2013年11月30日土曜日

子宮脱・直腸脱した羊

今私が滞在しているAさんの実家は、羊農家 兼 トウモロコシ農家である。羊は、羊毛のためではなく、ラム肉の出荷のために飼われている。

今日はたくさんいる羊の中でも、よりによってAさんの甥っ子の一番のお気に入りのTちゃんが子宮脱・直腸脱を起こしてしまった。prolapse (脱) のなかでもよりによって、子宮も直腸も完全に反転してしまっていて、痛々しい。

しかしTちゃんは痛そうなそぶりも見せず、群れのなかにいる。しかも、走る。

獣医の診察を受けさせるため、逃げる Tちゃんを一家総出で捕まえるまでにどのくらい時間がかかったろう。おそらく1時間以上、2時間未満。牧場の斜面を思いっきり駆け回ったので、おかげで私の感謝祭での食べ過ぎもすっかり解消。

ちなみに、Aさんの甥っ子がもし今週末在宅だったら、彼の一声でTちゃんは一発で捕まえられただろうとのことだった。

獣医は硬膜外麻酔と注射でTちゃんを鎮静させ、用手的に子宮と直腸を逆反転させながら体内に戻した。そのあと人の子宮頚管無力症の縫縮術に使うのと同じような糸を使って陰部を縫った。最後にペッサリーのようなものを挿入し、それを体にベルトで止めた。

Aさんの家族は私がちっとも動揺しないのに驚いていたが、人のお産や子宮脱や直腸脱にあたったことのある私は、人と羊に共通することや異なることを、むしろとても興味深く見ていた。

感謝祭の週末にも関わらず、遠くからトラックで駆けつけて、真摯に治療にあたる獣医に頭が下がった。

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