2009年2月11日水曜日

妊婦健診の葛藤

今日の午後は、ひたすら妊婦健診であった。「ひたすら」という言葉は使いたくないけど、約3時間の間に26,27人の予約患者さんをティーナと私とで手分けして診察するので、どうしても時間に追われてそういう言葉を使う心境になってしまう。Dr S は私が大方の診察を終わらせているころに後から登場し、患者さんと少しおしゃべり兼 Q&A の時間を過ごす。それが済んだら今度はティーナがいる方の部屋に行く、という具合。その間にわたしは次の患者さんの部屋へ。

こういうスタイルの妊婦健診は、「人数」はみれるけど、医学的モデルの最小限のことをやるだけでいっぱいいっぱいになりがちだ。本来助産師のわたしとしては、葛藤である。尿検査、血圧・体重測定や子宮底の計測、赤ちゃんの心音の聴取以上に、この4週間(or 2週間、1週間)どうやった? という話が聞きたい。つわりとどう付き合ってる? タバコはやめられそう? 体重ものすごい勢いで増えちゃっているけどどないしたん? もうすぐお産やね、体に心はついてきてるかな? そういう内容のトークって、ある程度時間がいる。その時期時期に確認すべきpatient education の項目をただ私がまくし立ててしゃべるだけだったら、テープでよろし。より健康でハッピーな妊娠生活を送れるように、そしていいお産が迎えられるように、一緒に悩んで考える作業は手間かかるけど、私は意味があると思っている。出産準備クラスもない中だから、なおさらだ。

日本の助産院や病院の助産師外来にあるような、気持ちと時間にゆとりのある人間対人間の密なかかわりは、ここでは夢のまた夢の話だ。でも、可能な範囲で最善の妊婦健診にしたい。どこからどうしたらいいかはまだよくわかんないんだけど。

Dr S がお産を取り上げる某市民病院は、隣町にある。ホームページで産科の情報を見ようと思ったが、ホームページがなかった。いまどきホームページのない病院???、と私はすごく驚いたが、ティーナに言わせると、「この辺じゃ、ありえる話よ。」と。Dr S にぜひ産科を見学したいと言ったら、いつでもおいで、と言ってくれた。まずは見に行ってみよう。

4 件のコメント:

  1. 日本の方が優れているところもあるということですね。

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  2. 違う国で働くと、それぞれのよいところに気づいていいね。

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  3. その葛藤はよくわかるよ。私は今Gradyの糖尿病クリニックに行ってるけど、フォローアップのみの日などは、来る患者さんは番号札をとって、ドクターは、「ナンバーファーィブ!」と、まるでマーケットの魚売り場状態。ちなみに5、6時間の間で最低40人は来ます。悲しいよね。こういうのって、日本でもあるのかな?
    YL

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  4. YL さん、
    日本は人手不足で、産科を閉鎖する施設が増えているから、その分、産科のある施設にしわ寄せがいっているよ。正常な経過の妊産婦さんは、助産師が中心に担当することで、患者さんにとっても医療側にとっても満足と質のよいケアを行えるようにしよう、と頑張っているよ。でも混乱期には違いない。施設による差は大きいかもしれない。

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