2012年2月3日金曜日

乳がん対策の助成金をめぐる騒動

乳がん撲滅をめざし啓蒙活動から研究費の助成まで幅広く活動している スーザン・G・コーメン財団は、3日前、 Planed Parenthood (以下PP = 米国家族計画連盟 ) への助成を止めると発表した。その理由は、助成団体決定にあたっての選択基準をこのたび改定し、それによると現在なんらかの捜査(investigation) が行われている団体には助成しないことにしたから、というものだった。(昨年秋にカリフォルニア州選出の国会議員が、家族計画連盟の活動にかんし捜査を始めていたようだ。)

しかし、本当のところは「人工妊娠中絶を実施しているPPなんかに助成をするなんてけしからぬ。」という人口妊娠反対派勢力のプレッシャーに起因した政治的な「いじめ」ではないか、と大いに勘ぐられている。

助成中止のニュースがいきわたるにつれ抗議の声が高まるなか、今日になってコーメン財団は先の中止決定を取り消すと発表した。また刑事上の捜査で有罪と確定したような問題がないかぎり、助成金に応募してきた団体を拒否することはしない、と宣言した。助成団体の決定は政治的であってはならない、と。

取り消しの発表を歓迎する人々がいる一方で、がっかりしている中絶反対派の人たちもいることが、次の記事を読むとわかる。(中絶反対派の人たちみんなではないが。)

私の働く組織もコーメン財団からの助成金によって無保険の人にマンモグラムの無料受診券を提供することができている。 PP との違いは人工妊娠中絶は行っていないこと。だからPPのような攻撃対象にはなりにくい。

PPもわが組織も、無保険やマイノリティの人など、従来の医療機関には十分手が届いていない人たちに積極的にアプローチしていっている。乳がんを撲滅すべく活動するコーメン財団も、中絶反対派の人たちも、ともに「命」を大事にするなら、文化的・社会的により不利な立場にいる女性たちのことをわすれないでサポートしてほしいと思う。

中絶反対派の人たちに対して私がしばしば不思議に思うのは、受精卵や胎児に敬意を払うがあまり、今現に生きている(もちろん受精卵や胎児も生きているが)大人の女性に対しての扱いがぞんざいな傾向があることである。

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