2009年10月30日金曜日

刑務所より

刑務所や少年院のようなところから、職員の人に付き添われて来られる患者さんがときどきある。診察上必要なときは、職員の人にお願いして手錠を外してもらう。診察する者として、ちっともどきどきしないといったらウソになるけど、目立つ格好で、職員に前後を固められてオフィスにやってくる患者さんのほうは、もっと複雑な心境であろう。

先日、ER 受診後のフォローアップとして来られた患者さんがあった。なぜ ER に行ったのか、そこでどういう診断や説明を受けたのか、それを聞かないことには何事も始まらない。どうしてERに行ったのか、という部分はもちろん患者さんが話してくれたのだけど、医療者からの説明はまったくなかったと言うので、私は驚きを通り越して、憤りを感じた。

診察や検査をしておいて、まったく患者さんに説明をしないなんて、ありえるだろうか? 刑務所から来ている患者さんだって、診断内容や、どういう検査をしたか、なぜその検査をしたかとか、説明されて当然ではないだろうか?

ERから検査結果を元に、「ERではこういう検査がされました、結果はこうでしたよ。」と伝えるのだが、ERから私ら宛てのサマリーがあるわけでもなく、あくまで検査結果から診察時の様子を私が「推察」する感じで、とても もどかしかった。検査をやりっぱなしで、サマリーも作らずに、フォローアップは診療所に行ってね、なんてひどくない? 

もっとも、患者さんが話を曲げたり誇張したりしている可能性もないわけではない。けど、私は患者さんの話を聞くところに寄って立つほかない。

話を聞く限り、ERでの対応は、とても差別的な印象を受けた。医療提供者としては、患者さんの背景に限らず、やるべきことはやって当然とおもうのだけど、私が変なのだろうか??

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