2014年3月31日月曜日

女性の生涯を通じた健康管理への提言

読売新聞が30日に配信したニュースによると、自民党の「女性の健康の包括的支援に関するプロジェクトチーム」がまとめた、女性の生涯を通じた健康管理への支援策についての提言が、29日に明らかになったという。

提言の中身が大変気になり、早速自民党のウェブサイトやニュース検索でしらべてみたが、詳しい情報が見つけられない。どなたか所在をご存知の方があればお知らせ下さい。

追記:
提言書見つかりました。
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/124205.html
こちらは提言書を読んだ感想。
http://koimokko.blogspot.com/2014/04/blog-post_22.html

2014年3月30日日曜日

学外で実施されたパップテストの対応

今勤めている大学の学生さんのなかには、夏休みや冬休みなどで帰省したときにかかりつけの家庭医や婦人科医のもとで年に1回の診察を受けている人と、うちのクリニックでそれも受けている人とがいる。どちらでも私はよいとおもう。

元々、行きつけの場所があって、それで満足している人はそれでよい。一方、遠くのかかりつけ医よりも、キャンパス内のほうが実際には行きやすいことも多いので、特に大学入学後始めて婦人科デビューという場合には、学内のクリニックが便利である。

さて、
春休み中に帰省先で子宮頚がん検診(パップテスト)を受けたという患者さん。受診先のクリニックから、パップテストの結果が異常だったので、コルポスコピーを受けてくださいという手紙をもらったという。

この場合、私はもとのパップテストの結果をまず取り寄せる。スクリーニングのガイドラインは2012年に改訂され、パップスメア異常時にどのようにフォローアップするかというガイドラインは昨年4月に変わったが、旧来のガイドラインに沿って診療を続けている医療者もいる。

特に、21−24歳の軽度異形性 (low-grade intraepithelial lesion)や、ASC-US (atypical squamous cells of undetermined significance) かつハイリスクHPV陽性の場合や  は、すぐさまコルポスコピーするかわりに、1年後にパップスメアを再検査する方針になったので、コルポスコピーが必要な患者さんは以前よりもぐっと少なくなった。もっとも、ASC-USでも、cannot exclude high-grade intraepithelial lesion (高度異形性を必ずしも除外できません)なんていう但し書きが着いている場合はやはりコルポスコピーをする方が妥当である。

その辺の細かいところをよく読んだ上で、コルポスコピーが必要かよく考える。

あと1ヶ月で学期末。場合によっては、慌てて今コルポスコピーをする代わりに、学期が終わってから帰省先のもとの婦人科でコルポスコピーするという選択肢も十分あり得る話である。

2014年3月27日木曜日

納税申告書

今年も納税申告書提出の時期がきてしまった。締め切りは4月15日である。

日本では会社や病院などの組織に勤めている人は、月々の給料やボーナス以外に特に収入がなければ確定申告の義務はないけれど、アメリカは基本的に全員、というと大げさだが、多くの人に申告書提出の義務がある。

留学生時代も含めて毎年やっているものの、一向に慣れない。特に昨年は仕事を変わったので、例年にはなかった書類も発生していて、余計にややこしい。申告書作成のためのソフトウェアを使って作業しているにも関わらず、しょっちゅう頭がこんがらがる。分かる人には分かるんだろうが、私はこの手のものは苦手である。

今週は土曜日勤務のため、今日は振替休日だった。午後からずっとやっても夕飯までに終えられなかった。今日はもう頭バクハツしたので、また後日。

ただよかったのは、自分のW-2(日本でいう源泉徴収票みたいなもの)や銀行からの書類とまじまじとご対面できたことである。

2014年3月26日水曜日

学生の親御さん

患者さん(大学生)がたとえ18歳以上の成人であっても、親御さんが診察内容や治療方針について電話やメールでコンタクトしてくることがときどきある。

たとえ親御さんといえども、私はHIPAA  (患者さんのプライバシーを守る法律) を守らないと行けないから、患者さんの許可なく親御さんと話すことはできない。

患者さんのほうから、「うちの母とちょっと話してもらえませんか。」などと持ちかけられたら、もちろん喜んで話す。「両親がすごく心配してて。。」と患者さんがこぼすのを聞いて、私のほうから「ご両親に連絡してみましょうか?」と尋ねることもある。でも、患者さん自身が「いや、私が自分で連絡します。」ときっぱり言うときには、それまでである。(もちろん、話す上でのコツや心構えがあれば、それは伝える。)

なかなか難しいのは、親御さんが医療関係者の場合。プライバシーを守る法律のことだって熟知しているはずなのだが、かなり強行に情報を求めてこられる場合も。

遠方の親として非常に心配に思う気持ちに共感しながらも、できることとできないことを毅然と伝えないとならない。相手は医療関係者だけに口が立つ(?)ので、こちらもプロフェッショナルとしての力が試される。

診察中に患者さんとよい信頼関係が作れていたと思っていても、親御さんには話がゆがんで伝わっていたり、または親御さんの理解が違っていたりすることもある。

大学内のクリニックという性格上、避けては通れない関門とは思うが、ガツンとへこむ。

2014年3月25日火曜日

ゴミと思ったら雪

日本での1週間はよく走りよく歩いたが、先週1週間はとにかく仕事を無事やることと寝ることと食べることで精一杯だった。

日曜日になってようやく走った。非常にノロノロと2時間かけてやっと12km。あらららら。去年のフルマラソンは5時間ちょっとで完走できたが、今年はまだぜんぜんスタミナもスピードもない。本番まであと残すところ5週間。ま、参加できて、かつ完走できたら、ダブルで幸せである。

今日は日が暮れてから走った。もちろん明るい道を。なんかチラチラとゴミが落ちてくると思ったら、それは雪で、帰ってくるころには積もり始めてしまった。。。。ちなみに明日朝の冷え込みはマイナス10℃だそうである。

日が格段に長くなって来たこと、水仙やチューリップの芽がちょっと出て来たことが救い。

2014年3月16日日曜日

春休み終わる

学生は1週間春休み。職員は1日だけ休み。

休みを利用して実家に帰ったり、どこか暖かいところ(フロリダとかメキシコとか)に旅行に行ったりする学生が多く、キャンパスは閑散とする。ゆえに、クリニックの患者数も激減する。この機会に有給休暇をとって1週間だけ日本に帰った。

とまとまんには「ピッツバーグから冷気を運んで来たやろ。」と言われたくらい寒い日もあったが、それでも梅やパンジーは元気に咲いていて、まだ全く花っ気のないピッツバーグと比べたらすっかり春であった。

毎日外で運動できて、もりもりご飯を食べられて、とてもよかった。飛行機の遅延もキャンセルもハイジャックもなく、安全に旅を完結できて、本当に感謝である。

2014年3月5日水曜日

階段話

先週から週2回は階段でのトレーニングをするように心がけている。

36階まで2回往復すると、最初は40分くらい、少し調子づいてくると35分くらい。昨冬は45分で3往復できた日もあったが、今はまだ3往復するまでのスタミナが戻ってない。まぁ、ぼちぼち慣れて行くつもり。

階段愛好家は結構多くて、いつ行っても必ず他の人に出くわす。グループでにぎやかに昇る人、独り黙々と昇る人、また激しいところでは、一段一段斜めに飛ぶように昇ったり、踊り場ごとに腕立て伏せをしたりしている強者もいる。フツーにトコトコと歩いて昇っている私なんかは、極めて地味である。

終わってストレッチしていると、他の階段愛好家が、イベントのチラシを配っていた。なんでも、23日にダウンタウンにあるビルを使って、45階まで昇る大会があるそうな。主催は、米国肺協会(American Lung Association)。残念ながらその日はすでに予定があるので参加できないが、それがなければ申込んでいたかも。
 
イベントの詳細はこちら。
http://www.lung.org/pledge-events/pa/pittsburgh-climb-fy14/local/event-information.html

最近とまとまんも、私の「怪談話」ならぬ「階段話」に影響されたか、会社で最近階段を使うようになった。出勤時、昼休み、帰宅時にそれぞれ階段を使うと、結構いい運動になるようだ。しめしめ。

2014年3月3日月曜日

無保険の留学生が妊娠した場合

外国人留学生や研究者が米国市民と同じように健康保険に入る義務があるかどうかは、税制上その人が resident(居住者)なのか non-resident (非居住者) のどちらであるかで決まって来る。ビザの種類や、在米期間の長短がこのステイタスに影響する。

次の記事がとても分かりやすい。

税制上 non-resident の外国人に対しては健康保険に入る義務は課されず、入らなくても罰金は課されない。けれど、誰しも急に病気になったり事故にあう可能性はあるので、転ばぬ先の健康保険はとても大事だ。そんなわけで、大学によっては、大学独自の決まりとして、留学生に健康保険の加入を義務づけているところが珍しくない。

先日は某大学内の語学学校のスタッフの方から相談を受けた。無保険の留学生が予期せぬ妊娠をして、どこにかかればいいか困っていると。もちろん自費で受診するならどこにでも行けるのだが、限られた予算で生活しているとなると、費用を捻出するのが難しい。

こういうとき、米国の保険事情はとても悲惨たりうる。州によっては外国人でも比較的困難なく公的保険に入れると聞くが、必ず入れる補償はない。妊娠する前に保険に入っておけばよかったのに、と思うが、時間を巻き戻すことはできない。後悔先に立たず。

今回私はそのスタッフに、地元のあるfederally qualified health center を紹介した。federally qualified health centerは、従来から無保険の人、難民、移民をはじめとして、通常の医療機関にはなかなか行けなかった地域住民のセーフティーネット機能を持っている。医療スタッフのほかにソーシャルワーカー達がいたり、所得に応じた診療費の減免制度があったりする。そんなわけで、一般的な医療機関に自費で受診するよりもずっと自己負担が減るだろうし、願わくばソーシャルワーカーが社会的資源の水先案内人をしてくれるのでは、と思ったのだ。

元気で順調な妊娠経過を送ることは、女性本人のためのみならず、赤ちゃんのため、ひいては私たちみんなのためでもある。だからなんとかよりリソースが見つかってほしい。でも万一うまく十分な社会的資源が見つからなければ、場合によっては妊娠初期のうちに自国に帰って残りの妊娠期間をすごし出産する方が、経済的により安全、ということもあるだろう。

高齢、高血圧、糖尿病、双子、など、より込み入った妊娠であればあるほど、妊娠初期からのケアが重要。健康保険に加入していざというときに備えることと同時に、妊娠したくないときには確実に避妊できる方法を使うことが得策だ。

2014年3月2日日曜日

患者さんのソーシャル・ヒストリー考

患者さんの問診を取るとき、病歴やアレルギー歴など集める情報というのはいろいろある。そのなかでソーシャル・ヒストリーというのは、いってみれば患者さんの暮らしぶりや生活習慣に関する情報である。

暮らしぶりや生活習慣というのは、現時点での病気を治す上で知っておくと役に立つだけでなく、これから先の病気を予防するためのヒントになるのでとても重要だと思っている。なぜかというと、暮らしぶり・生活習慣のなかに「未病」の因子がしばしば垣間みられるから。

ソーシャル・ヒストリーに含まれるものとしては、たとえば喫煙やアルコール・カフェイン摂取の習慣、食習慣、運動習慣、職業、誰とどんなところに住んでいるか、趣味やストレス発散の方法、家族・友達関係、信じている宗教や信条、といったものがある。

問診票から把握できるものもあるけれど、口頭で尋ねないと分からないことも多い。これらすべてを逐一聞き取れているわけではない。診察時間は限られているから、特に重要だと思うことを優先して聞くしかないし、それでよいとおもう。

前の職場では、少なくとも職業については尋ねるように心がけていた。代理教員、オフィスビル清掃員、バーテンダー、ウェイトレス、弁護士、銀行員、ストリッパー、就職活動中、などいろんなバリエーションがあった。それを聞くことで、患者さんの理解が深まった、と言うと自己満足的だが、その方の人となりや行動パターンに「なるほど」、と思えることが多かった。

たとえば美容師さんに、「どうしても昼食が取れないことが多いんや。周りのスタッフは皆休憩時間にタバコを吸うねん。」と言われて、彼女の置かれた環境のなかで生活習慣を変えることの難しさを知った。

身体的な情報だけを記載したカルテだと、24歳Aさんの人物像は体重・身長・BMIそのほか診察所見だけで「のっぺらぼう」な感じだが、カルテの隅に「シングルマザーでコミュニティーカレッジに通いながらサンドウィッチ屋で働いている。」などと走り書きしていたら、1年後でもAさんの顔や話し振りを覚えていられたりする、という副効用もある。

現在の職場では、患者さんはもれなく「学生」である。(笑) バリエーションとしては、専攻は何か、学部か修士か博士過程か、地元出身か遠方出身か、勉強以外のときは何をしているか、アルバイトは何をしているのか、この夏はどう過ごす予定なのか、といったような感じで無限である。これら全部を聞けるわけでも書き留められるわけでもないけど、少なくとも何を専攻しているか、留学生だったらどこの国の出身か、などを電子カルテのフリー記載欄に書くように心がけている。

先入観ばかり持つのはいかんが、同じ年齢であっても、専攻や学年による性格や人柄の「傾向」みたいなものがあって(占いみたい?)、それに合わせた話し振りやアプローチをする必要性を感じている。初診時の問診票の項目に、最初から専攻と現在の学年もデフォルトで入れられるといいな、と思っている。