2009年7月7日火曜日

子宮頸がん検査のフォローアップ

週末のことばかり書いていると、遊んでばかりいるみたいなので、仕事の話も書かなくちゃ。米国では子宮頸部細胞診の結果は、Bethesda System を使って表現されます。(日本のクラス分類とはちょっと違います。)

20歳以下の女性に
ASC-US - 意義不明異型扁平上皮細胞 (日本語にするとなんか怖いね)や
LSIL - 低度扁平上皮内病変
の結果が出たときは、HPV(ヒトパピローマウイルス)を調べたりコルポスコピー(子宮頚部を観察するための特別な顕微鏡)での診察をせずに、単に1年後に再度細胞診をすればよいということになっています。なぜなら若い人の場合は、治療なしで正常に戻る可能性が高いからです。

ASC-USやLSIL自体は正常結果と言えないものの、かといって今すぐ手を打つわけでもないという意味では、正常に準じる結果です。(20歳以下の患者さんに限って言えば。)

先輩のティーナは、20歳以下の患者さんのASCUSとLSILは正常と扱い、あえて患者さんに結果を告げません。ティーナいわく、どうせ今は何もしないわけだし、電話して報告したら、患者さんに余計な不安を与えるだけだ、と。もちろんカルテとコンピュータのシステム上には記録を残し、1年後患者さんに年次健診のお知らせを送る手配はします。もし翌年患者さんが年次健診に来なかったら、もう一度手紙で催促します。

系列のクリニックのCさんは、電話で患者さんに「検査結果について直接会ってお話したいので、予約をとって来てください。」というそうです。(このときは詳しいことは何も言わない。)そして、直接患者さんと面と向かって、パップスメアとは、子宮頸がんとは、ASCUSとは、みたいな話をするそうです。さらに、このときに禁煙や健康的な生活習慣の重要性について強調できる、と。単に結果を伝えるための面談というよりは、健康教育の絶好の機会と捉えているようです。

私個人としては、Cさんのクリニックのように時間を割いて患者さんに話をすることができれば、ベストだと思います。しかし自分のオフィスでは患者さんの数がCさんのクリニックよりも多いのと、「異常」結果の率も非常に高いので、そのたびに予約を確保して患者さんに検査結果を報告するのは現実的ではありません。

で、少なくとも電話でだけでも話をしようと頑張ってきたのですが、患者さんに電話をしたところで、必ず患者さんがつかまるとは限らず、「折り返しお電話ください」と留守電にメッセージを入れておくと、後で患者さんがかけてきた電話に対応するのが結局ティーナだったりするわけで(私がそのとき診察で席を外していたりして)、これがティーナにはすこぶる不評。

現実路線でいうと、今自分が置かれた場においては、20歳以下のASCUSとLSILは準正常として処理し、患者さんへの電話はせず、翌年の年次健診のときに話をするのがまっとうなのか、と考え中。

願わくば、子宮頸がんワクチンを受ける人が早いこと大多数になって、タバコを吸う人もうーんと減って、子宮頸がん検査で異常が出る人の数がごっそりと減ってくれれば、少数の「異常」結果への対応ももっと丁寧にできるのに。ちなみに、21歳以上でLSILかそれ以上の結果が出たとき、またASCUSでHPVが陽性のときは、すぐ患者さんに電話をし、コルポスコピーの手配をしています。

日本語で子宮頸がんについてわかりやすく書いてあるサイトを見つけました。
子宮頸がんを考える市民の会 のウェブサイト
http://www.orangeclover.org/index.html

アメリカの国立がん研究所のサイトの日本語訳
http://www.cancerit.jp/NCIinfo/factsheet/HPV.html

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