2011年2月23日水曜日

Title X funding の危機

連邦政府予算カット!カット!の勢いのなかで、女性の健康を大いに害する可能性のある法案が下院で通ってしまった。上院での法案成立をはばむには、多くの人の声が必要だ。

HR1というその法案は、家族計画をサポートするTitle X (タイトル・テンと読む)という予算を大幅カットし、とりわけPlanned Parenthood への助成金をすべて絶つ。PPは国内のいたるところにあり、避妊カウンセリングや性感染症対策をはじめ女性の健康および sexual health に大きな役割を果たしている。健康保険がなくかつ医療扶助も受けられないラインにいる低所得の女性(一部男性も)がPPでケアを受けられるのは、ひとつにはTitle X の予算があるおかげである。PPにいけば性感染症の検査をしてもらえる、避妊の相談ができる、いわば町の保健室的な存在なのだ。避妊・性感染症に限らず、子宮頸がん検査を含む年に1回の女性検診など、より広い意味での女性の健康の拠点でもある。

私の勤めている組織はPPではないが、Title X 予算の対象組織になっている。なので、この法案がほんとに成立したら、一部の患者さんにとって大打撃だ。

上院での法案成立を許すな!!、とインターネットでの署名や国会議員へのメール・電話などの地道な作業が続けられている。ピッツバーグ市内でも、今日抗議の集会が開かれたとのこと。

アメリカ国内におられる読者のみなさん、ぜひ地元の国会議員に電話してください。電話が無理でも、こちらからぜひ署名をお願いします。
https://secure2.convio.net/npwf/site/Advocacy?cmd=display&page=UserAction&id=537
http://www.post-gazette.com/pg/11054/1127412-100.stm

この法律の背景には、人工妊娠中絶反対派と擁護派のバトルがある。ぬかりない避妊カウンセリングなければ今日か明日にでも望まない妊娠をしてしまう可能性のある女性と日々接している私からすれば、中絶反対の人こそ、望まない妊娠を防ぐための活動をもっと支援してくれていいくらいで、予算カットしている場合でないと思う。この法律の成立で、例えばPPに行けなくなった女性たちが妊娠したら、むしろ中絶希望者は増えるのでないだろうか。

禁欲を勧めること、セックスを遅らせるように勧めることは大事だと思う。でも望まない妊娠を避けるための手段・環境を断ち切るのはやめてほしい。アメリカ人の平均初交年齢は17歳だ。この現実に沿った対策をおろそかにしてはいけないと思う。
http://www.guttmacher.org/pubs/FB-ATSRH.html

1 件のコメント:

  1. 小芋さん

    初めまして。現在アメリカにてNPを目指して勉強しているMametaと申します。

    私もこのニュースを聞いてとても憤ってます。私の周りにも多くの女性がPPを利用していますし、私のクラスメートもPPで実習を行い、多くの患者さんを看てきています。実際働いている女性でも、保険が良くない場合PPでPapをしたり、ピルを処方してもらったりしています。

    中絶や避妊に対する反対意見は十分承知してますが、PPが行っているサービス、サーブしている人達、そして、そのサービスに寄るhealth outcomes を考えると、どうして予算カットになるのか不思議でなりません。小芋さんの言う通り、長い目で見るとコスト的にも賢い選択とは思えません。

    この先どうなっていくのか私も気になる所です・・・。

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