2009年8月13日木曜日

偏頭痛、トパマックスに注意

偏頭痛(片頭痛)もちの患者さんで、「前兆」(aura) がある場合は、年齢にかかわらずエストロジェンの入っている避妊薬(ピル・パッチ・リング)は避けないといけない。aura とは、頭痛の始まる前におこる視覚異常や言語障害などの症状。

前にも書いた気がするが、auraがあるのに、かかりつけ医からピルをもらっている患者さんがぽつぽついる。説明をやりなおすのは、結構たいへん。リスクの程度、その意味合い、データと個々人のリスクの違い、etc.

偏頭痛もちだけど、aura がない場合は、エストロジェンを含む避妊薬も、選択肢のひとつである。ただし患者さんが頭痛の頻度を抑えるためにTopamax を使っていたりすると、ここでまたひと悶着ある。Topamax とその類の薬は、患者さんが併用している薬の肝臓での代謝を促進する → ピルなどの避妊薬の効果が下がる → 妊娠のリスク  というわけ。ピルを使うなら、せめてエストロジェンの用量を増やさないといけない。ただし増やしたところで、どこまでその効果が確実化はわかんない。そこでIUD(子宮内避妊具)という選択肢、あるいはピルとコンドームのダブルでいく策、なども話さないかん。

すべての偏頭痛もちの患者さんに、上記を1~10まで話す必要はないけど、やっぱりフルコース並みにで話さないといかん時もある。(肝臓がどう、とかは省くけど。)

カルテには、診察室でのディスカッションのぜーんぶを書くことは出来ないから、要点をしぼって書くことになる。カルテの処理をするスタッフたちは、書かれている内容の中でも最後の結果だけに注目するから、「何で小芋はいつもあんなに時間がかかっとるんか!」と思っているかもしれないが、患者さんと一緒にベストフィットを見つける作業は、そんなに楽じゃないのです。

役立つサイトをご紹介。
てんかん財団のサイト。てんかん薬(Topamax はてんかんの薬でもある)と避妊薬についてまとめてくれている。CYP inducer, CYP inhibitor, CYP no effect の表など、ぱっと確認したいときにもよい。
http://www.epilepsyfoundation.org/answerplace/Life/adults/women/Professional/contraception.cfm

WHOのクライテリア。comorbidity(高血圧、糖尿病、etc)、喫煙、年齢などのいろいろな条件によって、どの避妊薬がより適切であるか、1-4段階で示してある。
http://www.who.int/reproductivehealth/publications/family_planning/9241562668index/en/print.html

避妊方法についてのさまざまな疑問に答えてくれるサイト。キーワードで検索可。自分が疑問に思うようなことは、たいてい誰かが前に相談している。もし誰も同じような質問をしていなかったなら、質問を投稿するとDr Hatcher が回答してくれる。
http://www.managingcontraception.com/qa/index.php
このサイトでも売っているが、その名も Managing Contraception For Your Pocket というハンドブックがあり、これは避妊カウンセリングをやるものにとっては必携。今出ているのは2007-2009版。

1 件のコメント:

  1. こいもさん、質問です。

    >偏頭痛もちの患者さんで、「前兆」(aura) がある場合は、年齢にかかわらずエストロジェンの入っている避妊薬(ピル・パッチ・リング)は避けないといけない

    急なエストロジェンの降下がトリガーとなって、偏頭痛の発作を起こすとは習いましたがアウラがあるとエストロジェン自体を排除した避妊方法になると走りませんでした。私はmonophasicだと一定量のエストロジェンを供給できるので、問題ないと思っていました。それとも、エストロジェン自体がTrigeminal nerveを刺激するのですか?

    時間のある時でいいですので教えていただけるとうれしいです。
    かえる

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