2015年6月11日木曜日

米国の健康保険会社がカバーする18種類の避妊方法

Affordable Care Act による保健医療制度改革を通して、米国の健康保険会社は患者さんの避妊薬のコストをカバーするよう義務付けられたのだが、その細い運用について理解するのに便利な資料を知ったので、メモ。

http://www.cms.gov/CCIIO/Resources/Fact-Sheets-and-FAQs/Downloads/aca_implementation_faqs26.pdf

次の表にあるように、避妊方法が18種類に分類されている。(不妊手術含む)
http://www.fda.gov/downloads/ForConsumers/ByAudience/ForWomen/FreePublications/UCM356451.pdf

そして保険会社はこれら18種類の方法を、基本的に患者さんの自己負担なく提供しなくてはならない、としている。

 IUC(子宮に挿入するタイプの避妊薬)でも、銅負荷IUDとプロジェスティン負荷IUSは2つの違う種類としてカテゴリーされている。

また、ピルは、エストロジェン+プロジェスティン混合剤、プロジェスティン単剤、エストロジェン+プロジェスティン混合剤の長期間タイプ、の計3種類に分けられている。

しかし販売されている全避妊薬を無償提供しなくていけないわけではなくて、同じ「種類」に該当する避妊薬が複数ある場合には、少なくとも1つは無償で提供し、他は患者さんに一部自己負担を求めてOK、ということになっている。たとえば、28日分で1シートのエストロジェン+プロジェスティン混合剤のピルには非常に多くの商品があるが、それらのうち、最低1種類をカバーすればよい。(新しい製剤ほど特許がまだ有効で薬価が高い。そういう製剤はしばしば患者さんの自己負担が求められるだろう。)

ただし、カバーされていない方法が医学的に必要だ、と患者さんの医療者が判断した場合は、要求すれば無償でカバーするような措置を設けるべし、としている。

2 件のコメント:

  1. 小芋さん

    こんにちは。FNPプログラムが始まり、今学期取っているクラスの1つにHealthcare Policyがあります。課題の1つに自分の州のCurrent legislatureに出ているPolicyを批評するというものがあり、Contraceptive useをState Medicaidでカバーするか否かという案を選ぶことにしました。オバマ元大統領がAffordable Care Actに署名してから早7年、自分の州のState MedicaidでContraceptionが未だにフルカバーされていない事に驚きを隠せません。Federal law→State lawへの法の反映が遅れてしまうのは仕方ありませんが、もう少し早く何とか出来なかったものかと疑問に思うばかりです。わが州のlegislatureはBiennial制なので、そういう事も遅れに繋がっている要因の1つであるとは思いますが、それでも7年も経ってから議会にようやく提出されたところにPoliticsの難しさを感じます。

    話題が反れましたが、今回コメントさせていただいたのは、Contraceptiveを最先端にて処方されている小芋さんに、ACA施行以降「Contraceptive useは増えているのか」「Unintended pregnancyは減っているのか」という事を肌で実感されているかお聞きしたかったのです。統計的に見てという事ではなく、Cost-sharingが無くなった事によってContraceptive useのカウンセリングや処方を求めてクリニックを訪れる女性が増えているか(もしくは変わらないか、減ったか)ということを直感的に感じているかご意見を伺ってみたく思いました。子芋さんのご意見を自分のPaperに反映するつもりは毛頭なく、このPaperに取り組んでいる最中に子芋さんのことが頭に浮かび、興味本位でお聞きしたかっただけなのです。もし、お答えいただければ幸いです。よろしくお願いします。

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。お返事が大変遅くなりました。もはやペーパーは無事提出なさったころかと思います。


    あくまで子芋の直観的感覚をお知りになりたいということですので、直感でお答えします。


    ACA以降増えたのは、避妊薬利用者の数だけでなく、長期に使えるIUDやインプラントを選択する女性の割合も増えているように思います。費用の面で躊躇する必要がなくなると、純粋に使いやすさや、避妊効果の高さから、IUDやインプラントが最も理に適う、と思う人が増えて当然だと思います。また患者さんのリクエストだけでなく、プロバイダー側もlong-acting reversible contraceptives (LARC) を第一選択薬として提案するという基本姿勢を持つ人が少しずつ増えていると思います。


    Unintended pregnancies は目に見えて減っているようには感じられないです。統計的にも全妊娠のほぼ半数がunintended (これは望まなかった妊娠と、いずれ妊娠は希望していたけど「今」は希望していなかった人を両方含む)という傾向は続いているようです。


    トランプが大統領になることが決まった昨年11月以降、またいよいよ彼が大統領に就任したこの1月以降、駆け込みといいますか、ACAがまだ有効なうちにIUDをぜひ使い始めたい、とやや焦りモードで見える患者さんがときどきおられます。先日トランプ政権の新法案は失敗に終わってくれたので、とりあえず今しばらくはACAが存続できるので、子芋としては少しホッとしていますが、心配は尽きないですね。


    ちなみにState Medicaidですが、ペンシルバニア州では、保険会社によって、パッチをカバーしていないところがあって、残念に思っていましたが、いただいたコメントを拝読して、パッチ以外はカバーされているだけまだましなのだな、と思いました。パッチを希望される患者さんは数こそ少ないのですが、ときどきパッチ以外はいやだ、という方もいて、そういうときにパッチが選択できないとガッカリです。


    ひきつづき、FNPプログラムを楽しく堪能なさってくださいね!

    返信削除