2011年6月28日火曜日

新しい「成功」の定義

Pittsburgh Magazine の5月号(p.20-21)で、次の本が紹介されていた。

"Good Enough is the New Perfect"
サブタイトルが、"Finding Happiness and Success in Modern Motherhood"

まだ実際この本を手にとったわけじゃないので、書評のサマリーを書くみたいになってしまうが、ざっとまとめると、

いまや働くか働かないかの二者択一以上の選択がたくさんあるなかで、選択することに圧倒されたり、周りから孤立感を覚えたりしがちだ、と。自分で自分の「成功」を定義することは難しいが、自分自身が自分のことを「よくやっている」と評価する役であるべきだ、と。で、Good Enough is the New Perfect ということになるようだ。

なかなか惹かれるので、早速図書館に予約した。

2011年6月25日土曜日

エクスターンシップに来る学生たち

うちのオフィスでは、近くの専門学校から、メディカルアシスタントの学生のエクスターンシップ(いわゆる実習)を受け入れている。学内での講義や演習を終えたあと、彼らは2-3ヶ月程度のエクスターンシップをへて、晴れて卒業できるのだ。

積極的に学ぼうという学生がいないわけではないが、そういう学生はむしろ少数派。なるべく最小限の労力で時間数だけ稼げればいいや、という感じの学生が残念ながら少なくない。いつだったか、「わたしらなんて、ただ働きよーー」とあからさまに豪語したり、遅刻が続いたりして、実習中止になった学生もあった。(要はクビ。)

そもそもあまり学ぼうという気のない学生にいろいろ教えているスタッフたちは尊敬に値する。私自身は彼らに手取り足取り教える場面は少ないが、やはり同じ「チーム」として働いているわけなので、彼らの言動・態度もろもろ非常に気になる。血圧が正しく測れるかとか、スタンダードプリコーションを理解しているかといったこと以前に、名札つけてるか、患者さんにちゃんと挨拶できるか、プライバシーが守れているか、から。

誇りを持って働いている優れたメディカルアシスタントの人たちもいっぱい知っているし、また、メディカルアシスタントの学校やその後の仕事を足がかりとして、さらにキャリアアップしていく人もいる。だからエクスターンの学生を十把ひとからげに批判したらいけない。が、医療技術以前の、「しつけ」みたいなところからかかわらないといけないことも珍しくないのが現実。


2011年6月24日金曜日

日本語・英語ごちゃごちゃ

まだ稀なことではあるが、この2年半でぽつりぽつりと日本人の患者さんにお目にかかるようになった。ふつーの会話は日本語のほうが断然楽なのであるが(あたりまえだ)、普段英語でやっている診察室での会話をいきなり日本語でやろうとすると、流れない。。。日本語で話しつつ、カルテの記入は英語でして、で、また日本語で話して、とかやっていると、頭の中の回路が止まって、空っぽになってしまったかのようになる。

英語で慣れた質問を、日本語に置き換えようとすると無理があるので、ちゃんと日本語で考えて日本語で会話ができるようでないとだめだ。とはわかっているんだけど、意外に難しい。。。

2011年6月22日水曜日

年間評価表に関する面談

先月書いて提出した年間評価表に、ボスであるオフィスマネジャーが丁寧にコメントを入れてくれた。そして、なんと1時間もかけて丁寧に面接してくれた。自分はちょっと詳しく書きすぎたか、と心配していたけど、それは杞憂に終わった。一つ一つの項目について彼女が書き入れたコメントだけでもうれしいのに、ちゃんと口頭でも補足してくれるという丁寧さ。できたことをちゃんと評価してもらえて、さらに次なるゴールに向かってのサポートも得られて、いいボスに恵まれて私は幸せ者だ。

何がどうよくなったか、これからどうしたいと思っているか、といったことを、ぜんぶ文章で書き上げるのは骨が折れる作業だけど、自分の普段の成果をこういうかたちで表現することは毎日の仕事と同じくらい大切なことだと感じている。

2011年6月21日火曜日

ガングリオン嚢胞

左足の甲にコブができて、はや1年超。どーせガングリオンだ、と全く気に留めず心配もしていなかった。
(ガングリオンが何であるかは、こちらを参照: http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec05/ch071/ch071b.html

ふと、そういえば主治医に診てもらっていなかった、と思った。(おそい!) 良性だというのはまったく自分の思い込みで、もし悪性のものだったら私ばかだ、と急に不安になり、受診してきた。

主治医もganglion cyst だと思うと言ってくれた。ほっ。

治療方法としては、

1.注射器をさして、中身を吸い出す
2.注射器を刺して中身を吸い出した後、ステロイドを注入する
3.外科的にきりとる

という選択肢を出されたけど、1と2は結構再発率が高いとのこと。

私としては、今のところ痛みも何の不便もなく、治療する意味を感じないので、
様子観察だけすることにした。

ということで、co-pay (診察のたびにかかる自己負担額)$20だけで終了。

受診前にあわただしく Mayo Clinic のガングリオンに関する情報(一般向け)を見ていて役立った。ガングリオンが何者か、だけでなく、診察時にどういうことを聞かれうるか、検査や治療にはどういう方法があるか、など平易な言葉でまとめてくれている。まったくよく出来たウェブサイトだ。
http://www.mayoclinic.com/health/ganglion-cysts/DS00767

2011年6月20日月曜日

旧システムと新システム(電子カルテ)のはざまで

電子カルテが部分的に導入されて、早2ヶ月。導入されたのは主に予約システムと、会計の部分。カルテ自体は、今も変わらず紙のカルテを使っている。カルテ自体も電子化されるのは、早くて秋口ということに今のところなっている。

今一番のストレスは、旧システムと新システムの両方を使って、オーダーした検査の結果や異常検査のフォローアップをしなければいけないこと。

例えば、自分が半年前に「6か月後にPap smear 再検査」と入力した内容は旧システムには入っているが新システムにはなんら反映されていない。だから来月末までに対応すべきそういった項目リストを紙に打ち出す。で患者さんに reminder の手紙を送るんだが、気の利いた人だとすでに予約を入れていたりするので、予約状況をまず確認しないといけない。で、その予約状況は新システムで検索しないとわからない。

いざ手紙を出すとして、旧システムに上がってきた項目に関しては、使い慣れた雛形を使って手紙を書くので楽。だけど旧システム時代にはまだ来ていなかった患者さんに手紙を出す必要があるときは、これが使えない。新システムの手紙雛形がとてもお粗末なので例文を作って添付ファイルで組織の上層部に送ったが、まだ返事来ない。仕方がないので自分でWord 文書で作った雛形を今のところ使っているが、これだと患者さんの住所が自動挿入されない。手紙作ってコピーとって封筒に住所書いて。面倒。

もっと複雑なのは、旧システムに「要コルポスコピー」(精密検査のひとつ)と入力していた患者さんが、実際コルポスコピーを受けたとき、バイオプシーの結果は新システムのほうに入っている。だけど元のpap smear の結果やコルポスコピー所見のサマリーは旧システムに入っている。旧システムのほうに「コルポスコピー完了」の旨をアップデートしないといけないし、新システムには今後のフォローアップ計画を書き込まなきゃなんないし、でもって紙のカルテにも一言はサマリーを書いておかないと後でカルテだけ見たときに自分が困るし、で結果は3重作業。

将来的には紙カルテがなくなって、電子カルテに一本化されるわけだけど、今はシステム導入時よりずと面倒なことになっている。パソコン上で、あっちの画面、こっちの画面、と移動しているうちに、後ろに回っていた画面が一定時間を超過して、またパスワードから入力しないといけないことになり、一日何度も叫びたくなる。あ~~~~~~~~~~ もっとも、暇なときは叫ぶ余裕もあるが、患者さんがちゃんと予定通り来ているときは、パソコンの前にじっくり座る時間もないので、仕事はたまる一方。

問題は、こういう作業に関して十分なトレーニングもはっきりとした指針もないことだ。見切り発車すぎる。

愚痴でした。極めて読みにくかったと思います。あしからず。

2011年6月19日日曜日

映画 Food, Inc. と 本『食品の裏側』

食生活のことをいろいろ考える中で、映画 Food, Inc. を DVD でハウスメイトのナナコさんと昨夜見た。そして、ナナコさん推薦の安部司著『食品の裏側』を読んだ。

感想&自分のためのおぼえがき:
  • いま出回っている食品のすがたは、あるいみ消費者である自分たちが求めてきた結果。
  • 逆にいうと、今の消費者が何を買うかという選択のひとつひとつが、まるで選挙のように生産者や企業をうごかす力となる。
  • 安いものには安いだけの理由があり、後々大きな代償を払わねばならないかもしれない。
  • 絶対安全とか添加物ゼロ、とかは非現実的。むり。
  • よりよい選択をなるべくすることが、健康につながるだけでなく、まっとうな仕事をやってくれている農家や企業を応援することにつながる。
  • 肥満の背景の多くには食生活があるわけだけど、個々人の習慣だけでなくその人を取り巻いている社会全体の「食生活」の影響なしには語れない。

2011年6月16日木曜日

安くて高カロリーの昼ごはん

メディカルアシスタントの実習に来ている学生たちを見ていると、来る日も来る日もピザやハンバーガーなどをファストフードを昼休みに買いに行って食べている人が多い。私にとって一番驚きなのは、フライドポテトにフライドチキンという組み合わせである。揚げ物に揚げ物である。ぎゃー。ちなみに付け合せの野菜などはない。

職場は町の中心部にあるので、ファストフードから高級レストランまで食べる場所はいっぱいある。でも手軽さと値段ではファストフードのチェーン店にかなうものはなかなかない。ファストフードとひとくちにいっても、またおなじファストフード店であっても、内容にはいろいろ違いはある。だからファストフード=体によくない食事、と決め付けたらいかんと思うけど、学生たちを見ていると、安くてかつボリュームがあって、というのが重要なように見受けられる。(単に私の印象)  さらに、すでに味つきのものに、さらにケチャップやバーベキューソースをたんまりかける人もいて、またまた私は「ぎゃー!」である。

ファストフード店各種を巡回するがごとく、来る日も来る日もファストフードを食べ続けていると、もはや私にとっては「ぎゃー!」と思うような食事内容でも、「ふつー」の内容になるのか。もっとも、幼少時からの典型的な昼ごはんからして、ファストフード店の内容とあまり変わらないものだった可能性もある。最近は学校のカフェテリアの内容も随分改善されてきていると聞くが。

私の昼ごはん? 弁当派だ。安上がりだし、行列に並ぶ手間もないし、揚げ物で胃もたれして午後仕事にならない、なんてことにもならないので自分むきなわけ。

小学校・中学校通しておいしい学校給食に恵まれた自分は幸せものだったと思う。幼稚園と高校のときは母が弁当を作ってくれていた。(高校でも作ってもらっていたのは、今思うと甘えてたな、と思う。)自分のいまの弁当の内容は給食や母の弁当にはとても及ばないけど、いちおう「こうありたい」という姿はあり、それなりにバランスとか考える。食育という言葉は当時まだなかったように思うけど、食事の姿を家でも学校でも学べたのは、今もって感謝だ。

食事はこうありたい、という健康的なモデルを持てていなかったら、食事を改善するのは、きっとすごく難しいと思う。皮肉なことに、安くてボリュームのある手軽な食事ほど、高カロリーや高塩分だったりする。

昼食を1回分6ドルで買うとして、月~金まで毎日買うと、30ドルかかる(それでは足りないくらいかも)。もし30ドル分の食材を買って料理したら、弁当どころか1週間分の食事が作れる。でも、目の前のファストフード店でランチを買うほうが、野菜や果物を2つ3つ買うよりも安くつくかもしれない。それに材料を買ったら、料理の手間がある。もっというと、冷蔵庫や調理器具もないと料理はできない。料理の作り方も少しは知らないと作れない。

決して経済的には豊かでないメディカルアシスタント学生たちがファストフード店に足繁く通っている一番の理由はなにか、具体的に聞いたことはないが、いろいろ勝手に考えを思い巡らした次第。まとまらず。

2011年6月15日水曜日

食べてないのに肥満

非常に肥満の方に限って、食事を1日1-2回しかとっていない、と言われることが結構ある。その1-2回の食事が膨大な量なのか、というと、そうではなさそう。じゃ、飲み物はさぞカロリーの多いものか、と思いきや、「炭酸飲料もジュースもぜんぜん飲みません。水だけです。」なんてこともよくある。では間食が多いのかというと、間食もしてないと。(もちろんしていることもあるが。)

先日は、「私が食べるのは、1日おきで、それも日に1回だけです。」という患者さんに出会った。しかしながら、体重はたしか昨年よりも5kgくらいむしろ増えていた。24-hour recall (過去24時間に何をいつどのくらい食べたか尋ねる)をやっても、ほんとに大して食べてなさそう。

体がむくんで体重増加しているわけでもなさそうだし、食べないのに太り続けるのが、すごく不思議でしょうがない。消費エネルギーが摂取エネルギーより少なければ、体重は減るはずなのだが、むしろ増えるって何でだろう?

2011年6月13日月曜日

読むモットー

Wanda Hope Carter さんの書いた、 "To Achieve Your Dreams, Remember Your ABCs" いう詩のような文章を、私はよくブツブツと唱えてきた。
これを知ったのは17歳のとき。以後何度励まされてきたかわからない。般若心経を写経するがごとくに書きなぐっていた時期があり、それ以来すっかり覚えてしまった。

最近ひさびさに彼女のウェブサイトを見て、Everyday Magic という別の詩が、いまの自分にはもっとしっくり来るような気がした。こちらのほうが、自分の弱さを謙虚に認めながら、でも確実に今、今日、夢に向かって前進していく感じがする。ABC と違って、諳んじるのは難しそうだが、毎朝バス停でバスを待ちながら読むことにしよう。視覚的にも美しい見事な文章だ。


2011年6月12日日曜日

つぶやくモットー

すこしまえにRunner's World という雑誌で、ランナーの励みとなるmantra (モットー、合言葉、座右の銘ってかんじ)の記事があった。つらいときでも、力や勇気のわいてくるような短い言葉を頭に念じながら走ればスタミナもスピードも維持できるというわけだ。記事では、有名なmantraの紹介とともに、自分オリジナルのmantra をつくるためのヒントとなるような言葉集も載っている。ウェブ版はここから見られる。

"This is What you came for."

というのが私は一番気に入った。快適なときでも、しんどいときでも、「このためにわざわざ自分はここに来たんだ!」と唱えると、頑張れる気がするから。これは 昨年24時間で165・7マイルを走ったScott Jurek さんの言葉とのこと。

読者がコメント欄に書き込んでいる言葉のひとつ、
"Inhale confidence, exhale fear." (息を吸って自信を吸い込め。息を吐いて恐れを追い出せ。)
もいい。

走っているときに限らず、人生全般に使える言葉たち。

2011年6月8日水曜日

壊れてなかった体重計

前に帰国した日本人の人から5ドルで買った 体重計がある。ひさしぶりに体重を量ったら、なんだか予想外に5ポンド (2kgちょい)ほど減った数値を示した。

きょうジムの体重計で量りなおしたら、やっぱり同様の値を示した。ありゃま。ポンドだとkgよりも増減の数値が多いように見えるので、余計に衝撃的。

現物の私を知る人はみなご存知のように、私むっちゃ食べるのだが、みな燃やしてしまう。(燃費きわめて悪い) 一時さぼってばかりいた運動をこのところ再開し、あいかわらずよく食べているんだが。これから努めて午前と午後のおやつを頑張ろう。BMI の数字がすべてじゃないけど、もともとunderweight ぎみだし、軟い骨にはなりたくないし。


2011年6月7日火曜日

診療所の立地環境、賃貸料

A市にあった系列の診療所が最近B市に移転した。そこは、日本でいうホームセンターみたいな店や、ディスカウントストアや、ネイルサロンなどが並ぶ土地にあり、目の前にはそれらの店共通の広い駐車場がある。

この新しいオフィスに先日出張した。壁からカーペットから棚から、ピッカピカである。A市にあった旧オフィスにも何度か出張したことがあるが、やはり新しくてかつ広いオフィスというのは見た目がすこぶるよい。足を一歩踏み入れたときの印象が全く違う。

賃貸料は当然前のところよりも高くなったそうだが、「買い物のついで」に気楽に寄れる立地というのはかなり好条件らしく、これからますます利用者の伸びが期待できるとのこと。

ひるがえって、わがオフィスは、この新オフィスの並でない、べらぼうな賃貸料がかかっているそうな。場所が場所だけに。しかしながら、建物自体も内装も古く、どんなに掃除や整理整頓をしても、古びれ感は払拭できない。先日結果が出された患者満足度調査でも、「このオフィスはもっと近代化すべき」、「リフォームしたほうがいいでしょうね。」などのコメントが自由解答欄に書かれていた。「駐車場がないのが不便」、「周辺の駐車場がどこも高くて困る」などのコメントも。

都市の中心部に位置しているというのは、方々からバスという手段で来る患者さんにとっては重要なことだ。多少遠くても、バス一本で来ることができるから。車で来る患者さんの場合、つまりそういう社会層にいる患者さんの場合、保険を使って一般の診療所に行くという選択肢もあるかもしれないが、バスに依存している患者さんの場合、自分が利用できる医療機関の選択肢すら限られていることが結構ある。

ビジネスとして収入と支出のバランスを考えたら、郊外にオフィスを構えて、より安い賃貸料できれいな診察環境を整えたほうが賢いだろうと思う。でもそうすると、バスしか交通手段がない患者さんにとっては、非常に足が悪くなってしまう。かといって、賃貸料が身にあわないほど高かったら、ビジネスとしては破綻して、元も子もなくなる。

こういった収支計算や今後のオフィスの方向性に頭を悩ましているのは、私のようなNPではなく、オフィスマネジャーやその上の組織全体の首脳部だ。社会的責任を果たしつつ、収支上もまっとうにやっていく計画を練っていくのは、頭の痛いことに違いない。

2011年6月5日日曜日

3年ごとの患者満足度調査

先週オフィスマネジャーが、2007年度と2010年度の患者満足度調査の結果比較を見せてくれた。予約の取りやすさ、診療時間、場所、電話対応などといった項目別に患者さんたちが5段階評価で評価してくれた数値の平均がスコアとして出ている。

2007年時点では組織平均を下回っていた項目が、今回はおおむね平均に届くか、届かなくてもぐっと伸びを示していることにほっとした。それ以上に、「この診療所で一番何が気に入っていますか?」という自由回答タイプの質問に対し、「フレンドリーなスタッフ」、「ナースプラクティショナー」、「話をよく聞いてもらえて安心できること」、「よく説明してもらえること」などのコメントが、時に私の名入りで書かれていることにものすごく励まされる。

さぁ、今週もがんばるぞー

2011年6月4日土曜日

マーケティング活動

最近、AクリニックとBホームの2箇所に、自分の診療所について説明に行く機会が続けてあった。

Aクリニックは無保険の患者さんを専門に診ているところ。そこで働く医師や医学生に自分の診療所の説明を手短にした。患者さんに渡すのに便利なように、各種パンフレット類を整理してファイルしたバインダーも持っていった。

Bホームは、主に10代の子どもたちの自立支援をしている施設。そこのスタッフの研修会に呼んでもらって、自分達の診療所がどんなことをしているかスライドを使って紹介した。性感染症について少し話してほしいということだったので、クラミジアを例に話した。避妊方法に関しては各種方法の模型を持っていって会場で回した。(ここがいちばん盛り上がった)

個々の患者さんに話すは慣れているけど、たくさんの人の前で話すのはやっぱり緊張してしまう。ま、やるっきゃない、と開き直ってやるんだけど。

この手の仕事をマーケティング活動としてのみ捉えると、自分にとってはあまり面白みがない。だけど、診察が必要と思っていながら方法がわからずにいる人や、そもそも診察が必要だとも思っていない人に受診の道を作るための活動だ、と思うと、途端にやる気がでる。4月に行ったコルポスコピーのカンファレンスでは、検診を受けてない人をいかに取り込めるかが何よりの予防だ、ということを再三言われた。その言葉がまだ頭に響いてる。

2011年6月2日木曜日

被災地に行った医師の報告会

ピッツバーグでは約2週間前の土曜日に、震災被災地に行った日本人医師4人による報告会&座談会がありました。ピッツバーグ周辺に住む約35人の一般日本人が参加しました。(加えて子どもが10人来て、ベビーシッターが3人では足りないくらい。)それぞれ違う組織を通して、別の地域(被災地といっても広い)に、かつ少しずつ違う時期に被災地に入った各氏から、それぞれの形の報告を聞くことができました。

早くも震災発生後4日後くらいに被災地に入っていた医師からは、まだまだ医療物資が不足していて医療としての活動は十分できなかったと。でもそんな中、ハーシーのチョコレートが思いのほか大人にも子どもにも喜ばれ、魔法の薬と思えるくらいに重宝したそうです。(ペンシルバニアに住むものとして、何だか嬉しくなる報告。)その後に行った医師たちは医療物資が少しずつ整ってきた中で活動されていた様子でした。震災後1ヶ月前後行った医師は、電柱がものすごい勢いで建っていっているようすをみて、復興の力を感じて胸いっぱいになったと語ってくれました。

また、ピッツバーグにいながらにして、さまざまな方法(チャリティーコンサート、ベークセール、大学内での募金活動など)で活発に活動してきた人たちの紹介や意見交換も自然なかたちで進んで、いろいろな人のいろいろな思いが共有できる場になりました。笑いあり涙ありの2時間強。

一般市民として何ができるか、という話では、
今までの自分の生活の見直し(例:節電)とともに、経済活動をしっかり行うということが大事である、というコメントが私にとってとても印象に残りました。これらは募金や医療・物資支援がひと段落したあともずっと大事だなー、と私は思いました。

昼の12時を回って、子どもたちが待ちきれなくなる中、座談会は打ち切りになってしまったのですが、もし時間があったら、私は香山リカのコラムを紹介したいと思っていました。これは毎日新聞の連載なのですが、震災発生後から10回にわたり震災ネタが続いていました。毎週このコラムを読んでいて、私は気持ち的にとても助けられました。もしよかったら、ごらんください。

2011年6月1日水曜日

緊急避妊薬ノルレボ発売

あすか製薬が、緊急避妊薬ノルレボ錠0.75mgの販売を5月24日に開始した。ミクスOnline の記事によると、あすか製薬社長が希望小売価格は1万円くらいと述べたということだ。薬の価格に加えてさらに受診にともなう費用が発生するだろう。(日本では処方箋がないと、この薬は手に入らない) そうすると、総費用はもっと高額になってしまう。

このあたりの薬局では、Plan B one step が大体50ドルくらい、Next Choice が40ドルくらいである。これでも高い(特に学生にとって)と思っていたが、処方箋なしで買える(17歳以上であれば)だけ、まだ状況は恵まれているといえる。

ともかく、ノルレボという手段が日本に合法的に加わったことを歓迎したい。価格・処方箋の必要性など、課題はあるが。

ノルレボ処方の際に、通常時の避妊方法をカウンセリングすることがすんごく重要だと思う。残念ながら避妊方法の選択肢は、アメリカより日本のほうがぐっと少ない。Nuvaring(膣に入れる直径4.5cmくらいのリング)、Ortho Evra (皮膚にはるパッチ)、Implanon (皮下に埋め込むちっちゃな棒)―――こういった方法を取り入れることで、やっと避妊を自分のものとした患者さんをたくさん診ているので、少ない選択肢の中で選ばないといけない日本の女性が不憫である。製薬会社がこれらの方法を日本に持ち込まないのは、日本では需要が乏しい、採算がとれない、と思っているからだろうか?