2009年3月11日水曜日

障がいのある患者さん

私が勤めるクリニックには、知的・身体的・精神的障がいのある患者さんもぽつぽつ来られる。子宮頸がんの検査や骨盤診(内診)は、なるべく体をリラックスさせた状態で行うのが望ましいのだけど、状況をうまく飲み込めない患者さんはとても怖がってしまって、診察に適した姿勢をとることすら難しい場合も珍しくない。プライベートなエリアを人に見られたり触られたりするのは、だれにとっても心地よいものではない。まして必要性を理解することが難しい患者さんにとってはなおさらのことだろう。膣鏡(スペキュラム)を使わずに、綿棒だけをつかって検査する方法をティーナに習い、それを実践している。綿棒が子宮口にちょうど触れるかどうかは運である。膣鏡を使ってする検査には劣るが、与えられた条件化では、最善の方法だとおもう。

車椅子には座れるが、立つことができないという理由で、マンモグラム(乳房のX線検査)は受けられないんです、と話す40歳代後半の患者さんに出会った。(本来なら40歳から毎年実施のはず。)そんなことでマンモグラムをお断りするなんてあり???と思った私は、某病院の放射線科に電話して、なんとか立たずとも車椅子に乗ったままでマンモグラムを実施できる方法はないのか、と聞いた。そうしたら、車椅子の肘掛の部分が取り外せる場合はOKだと言う。患者さんの家には、もう1台車椅子があって、そっちだったら肘掛が取り外せるということがわかった。というわけで、今回初めてマンモグラムを受けられるめどがついた。案外あっさりと。

以前は医師のもとで女性健診を受けていたけど、その医師が医療扶助による健康保険の取り扱いを中止したので、それ以来数年間女性健診を受けられなかったんです、という患者さんにも出会った。わたしの勤めているクリニックは、通常の健康保険から、医療扶助による保険、州政府のプログラムなど、いろいろ扱っているので、ようやく受診がかなったというわけ。

障がいそのものを改善するのは難しいとしても、医療環境や制度のせいで、患者さんがますます不利な状況におかれてしまうことのないように、可能な工夫や配慮は惜しまないようにしたいとおもう。

1 件のコメント: