性感染症や子宮頸がんのリスクアセスメントの一環として、初めてセックスしたときの年齢や過去のパートナーの人数を患者さんに尋ねる場面がよくある。州の性感染症スクリーニングプログラムの用紙にいたっては、過去1ヶ月、3ヶ月、1年のパートナーの数を明記しないといけない。セックスのときに、コンドームを使うか(いつも使う・ときどき使う・たまに使う・全然使わない)も聞く。
「Baby mama とセックスするときはコンドームを使わないけど、他の人とセックスするときは必ず使ってるよ~。」というような、ちょっとフクザツな例もある。一対一の関係だと信じてセックスをしていたBaby mama は、まさに彼からクラミジアをもらっちゃったのである。気の毒。
(baby mama についてはこちらをご参照。http://koimokko.blogspot.com/2009/02/blog-post_05.html)
たとえ自分自身は一対一の性関係だと思っていても、パートナーがそうでなかったら、性感染症のリスクという意味では、事実上たくさんの人とセックスしているのと変わらないかも。(パートナーのパートナーの、そのまたパートナーの,,,,etc.) 彼(彼女)がお金持ちだろうがなかろうが、愛があろうがなかろうが、病原体はあるていど平等に(?)うつる。元夫とのひさびさのセックスで膣トリコモナス感染症にかかり、「んなわけないです!」と憤慨された患者さんもあったが。
セックスをするひとはみんな、性感染症にかかる可能性がある。膣+ペニスのセックスにかぎらず、オーラルセックス、そのほか皮膚や粘膜が接触する機会があれば、感染のチャンスがある。というわけで、残念ながらコンドームを使っても100%安全ということはない。
「絶対安全」は No sex (一切の接触なし)を貫くか、お互いが生涯初めてのセックスの相手である場合か、両者がそれぞれ検査可能な種類の性感染症を検査していずれも陰性だった場合(かつそれ以後浮気一切なし)じゃないとありえないので、多くのひとは、「より安全」な路線、すなわち セイファー・セックス を目指すことになる。
パートナーの数を限ること、コンドームなどのバリアを毎回適切に使うこと、お酒やドラッグなどによって判断が鈍る状態を避けること、皮膚・粘膜に傷や病変があるときはセックスをさけること、肝炎やHPV(ヒトパピローマウイルス)のワクチンを受けておくこと、リスキーな行為をしたりパートナーが変わったりしたときは性感染症のスクリーニング検査を受けること、などなど、方法はいろいろある。
患者さんがより安心して楽しいセックスライフを送れるように、セイファー・セックスの話はポジティブな雰囲気とともに持ち出したい、というのがわたしの願い。患者さんにとって実現可能なステップを話し合えないのなら、無意味な「説教」に終わるまで。方法を述べるのは易し、実際にその行動を取るのは難し。性感染症も、生活習慣病だ。
確かに、生活習慣病だね。
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