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2015年11月2日月曜日

保険会社に問い合わせる電話の技術を伝える

オバマ政権による保健医療改革によって、基本的に避妊薬は、IUDやインプラントも含めて患者さんの自己負担なく保険がカバーすることが義務付けられたが、IUDやインプラントの挿入や抜去は加入している保険のネットワーク内の医療機関でないとカバーしない、などの「抜け道」はまだある。

小芋の勤める学生用クリニックのような医療機関は、患者さんの加入している健康保険は実にさまざまで、州外の健康保険を持っている患者さん、留学生用の保険(多くは避妊薬のカバーは期待できない)を持っている患者さんも珍しくない。

ゆえに、事前に我々の方でどの保険がどの避妊薬をカバーするかを確実に把握するのは無理な話。ピルやパッチやNuvaring であれば、処方箋を持って薬局に出向けば、その場で価格が判明するので、その場で「やっぱりやめます。」ということもできる。しかし、IUDやインプラントをすでにクリニックで挿入してしまってから、患者さんが高額の請求書を保険会社から送られるのは大変。

そういうわけで、事前に患者さんに、懇切丁寧に保険会社のカスタマーサービスにどのように電話をかけるのか、伝えないといけない。

保険会社のカスタマーサービスというのは、たいてい自動音声で始まるし、担当者と実際話ができるまでに時間がかかるので、アメリカ人でも気合とスタミナがいる。

「xxの方は1番を、OOの方は2番を、**の方は3番を押して下さい。」などといわれるが、無視して、「Representative」と言い続けるのも手である。(コンピュータが認識して、オペレータに早速つないでくれること多し。)

やっと人がでたら、そこで初めて、次のような質問をすることになる。

xxというタイプのIUD (またはインプラント)を使いたいのですが、それは私の保険でカバーされますか。カバーされるならば、それはmedical benefitでしょうか、それとも pharmacy benefit でしょうか。oo大学の学生用クリニックでIUD (またはインプラント)の使用を始めたいのですが、そこでケアを受けても、問題なくカバーされますか。OKとわかったら、担当者の名前、今回の案件の問い合わせ番号を聞いてメモ。

こういう非常にややこしい話を、手短かに、患者さんにわかるようにしないといけないが、社会経験の浅い大学1年生あたりだと、なかなかわかってもらえないことも。

願わくば、こういう電話を自らかけるという作業を通して、患者さんが保険会社とやりとりするノウハウ、交渉の技術をものにしてほしいな、と思っている。でないと、時間と手間をかけて、小芋のストレスだけが上昇してしまうよ〜〜。




2015年10月12日月曜日

HPVワクチンを勧めるときに有効な語録

クリニックで大学生や大学院生にHPVワクチンを勧めるにあたり、説得力のあるエビデンスを話に挟むと、思春期に親の方針でワクチンを受け損ねていた学生さんも、それならばぜひ、と話に乗ってくる。

次の資料は、思春期の患者さんの保護者に話すことを想定して作られているが、とても役立つ。日本ではHPVワクチンに対する風向きが厳しいと聞くが、個人個人の患者さんに、丁寧にワクチンを勧めていくときにも、この資料のコンセプトは役立つと思う。
http://www.cdc.gov/vaccines/who/teens/for-hcp-tipsheet-hpv.pdf

このページのビデオもよい。
http://www.cdc.gov/vaccines/who/teens/for-hcp/hpv-resources.html
小児科医がこう言う場面がでてくる、「患者さんにいつも言うんです。私は自分の娘二人にもHPVワクチンを受させているって。20年後にもし彼女たちが子宮頸がんになって、ママ、どうして私を守るために何もしてくれなかったの、なんて言われたくないですから。」というフレーズがでてくる。

全く同感。ワクチンで予防可能なHPV関連のがんの存在を親として、あるいは医療者として知りながら、みすみすワクチン接種の機会を逃してしまうのは勿体なさすぎる。

9価のHPVワクチンにまつわる、よくある疑問質問には、こちらもおすすめ!
http://www.cdc.gov/vaccines/who/teens/downloads/9vHPV-guidance.pdf

現場の医療者の即効力になる、これら資料に感謝。

2015年6月13日土曜日

ティーンに避妊方法を伝えるビデオ

このページのビデオに注目。
http://www.nationwidechildrens.org/bc4teens
高校生か大学生くらいのお姉さん的女性たちが、もう少し若い中学生くらいの女性に避妊方法について説明している。気楽なおしゃべりのようなセッティングだが、避妊方法選びのポイントが入っていて素晴らしい。普通のことばでわかりやすく説明しているところが、NPと共通する。


2015年6月12日金曜日

教え方を教えるレクチャー

ASCCPこと、American Society for Colposcopy and Cervical Pathology という学会が主催した、Educate the Educators II という3時間の無料のレクチャーを受けに、先日Baltimore まで行ってきた。

HPV、子宮頸がん、HPV予防ワクチンに関する知識のアップデートもさることながら、患者さんや学生や地域の人にどうやったら効果的に教えることができるのか、プリゼンテーションの方法や内容に注目していたところがとてもよかった。

以下は、小芋のメモからランダムに抜粋。

準備編:

  • 準備しすぎることはない。とにかく練習。鏡の前で練習せよ。
  • 見た目は大事。相手・立場にあわせた服装を。(例:男性なら親しみやすいアニメキャラクターのネクタイが効果的なことも。)
  • 会場には最低30分以上前に行って準備する。(とっさの事態にも対応できるように。)
  • 準備できたら会場の人とおしゃべりして仲良くなり、また聞きたいことを尋ねたりしてニーズをつかむ。
  • 本番でもし言葉につまっても、思いっきり赤面しても、しくじっても、聴衆が聞きたいことを伝え続ける限り、聴衆は凡ミスなどまったく気にしない、と自分に言い聞かせておく。


スライド編:

  • スライドは読まない。けど、読んでることのキーポイントをわかりやすく書いておく。
  • 6-6-6ルール:1行に6語まで、1枚のスライドに6行まで、6枚文字ばかりのスライドが続いたら、写真やグラフのスライドを入れる。(あくまで目安。)
  • 7フィート(210cm くらい)離れたところから自分のパソコンを見て、スライドの文字が見えやすいか確認。
  • カラーとコントラストを効果的に使うべし。
  • 写真は圧縮してから貼り付ける癖をつける。(でないと、馬鹿でかいサイズのファイルとなり、メールで送れない。)


実際編:

  • みんなの前で「お話」を披露する、という心構えで。
  • 「自分」として、自分の言葉で話すようにする。
  • ユーモアが入るといいが、それが自分の得意技でないときは無理しない。
  • 面白い話をする前に、「面白い話があるんですが」とは決して言わない。しらけるだけ。
  • ちょうど全体の半分の位置にあるスライドをよく覚えておき、後半の時間調整の目安にする。
  • 答えのわからない質問が来たら、正直にわからないと言う。後で調べてお伝えします、と言えれば花マル。

読者のみなさまにとっては、すでに知っていることだったり、その辺の本に書いてありそうなことばかりで、決して目新しくはないと思うかもしれないけど、小芋にとっては、講師がこれらを実践しながら話すことに説得力を感じた。

また、自分の失敗例からわかったつもりのようになっていたことでも、講師がわざわざ話題として取り上げてくれたことで、「やっぱりそうなんやな。」と再認識するきっかけになってよかった。

今回のレクチャーで使われたスライドは、まもなく出る9価のHPVワクチンのガイドラインなどを含めてアップデートした上で、後日参加者に配られるそうである。非常に楽しみ。

2015年6月9日火曜日

Teach backという方法

本日のARHPのウェビナー(オンラインで配信するセミナー)は

  • 永久的な避妊法(卵管結紮、Essure、男性不妊手術など)と
  • 長期間使えて且つ中止できる方法(LARCことlong-acting reversible contraceptives)


に焦点を当てていた。一番印象深かったのは、患者さんの理解を確認するための質問の例である。Teach back と言って、わざわざ医療者の方が患者さんに質問して教えてもらうような形をとる。

たとえば、

  • この避妊方法をつかうと、あなたにとってどういういいこと(positive impact)があると思いますか。
  • この避妊方法を使い始める女性がいちばん多く経験する副作用を3つあげてみてください。
  • もし気になるような少量の出血(spotting) が起きたら、どうしますか?

これを嫌らしくなく、自然にできると良いと思う。

teach back というやり方はどんな分野でも応用できるが、質問のかたちにするのが慣れないと意外と難しい。

2015年6月7日日曜日

抗生物質との付き合いかた

先週、米国ホワイトハウスが、ヒトと動物に対する抗生物質の使い方について、計150以上もの企業や専門職団体と会するフォーラムを持ったそうである。

ご存知の方も多いと思うが、抗生物質は、ヒトの病気に使われるだけでなくて、食用の鶏や牛などの家畜にも(しばし予防的に)広く使われている。抗生物質が効かない細菌感染が近年ますます広まってきて、国を挙げてもっとまじめに取り組まなければいかん、という危機感がこのフォーラムの背景にあると思う。

診察室では、しばしば、「抗生物質をもらわないといけない!」と固く信じている患者さんと出会う。診療する側も、これは抗生物質を使うべきだ、と思える場合はバトルにはならんが、反対に、使うべきでないと判断した場合に、患者さんと意見を交わす(時に激しく)ことになる。

患者さんに納得することばで説明すること、それから患者さんの味方(健康を護るサポーターとして)としての立場から話すことを心がけるが、それでも一筋縄ではいかないことも多い。

特に期末テストの前とか、就職面接の直前などというとき、「たとえ効かなくてもいいから『念のため』抗生物質をください!」と泣いて訴えられたり。背後に(たとえキャンパスから何百キロも離れていても)母親からの強い勧めがあったりすると、なおさらである。

で、関連するCDCのページを斜め読みしたのだが、なかでもこのQ&Aがよかった。
http://www.cdc.gov/getsmart/community/about/antibiotic-resistance-faqs.html
ウイルスと細菌の違いとか、どのように薬剤耐性ができるか、などが医療用語を使わずに易しく書いてある。セリフとして頂戴しておく。

それから、このページにあるように、
「ERを利用する患者さんの5人に1人は抗生物質の有害作用のために来院している。」というところも今後のセリフにしよう。

電子処方(電子カルテから薬局に直接処方箋を送信する)にしないで、あえて紙の処方箋を書いて、どうしてものときは(悪化が続くようなら)何日後に薬局に持っていくように、という手をつかったことはあったが、これだと、患者さんがその日のうちに薬局で抗生物質を手にするのを避けることはできなかった。今回わざと未来の日付を処方箋に書くという方法を知った。
http://www.cdc.gov/getsmart/community/improving-prescribing/interventions/delayed-prescribing-practices.html

2015年5月31日日曜日

ピッツバーグの「ビーチ」と皮膚がん

最近公園で日光浴をする人が増えた。

男女とも、その姿たるやビーチにいるのと変わらない。ないのは水辺だけ。

大学院時代に、"No tan is good tan." (よい日焼けというのはない。)と叩き込まれた小芋にとって、これはとても悲しい風景だ。

皮膚がんを経験した27歳の女性が、人びとにもっと日焼けの害に敏感になってほしいという願いを込めて、治療中の自分の顔をFacebook に載せたそうだ。それが人から人へと伝わって、ついにはテレビのニュースにも挙がっていた。
http://www.cnn.com/2015/05/12/living/skin-cancer-selfie-feat/

小芋が診察室で患者さんに話すよりも、サバイバーの写真はずっと説得力がありそうだ。

これと関連で、
喫煙の害に関しては CDC のウェブサイトにたくさんの経験者の証言が載っている。自分の経験を他の人に伝えることで、自分と同じようん思いを減る人が減ってほしい、という姿勢に小芋は心打たれる。
http://www.cdc.gov/tobacco/campaign/tips/stories/sharon.html

2015年2月9日月曜日

私に心配をさせなさい

どんな症状のどんな患者さんであっても、多かれ少なかれ不安を抱えているが、ことに大学生、大学院生の患者さんを見ていると、不安が症状以上に大きく膨れ上がって大変なことになっていることが少なくない。

インターネットでいろいろ自分なりに調べて、「あーー自分はこの病気に違いない。きゃーーー!」と恐怖におののいていることも。

診察して、説明・話し合いをいろいろして、患者さんのこんがらがった状態を丁寧にほどく。それでもなお、患者さんの不安のカタマリが、短い診察時間の中で完全に溶けきらないこともある。

そんなとき、わが同僚Aさんは患者さんにこう言うのだという。

"You let ME worry." 私が代わりに心配してあげる。私に心配をさせなさい、ということ。心配はここに置いて帰りなさい、ということ。

これには「オチ」つきのバージョンもある。
"You let ME worry. And you know what? I'm not worried."
(私に心配をさせなさい。だけどね、私は心配してないですよ。)
これで患者さんがふふっと笑えばしめたものである。

でもこれで突き放すのではなく、最後に
"If you're worried, I'm always here for you."
(心配なときは、いつでも私はあなたのためにここにいますよ。)
と、セーフティーネットを張って締めくくるところが、Aさんらしい。

2014年12月15日月曜日

体のオーナーが決めること

皮下に挿入するタイプの避妊薬、Nexplanon (3年間使える)を使い始めた患者さん(Bさんとしよう)が、使用開始後2ヶ月足らずで使用中止を希望された。

Nexplanon にかぎらず、避妊薬の中には、使用後しばらく種々の副作用が起こることがある。副作用のうち、生命に関わるような重篤なものは、すぐに対処しなければならないが、多くの場合は、軽度〜中等度の不快症状であることが多い。

使い始めてわずか1日、1週間、1ヶ月といった短い期間では、これら不快症状が今後よくなって落ち着くのか、それとも継続しそうか、それともますますひどくなるか、といった傾向がまだまだ見えないことも多い。使用開始から2−3ヶ月をへて、やっと霧が晴れるかのように、症状が落ち着くこともしばしば。

ゆえに、可能であれば、約3ヶ月は継続して使用を続けてみることをお勧めしている。そして症状が持続する、または悪化するようであれば、使用中止するのがやはりごもっともといえよう。

先のBさんの場合、2−3ヶ月のいわゆる「お試し期間」が終わる前に使用中止(抜去)に至った。小芋は避妊薬の一般的な傾向とか、今後の一般的な見通しとかは、患者さんに伝えられるけれど、最終的には体のオーナーである患者さんが納得して決めることが一番大事だと思っている。

2014年12月14日日曜日

外陰部の健康:やっていいこと、わるいこと

こちら、米国の助産師の学会が作っている患者さん向けの資料。外陰部の健康によいこと、わるいこと、が丁寧に書かれている。
http://www.midwife.org/ACNM/files/ccLibraryFiles/Filename/000000002192/Vulvar%20Care.pdf

患者さんが「よかれ」と思ってやっていることが、外陰部にとってはむしろ害ということがよくある。凝り固まった信念をゆるがす(?)のは大変なので、口で話すだけでなく、こういう資料を「お土産」に渡すと効果的。

同僚の医師たちにも好評。

過去の関連記事。
http://koimokko.blogspot.com/2014/02/blog-post_20.html

2014年12月10日水曜日

恋するフォーチュンクッキーで自己メンテ女子

12月3日付の京都新聞記事、
「がん検診、『恋チュン』替え歌動画で呼びかけ 京都・長岡京」というタイトルの記事(http://kyoto-np.jp/politics/article/20141203000032)をm3.com経由で読み、
長岡京市健康推進課と保健センターの職員さんたちが子宮頸がんと乳がんの検診を歌って踊って呼びかけるようすを早速見た。
http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/vod/0000004330.html

とっても笑顔で、軽快で、替え歌もダンスもむっちゃ楽しい。

「家族の健康も大事。けれども自分のメンテもね。」
「長岡京市のみなさん、検診そんなに怖くないよ。Hey! x 3」
「カモンカモンカモン baby 予約しよう!」

なんて粋な呼びかけかただろう!!!

途中、歌と踊りの合間に画面に登場するパネルには、、
「何もなければおめでとう! 見つかってもおめでとう!」という子宮頸がん経験者の言葉あり、
また、「生涯で乳がんになる確率は女性12人に1人」という切実な数字もあり、
5分の間にメッセージがたくさん詰まっている。

「仕事、育児と忙しい。面倒だとも思うかも。地道なポスター気づいてくれない。Year x 3」というところに保健師たちのもどかしさを感じ、思わず涙がでた。

替え歌を考えたスタッフ、このビデオのために練習したスタッフの皆様に頭がさがる。

2014年12月8日月曜日

患者さんからの質問メール

学期末が近いということもあって、いつも以上に患者さんからの質問メールが多い。メールで質問して事がすめば、勉強の時間を削らなくてすむぞ、という魂胆も見え隠れする。

質問は、私の大学のEmail アドレスにくるものもあれば、ポータルサイト(電子カルテの機能の一部)を通して電子カルテ上に飛んでくるものもある。Email宛に受け取った質問も、返信時はなるべくポータルサイト経由にするようにしている。その方が安全(なはず)なので。

ごく簡単な質問は、回答も1−2行で済むけれど、ちょっと込み入った質問となると、短時間で書いて答えるにはふさわしくないものも。答えるべきか否か、答えるならどのように、どこまで、を考えながら返事する。

患者さんにとっては至極便利な機能だが、NPにとってはなかなか手ごわいことも。

でもこういう便利な機能は、大学クリニックだけでなく、今後おそらく学外の医療機関を利用してもますます一般的になっていくだろうし、患者さんが医療者とコミュニケートする術を育てるのも私の役目の一つだと思っている。メールでできることとできないことを示しながらやっていこうと思っている。

こちらは過去に書いた関連記事:
http://koimokko.blogspot.com/2014/02/blog-post_25.html

2014年10月8日水曜日

性教育とファイナンシャル教育

最近とまとまん こと我が夫は、ファイナンスについていろいろと勉強していて、小芋にもよく知識や知恵をおすそ分けしてくれる。小芋も刺激されて、関連のオーディオブックを図書館で借りて読み(聞き)始めた。

とまとまんに「こういうファイナンスについての知識って、もっと早く、できれば中学校とか高校とかで習っていればよかったなぁ。」とぼやいた。

すると、とまとまん曰く、
「性教育とファイナンシャル教育って似てるよ。どちらも、学校で習う機会は乏しい。親も教えてくれるとは限らん。そもそも、大人でもちゃんと分かってない人が多い。性のことも、ファイナンスのことも、生きていくにはむっちゃ重要やのにな。」

名言。

2014年8月1日金曜日

女友達の日

8月1日は、女友達の日(National Girlfriends Day)だそうだ。今日初めて知った。

CDC(米国疾病対策予防センター)のウェブサイトには、友達同士でより健康に安全に過ごすためのコツが書いてあって、面白い。

http://www.cdc.gov/Features/GirlfriendsHealth/

友達は自分の努力を応援してくれるし、一緒に運動することもできるし、自分がいい加減にしていても、注意を促してくれる存在だ、と書かれている。

よく運動すること、健康的に食べること、定期的に診察を受けること、ドラッグ・アルコール・タバコをやめること、ーーーーこのへんのコツは、まぁ普通といえよう。

もう一歩踏み込んで、性の健康、パートナーからの暴力についても踏み込んでいるところに注目。

あなたとお友達は何でも話すことが出来ますね。セックスを含めて。健康的な妊娠や性感染症を防ぐためのコツをシェアしましょう。

てな具合だ。

2014年7月12日土曜日

あなたは1年以内に妊娠したいですか?

あなたは1年以内に妊娠したいですか?

この質問にたいする答えが、yes の場合、no の場合、そして分からないウンヌンという場合それぞれに応じたアドバイス満載のウェブサイトを発見。
http://beforeandbeyond.org/toolkit/

かかりつけ医など女性のプライマリーケアにあたる医療者が、ルチーンで毎年この質問を患者さんに投げかけ、患者さんにあったサポートが効果的にできるように作られている。自分のルチーンケアを振り返る手がかりとして、また一歩踏み込んで調べたいときの資料として役立つと思った。

ここでpreconception care (受胎前のケア、妊娠前のケア)というくくりで扱われている内容って、生殖年齢にある女性のWell-woman Visit (1年に1回の診察)でやっている内容そのものだ。

「あなたは1年以内に妊娠したいですか。」とわざわざ質問することなしに診察を終えることも可能だが、あえて最初のほうでこの質問を投げかけると、医療者が患者さんのプランを把握しなおすために役立つだけでなく、患者さんにも一瞬止まって考えてもらうことになるし、その質問のあとに続く内容にも影響するので、鍵となる質問だなと思う。

2014年7月10日木曜日

婦人科受診はスカートで、の謎

子宮頸がん検診など、婦人科系の診察を受けるうえでの心得について日本語で書かれたパンフレット、本、雑誌の記事などに、よく服装についてのコメントが書いてある。

たとえば、
「ゆったりとしたスカートがおススメです。」
「パンツ(ズボン)はNG。」
「服装はなるべくパンツやタイトスカートより、フレアースカート、ロングスカートでお願いします。」(えらい細かいなぁ!)

患者さんがジーンズで現れようが、レギンス姿だろうが、診察室にバスタオルあるいはそのくらいの大きさの布1枚あれば、まったくへっちゃらだ、と小芋は思う。

今の職場では、下半身だけの診察でよい場面では、下半身だけ服を全部脱いでから柔らかい紙製のカバー(バスタオルサイズでふわっとしている)を腰から足にかけて掛けてもらっている。

全身の診察をするときは布製の診察用ガウンに着替えてもらうことが多いが、患者さんが着ているのがブラとざっくりしたTシャツだけ、というようなときは、わざわざガウンに着替えるかわりに、ブラの背中ホックだけ外してもらって、あとは必要なときだけとTシャツをまくれば、背部や胸部の診察も問題なし。

ガウンに着替えるより、上半身だけでも自分の服のままでいるほうが、患者さんがリラックスしやすいように感じている。小芋は、病院ガウンを着ただけで、病人になった気分になる。

ただ、ぴちぴちタイトなシャツを着ていたり、複雑に重ね着しているようなときは、ガウンに着替えたほうが、お互いのためである。

なお、クリニックによっては、用意しているガウンが紙製(使い捨て)のところがある。布製だと業者に洗濯に出す必要があるので、紙製のほうがちょっとコストが安いかもしれない。でも、これはまるで死に装束みたいで格好悪いし、着心地は悪いし、診察の最中にビリビリ破れるときもあり(特に汗を吸うと簡単に破れる)、小芋は嫌いだ。

2014年5月8日木曜日

初めから完璧な関係などない

どんな避妊方法でも使い始めにはいくつか軽い副作用がでることがあるが、それを事前に説明するにあたり、私は新しい靴のたとえをよく用いる。

あるNPはちょっと別のたとえを紹介してくれた。

「どんな親友や彼氏彼女でも、はなからパーフェクトにうまく行くなんてことはないでしょ。(Whether it's your best friend or your boyfriend, a relationship is never perfect from the beginning.) 

いざこざあったり、けんかしたりして、やがていい関係になっていきますよね。

同じように避妊薬との関係 (relationship) も似ていて、最初はぎこちないことがあるかもしれないけど、付き合っているうちにだんだん慣れてうまくいきますよ。」

(このたとえもなかなかよいでないの!)

そしてどういう副作用が起こりうるか、いつ頃落ち着くことが多いかなどを適宜説明。また副作用症状が強かったり、問題が続くときは、打つ手があるのだ、ということも解説。

患者さんにとって、こういう「見通し」が持てることはとても大事と思う。どういう事態になったらクリニックに連絡しないといけないか、どの程度だったら様子見てていいか。過剰に「大丈夫」と言うのでもなく、かといって、恐怖心ばかりかきたてるのでもなく、ちょうどいい塩梅が求められる。

2014年4月27日日曜日

健康診断や人間ドックで受けた検査結果への対応

検査結果はその方その方の家族歴、病歴、身体診察の結果をひっくるめた全体のコンテクストのなかで解釈しないとおかしなことになる。異常値=病気とは限らぬが、異常値=病気でない!と勝手に思いこむのはもっともっと危険。異常値の結果を手がかりにして、さらなる診察、追加の検査などがあってこそ、検査をしたことの意味があるというもの。

わたしたち人間の死亡率は全員漏れなく100%。しかし健康診断や検査の結果をもとに、早め早めに手を打っておくだけで、命の長さだけでなく命の質が変わることは珍しくない。

健康そのものを人生の目的にしては本末転倒だが、ベースとなる健康があってこそ、楽しみも活動の幅も広げられる。

もちろん、どんなに健康に気をつけていても、事故にあったり、遺伝的な病気を発症したりすることはある。一方、自分自身が少し気をつけるだけで避けられる病気だって山ほどあるので、気を払わん手はない、と私は思う。

忙しい人こそ、いまの健康を維持するために、少しの時間を使って定期的な診察を受けたほうがよいと私は思う。入院したり手術を受ける事態になるより、外来でちょこっと見てもらう方が、時間もお金もダブルでお得。

仕事の都合や、家族や子どもの世話が忙しくて自分のことが後回しになってしまう人は多いと思うが、自分が倒れると仕事も家族の面倒をみることもできない。ゆえに、仕事や家族のためにこそ自分の面倒を見る価値がある。

と書くは易し。

恥ずかしながら、家族や身近な人を説得するのはとても難しい。苦戦中。
少なくとも自分自身については、有言実行でいよう、と思っている。

2014年2月24日月曜日

検査機関から直接結果を得る権利

米国では従来、患者さんが血液検査などの検査結果を得るには、それをオーダーした医師やNPなどの医療者を介す必要があった。しかし、これに関する法律が変わって、4月4日からは患者さんが直接検査機関から検査結果を得ることができるようになるそうだ。

もちろん、患者さんは従来通り医療者を介して検査結果を得ることもできる。

検査機関から直接結果をもらいたい場合は、患者さんは書面でその意志を表明する必要があり、コピーや郵送料など実費は自己負担となる。また検査機関は依頼があってから30日以内に依頼主に対応することが課されている。

自分が患者である立場で考えてみると、医療者を介さずに検査結果のコピーを得る道があるのは便利かもしれない、と思う。でも、これまでだって希望すれば医療者からコピーをもらえていたわけなので、あんまりメリットを感じない。

NPの立場で考えてみると、検査結果はやはり自分の解釈を加えて伝えたいので、直接患者さんの顔を見て、もしくは電話でコメントを添えながら患者さんと共有したいと思う。最近では、Email に似て非なる、より安全性(プライバシー)の確立された secure messageのサービス (電子カルテに直結している)が使えるようになったので、それを使うこともある。

願わくば、患者さんが直接検査機関から検査結果を手にする前に、患者さんと自分が結果を先に共有する機会を持ちたい。でないと、数値が一人歩きして患者さんが無駄に一喜一憂する危険性があると思う。検査の種類にもよるけど。

興味のある方には、次の記事がおすすめ。
http://www.familypracticenews.com/news/practice-trends/single-article/hhs-rule-lets-patients-get-results-directly-from-labs/a6add7c0000f98ca835957123f71af1f.html

http://www.hhs.gov/news/press/2014pres/02/20140203a.html

2014年2月20日木曜日

外陰部にとって劣悪な生活習慣

ぴったぴたのジーンズ、ヨガパンツ、レギンスを身につけた患者さんが多い。というか、昨今は股下に余裕のあるズボンをはいている女性のほうがマイノリティー。

「yeast infection (カンジダ膣炎の俗称)になっちゃったんです!」、と言って来院する患者さんの10人中9人は、ぴたぴた服である。そして、そのぴたぴた服の下には、下着はなにもないか、あっても thong (Tバック)であることがほとんどである。ノーパンやTバックが選ばれるのは、「パンツの線が外から見えるとかっこ悪い」からであるが、おかげで物言わぬ外陰部たちは偉い目にあっている。

明らかなカンジダ膣炎もそこそこあるが、こういった服や下着の素材擦れなどの物理的刺激による炎症が不快症状の根本にあると私は見ている。

この格好で、歩くだけでなく、長時間座って授業を受けたり、走ったり、スピニング(自転車こぎ)して汗をかいたりしているのだから、外陰部に異変が起きない方がむしろ不思議だ。

そして、痒みや発赤やおりものが出ようものなら、患者さんは普段にも増して石鹸やボディーウォッシュで1日何回もせっせと洗ったり、ワイプでふいたり、香料付パンティーライナーを使ったりするから、異変はますますひどくなる。

「よかれ」と思って患者さんが行っている生活習慣と逆のことを私が提案したところで、患者さんはきょとんとしている。膣の常在細菌叢を維持するためには洗い過ぎは禁物である、といういわば「less is more」の概念もなかなか飲み込んでもらえない。

何度か同じ痛い目にあって、やっと私が言っていたことのの意味が分かった、という学生も少なくない。

あまりに同じような患者さんが続くので、私としては、学生を集めて集中講義をしたいと思うほどである。