米国小児科学会が、緊急避妊に関する指針(policy statement)を発表した。
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2012/11/21/peds.2012-2962.full.pdf
思春期の子どもたちに対して、緊急避妊について教えたり、事前処方(緊急避妊薬を要するようなコトが起きる前にあらかじめ処方箋を渡しておく)ことの重要性が書かれている。
米国ティーンエイジャーの出生率は、他の「先進国」と比べて特に高い。この論文のなかでは 1000人対34.3 という数字が載っている。この数字自体は以前より減ってきているのだが、それでも他の国と比べてまだまだ高い。
緊急避妊薬は、避妊方法のなかでもいわば最後の砦なのだが、現在のところ米国内では16歳以下の人は、処方箋がないと薬局に行っても手に入らない。(17歳以上の人は処方箋なしで購入できるが、年齢を証明するため身分証明書を薬剤師に見せないといけない。)
そういうわけで、ティーンエイジャーと接する小児科医が緊急避妊に担う役割は大きい。
今回の指針を読んで私が特に注目したのは、医師や薬剤師の個人的価値観と専門職としての責務のジレンマについて書いてあるところ。宗教的・倫理的理由ゆえに緊急避妊薬の処方を快く思わない医療職もいるからだ。(なんともアメリカらしい。)
指針は「適切で法的に利用可能な選択肢について患者さんに伝えないことは小児科医としての責務違反だ」、また「自分自身の信条ゆえに行えない治療に関しては、それを行える小児科医に患者さんを紹介しなければならない」、と明言している。
指針はあくまで指針なので、右向け右!というほどの威力はないにせよ、学会の強い意志が感じられていいなー、と思った。思春期は、小児科から婦人科/内科等への移行期にあたる。小児科でも、婦人科でも、内科でも、機会あるごとに緊急避妊および避妊全般に関してティーンエイジャーにアプローチできたらすばらしい。
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