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2014年10月7日火曜日

婦人体温計の進化

基礎体温とは、安静にしているときの体温のことで、通常は朝目覚めてすぐ、寝たままで口の中(舌下)で測る体温のことを指す。

正常に排卵している女性の場合、排卵の前後で低温相と高温相の2相性を示す傾向がある。排卵傾向の有無など、月経周期を評価するため、また避妊あるいは妊娠を目指すための情報として、基礎体温の記録は参考になる。

たった1日とか1週間測ってもあまり意味はなく、最低1−2ヶ月連続で測ってこそ、意味のあるデータがとれる。

基礎体温を測るには、いわゆる婦人体温計と呼ばれる、通常の体温計よりも一桁細かい体温計を使う。たとえば、普通の体温計は36.5℃、36.6℃、というように0.1℃刻みだが、婦人体温計は、36.50℃、36.51℃、のように、0.01℃刻み。

体温計を口にくわえて5-10分過ごす間に、二度寝してして体温計が口からはずれてしまったり、測ってもその値を記録するのが面倒くさかったり、しかも毎日(とりわけ朝に!!)測るというのが結構な手間。(小芋の場合、学生時代に宿題のため3ヶ月測り続けるだけでもとても苦痛であった。)

最近は10秒とか20秒という短時間で測れるもの、体温計自体が日々計った体温を自動的に記録していってくれるもの、目覚めてから計るのではなく、寝ている間に身につけて就寝中に体温を持続的に測ってくれるもの(Ran's Night)など、選択肢が増えた。

iPhone やアンドロイド携帯にデータを転送して記録できるもの、というのも出てきていているそうな。http://www.healthcare.omron.co.jp/product/mc/mc-652lc.html
デザイン的にも洗練されていて、感心する。

ちなみに、日本の妊活ブーム(?)の影響もあってか、同じAmazon のウェブサイトでも、日本のサイト(.co.jp)のほうが、アメリカのサイト(.com)よりも種類が格段に豊富である。

2014年10月2日木曜日

PMS治療薬プレフェミン

日本で、月経前症候群 (PMS) の緩和を効能としたプレフェミンという薬が、先月ゼリア新薬という製薬会社から発売されたそうだ。これは、購入時に薬剤師から情報提供を受けることが必要されている(要指導薬品)が、処方箋は不要。

主な成分はチェストベリー (chasteberry) というハーブ。希望小売価格は30錠で1800円とのこと。
http://www.zeria.co.jp/image/upimg/mv14101416311.pdf

月経3周期に続けて使用したことで、9割の女性のPMS症状が改善した、という触れ込みであるが、症例数が少なく、またたった3周期だけの治験のようなので、リサーチの質としては頼りなく思う。長期使用した場合の効果、安全性はどうなのかな?

比較&参考までに、NIH傘下にある、補完・代替治療法センターのウェブサイトを見てみると、チェストベリーに関するエビデンスは限られているとのこと。(書き方がとても冷めているかんじ。)
http://nccam.nih.gov/health/chasteberry

一方、欧州医薬品庁モノグラフではwell-established use の 医薬品だとされている、とプレフェミンのウェブサイトhttp://prefemin.jp に書いてあったので、そのモノグラフたる資料を探してみたら、あった。Vitex agnus-castus というのが、chasteberry  のラテン名。
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Herbal_-_Community_herbal_monograph/2011/08/WC500110099.pdf
ただしここには根拠となる文献の引用やリンクは載っていない。

見比べるとおもしろい。

2014年2月15日土曜日

月経に関する講義で話した主な内容

先日  月経とうまく付き合うコツ  について地元ピッツバーグの日本人向けに話したという記事を書いた。すると、従来の記事よりも多くの閲覧があった。が、その記事には話の具体的な内容をあまり書いていなかった。物足りなかったと思われた方のために、要旨を書いてみたい。

1. 現代女性の月経の特徴
  • 現代女性は祖先よりもかなり多くの月経を経験している。
  • 一生に経験する月経の数は450回かそれ以上
  • 頻繁に出産や授乳をしていた時代の女性と比べて格段に多い
2. 月経のしくみ
  • 月経は子宮から子宮内膜が剥がれ落ちることだが、この現象の背景には視床下部、下垂体、卵巣、そして子宮それぞれの働きがあること、またこれらの臓器がホルモンによってコミュニケーションをとりあっていることなどを復習。その図をご覧に入れたついでに、過度の体重減少やストレスが無月経を引き起こすメカニズムを簡単に説明。

3. 正常な月経周期
  • 正常周期:21-35日
  • 1周期の数え方:月経の初日から次の月経の前日までのトータル日数。←数え方を勘違い人が多い。)
  • 出血持続日数:2−7日
  • 経血量: 20-80ml (夜中に途中で起きてナプキンやタンポンを交換しないとパジャマやシーツを汚す人、ナプキンとタンポンの両方を使わないと血液が漏れるので不安だという人、日中もパンツや洋服に漏れるアクシデントが多発する人は、月経量が多すぎることが考えられる。)

4. 月経異常にいたる原因の例と月経異常がもたらす影響
  • 全身(または生殖器以外の体の他の場所)の病気によるもの
  • 生殖器の病気・状態によるもの
  • これら原因となる病気が特になくても、頻繁すぎる月経や量の多すぎる月経は貧血を招くし、生活の質・所得・生産性を下げるという意味で問題。
  • ならば無月経なら楽勝かというと、そうではない。(例:骨粗鬆症)

5. 自分にとっての「ふつうの月経」は本当に正常か?
  • 出血量、痛み、不快感の捉え方は個人差が大きいし、自分自身は一つの体しか経験できない。
  • 自分にとってはあくまで「ふつう」なので、異常を放置しがち。
  • 1つの指標は「生活への影響」があるかどうか。(例:月経痛がひどいあまり仕事や学校を休まざるを得ないとか、月経血がもれて服が汚れるので外出を控えがち、など。)
  • 正常と異常の判断に、かかりつけ医を巻き込むことが得策。
  • 背景となる病気がないことを見極めることが大事

6. かかりつけ医に伝えたいこと
  • 月経周期とその「幅」
  • 一番出血量が多い日にどのように対応しているか。
  • 痛みや不快症状の程度
  • 日常生活・仕事などへの影響の程度
  • 月経と月経のあいだの出血やspotting の有無
  • 月経が止まっている場合はその期間や頻度
  • 月経以外の体調全般

7. 必要に応じて行うと役立つ検査の例
  • 婦人科的な診察
  • 下腹部の超音波検査
  • 血液検査(たとえば、貧血の検査、甲状腺の検査、血液凝固異常の検査)
  • 子宮内膜の生検(バイオプシー)

8. 明らかな病気を否定した上でのいろいろな対応策
  (ちなみに外科系の治療法についてもちょっとだけ説明した。)
  • 月経によいツボ———参加者にとても好評だった。
  • 温罨法(例:お米のカイロ)――これも参加者の間でヒット。
  • NSAID (イブプロフェン、ナプロキセンなど)――痛みだけでなく月経量も減る
  • 女性ホルモンを使った避妊薬(月経の量や頻度を和らげる副効用を利用する)
プロジェスティン付加型子宮内避妊具(Skyla, Mirena)
    インプラント(Nexplanon, Implanon)
    デポ・プロベラ(注射)
    膣内リング (Nuvaring)
    パッチ (Ortho Evra)
    ピル (とりわけ、3ヶ月タイプ、24-4タイプ)
    これらそれぞれの避妊薬の特長とリスクをよく理解して使うことが得策。

まとめ:
  1. 現代女性は祖先よりもかなり多くの月経を経験している。
  2. 月経に伴う症状の裏に、病気が隠れていることがある。
  3. 月経そのものが健康や生活を害することがある。
  4. 月経を緩和する方法はいろいろある。
  5. かかりつけ医を相談相手にすることが得策。

2014年2月9日日曜日

煮干しパーティー

この地域の日本人を対象とした健康に関するイベントで、妊娠・出産・育児関連のテーマを取り上げると、軽く30−40人の参加者がある。

一方、子宮頸がん予防とか、月経との付き合い方などのテーマだと、とてもこじんまりとした会となる。

この現象について、とまとまんがいうには、
「人はケーキのパーティーならワイワイと集まるが、煮干しのパーティーだとどんなに煮干しが体にいいと思っていても、参加しようとまで思う人は少ない。小芋の取り上げるテーマは、煮干しなんだよ。」
だそうです。

ケーキほど華やぎはなくとも、煮干しパーティー(?)に足を運んでくださった方には、精一杯のおもてなしをしたいと思う私。

人生のなかで妊娠・出産(ケーキ)は実はごく一部の場面であり、残りは地味に月経とつきあうことになるのだし。

こじんまりしていてかえってよかったです、とアンケートに書いてあるとほっとする。

2014年2月8日土曜日

月経とうまく付き合うコツ

月経とうまく付き合うコツについて、この地域の日本人を対象に話をする機会があった。

目的はこの話題に親しんでもらい、受診するきっかけをつくることなので、なるべく写真や図をふんだんに使って、イメージがつかみやすいように心がけた。

カラフルな骨盤内臓器の模型、IUDや Nexplanon の模型、またピルの写真が一覧になったポスター等も使ってみた。

テーマとしては日々診察のなかで患者さんと話していることなんだが、いざスライドを作るとなると割と手間がかかった。大学院時代のスライドや学会の資料を見返して、改めて講師の偉大さに気づく。

2014年2月17日追記:
この会での具体的な話の内容について、別の記事を書きました。こちらをご参照ください。
http://koimokko.blogspot.com/2014/02/blog-post_15.html

2013年9月23日月曜日

布ナプキンのサイト

月経用の布ナプキンを愛用されている方、または関心のある方へ、

カラフルな布ナプキンを販売しているカナダのウェブサイトがありました。
http://lunapads.com

日本で布ナプキンを検索すると、何社ものサイトがでてきて、かなりの大きなビジネスになっている様子がうかがえる。