金曜日の午前中は、妊婦健診ということになっている。A病院で分娩を担当しているDr S が、わたしたちのクリニックに来るのがつき1回(金曜日)なので、それにそろえて、妊婦健診は金曜日、ということにしたと。
患者さんの印象を書く。
1.多産
3人目、4人目が続くので驚いていたら、5人目、6人目、そして7人目の出産を迎えようとしている患者さんも。
2.若年
15歳、16歳の患者さんが、ぜんぜんマイノリティーでない。18歳の患者さんのカルテを見て、一瞬ほっとした気分になったのも束の間ーーすでに経産婦さん。
3.タバコ臭
1箱以上吸っていたタバコを、頑張って減らしていっている患者さんが多い。けど、部屋に入った途端に、ものすごく鼻につくタバコのにおいがする。ティーナによると、ドラッグを使っている患者さんにもちょこちょこ会うと。
4.貧困
medical assistance (医療扶助)、WIC (Women, Infant and Children という栄養サポートのサービス。乳製品やシリアルなどの食品の援助。)を受けている患者さんが多い。無保険だった場合でも、妊娠中は政府の保険に入れる。
5.肥満
BMIが30台、40台、そして50台から始まる妊婦生活、少なからず。BMIが20台の人がいないわけではない。
6.今まであまり診察室で見たことのない服装
くたびれたスウェットパンツに、穴の開いたTシャツというかんじの格好の患者さんが数人。ファッションであえてそうしているというわけでもなさそうだ。服装に無頓着になっている感じ。
かつて、このあたりは各種工場があって、今よりも人口が多かった。今は産業が乏しく、働き口が不足しているという。今日出会った患者さんの背景には、高い失業率、高校中退率、タバコやドラッグのアビュース、それにともなう複雑な家族環境、DV、いろいろありそうだ。
エモリーのK先生がいつも言っていた言葉を思い出す。
"Every patient is doing her (his) best in her given situation." (患者さんは皆、自分が与えられた環境の中でできるベストをやっているのよ。)K先生はいつもこの言葉を呪文のように唱えて患者さんの前に座るという。わたしもそれに習おう。
Dr S はとても気楽なように見えて、患者さんにベストフィットする話ができる方だ。堅苦しくなく、専門用語を使わずに、GBS(B群溶連菌感染症)の予防のための抗生剤投与のこととか、鎮痛剤の選択肢の話をさらり、とする。技を盗んでいきたい。
K先生の言葉はいい言葉だね。それを思い出すのもすばらしいこと
返信削除いろいろな環境があるんだね。
返信削除ironikaさんに同感。