2012年3月29日木曜日

コルポスコピーは自転車とおなじ、らしい

今日は久々に、実に4ヶ月ぶりにコルポスコピーのトレーニングを受けた。今まではTさんというNPのオフィスに私が修行に出かけていたが、今回からはTさんがわがオフィスに来てくれることになったので、大変ありがたい。単に出張しなくていい、というだけでなく、なじみのある患者さんのフォローアップができるところがよい。

4ヶ月も間が開いてしまったので、さぁどうなることか、と心配していたが、Tさんいわく「コルポスコピーは自転車に乗るのとおなじ。」 一度習ったことはそんなに簡単に忘れないで体が覚えている、というわけだ。

ほんまかね~、と思ったが、実際やってみるとブランクをあまり感じることはなく、むしろレンズをとおしてみる像と自分の手の動きが以前よりも意味ある連動をなすようになった。お酢を子宮頚部に塗布したあとの、わずかな色の変化にも前より気づけるようになった。(まだまだ気づけていないこともある。)

このトレーニングは最低35例のコルポスコピーを指導者のもとで実施する。最低5例の高度異型性(バイオプシーの結果上で)をも経験しないといけない。だから通常35例では足りず、高度異型性の結果がでるまで修行は続く。というわけで、今の私は目標件数の道半ばか、まだその手前である。

とんぼがえり to 日本

妹の結婚を祝う食事会に参加するため日本に帰った。実質日本に上陸していたのが100時間くらいしかなく、しかも行き帰りにはそれぞれ24時間くらいかかるので、とっても忙しかった。けど行ってよかった。親戚一同に会える機会はなかなかないし、妹はわたしにとってたった一人のきょうだいなので、妹夫婦の企画した食事会(極めて力作)をwitness することは自分にとってとても意義があった。

ところでなんでこんなしんどいスケジュールになってしまったかといえば、年末年始の一時帰国のあとすぐハワイでの結婚式に行って、また今回休みをとったので、それで休みの貯金がごっそり減ることを考えると、小心者の私がたてる日程はこうなってしまうのだった。年次休暇は今年20日あるが、それは一度にもらえず、月に13.3時間ずつだけもらえる。だからハイペースで休みをとっていると、まとめて休みを取りたいときに取れなくなってしまう。

とまとまんがこれまでの日米往復でためていたマイレージを私の座席のアップグレードのためにプレゼントしてくれたので、飛行はだんぜん楽だった。(とまとまんに感謝!!!)お金持ちがビジネスクラス・ファーストクラスの席にお金を惜しまないのがよくわかる。

2012年3月21日水曜日

NP学生からのインタビュ~

ペンシルバニア東部のある大学で勉強しているNP学生さんから、職場のメルアドにメールが届いた。なんでも、「高度実践看護師の役割」という授業の一環で、自分の目指している分野のNPにインタビューをせよという課題があるのでそれに協力してほしいという。メールの書き方がとても丁寧で関心したので、電話で学生さん本人に連絡をとった。

具体的なインタビュー内容は、以下の5項目があらかじめ指定されている。

1.どうしてWomen's Health Nurse Practitioner になったのですか

2.NPの役割において、最も専門職としての満足のいく点はなんですか

3.NPの役割において、最も満足のいかない点はなんですか。

4.新米NPにつたえたい一番の知恵(pearl of wisdom) はなんですか

5.NPだからこそ実現可能だったというような患者さんとの関係・患者さんへの介入の例をひとつ挙げるとしたらなんですか


以上の項目について答えた次第。おもしろい体験をした。

2012年3月20日火曜日

Health Literacy

英語を母国語としない患者さんはもとより、英語が母国語でアメリカで生まれ育ったような人であっても、会話のなかですれ違いを覚えることがある。ちょっと例を挙げれば、

1.リスクの頻度 (何パーセントの人に某の副作用が起こる可能性、とかいうときの「パーセント」のところで患者さんの顔がちょっと?になる。なるべく何人に1人、とかいう言い方にするように心がけるが、つい癖でパーセントを使ってしまったときに、あっ、と思う)

2.各種同意書にサインをもとめたときの、患者さんの困った顔 (だらだら書いてあって、ぱっと見ただけで正直わたしも疲れちゃう。)

3.患者さんが使っている医学用語が、話の文脈のなかで矛盾を生じることがよくある。患者さんの発した言葉は、必ずしも患者さんの意味した言葉とは限らない。例:子宮頸がんにかかったことがある、と患者さんが言っても、カルテをめくる限りは 子宮頚部異形成 (cervical dysplasia) だけだったり。

リテラシー (literacy) というのは、日本語だと、識字能力とか読み書き能力にあたる言葉なんだが、Health Literacyという言葉をCDC(米国疾病管理予防センター)は次のように説明している。

健康に関する適切な意思決定をするために、基本的な健康に関する情報やサービスを手に入れ、処理し、理解するための能力。(原文は Health Literacy: the capacity to obtain, process, and understand basic health information and services to make appropriate health decisions.)

医療者自身が病気や治療の知識をたくさんもっていても、それをうまく患者さんと共有できないと悲劇も起こりうる。専門家として、知識の量、質を確保することと同じくらい、情報の伝え方、共有の仕方に気を払えるようになりたい。

リソースはここにあり。こういう内容をまとめてくれている人たちの努力・労力に感謝。まだちゃんと見てないが、自分のための記録としてリンクをはっておく。
http://www.cdc.gov/healthliteracy/index.html
関連記事(前に書いたブログ記事)
http://koimokko.blogspot.com/2011/07/blog-post_23.html

2012年3月16日金曜日

春通り越して、夏がきた

このところの暖かさで、スイセンが一気に開いた。コブシも咲いた。この勢いだと来週にはチューリップまで咲くかも。

ここ数日は半袖のシャツで出勤。走るときも半袖シャツにランニングショーツ。若い兄ちゃんたちは、早くも上半身ハダカで走ってる。

晴れてあったかくて嬉しいことこの上ないが、ふと、まだ3月だったことを思い出すと、フクザツな気分。また雪が戻ってきたりして。(そもそも今年はたいして降らなかったが。)

2012年3月15日木曜日

安全なSt Patrick's Dayを!

17日の聖パトリックの日を前に、これにちなんだイベントを某大学で実施した。スタッフはみな緑色の服に、緑色のアクセサリー(カチューシャ、ネックレス)をつけた。

学生用の健康センターの診察室で私が診察している間、手の空いたスタッフがカフェテリアにテーブルを構えてちっちゃな袋に入れたミニプレゼントを学生に配った。今日のプレゼントには、緑色のコンドーム、緑色のペン、飴ちゃん1-2個を入れた。あと、"Have a safe St. Patrick's Day!" と書いてあるかわいいカードも入っている。

先週が春休みだったというわりには、性感染症検査(尿検体をつかってのクラミジア・淋菌感染症検査)の希望者は意外と少なかった。むしろ通常の婦人科健診の予約を希望する人のほうが多かった。

昨年12月から月1回のペースでこの大学に来ているが、ぼちぼち予約数が増えて(早くも来月分の予約もいくつか入って)、出張する甲斐がある。

2012年3月13日火曜日

多言語サバイバル術

今日は3人スペイン語を母国語にする患者さんが続いた。「あーやっぱりスペイン語をやらなければ。」と思う瞬間である。各種同意書、問診表などもスペイン語版がないと困る。(あした本部オフィスに訴えよう。というか、今までなかったのが不思議。。。もしかしたら系列の別のオフィスにはひっそりと存在しているのかもしれない。)

パンフレット類はもともとスペイン語のものも用意してたのがあったので助かった。もし手元になくても、次のようなウェブサイトから必要なトピックをプリントアウトできる。PCとプリンタが使えないと痛いが。

Association of Reproductive Health Professionals のサイト:
http://www.arhp.org/publications-and-resources/patient-resources

アメリカ産婦人科医学会のサイト:
http://www.arhp.org/publications-and-resources/patient-resources

Medline Plus の外国語資料はスペイン語以外の外国語もある程度集めているので助かる。たとえば日本語では次のようなものがある。
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/languages/japanese.html

その次の患者さんは某国からの難民の女性。この国の言葉の資料はさすがになかなか用意できない。今日のオフィスは電話通訳サービスを使えない環境だったので、彼女もわたしもとにかく最大限がんばって会話するしかなかった。彼女の英語、とても聞き取りにくいが、よぉーく聞くと分かってくる。時間も根気もいるが、分かり合えると喜びは倍以上。

以前医療スペイン語の本を買ったものの、まったく続かなかった。モチベーションをあげるため、こんど市立図書館でやっている初級スペイン語教室に行ってみる予定。

関連記事(以前に自分で書いたもの)
http://koimokko.blogspot.com/2010/09/blog-post_30.html

2012年3月12日月曜日

皮下埋め込み型避妊薬の記事、ビデオ

皮下埋め込みタイプの避妊薬を海外で使い始めた患者さんが、日本の医療機関で摘出を希望した場合の対応について、興味深い記事が日経メディカル・オンラインに載っていた。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201203/523807.html

これを読んで、たしかに日本でなじみのない避妊薬をいきなり「抜いて」と患者さんに言われたら、医療者としては戸惑うのも無理ないな、と思った。でも記事にも書かれているように、手技自体はむずかしくない。

Implanon (新型はNexplanon)の挿入や摘出の手技について学びたい場合、一番いいのはメーカー主催の講習会に参加してビデオや練習キットを使って勉強することだが、これらの避妊薬が未承認の国にいる場合はそもそも講習会自体がないだろう。

いま Youtube で検索したところ、Implanon および Nexplanon の挿入や摘出を解説するビデオが複数あった。特に興味のある方は、いちどビデオをご覧になると、よりイメージがつきやすいと思う。

なお、米国内でImplanon や Nexlanon の処方・投与をするには、単に医師、NP、PAなどの資格を持っているだけではだめで、メーカーの実施する講習会への参加が義務付けられている。ややおおげさな気がしないでもないが、これはたぶん、確実に技術を伝えつつ広めたい、というメーカーの意図なんだと想像する。

2012年3月11日日曜日

NP認定維持のためのアセスメント・テスト

Women's Health Nurse Practitioner としての認定はNCCという機関が行っている。NCCの認定更新は3年ごと。これをしっかり維持していないと、州の免許の更新にも差し支える。

NCCの認定更新にあたっては、まず Continuing Competency Assessment というテストを受ける。125問に2時間15分で回答する。答えは3択式。このテストの出来不出来で次回の認定更新時までに達成すべき継続教育の時間数が決まる。

このテストを今日やった。
5分野のうち2分野(Physical Assessment & Diagnostic Tools と  Professional Practice) は基準以上のスコアを獲得。残りの3分野 (Normal Physiology and Management、Pathophysiology Gynecology、Pharmacology)に関してはスコアが基準値を下回ってしまい、「合計40時間の継続教育受けなさい」、という結果がでた。

それに加えて、任意の(ただし専門分野に関係していることが必須)10時間の継続教育も必要。(もし5分野全部で基準以上のスコアを確保できた人は、この任意の10時間だけが課される。)

今回のテストは、受けるだけで5時間分のボーナス(?)がもらえる。だから私の場合、40 + 10 - 5 = 45 となり、全部で45時間の継続教育が課されたということ。

ややこしい話ですね。もしよければ、以下の関連記事も見てみてください。
http://koimokko.blogspot.com/2011/02/np.html

2012年3月10日土曜日

昨年9月からの歌リスト

歌の練習にあたって、You Tube でよく聞き比べをしている。以下は昨年9月にヴォイス・レッスンを始めてから今までの主な曲をリスト。(私が歌っている画像ではなく、私がお手本にしてきた歌い手たちの画像。)曲によっては複数の歌い手のものを選んでいる。朝、身の回りの支度をしながら、これで耳トレーニング。
http://www.youtube.com/playlist?list=PL20A6A9B19B30013E

小芋日和


こういう青空が大好き。目を閉じても、まぶたの向こうの光が感じられる。真っ赤に見える。走りながら顔がにやける。
Schenley Park にて。

2012年3月8日木曜日

私は無事ですよ

ピッツバーグ大学メディカルセンター関連病院のひとつである精神科病院で今日午後2時前に発砲事件が発生。2人死亡(うち1人は発砲者)、7人が重軽傷。周辺にある大学などの建物はしばらく出入り禁止になっていたようだ。事件の詳細はまだ明らかになっていない。

私はいつもどおり仕事を終え、何も問題なく帰宅することができた。今日はメインのオフィスではなく別のオフィスでの勤務だったので車通勤だったのだが、道の混み具合も通常と変わらなかった。車のなかでかけていたラジオで事件のことを知った。

安全が守られていることに感謝。


2012年3月7日水曜日

Tea Class

お茶屋のオーナーによる Tea Class を受けた。紅茶、緑茶、ウーロン茶とひとくちにいってもそれぞれの奥の深いこと深いこと。それに加えて、本来の「茶」とはちがうが、ルイボス・ティーとか、ブルーベリー・ティーなど「ティー」と呼ばれる他の飲み物もまた、多種多様やなぁ。

抗菌効果、抗酸化効果とかいった効能を抜きにしても、お茶を入れて飲むという行為そのものがすでにリラックス効果を大いにもたらすなぁ、と思った。

1人でお茶を淹れるのはどうも億劫になりがち。淹れるとしても、安易なティーバッグとか。でも今回試飲したお茶のおいしさは格別だったので、めんどくさい病を治して、お茶を飲む習慣を取り戻したい。

2012年3月6日火曜日

20回目のヴォイス・レッスン

9月からはじめた voice lessonは、今日でちょうど20回目を迎えた。 先週は先生が春休みで実家に帰っていたので、今日は2週間ぶりだった。

「坂道状に成長する人と、階段状に成長する人とがいるけど、今日のあなたは階段状ですね。」と先生。たしかにこのところ停滞感があったが、今日はなんかとても気分よく歌えていた。

先生は5月に大学院を卒業し、6月には引っ越してしまうそうだ。私にとってはとても残念だけど、まだあと3ヶ月前後はレッスンを続けられるわけだから、それまでの時間を大切にしよう。

2012年3月5日月曜日

あと1か月早かったら

10代半ばのAさん。
学校のカウンセラーに勧められて初めて受診。デポ・プロベラという注射タイプの避妊薬に興味があると。

最終月経はほぼ1か月まえ。妊娠反応検査は陽性。このところのコンドーム使用は大体50%くらいだったと。(実際はもっと使ってなかったかも。)あと1ヶ月早く受診していてくれたら避けられた妊娠だったかも、と思わず思ってしまう。

避妊カウンセリングから急遽、妊娠後のオプションカウンセリングに切り替える。避妊のための選択肢はたくさんあるが、妊娠成立後の選択肢は ①妊娠継続し、赤ちゃんを育てる。②妊娠継続し、養子の手配をする。③人工妊娠中絶、の3つしかない。

避妊をはじめる気まんまんで来所した患者さんに、妊娠に関するカウンセリングをするのは酷だ。なにせ本人はまだこれぽっちも妊娠を自覚していないから。(でもやむをえない。)

これを言っても今Aさんのなぐさめにはならないだろうが、アメリカの全妊娠の49%は unintended (意図しない)妊娠だ。 10代でなくても誰でもうっかり、ということはありえる。なんらかの避妊をしていても、たとえ不妊手術をしていても、やっぱり妊娠することがある。

ちなみにここでいう unintended pregnancy は、 mistimed pregnancy (いつか妊娠したいけど、今したかったわけでない)と、unwanted pregnancy (今も将来も妊娠する気はなかった)の両方を含んでいる。Guttmacher Institute の資料によれば、米国女性の半数以上が、45歳までに unintended pregnancy を経験する。ちなみに10人に3人の米国女性は、45歳までに人工妊娠中絶を経験する。

だけど、気持ち的にはunintended でありながら、Aさんのように行動的には避妊が一貫していないことも少なくない。若くてもそうでなくても、避妊って単純にいかないことは多々あり。