1. 現代女性の月経の特徴
- 現代女性は祖先よりもかなり多くの月経を経験している。
- 一生に経験する月経の数は450回かそれ以上
- 頻繁に出産や授乳をしていた時代の女性と比べて格段に多い
- 月経は子宮から子宮内膜が剥がれ落ちることだが、この現象の背景には視床下部、下垂体、卵巣、そして子宮それぞれの働きがあること、またこれらの臓器がホルモンによってコミュニケーションをとりあっていることなどを復習。その図をご覧に入れたついでに、過度の体重減少やストレスが無月経を引き起こすメカニズムを簡単に説明。
3. 正常な月経周期
- 正常周期:21-35日
- 1周期の数え方:月経の初日から次の月経の前日までのトータル日数。←数え方を勘違い人が多い。)
- 出血持続日数:2−7日
- 経血量: 20-80ml (夜中に途中で起きてナプキンやタンポンを交換しないとパジャマやシーツを汚す人、ナプキンとタンポンの両方を使わないと血液が漏れるので不安だという人、日中もパンツや洋服に漏れるアクシデントが多発する人は、月経量が多すぎることが考えられる。)
4. 月経異常にいたる原因の例と月経異常がもたらす影響
- 全身(または生殖器以外の体の他の場所)の病気によるもの
- 生殖器の病気・状態によるもの
- これら原因となる病気が特になくても、頻繁すぎる月経や量の多すぎる月経は貧血を招くし、生活の質・所得・生産性を下げるという意味で問題。
- ならば無月経なら楽勝かというと、そうではない。(例:骨粗鬆症)
5. 自分にとっての「ふつうの月経」は本当に正常か?
- 出血量、痛み、不快感の捉え方は個人差が大きいし、自分自身は一つの体しか経験できない。
- 自分にとってはあくまで「ふつう」なので、異常を放置しがち。
- 1つの指標は「生活への影響」があるかどうか。(例:月経痛がひどいあまり仕事や学校を休まざるを得ないとか、月経血がもれて服が汚れるので外出を控えがち、など。)
- 正常と異常の判断に、かかりつけ医を巻き込むことが得策。
- 背景となる病気がないことを見極めることが大事
6. かかりつけ医に伝えたいこと
- 月経周期とその「幅」
- 一番出血量が多い日にどのように対応しているか。
- 痛みや不快症状の程度
- 日常生活・仕事などへの影響の程度
- 月経と月経のあいだの出血やspotting の有無
- 月経が止まっている場合はその期間や頻度
- 月経以外の体調全般
7. 必要に応じて行うと役立つ検査の例
- 婦人科的な診察
- 下腹部の超音波検査
- 血液検査(たとえば、貧血の検査、甲状腺の検査、血液凝固異常の検査)
- 子宮内膜の生検(バイオプシー)
8. 明らかな病気を否定した上でのいろいろな対応策
(ちなみに外科系の治療法についてもちょっとだけ説明した。)
- 月経によいツボ———参加者にとても好評だった。
- 温罨法(例:お米のカイロ)――これも参加者の間でヒット。
- NSAID (イブプロフェン、ナプロキセンなど)――痛みだけでなく月経量も減る
- 女性ホルモンを使った避妊薬(月経の量や頻度を和らげる副効用を利用する)
インプラント(Nexplanon, Implanon)
デポ・プロベラ(注射)
膣内リング (Nuvaring)
パッチ (Ortho Evra)
ピル (とりわけ、3ヶ月タイプ、24-4タイプ)
これらそれぞれの避妊薬の特長とリスクをよく理解して使うことが得策。
まとめ:
- 現代女性は祖先よりもかなり多くの月経を経験している。
- 月経に伴う症状の裏に、病気が隠れていることがある。
- 月経そのものが健康や生活を害することがある。
- 月経を緩和する方法はいろいろある。
- かかりつけ医を相談相手にすることが得策。
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