2009年1月29日木曜日

医療のコスト、医療へのアクセス

わたしの勤めるクリニックを運営しているのは、非営利の会社。患者さんが健康保険に入っているか否かにかかわらず、女性として必要な基本的医療が受けられるように、各種助成金や州との協働事業などを最大限活用して工夫している。なので、無保険かつ経済的に苦しい患者さんの場合でも、手ごろな費用(場合によっては無料)で受診できる。これはとてもすばらしい。

でも、なんでもかんでもがカバーされるわけではない。例えば、婦人科的診察の結果、次のステップとして超音波の検査をオーダーしたいと思っても、超音波検査が患者さんのプログラムに含まれていない場合、費用は患者さんの全額負担になってしまう。いちおう、検査依頼の紙は患者さんに手渡すけれど、そこから先、実際検査に行くかどうかは患者さんの気持ちとお財布事情にまかされてしまう。(超音波の機械は、クリニックにないので、病院なり検査専門の施設に行っていただく。) 日本だと、超音波の機械なんて、診察室に必ずと言っていいほどあるし、わざわざ超音波検査だけのために新たな予約を取らなくたって、すぐその場でぱっとやれてしまうことも少なくない。)

患者さんの経済状況によって、行える医療に制限がかかってしまうのはとても残念だ。

ただ見方を変えれば、医療へのアクセスがまったくなかったかもしれないのに、一定レベルの医療に預かれるのだから、それだけでもまし、という評価もできなくはない。でもこれもさみしい。

医療に関してコスト意識がないと、あまりに安易に受診してしまうという問題も出てくるが、医療費が高すぎると、ほんとにどうしようもない状態になるまで受診を控えて、病気を進行させてしまうリスクがある。状態が悪化すればするほど、治療は大変になるし、お金もかかる。限られた医療資源とお金をうまくつかうためのシステムは国によって違うけど、アメリカにはもうちょっと「困ったときはお互い様」のこころがあったほうがいい気がする。貧しい人でも、そこそこまっとうな医療に預かれることが、結局みんなのためや、というところに落ち着かないものか。

1 件のコメント:

  1. 医療って誰もが必要としているだけに、どのぐらいの費用がベストなのかって決めるのはとっても難しいよね。収入にあわせて変えると、不公平ともとられるし。健康度にあわせて変えるといいんだけど、逆に悪循環に突入する人もでてくるだろうし。

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