2011年11月3日木曜日

妊婦への百日咳ワクチン接種

赤ちゃんにとって、百日咳は命取りになる感染症だ。アメリカでは2004年以来、毎年平均3055人の赤ちゃん(12ヶ月未満)が百日咳にかかり、うち19人がなくなっているそうだ。百日咳の予防策はワクチンが一番だが、赤ちゃんがこのワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風の混合ワクチン)を受けられようになるのは生後2ヶ月からで、その前に百日咳に感染してしまうと痛い。

ゆえに、生後まもない赤ちゃんの百日咳を防ぐためには、周りの人が積極的に百日咳・ジフテリア・破傷風ワクチン(Tdap)を受けるべし、とCDCの予防接種に関する諮問委員会(ACIP)が発表した。

この中で特筆すべきことは以下の2点。
1.Tdapを過去に受けたことのない妊婦に対し、妊娠20週以降にTdap の接種をすすめている。また、10年に1回受けるべきとされている破傷風・ジフテリアワクチン(Td)の追加接種からすでに10年経過している妊婦に対しても、妊娠20週以降にTd よりむしろTdapを受けるように推奨している。これは母親が感染しなければ赤ちゃんにも移らない、という論理のみならず、系胎盤的に母親の抗体が胎児に移行することを期待しているようだ。「産後」の母親への接種ではなく、妊婦にあえて接種を勧めているところが、英断というか、ACIPの強い意志を感じる。

2.赤ちゃんのそばで過ごすことになる母親以外の人々(父親、きょうだい、祖父母、保育園の職員、医療関係者)でTdapを受けていない人は、なるべく赤ちゃんと接触する2週間前までにTdapを受けるべし、と勧めている。これは、赤ちゃんの周りのひとが誰も百日咳にかからなれば、だれも百日咳を赤ちゃんに持ち込まないですむから。

なお、今回の推奨事項は諮問委員会ACIPによるものであって、まだCDCそのもののガイドラインにはなっていない。

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