2009年3月19日木曜日

母体搬送ーー送る側

妊娠30週に満たない週数で 破水が疑われる患者さんにお会いした。ご本人は、あまり心配していないようだったけれど、助産師小芋としては冷静を装いながらも、頭の中ではいろいろなことが駆け巡る。クリニックで出来ることには限りがある。NST(赤ちゃんの心拍数と子宮収縮をモニタリングする検査)と超音波検査(羊水量、子宮頚管の長さなどをみるため)を提携医師Dr.S の病院にオーダー。患者さんは、あさってでもいいですか~という勢いだったが、いやいや、今すぐ行ってくださいね、とお願いした次第。

後日、某NICUを持つ病院から、患者さんが入院されていること、また治療が開始されている旨のサマリーがファックスで届いた。破水が確認され、Dr. Sの勤める病院から搬送されたもよう。今のところ症状は落ち着いているようなので、何よりである。赤ちゃんの元気度と、感染の兆候に目を光らせつつ、治療が続けられるはず。1日でも長く妊娠が続けられるように祈る。

日本では母体搬送(この言葉自体はあまり好きでない。ちょっとモノ扱いみたいじゃない?)を迎える立場の病院で働いていたので、患者さんを送り出す立場というのは、今回が初めて。わたしにとってpreterm PROM を含む切迫早産は、かつて出会った患者さんと過ごしたときの場面&感情とともに、強く記憶に刻まれている。真夜中でも明け方でも搬送の受け入れが決まったら、すぐに検査や治療ができるようにひと通りのものを準備して待機したこと、不安で眠れない患者さんとよくお話したこと、正期産(37週~)とは訳が違うお産の進み方、早産で生まれた赤ちゃんの かよわさ と たくましさ、etc.etc.

今回病院から届いたサマリーは簡単なものではあったけれど、とてもありがたかった。産後いずれ患者さんは地元に戻ってくる。そのとき、私はまた迎える立場になる。日米の違いはあるものの、産科救急でのケアの経験が、いまの自分にすごく役に立っている。

2 件のコメント:

  1. 人は世界共通だね。

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  2. ironikaさんのコメントに同感です。「母体搬送」に代わる言葉として、「母体輸送」、「妊婦(緊急)輸送」、はいかがですか?

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