2011年4月26日火曜日

病理医に伝えること

コルポスコピーのカンファレンスから帰ってきてまず変えたことは、パップスメアの検体に添える指示箋(requisition form) への記載を丁寧に行うこと。カンファレンスで病理医の立場からの見解をたくさん聞いたので、臨床側として病理医の判断の助けになりそうな情報は何でも漏れなく書かなくてはいけないと思うようになった。最終月経日、生年月日などは今までどおり機械的に書き入れるとして(これらはmedical assistant が書いてくれていることが多い)、子宮頚部治療歴、DES暴露歴(あれば)、などなど記載漏れがないようにかなり気を使うようになった。病理医のため、と書いたが、結局はそのレポートが戻ってきたときに自分のためになる。

カンファレンス期間中の日記を加筆したので、もしよかったら戻って見てみてください。

2011年4月25日月曜日

異常な状況にたいする、正常な反応

被災地にいる人、被災地に支援のため駆けつけている人の比ではないにしても、遠くにいながら気分的に落ち込みがちな人は少なくないんじゃないだろうか。眠れなかったり、逆に眠かったり、食欲が落ちたり、過食になったり、引きこもりがちになったり、など人によって症状こそ違うだろうけど。

NPの友人が、normal responses to an abnormal situation という言葉を教えてくれた。文字通り、「異常な状況にたいする、正常な反応」ということ。事が事だけに、体や気持ちが反応を示してむしろ当然だというわけだ。このように状況を命名してもらうと、それだけで少しすっきりするというか、ほっとする気がした。

先の友人が教えてくれたCDCのサイトにピラミッドの絵がある。
http://www.bt.cdc.gov/mentalhealth/primer.asp
被害を一番に受けた現地の人はもちろんのこと、その人たちを取り巻くみんなに災害が与えるインパクトを、簡単な絵であらわしてくれていると思った。

同じページに、Phases of Disaster (災害の段階) というグラフがある。これは、災害発生から時とともに変わりゆく気持ちの変化を模式的に表してくれている。

normal response to an abnormal situation という言葉と同様に、このグラフに表現されているような「傾向」を知っておくことは、心のケアの専門家だけでなく、一般のわれわれにもひとつの「目安」を与えてくれるのでよいと思った。特に、こういう絵・図は目に訴えて、とてもわかりやすい。

2011年4月24日日曜日

kino さんへのお返事

kinoさんからコメントをいただきました。
はじめまして 日本の看護大学生してて、将来アメリカでNPの教育受けてみたい と考えてます 小芋さんのブログ見て感動しました 色々聞いてみたいことがあります ご迷惑でなければ時間の許せるときで構わないのでメールしても らってもよろしいでしょうか?? 返信待ってます(^^)/

コメントありがとうございます。興味を持っていただいて光栄です。

まずはNP緒方さやかさんが主宰されているこちらのサイトがとても参考になると思います。各種情報をまとめてくださっています。
www.teamiryou.com

昨年発刊された『進学・資格・海外留学・国際貢献 2010-2011 ナースのためのステージアップナビ』という本も、参考になると思います。
http://www.amazon.co.jp/%E9%80%B2%E5%AD%A6%E3%83%BB%E8%B3%87%E6%A0%BC%E3%83%BB%E6%B5%B7%E5%A4%96%E7%95%99%E5%AD%A6%E3%83%BB%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E8%B2%A2%E7%8C%AE2010-2011-%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%8A%E3%83%93-%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B9%E7%B7%A8%E9%9B%86%E5%AE%A4/dp/4840429987

これらをごらんになったうえで、ご質問をコメント欄に書いてお知らせください。きっとkino さんが質問したいと思われることはほかの読者の方も同様に思っていることであることが多いと思います。

まとめ書き

コルポスコピーのカンファレンスのため、アトランタに行って以来、未完の記事ばかり増えてしまいました。今さかのぼってアップロードしましたが、コルポスコピーの研修のところは、またあとで書き足します。写真を足したりしているので、見返してみてください。

2011年4月23日土曜日

ピッツバーグ大学でのチャリティーコンサート


一期一会 This moment, once in a lifetime...
というタイトルのチャリティーコンサートがピッツバーグ大学で開かれた。日本の小唄(三味線弾きながら歌)あり、ギターあり、冬ソナあり、バンジョーあり、アフリカの太鼓あり、茶道のお手前あり、と盛りだくさんであった。中でもわたしのお気に入りは、スーパーマリオブラザーズのテーマを演奏した2人。(写真)最後にみんなで『上を向いて歩こう』を歌った。 終わってから皆で横断幕に寄せ書きをした。(写真の右下に写っているのが横断幕。)

出演者のためにお昼ご飯をつくるボランティアの募集があり、ハウスメイトのナナコさんと卵サンドウィッチを作って差し入れた。ということで今回は、たんなるお客+もうちょっと貢献できた。

2011年4月22日金曜日

歌とダンスのチャリティー・イベント


被災地支援のために今夜 Point Park University で開かれた歌とダンスのイベントでは、ミュージカルからの歌の数々、そしてダンス専攻の学生による現代ダンス(というのかな?)、いずれも圧巻!だった。180人入る客席が9割がた埋まった。1200ドル以上の寄付金が集まったとのこと。アメリカ赤十字を通して日本に寄付すると。

今回このイベントを企画した先生は、かつて英語の先生として日本で教えていたこともあるとのこと。日本への思いを、このような形にしてしまう行動力に頭が下がる。出演した学生、会場に駆け付けた人々みんなありがとう。

2011年4月18日月曜日

システム変更初日

予約と会計のシステムが今日から新しいものに切り替わった。順調にことが運ぶまでにはまだしばらくかかりそうだ。それを見越して、あらかじめ予約数を減らしてある。私サイドの仕事はまだ大きな変化はないので、私はいつものケアをするのみ。ちょっと時間的に余裕があるだけでもうれしい。

検査結果のフォローアップシステムも新しいシステムに移さないといけない。そちらのほうは大いに不安。

2011年4月17日日曜日

ある日の作品


私のおかずたち。土日どちらかにまとめてなるべく5-6種類作る。それを少しずつ取り分けて、水曜日か木曜日まで食べ続ける。朝にAとBを食べたら、弁当はCとD、夜にははAとE、というように回転させる。余裕があれば途中で何か作り加える。今週は左上のゆで卵から右回りに、中華風スープ、ズッキーニの鰹節あえ、そぼろ、もやしのナムル、トマトとたまねぎのサラダ、ほうれん草の胡麻和え。真ん中はフライパン焼き鳥。

2011年4月16日土曜日

中国人主催のチャリティーコンサート


ピッツバーグ郊外の高校で「ガンバレ Japan!(日本加油!)」というタイトルのコンサートが開かれた。これはピッツバーグ中華レストラン協会、中国舞踊教室、カンフー教室など、中国人のいくつかのグループの主催。子どもから大人まで、たくさんの人が、中国舞踊、カンフーの演武などを披露してくれた。またインド人によるインド舞踊、韓国人による韓国舞踊、そしてフィリピン人によるフィリピン舞踊もあり、どれもこれも、衣装からしてピカイチで見ごたえある演目だったた。日本のお琴や和太鼓もすばらしかった。

地震発生以来、自分自身が被災したわけではないのに、日本の家族の話を聞いたり、ニュースを見たり読んだりするだけで何かと気持ちが落ち込みがちな1ヶ月を送ってきた私にとっては、美しい演技に触れることがとてもよい気分転換になった。

1000人以上入るという広い会場を借り切って、このように大規模なイベントを企画ししてくださった方々、出演された方々に感謝。会場は満杯にこそならなかったけど、多くのアジア人、アメリカ人でにぎわった。ロビーでは、市内の大学に通う日本人学生が、栞の販売などで活躍。

私はこのようなイベントの企画・実演には力が及ばない。でも時間の許す限り単なるお客としてせっせとチャリティーイベントに参加したいと思っている。舞台に没頭することで、何より自分自身のセラピーになる。今月2日、ChathamUniversity でのチャリティーコンサートもそうだった。

在ピッツバーグの日本人は少数派のため、イベントに参加してもなかなか「数」にはなれない。でも企画・出演してくれている人々への心からの感謝をこめて、少人数でも駆けつけたい。ひとりでたくさん寄付できなくても、1人よりは2人、2人よりは3人集まれば、よりお金も集まるし、楽しめる。

2011年4月12日火曜日

電子カルテ導入にむけて

本日は電子カルテ導入のための研修だった。電子カルテ導入の第一段階として、予約・会計などのシステムが古いプログラムから新しいプログラムに移行する。患者さんのヒストリーや診察の記録を電子的に記録するようになるのはまだしばらく(具体的な時期も不明)先になるらしい。

私以外のスタッフはもう何回もこの手の研修を受けているが、私は今回が初めてだったので、ちんぷんかんぷんだった。幸い私が患者さんの予約を取ることはあまりないので、あー、でもあるにはあるので、最低限の作業はできたほうがいい。会計のことは、保険の種類とか、世帯人数・収入などたくさん入れる項目があり、ここまでマスターするのは至難のわざと思われるので、あえて踏み込まないことにしよう。

2011年4月10日日曜日

コルポスコピー研修4日目、帰宅

4日間の中で繰り返し強調されたメッセージがある。

  子宮頸がんのリスクが大きいのは、
  • スクリーニングを受けていない人々
  • スクリーニングを受ける間隔が開いてしまっている人々
  • 本来ならフォローアップが必要なのに、立ち去ってしまっている人々
   だから、これらの人々が診察を受けられるようにするのが鍵だ。

ということ。

技術的なこと、アルゴリズムの使い方、そのほか細かいこといっぱい習った。けど結局上記の点を忘れては、子宮頸がん予防はできないっちゅうことだ。

アジア全般や中南米からの留学生や移民女性の間で、とくにパップスメア(子宮頸部細胞診)の認知度が低い印象がある。アメリカ人の間ではよく知られている検査だが、それでも「娘を出産して以来、10年婦人科には足が遠のいてました。」などという人もポツポツ。健康保険がなくて、こういう予防的な診察は後回しになりがち、ということもよくある。

そんなわけで、手間ひまはかかっても、やはり今まで以上に貧しいコミュニティーへの出張診察や、アジア人コミュニティーとのタイアップ事業をやっていかないかん、ということを再認識した次第。

それと、コルポスコピー&バイオプシーの限界もまなんだ。バイオプシーで異型性がなくても、あるいは軽度異型性であっても、アルゴリズムを参照して、しぶとくしつこくフォローアップしていかなければいかない理由が今になってわかった。

2011年4月9日土曜日

コルポスコピー研修3日目

コルポスコピーって言葉ばかり何回も出してますが、実際のモノはこんな感じです。

スポンサー企業各社は、われわれの教育におおいに協力してくれました。これは、ソーセージで作った子宮頚部もモデル。これを筒の向こうにおいて、実際コルポスコピーを使って観察しました。

企業のみなさんに感謝。

2011年4月8日金曜日

コルポスコピー研修2日目

アトランタの空!!!

以下、講義のメモから。
バイオプシーにあたっては、組織の断面図を思い浮かべよ。1mmの厚さでも、かなりのエリアが得られる。(実際組織片をパソコン上で拡大して見せてくれた。ここからここまでで0.何ミリです、という説明とともに。)バイオプシーは、がぶっと大きく取るより、小さいものを複数取るほうが大事。(がぶっと取ると、出血も多くなって厄介。)迷ったらバイオプシー、ためらわずに1-3個バイオプシー。(4,5個は多い) たとえコルポスコピー名人であっても、1箇所しか取らなかったら、より重症のエリアを見逃す。2-3箇所取るからこそ、精度があがる。

異常検査結果のカウンセリングにあたって、careful with big words (例: Pre-cancerous といっても、大概の人はpre の部分を聞いてくれない。)患者さんの今の不安・心配に即したトークを。

2011年4月7日木曜日

コルポスコピー研修1日目

The American Society for Colposcopy and Cervical Pathology (ASCCP) 主催の Comprehensive Colposcopy というカンファレンスのため、昨夜アトランタに来た。ずっとずっと出し続けていた希望がついに認められて、今回参加できる運びになったのだ。

コルポスコピーというのは、子宮頚部および外陰部・膣を詳細に診察するための特殊な顕微鏡で、子宮頸がんのスクリーニング検査(パップスメア)で異常があったときに主に使われる診察法のこと。

カンファレンスは素晴らしいの一言。250人くらい来ているらしい。講義してくれているのはcolposcopy の教科書を書いたり、第一線の研究をしている人たち。単にウイルス学的・組織学的な知識だけでなく、実際の場面での工夫や患者さんとのコミュニケーションについても突っ込んでくれている。

これまで、コルポスコピーを必要とする患者さんの診察は別のNPに頼まなければならなかった。前のオフィスはNP2人オフィスだったので、もう1人のNPがやってくれていた。今のオフィスは私以外にNPはいないので、別のオフィスのNPに月1-2回来てもらってコルポスコピーを実施してもらっている。ただし、患者さんに異常パップスメアの結果を伝え、コルポスコピーの必要性を話して予約をとり、また予約をすっぽかした患者さんに再予約を促したり、生検の結果を伝えるために電話したりというのは全部私の仕事だったため、これが精神的にものすごく負担だった。(細胞診、コルポ所見、生検の結果を統合し治療やフォローアップの計画を決めているのは私の指導医だが、患者さんとのコンタクトは私の役目。。。)

今日は主に正常の(normal というよりusual かつunique な)所見について学んだ。もっと早く知っていたかったということをたくさん習ってる。

参加しているのは私と同じようなNPのほか、PA、医師、研修医らである。去年カリフォルニアのカンファレンスで話をしたことのあるコロラド州のNPと再会したりもした。

カンファレンスの感動に加え、アトランタの晴天がまたすばらしい。もうツツジやハナミズキが満開。桜はとうに終わった感じ。日差しにパワーがあって、半袖でも十分。ところがカンファレンス会場は寒くて、
長袖のカーデガンの上に、ウインドブレーカーを着て寒さをしのいだ。フリースのジャケットを持ってくるんだった。

明日は7時15分講義開始なので、なるべく6時半までにはホテルを出発しようとおもう。(会場のホテルは高すぎるので、近くの違うホテルにした。)朝ごはんは会場ででる。今朝は朝ごはんとトイレの時間を計算し損ねて、それがあとあとまで響いてしまった。お腹が減ってると私だめ。

カンファレンスは日曜日まで計4日間の集中型である。この研修の後に、臨床場面でプリセプターの監督の下、定められた数のコルポスコピーを実施したのちに(うち高度異型性が何例、とか決まりがある)独り立ちする運びとなる。

2011年4月2日土曜日

被災地支援のためのコンサート

東北大地震被災者支援のためのコンサートがピッツバーグで次々と開かれている。今日はChatham University で30人以上のプロの演奏家たちが、入れ替わり立ちかわり、クラシックやジャズの音楽を3時間にわたって(休憩なし)で披露してくれた。舞台正面には日本の文化・美しい風景と今の被災地の写真がスライドショーで流れた。音楽に、画像に、涙。と同時に元気ももらう。

終了後、主催者が用意した飲み物と、主に日本人の有志が持ち寄った食べ物(私はおにぎり)を並べて、懇親会があった。食べ物には長い列ができた。着付けのデモンストレーションは見事であった。

Chathum University に通う8名の日本人学生をはじめ、この企画・運営にかかわった多くの人の努力に頭が下がる。被災地の人々にわれわれの思いが届きますように。そして集まったお金が有効に使われますようにと願う。

先日のピッツバーグ交響楽団の演奏会では、被災者へ思いを届けるべく、予定されていたプログラムを変更して、武満徹のレクイエムを演奏したと聴く。なお今後も、私が知っているだけで次のようなコンサートが企画されている。

4月8日(金)午後7時から
ピッツバーグ公立校(6-12年生)CAPA(Creative and Performing Arts)
111 Ninth Street, Pittsburgh, PA 15222
テーマは「結束」UNITY。同校で学ぶ日本人、日系人の生徒を中心に、日本の音楽、詩、ダンスなど1時間ほどのパフォーマンス。ベークセールも。
http://www.pps.k12.pa.us/capa/site/default.asp

4月16日(土) 午後7~9時半
中国系アメリカ人協会らの主催による 「ガンバレ日本 Benefit Concert」
North Allegheny High School
10375 Perry Highway, Wexford, PA 15090
http://www.castp.org/events-view.php?e=4
中国舞踊、和太鼓、お琴など。

4月23日(土) 午後2時
ピッツバーグ大学
Bellefield Hall Auditorium, 315 S. Bellefield Ave., Oakland
http://www.news.pitt.edu/news/pitt-present-april-23-benefit-concert-japan-earthquake-and-tsunami-relief

2011年4月1日金曜日

緊急避妊薬「ノルレボ」5月販売予定

緊急避妊薬「ノルレボ錠0.75mg」の日本国内での製造販売が2月23日付けで承認されたとのこと。
http://www.aska-pharma.co.jp/pdf/company/news20110223
(あすか製薬のニュースリリースより)

実際の販売は5月中旬予定とのこと。それまで今しばらくはプロバノール(中用量ピル)が日本で使える主な緊急避妊薬。

医学書院発行の『助産雑誌』4月号に、緊急避妊が特集されている。