2019年10月12日土曜日

ウェルネス考

雇い側がプロダクティヴィティーの圧をかけながらも、一方でウェルネスやワーク・ライフバランスの旗を振るとき、子芋はいつもLucy's candy factory の映像を思い出す。

https://www.youtube.com/watch?v=HnbNcQlzV-4

患者さんが予約時間からどんだけ遅刻しても、断らずに診るべし(すべてはできっこないが、優先度の高いことは少なくともするようにと)、勤務時間目いっぱい予約ぎっしり(つまり絶対に時間通りに終われるわけがない)、何とか診察を終わらしても、そのころにはメッセージが溜まっているので、少なくとも急ぎのがないかどうかざっと見ないといけない、で、カルテ書きが遅れる。書き終えて帰るか、帰ってから書くか。通勤に一時間かかる日には、さすがに帰宅を優先。ご飯食べてからカルテ仕上げるか、早く寝て次の日にするか。

「夕飯時までに仕事は終えましょう!」、という呼びかけがあった。夕飯が何時、とは言ってなかったが。

「ウェルネス、大事ですよー。ウェルネスに気遣っているわれわれ組織って、え・ら・い~~。みなさん、ちゃんとセルフケアしてね~」と言ったもんがち。ずるい。


2019年10月11日金曜日

ディズニーランドより楽しい エステート・セール

Estate sale エステート・セールをご存知? 人が亡くなったとき、あるいは、亡くなってはいないけれど老人ホームなりアパートなどに引っ越すにあたり、家の中のもの一切合切を売るセールのこと。

売りたくないものはすでに 「立ち入り禁止」と張り紙をした部屋に入れるなどして、すでに取り除かれているので、それ以外のものすべてが売り物となる。

普段からthrift store (日本で言えばリサイクルショップ的なチャリティーの店)で掘り出し物を見つけるのが大好きな とまとまんと私であるが、エステートセールではさらに興奮する。

家具や電化製品にはあらかじめ値札シールがたいてい張ってあり、小物もそれなりには値段が書いてあるものが多いが、使いかけの洗剤や、ばらばらのスプーンやフォークとなると、レジの人が適当にまとめて値段をつけたりする。やる気のない人にあたれば、値段のつけ方がさらにいい加減になって、ますますよろしい。

引き出しや戸棚に入っているモノは、取り出して並べてくれている場合が多いが、並べる場所がないほどに中に入っているものが多いと、お客自らが引き出しを開けたり閉めたりして、物色する場合も。

ガレージセールやムービングセールは、基本的に「不用品」が売られるけど、エステートセールは、それまで住人が使っていたほとんどすべてのものが売られるので、早い時間に行くほど、確実に何かいいものが見つかる。出遅れた場合は、当初の価格からさらに半額、なんてこともあるので、それはそれでお得。

先日は散歩途中、たまたま豪邸のエステート・セールを発見。

近頃 とまとまんはトースターを買い換えたいと言っていたんだが、台所でちょうどよいトースターを見つけ、早速小脇に抱える($5)。住人は料理が好きだったと見えて、ありとあらゆる調理道具があったが、子芋は麺棒($1)とチェコ製のレモン絞り ($1)を見つけてホクホク。ジグソーパズル・トランプなどのゲーム類(まとめて$5)、ダブルクリップ、ティーポット($2)、書類整理箱($2?)、などなど、占めて22ドル。レジで我々の後ろに並んでいたおばさんが、「あらあんたら、どこでそのトースター見つけたの? そのゲームはどこにあったの?」とやたらに突っ込んできた。ほとんどのものは1点ものだから、聞いても仕方ないと思ったけど。

とまとまんと私が家のすみずみまで見て回るのに、なんと1時間以上かかった。とまとまんは、もっとゆっくり見たら、半日はたっぷり楽しめると言った。我が家にとって、エステートセールはディズニーランドよりも格上のエンターテインメント。

他人の家の中をみるチャンスはなかなかないし(しかも引き出しや戸棚の中まで!)、世の中のごみは減らせるし、住人・もしくは遺族のお金の足しになるし、いいことだらけだ。

家に帰り、我が家での役目を終えたちっちゃなトースター(友達のおさがり。子芋がそれをさらに11年使った。)は thrift store に寄付した。


2019年10月3日木曜日

論文掲載後の反応

かれこれ4年前、前の職場でやった研究の論文を、この春ある専門雑誌に掲載してもらうことができた。職場が変わったり、父が病気の末に亡くなったり、またかつ共同研究者・指導者も公私ともにいろいろなことがあって、そもそも論文投稿に至るまでにものすごく時間がかかってしまった。そこからさらに、エディターとのやり取りにも予想以上に時間がかかった。とまれかくまれ、このような形の論文は子芋としては人生初だし、世の中に出せて何よりであった。

論文が掲載されて数か月の間に、カリフォルニアとメキシコの研究者から、研究に関する問い合わせがあった。カリフォルニアの研究者は、子芋たちと似通った研究をしていて、われわれの使った質問紙についてもっと詳しく教えてくれと言ってきた。メキシコの研究者も関連のある研究をしているとのことだった。

論文を出せていなかったら、彼らとのつながりはありえなかったわけで、論文に仕上げることの重要性を感じる。

その一方、ジャンクメールも来る。〇〇国際学会お招きします、とか書いてあって、でも本当にお金を払って招待してくれるわけではなく、要は宣伝。とても子芋を持ち上げるような文面なので、最初は返事するべきなのか?と思って一応共同研究者に相談したが、やはり子芋の感は当たっていた。


2019年10月1日火曜日

州外の施設での人工妊娠中絶

(昨日のつづき)
すでにペンシルバニア州の法律で人工妊娠中絶が許された週数(23週6日)を超えてしまった患者さんのカウンセリングにあたっては、中絶ケアに造詣の深い医師に何度も相談した。

その医師が某州のクリニックをよく知っており、そこに患者さんを紹介することができた。

ちなみに、費用は目玉が飛び出る額であった。が、クリニックのスタッフが各種ファンドをコーディネートしてくれたため、患者さんの自己負担は、かなり軽くなった。

3日がかりのクリニックでのケアを済ませて、患者さんは無事に帰宅した。

トランプ政権のもと、Domestic gag rule が始まった昨今、Title Xの助成金を受けている施設では、今まで通りpregnancy options (産んで育てる、産んで養子に出す、中絶する)のカウンセリングをするのは差し支えないけれど、中絶を希望する患者さんに、どこでそのケアが受けられるのかを伝えることは禁じられている。施設のリストの中に、中絶を行う施設を混ぜるのはいいようだが、その中で、これがそうです、と言ってはいけない。

妊娠初期の人工妊娠中絶ですら、ケアが提供できる施設はごく限られているというのに(州によっては、州全体で1か所という場合も)、まして、他州まで赴かないといけない場合に、患者さんが自ら限られた時間のなかで施設を探す、というのは極めて難しい。インターネット検索にもともと慣れた人でなければ、探せないだろう。(というか、それがそもそも政府の狙いなわけで。)

今後もし、先の患者さんと同じような患者さんとお会いした場合、法に触れずして、どのように患者さんにまっとうなカウンセリングができるのか、そしてカルテにどう書いたらいいのか、考えているところ。