2016年7月29日金曜日

読者からの質問:NP取得後のプランについてどう考えていたか・ビザと就職活動

こちらは、最も最近ブログコメント欄を通してSIさんからいただいた質問です。3つあった質問のうち、今日は1つめ。

NP取得後のプランについては日本にいた時はどのくらい考えていましたか。また、Visaの問題もあって、就職するのは容易ではないと聞いたのですが、実際のところはどうなのでしょうか。

[子芋のお返事]

注意:下記は読者の責任でお読みください。あくまで参考になさってください。子芋の書いた内容を鵜呑みにしてなにかトラブルがあっても、子芋は責任を持ちません。

留学する前は、NPプログラム終了後は日本に帰国する予定で、かといってどこでどのように働くという具体的なプランはありませんでした。また、NPライセンスの試験を受けるかどうかも決めていませんでした。

実際入学して学んでみると、あらまぁ、こんなに知らなかったことが分かるようになった、できなかったことができるようになった、という気持ちになりました。そんな折に、留学生センターで Optional Practical Training (OPT) についての説明会があり、ま、どうせやることはないだろうけれども、話だけ聞くのも悪くなかろう、と行ってみました。

OPTは米国の大学や大学院を卒業した外国人が、自分の専門分野に関連した仕事につく場合、学生ビザのままで1年間働くことができる制度です。

帰ってきてとまとまんに内容を報告すると、「一旦日本に帰国したら、こんなチャンスは二度とない。やってみたらいい。」という意外な回答で、帰国&同居を楽しみにしていた子芋は一瞬とまどいましたが、とまとまんがそういうなら、一発やってみるか、と腹をくくりました。

当時OPTの開始時期は、卒業後60日以内で、有効期間はそこから1年でした。(当時から8年もたつので、今も同じかはお確かめください。)

卒業後、成績証明書・卒業証明書が揃うまでに少なくとも1-2週間、それからNPの試験に出願して受験資格が認めらたと通知がくるまでに数週間、それから試験を受ける日を決めて、実際に試験を受けて、合格通知が来るまで待って、それから州のBoard of Nursing に登録して・・というだけで2ヶ月半くらいかかりました。最短コースで頑張っても。この間にすでに子芋のOPT期間は始まってしまいました。

OPTは仕事を一定期間以上しないでいると資格を失ってしまいますので、わたしはボランティアという形でクリニックに勤めつつ、就職活動を続けました。ボランティアでも、いちおうOPT資格維持は認められました。しかし、報酬を伴う仕事をしていない時点で国外に出るのは非常にリスクとの助言を受け、日本への一時帰国は正規の仕事が決まってからにしました。(米国を出るのはいつでも簡単ですが、再入国のときにトラブルかもと。)

就職活動に当たっては、OPTだけやらせてください、と言って雇ってくれるところを探すのは難しいですから、OPT期間終了後はH1Bビザ(就労ビザのひとつ)で仕事を続けたい旨を話し、ビザサポートをお願いしました。(会社が 書類を政府に提出する必要があります)。

10月にジョージア州のNP免許がいよいよ取れたころ、最初の就職先となるペンシルバニアの組織と、サウスカロライナ州の別の組織からコンタクトをもらい、11月の頭あたりに面接を受けて、11月後半にペンシルバニアのほうの仕事のオファーを受け、12月に一旦一時帰国ののち、ジョージア州からペンシルバニア州への引っ越しをし、翌1月から働き始めました。(と、書くとたったの数行ですが、この中にいろんな失敗やら涙やらが詰まっています。)

H1Bは毎年人数枠があります。4月1日締め切りで、通ればその年の10月1日からそのビザが有効になります。通常は4月1日時点で人数枠を超える応募があるがために、応募しても通らないということがありましたが、2009年の場合は、不況のためにビザを申請する会社が少なく(希望する外国人は依然多くても、ビザサポートしてくれる会社が激減したために、ビザ申請数も激減) 、 4月1日以降に申請しても十分間に合っただけでなく、応募すればもれなく(たぶん)H1B 獲得にいたったそうです。

子芋は2008年8月に卒業、翌2009年1月からフルタイムで就職、そして4月のH1Bビザの締め切りなんとか間に合うことができましたが、卒業の時期によっては、この「4月」というタイミングが非常に難しく、就職先を獲得する前にOPTの期限が来て帰国せざるをえないということも決して珍しくありません。OPTの期限が切れる前に、博士課程などに進学して新たな学生ビザを獲得した仲間もいます。

ちなみに、4月にH1Bに応募して、10月に実際にH1Bビザが有効になるまでの間に、8月のいつかの時点で子芋のOPTは切れたわけですが、代わりに労働許可証なるものが発行されたおかげで、F1ビザ(学生ビザ)とH1Bビザのはざまも合法的に米国で仕事を続けることができました。この間、子芋の運転免許証は頻繁に更新が必要でした。(運転免許証の期限日は、しばしばビザの期限と同じになります。)

OPT資格の申請は、H1Bの申請と比べると、手間も費用も格段手軽ですが、就職活動はアメリカ人と同じ土俵でしなくてはなりません。「新卒」かつ「外国人」かつ「ビザサポートがやがて必要」という状況は、分野にもよると思いますが、一般的に非常に不利です。

またH1Bの人数枠や条件等もその年によって変化します。不況のときは応募者が減るので、応募すれば枠に入れるチャンスが大きいですが、不況ゆえにそもそも採用を控える雇用者が多くなるので、採用してもらうこと自体が難しくなります。逆に好景気のときは、採用したい雇用者が増えてくれるのはいいのですが、H1Bに応募しても枠漏れするリスクがあります。大学教員や特殊な専門分野にいる場合は、人数枠の縛りがない場合もあるようです。

前にも書きましたが、ビザ制度は頻繁に変わりますし、そのときの政権の方針や経済の状況で予測のつかない事情もいろいろ起こりえます。今回書いたことは主に私の2008-2009年時点での知識を基にしていて、その後の変更時点についてはは心得ていませんし、間違いもあるかもしれません。

ビザについては米国大使館、USCIS、Department of State などのウェブサイトでご覧になるとともに、 専門の弁護士に相談するのが近道です。子芋がお世話になったことのある弁護士のウェブサイトをご紹介します。弁護士のサービスは、必ずしも対面しなくても、電話やSkypeやメールなどを通して受けることができます。とりわけビザ関連の法律は、州法ではなくて連邦法、すなわち全州共通なので、どの州に住んでいる弁護士であってもかまいません。
http://www.kandilawyers.com/jp/index.html
http://kandilawyers.blog124.fc2.com/

さいごに、
子芋の持っている知識のベストを尽くして、この記事を書きましたが、冒頭にも書きましたように、内容の正確さには責任を持てませんので、ご自身の責任で参考になさってください。

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