2009年5月21日木曜日

臨床的な判断


写真左:Contraceptive Technology 第19版、
写真右:Managing Contraception For Your Pocket 2007-2009。これはちっちゃいけどとても使いやすいので、仕事中は肌身離さずポケットに入れてます。

患者さんと一緒に、患者さんに最適な避妊方法を選ぶのは、簡単なようで難しい。日本よりも選択肢はずっと多いのだけど、それでも患者さんの病歴、将来の妊娠計画、現在飲んでいる薬、それから患者さん個人の好みなどよって、選択肢が限られてくることはよくある。

リスクとベネフィットをよく考えないといけない。relative risk (リスクが何倍になるか)と、absolute risk (例えば、10万人あたりのリスクが何人から何人に増えるか)を吟味して。リスク、リスクというが、妊娠するほうがよっぽどリスクということも多いから(例えば血栓症)、その辺もちゃんと考える。それらを踏まえて、どの方法を患者さんにとってまっとうな選択肢として提示できるかーーーガイドラインとかプロトコルとかあるけど、患者さんと自分双方が納得できるラインを最終的に決めるのは、結局人間対人間の話し合い。

昨日はある患者さんとのカウンセリングが適切だったかものすごく悩んだ。説明が不十分だったんじゃないかと。で、帰ってから WHO のeligibility criteria を見直したり、Dr Hathcher らがやっているウェブサイトhttp://www.managingcontraception.comのQ&A を見たりして、随分と時間を費やした。私が抱いていたのと同じ種類のジレンマを感じて、Dr Hatcher に質問した人が過去にいて、それに対してDr Hatcherが自分の見解を書いてくれていたので、とても参考になった。

世の中にはきっと超おおらか派NP(あるいは医師、PA、など)から、超慎重派NPまで、いろんなNPがいると思う。そしてそれぞれのNPが個々の患者さんごとにいろいろ考えて、そのときどきのベストアンサーを探しているとおもう。医療って100%安全とか100%完治ってことがなかなかなくて、常に患者さんとの共同作業の中で、よりベターな方法を探していくわけだけど、お互いに悔いのない選択ができるように、自分の持つべきカードを着実に増やしていかなきゃね。

2 件のコメント:

  1. 正しい答えがなくて、患者さんと常に相談してベストな選択をする過程は難しいけど、双方が納得した答えを出せた時は、たまらないひと時ですよね。

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  2. いこさん、
    ほんとにそうですね。そのたまらないひと時のために、今の苦労も乗り越える価値大。

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