レイプや性暴力などの場合、あまりの恐怖に記憶が飛ぶこともあるし、ドラッグ・アルコールの影響下場合も、セックスしたと覚えてないかもしれない。年齢がとても若かったり、知的障害があったりして、ことの重大性が分からないこともあるかもしれない。

しかし、小児科のバックグラウンドの医療者は、妊娠反応検査を忘れてしまうことがけっこうある。ある小学生の患者さんは、かかりつけ医が月経異常原因を探るためのいろいろな血液検査をしたうえで、私のところに紹介されてきた。その時にはなんと、妊娠中期であった。

お腹もぽっこり大きくなり、恥骨から子宮底までも25㎝あり。すぐ、妊娠週数を把握するために超音波検査をオーダーした。するとその時点で、すでにペンシルバニア州の法律で人工妊娠中絶が可能な週数(23週6日まで)を超えていた。

そこからさらに3週間の間、1)産んで育てる、2)産んで養子に出す、3)人工妊娠中絶をする、の3つの選択肢を熟慮した結果、患者さんは人工妊娠中絶を選んだ。

2019年6月19日水曜日

電子カルテの種類によるワーク・ライフバランス

最近職場で、ワーク・ライフバランスのことがしばしばトピックに上がる。
組織として、まじめにこのことに取り組もうという姿勢を子芋も歓迎する。

仕事は夕飯時間までには切り上げましょう、という感じの unofficial な標語も聞く。(ちなみに、その「夕食時間」が何時、とは言っていない。)

しかし、本当にワークライフバランスを言うのであれば、
末端のスタッフが日に日に使う電子カルテの質を上げるということを、まずはやってほしいなと思う。

子芋は今までに4種類の電子カルテの経験があり、現在は2種類の電子カルテを使っている。その日の勤務先によって、カルテXを使わないといけないところと、カルテYを使わないといけないところがあるんだが、カルテ書きにかかる時間も、疲労感もまるで違う。

ということを前から訴えているのであるが、子芋や同僚の声は届かず。。。

「みなさん仕事は早く切り上げて帰りましょう」的なアナウンスに従ってサクサク帰ってもよいけど、結局終わらなかったカルテ書きは家で続きをするなり、翌日するなり、いずれせねばならないわけで、定時帰宅だけを呼びかけられても、困るというのが本音。

医療者のなかには、「カルテの出来は ”A”を目指さず”C程度”でええんや。」という開き直り(?)派もいると聞くが、専門家としては一定の質っちゅうもんがいる。

そもそもカルテは、自分の趣味で書いているわけでなく、患者さんの主治医やほかの分野の専門医など、患者さんとかかわりのある複数の人が読むわけだし(そして最近は患者さん自身がポータルサイトを通じてカルテそのものを読めるようになっていっている時代)、自分自身も何週間/何か月あるいは何年後かに患者さんと再会する際に、前回自分が何をどう考えていたのは分かるように書いておかねば、自ら苦しむ。

内容的にも見た目的にもスッキリしとしたカルテを書くには、カルテそのものの使い勝手が勝敗を大きく左右する。カルテXを使う日でもカルテYの日でも、子芋個人のレベルで、なるべくまっとうな質を目指しているが、あまりの使い勝手の違いに、いまだに驚く。




2017年11月14日火曜日

移動型NP

午前中小児科のオフィスAに行った後、別の小児科オフィスBに行った。

AからBに移動中の高速道路で急に通行止めがあり(たぶん事故)、急きょ一般道に降りて、田舎道を行ったら、50-60分程度の道のりが1時間半近くかかってしまった。

そして、BはAよりも遠いので、家に帰る道のりも、1時間くらいかかった。有料道路を通るか通らないかで15分くらい違うので、有料道路を通るほうを今回は選んだのだけど、思ったよりも通行料金が高かった。

交通費と有料道路の料金と、移動時間について、上司に相談しなければ。

できれば、家から遠いほうのオフィスに午前中行って、午後に近いほうのオフィスに行けるとよいのだが、あるオフィスは午後枠でないと、患者さんの予約が埋まらない、とのことで、行く順番はなかなか子芋の思うようにはいかない。

将来的には遠隔医療(SkypeやHangoutのような、いわゆるテレビ電話を利用したコンサルテーション)の方法を探さないと、マンパワーには限界があるなぁ。


2017年2月13日月曜日

フォローアップで感じる手ごたえ

職場が変わると、当然だが、一日中お会いする患者さん全員が自分にとって初めての方たち。これはとても大変。

最近やっと、昨秋に診た患者さんの再診が少しずつ入るようになってきた。

まず、患者さんがまた子芋に予約を取ってくれたことがうれしい。(もし二度と子芋なんか見たくもない場合は、別の人、別のクリニックに予約を取っただろうから)

それから、前回の診察後の経過を聞けることがうれしい。特に、症状が改善したなどのよいニュースがあるとき。

若いティーン(10-14歳くらいのティーン)の心をつかむのにはまだまだ苦手意識があるが、ちょっとずつ慣れてきたかな。

2017年2月10日金曜日

auraを伴う片頭痛もちの患者さんが混合ピルを使っているときの話の持っていき方

aura (視野がゆがんだり、キラキラ光るものが見えたりなどの前兆症状)を伴う片頭痛(偏頭痛)の既往のある患者さんがエストロジェン・プロジェスティン混合の経口避妊薬を使うことの問題点を以前に何度か書いた。

http://koimokko.blogspot.com/2009/08/blog-post_13.html
http://koimokko.blogspot.com/2009/09/aura.html
http://koimokko.blogspot.com/2014/10/blog-post_6.html

こういう事実は知っていても、患者さんに話をどう持っていくかで、吉とも凶とも分かれるので注意。今日はコツを示したい。

典型的な例:
大学生。auraを伴う片頭痛もち。これまでの医療機関は、どこかの大学キャンパスのクリニックもしくは出身地のドクター。PCOS(polycystic ovarian syndrome)があったりして、メトフォルミンとスピロノラクトン服用していたりする場合も。もともと混合ピルを始めた理由は、単純に避妊薬としてだったり、にきびを改善したいから、とか、PCOSの治療の一環として、などなど。片頭痛の予防としてつかっているトパマックス(一般名topiramate)のおかげで片頭痛が最近はめったにない、と満足気。

子芋、これらヒストリーを取りながら、とても驚く、があえてそれを患者さんにはすぐ言わない。(コツその1)

驚きの内容は ①auraを伴う片頭痛もちであるにもかかわらず、混合ピル(禁忌!)が処方されている。しかも、②トパマックスは混合ピルの効果を下げるということを患者さんは前医から聞いていない。

初診だったり、初めてのパップスメア(子宮頸がん検査のための細胞診)が控えていたりすると患者さんも緊張しているので、くつろげるようにおしゃべり(大学の様子を聞くなど)しながらSocial Historyを取っていき、続いてパップスメアを含むフィジカルイグザムを速やかに行う。

そして患者さんが服を着てから (コツその2)

  • auraのある片頭痛もちの人が混合ピルを使うことで脳卒中のリスクが増すことの危険
  • トパマックスが混合ピルの効果を下げてしまうという問題

について「心配だ」と述べる。
決して前医を悪く言うようなことは言わない。(コツその3)

より避妊効果が高く、使い忘れることもなく、片頭痛ともトパマックスとの相性も悪くない方法として、IUD・IUS、インプラントの話を持っていく。プロジェスティン単剤のピルについてもさらっとはいうが、避妊薬としての効果は劣るので、お勧め度は低い、と話す。Depo Provera(プロジェスティン注射薬)も安全に使えるが、にきびに関してはむしろ悪くしてしまうかもしれない(そうとは限らないが)、と話す。

話に患者さんがぐぐっと乗ってきて、じゃ、〇〇に変えたい、などという声が聞けたら、それについて詳しく話していくし、もっとよく調べてからにしたい、ということであれば、Bedsider.org や YoungWomensHealth.org を勧める。あるいは、とりあえず今すぐ使える方法として、Depo Proveraなりプロジェスティン単剤のピルを今日初めて、IUD/IUSやインプラントへの気持ちが固まり次第、そちらにすぐ移行する、という段階的な方法もとれる。

コツ1を無視して、その場ですぐ混合ピルの問題点を言い始めてしまうと、患者さんがショックのあまり、その後の会話も診察もできなくなってしまう可能性がある。

コツ2を無視して、そのまま込み入った会話を続けるのはとても間が悪い。

コツ3に関しては、ネガティブコメントをするかわりに、それぞれの医療者はそれぞれいろんな考え方がある、と前医を立てる。そのうえでなぜ子芋は違う考えに至ったのかを淡々と述べると、通じる患者さんには通じる。特に、本来健康をサポートするべきはずのピルが、万一、若くて健康なあなたに脳卒中を起こすようなことがあっては、子芋は悔やみきれない、と心配を示すと、多くの人は納得する。

もし納得していただけない場合、残念ながら子芋は混合ピルの処方箋を書くことはできない、と謝る。面倒だけども、患者さんは前医のところに戻るか、他に混合ピルの処方箋を切ることをいとわない医療者を見つけないといけない。それまでの間、プロジェスティン単剤ピルやDepo Proveraで間をつなぐことはもちろん勧める。

2017年2月9日木曜日

ミーティングと勉強会の頻度について

NPとして3つの組織で働いてきたが、それぞれにミーティングや勉強会に対する取り組み方が非常に違う。

組織の性質も、規模も全然違うので、比べるのも無理があるが、子芋にとっては、定期的なミーティングの場、勉強会の場があるほうが満足度が高い。


2016年9月22日木曜日

クリニックの「出前」に必要なさまざまなロジスティクス

先日小児科に「出前」に行く話を書いた。「出前」とひとことでいっても、普段外来でやっていることを別のクリニックに持っていくには、自分のカラダが行くだけではだめで、いろいろなロジスティクスが伴わないといけない。

前の前の仕事の時、ある私立大学に月1回行ったり、一般産婦人科のクリニックに週1ペースで行ったりしていたので、スーツケースに必要なものを一切合切詰めて渡り歩く、という経験はあるんだが、また改めて同様のことをするとなると、思っていたよりも、あとからあとから難題が持ち上がる。

特に今回は、IUDやインプラント式の避妊薬の処方(処置)もできるようにするのが重要なので、スペキュラムはディスポーザブルのを使うにしても、tenaculum とかring forceps (日本語でどういうのか忘れました)とか、ディスポでは手に入らない道具をどうするか、という課題にぶつかった。滅菌されてパックされた道具を持っていくのは簡単だけど、使用後が問題。

それから、膣分泌物を見るのに使う顕微鏡が小児科にはないので、それを用意してもらったり、部屋の雰囲気はあまり子どもっぽくないように配慮してもらったり、時間帯もティーンが来やすいよう午後ー夕方にしたり、でもその時間帯だけだと部活を休めないティーンには意味がないので、午前中とか土曜日の時間帯も検討したり。

必要なこまごまとしたものを全部持って行っていったつもりでも、まだ漏れているものがあったりして、まだまだ試行錯誤だ。

訪問看護をしているナースたちは、きっとこういう「準備」において優れているに違いない。

2016年9月20日火曜日

電子カルテで決まる吉凶

アメリカで働き始めて、今で3種類目の電子カルテと格闘している。

昨日書いた出前先の小児科クリニックでもまた別の電子カルテなので、それを入れると4種類目になる。

どの電子カルテでも、一定のルールを満たすように作られているはずであるが、使い勝手、見やすさ、は本当に4種4様である。

個人的な好みNo.1は前職の電子カルテ。まぁ、一番慣れているというのはあるけど、それを除いても、基本的に見たい情報が見やすく手に入るカルテだった。感覚的にクリックすると、たいがい予想通りのアクションが起こる。

好みNo.2は、出前先の小児科クリニックの電子カルテ。これもかなり見やすい。紙のカルテを開くのと同じような感覚で使える。配色を好きなようにできるのも気が利いている。そういう単純なことで、見かけの印象はずいぶん変わるもの。

残念ながら、子芋がメインで現在使っている電子カルテは、涙ものである。
なんでこんなに「分かりにくく」作れるのか、わからん。

少しでもカルテの入力時間を削減すべく、今自分用のテンプレートを作成中であるが、他の人がすでに作っている「お気に入りフレーズ」や「検査セット」が移植できないのが至極残念だ。自分でちまちまと、1個1個作らないといけない。そして作っていても、本当に不親切なカルテなので、気が滅入る。せめて見かけの色をもう少し心ウキウキする配色にしたいが、そういう機能はないようだ。(涙)

電子カルテの選択にあたっては、末端のユーザーに選ばせるのが、スタッフと組織の幸せのためである。




2016年9月19日月曜日

小児科クリニックが思春期の子どもたちをサポートできるように「出前」に行く仕事

先月から始めた新しい仕事、
子芋の大きな役割の一つは、地域の小児科のクリニックが、思春期の子どもたち(若い大人たち)のケアをもっと積極的かつ自信をもって行えるようにするのをサポートすること。

小児科医や小児専門のNPは、ふつうの子ども、特に小さい子どもたちのケアにおいては右に出る者はいない。ところが避妊薬や月経トラブルの話となると、非常に苦手意識を持っていたり、婦人科に紹介しておしまい、という場合も少なくないそうなのだ。

子芋はその反対で、一般的な「子ども」の診方は、今やっているFNPのプログラムでまだまだ修行しないといけないが、避妊カウンセリングや月経にまつわるトラブルの対応は得意である。

というわけで、子芋の役割は、自分の持っている知識や技術を小児科クリニックにいわば「出前」しつつ、クリニックのスタッフ自身でもこれらのケアがふつうのこととしてできるように、じわじわとサポートする、というわけ。

子芋の思春期を思い返してもそうだが、思春期というのは、子どもと大人の見事なミックスした時期だ。中学生ともなると、「小児科」に行くには大きすぎるように感じるし、かといって、おっちゃん・おばちゃんの行く「内科」に行くにも行きづらい、微妙なお年頃である。

そんななか、かかりつけ小児科からは足が遠のき、かといって、新たなかかりつけ医を持つわけでもない、宙ぶらりんのティーネイジャーたち。彼らは高齢者と比べれば、脳卒中やがんといった「大きな病気」にかかるリスクこそ低いけれども、自分の世界を開拓しているなかで、お酒・ドラッグ・タバコ・いじめ・鬱・親の喧嘩や離婚・ピアプレッシャー・デート・セックス・性感染症・妊娠などなどいろいろな関門やリスクと人知れず戦っている。

だから、普段からのかかりつけプロバイダとの関係をもって、カラダやココロの相談をしたり、予防的な対策を身に着けることがだいじ。小さいときからその子を知っている小児科医が、中学・高校の時期も、そして親の健康保険でカバーできる年齢(26歳)までサポートできると、思春期の嵐を乗り越えるにも、さらに心強い。

というわけで、手始めに小児科スタッフに避妊カウンセリングのレクチャーをしたりしてるんであるが、なんせ、レクチャーの経験に乏しいので、非常にぎこちない。前にNP学生向けにやった授業のパワーポイントが役立った。ケーススタディーぽくして、みんなが話しやすいようにしてみたのはよかった。

2016年9月6日火曜日

もと患者さんに全く挨拶できなかったこと

前職(大学)の2015-2016年のシーズンを終えて、夏休みに入ったとき、子芋は職場のメールアカウントに自動返信メールを設定した。「ただいまout of office です。8月XX日に戻ります。」という旨を書いて。留守電も同様に設定していた。

子芋が使う診察室が2つあったのだが、その両方を新シーズンのために完璧に整えて、よく使う資料なども今まで以上に使いやすく整理して並べたりしていた。(そのくらい、転職はまったく考えていなかった。)

夏休み中に急に次の職に移ることに決めたため、よく出会う患者さんにすら、退職のお知らせを伝える機会がなかった。仕方ないことだが、残念に思う。夏も働いている同僚には直接あいさつし、夏休み中のスタッフにはメールを書いたが、患者さんにはあいさつする機会が全くない。

診察室に完璧に整えておいた資料のストックのほうは、子芋がカギを返しに行った日よりも前に、同僚たちがすでに自分のものとして使っていた。一つ、とても愛用していた資料で、ラミネートして使っていたものは返してもらおうかとと思ったが、なんとなく言い出せなくて、そのまま使ってもらうことにした。

ところが、新しい職場に行ったら、子芋が使っていたの同じように、まったく同じ資料がラミネートされてクリニックのあっちにもこっちにも置いてあった。だから持ってくる必要は全くなかった。


2016年9月5日月曜日

ドラッグのテスト

新しい就職先に移るにあたり、種々の書類を提出するほか、ドラッグのスクリーニングテストを受けなければならなかった。

子芋がドラッグテストを受けたのは今回が2回目で、前回はエモリーに入学する直前だからなんと9年も前。いろいろと変わっていた。

  • まずトイレのボールのなかにスタッフが青い試薬をかける。(ボールの水を尿に混ぜて希釈することを防ぐためかな?)
  • スタッフがトイレから退室し、自分一人になる。
  • 指定のコップに尿を取る。(トイレの水は流さないように言われている)
  • スタッフを呼ぶ。
  • このコップには温度に反応するシールがついていて、ちゃんと採りたての尿らしく温かいかどうかがチェックされる。
  • テステープが5-6本つながっているものを尿カップ中の尿に突っ込んで、5-6種類のドラッグを一気に検査する
  • 各テステープとも、2本線が出たら陰性。(妊娠反応検査は2本線がでたら陽性なので、子芋は次々現れる2本線を見て、一瞬おどろいた。)


2016年9月1日木曜日

Aクリニックへの転職:うれしい変化も大変な変化

この夏、8年ぶりの大学院の授業にあっぷあっぷしているさなかに、恩師の勧めで、Aクリニックのポジションに応募した。

かれこれ5年ほどお世話になっている恩師のチームに入れるということも、Aクリニックで働けるということも、子芋にとっては夢のポジションの到来!!、なのだが、毎週毎週のテストに四苦八苦し、その上さらにどうやって中間テストやレポートを乗り切ろうかということで頭がバクハツ中だった子芋には、なんで今やねん!と思わず言いたくなるような辛いタイミングであった。何とか必要書類の提出や手続きをこなし、子芋の苦手とする人事部とのやり取りを終えて、晴れてAクリニックで働けることとなった。

新しい仕事と学期末の2週間半が重なったのを一体どうやって乗り切ったのか、今となっては、自分でもわからない。人生のストレス番付で、結婚とか出産とかハッピーなことが割とトップ層に位置しているのと同様に、今回のFNPになるための勉強スタート(まだまだ1年以上つづくよ~)や新しい仕事への転職も、子芋人生の中ではトップ争いになること間違いなし。


2016年7月23日土曜日

前副会長からの引継ぎ

ローカルのNPの組織の副会長になった件を前に書いた(と思う)が、前副会長Aさんから重要な書類をUSBメモリで引き継いだ。

ところが帰宅してみるとこれを開くことができなかったので、今日喫茶店でもう一度会って、彼女のラップトップから子芋のUSBに移すことにした。

引き継ぐべく書類の選択にしばらく時間を要したが、無事に保存することができた。

Aさんは、自分が蓄積した知恵を次の人に引き継ごうという思いやりの強い人で、子芋は本当にラッキーである。

ちなみに、Aさんが前任者から引き継いだ時には書類がもらえず、とても苦労したとのことであった。

子芋もこれから気を付けて書類の整理と保存をしていこうと思う。


2016年7月7日木曜日

中学校・高校に勤めるナースプラクティショナー

先日、ローカルなNPの勉強会で、公立中学校・高校に勤めるNPたちに出会った。簡単な怪我、風邪などへの対応から、持病を持つ生徒たちの医療ニーズへの対応、また急病・大きな怪我などに対する適切な判断など、多彩な内容の仕事をしているようだった。

生徒のニーズは非常に大きいし、NPとしてカバーできる内容も大きいとは思うのだけど、問題は彼女たちに処方権が与えられていないことである。ペンシルバニア州の場合、NPとして仕事をするには、協力医(collaborating physician)と協力関係の契約をして、さらにその医師と処方権についても契約を交わしていないといけない。どうやら彼女たちの勤務先では、協力医から処方権が与えられていないようなのだ。

処方ができないのは、NPの仕事にとって、非常におおきな制限だ。いままで、協力医との契約で苦労しているのは地方の医師不足の地域や、都市でも医療的に恵まれない患者さんを見ているクリニックに勤めるNPたちだと思っていた。こんなに身近なところに苦労しているNPたちと出会って、ますます、NPのfull practice authority の重要性を感じる。