ぴったぴたのジーンズ、ヨガパンツ、レギンスを身につけた患者さんが多い。というか、昨今は股下に余裕のあるズボンをはいている女性のほうがマイノリティー。
「yeast infection (カンジダ膣炎の俗称)になっちゃったんです!」、と言って来院する患者さんの10人中9人は、ぴたぴた服である。そして、そのぴたぴた服の下には、下着はなにもないか、あっても thong (Tバック)であることがほとんどである。ノーパンやTバックが選ばれるのは、「パンツの線が外から見えるとかっこ悪い」からであるが、おかげで物言わぬ外陰部たちは偉い目にあっている。
明らかなカンジダ膣炎もそこそこあるが、こういった服や下着の素材や擦れなどの物理的刺激による炎症が不快症状の根本にあると私は見ている。
この格好で、歩くだけでなく、長時間座って授業を受けたり、走ったり、スピニング(自転車こぎ)して汗をかいたりしているのだから、外陰部に異変が起きない方がむしろ不思議だ。
そして、痒みや発赤やおりものが出ようものなら、患者さんは普段にも増して石鹸やボディーウォッシュで1日何回もせっせと洗ったり、ワイプでふいたり、香料付パンティーライナーを使ったりするから、異変はますますひどくなる。
「よかれ」と思って患者さんが行っている生活習慣と逆のことを私が提案したところで、患者さんはきょとんとしている。膣の常在細菌叢を維持するためには洗い過ぎは禁物である、といういわば「less is more」の概念もなかなか飲み込んでもらえない。
何度か同じ痛い目にあって、やっと私が言っていたことのの意味が分かった、という学生も少なくない。
あまりに同じような患者さんが続くので、私としては、学生を集めて集中講義をしたいと思うほどである。
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