2012年3月5日月曜日

あと1か月早かったら

10代半ばのAさん。
学校のカウンセラーに勧められて初めて受診。デポ・プロベラという注射タイプの避妊薬に興味があると。

最終月経はほぼ1か月まえ。妊娠反応検査は陽性。このところのコンドーム使用は大体50%くらいだったと。(実際はもっと使ってなかったかも。)あと1ヶ月早く受診していてくれたら避けられた妊娠だったかも、と思わず思ってしまう。

避妊カウンセリングから急遽、妊娠後のオプションカウンセリングに切り替える。避妊のための選択肢はたくさんあるが、妊娠成立後の選択肢は ①妊娠継続し、赤ちゃんを育てる。②妊娠継続し、養子の手配をする。③人工妊娠中絶、の3つしかない。

避妊をはじめる気まんまんで来所した患者さんに、妊娠に関するカウンセリングをするのは酷だ。なにせ本人はまだこれぽっちも妊娠を自覚していないから。(でもやむをえない。)

これを言っても今Aさんのなぐさめにはならないだろうが、アメリカの全妊娠の49%は unintended (意図しない)妊娠だ。 10代でなくても誰でもうっかり、ということはありえる。なんらかの避妊をしていても、たとえ不妊手術をしていても、やっぱり妊娠することがある。

ちなみにここでいう unintended pregnancy は、 mistimed pregnancy (いつか妊娠したいけど、今したかったわけでない)と、unwanted pregnancy (今も将来も妊娠する気はなかった)の両方を含んでいる。Guttmacher Institute の資料によれば、米国女性の半数以上が、45歳までに unintended pregnancy を経験する。ちなみに10人に3人の米国女性は、45歳までに人工妊娠中絶を経験する。

だけど、気持ち的にはunintended でありながら、Aさんのように行動的には避妊が一貫していないことも少なくない。若くてもそうでなくても、避妊って単純にいかないことは多々あり。

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