ピッツバーグという土地柄、去年勤めていたオフィス(ピッツバーグから車で1時間ちょっと)よりもいろいろな国の患者さんと出会う機会が多い。
アジア、ヨーロッパ、中南米、アフリカなど世界各地出身の患者さんと会話することはとても刺激的で私は大好きだ。お互いに言葉がままならないと、やっぱりコミュニケーションは大変だ。でもお互いの持てるものを総動員してがんばるから、そのぶんやりがいがおおきい。
アメリカ人のスタッフは外国出身の患者さんが話す英語のことをブロークン・イングリッシュだと言う。ブロークン・イングリッシュと聞いたら、片言のたどたどしい話しぶりを想像しがち。しかし実際に患者さんを目の前にしてみると、英語を話すのも聞くのも何の問題もないことのほうが多い。ただ発音は母国語の影響がでるから、聞き手としてはよーく集中して聞いて、自分の頭の中で聞こえてこない音を補ったり、余計な音を削除したりする作業が少しいる。
アメリカ人にとってブロークン・イングリッシュというのは、発音が米国風でないというくらいの意味、あるいは米国風の発音でないと聞き取りにくくて思わず張っちゃいたくなるレッテルなのかなと思う。その意味で言ったら、私の話す英語なんてブロークン・イングリッシュの最たるものだ。
えらそーに聞こえてしまうかもしれないが、アメリカで生まれ育ち英語を母国語とする人であっても、必ずしも英語が使いこなせているとは限らない。言葉の使い方が不正確だったり、自分の症状を 5W1H(what, when, where などなど)にそって説明できず、ただただ "You know? You know?" と繰り返したりする人もいる。(何回 "you know?" と言われても、ちゃんと話してくれなきゃ分からんぞ~~~)
というわけで、ネイティブスピーカーとの会話のほうがよっぽど大変ということはよくあるので、発音にちょっと特徴があるくらいで外国出身の患者さんの英語がブロークンとか言われちゃうのはなんか腑に落ちない。
2010年9月29日水曜日
遠慮しない人生: マラソン選手の出産
Runner's World という走る人(または走りたい人)向けの雑誌がある。その10月号に Great Expectation というタイトルで 女子マラソンの世界記録保持者であるPaula Radcliffe(英国)とアメリカ人の長距離選手 Kara Goucherのインタビュー記事があった。この expectation という言葉には期待という意味と、妊娠という意味がかけてある(と思う)。なんと2人そろって本日9月29日が出産予定日であった。Runner's World のウェブサイトによれば、Goucherは26日、Radcliffeは今日それぞれ無事出産したとのこと。
Radcliffeは36歳、今回3年ぶり2人目の出産、そしてGoucherは32歳初産。マラソン&長距離選手にとって妊娠・出産はキャリアに大打撃を与えかねない一大事。オリンピックは4年に1度しかないし。そんななかどのように妊娠を計画したか、また妊娠中も無理こそしないものの意欲的にトレーニングを続けてきたかが記事から読み取れる。
走ることも妊娠することもどちらも大事なことで、人生で成し遂げたいことは遠慮せずにやるんだ、という彼女たちの気迫がものすごく刺激的である。
この記事を雑誌を持っていない人にも紹介したくてウェブサイトを探したら、あった!
http://www.runnersworld.com/article/0,7120,s6-238-275--13639-0,00.html
インタビューの冒頭はビデオで見られる。
http://rwdaily.runnersworld.com/2010/09/congrats-kara-and-adam.html
Radcliffeは36歳、今回3年ぶり2人目の出産、そしてGoucherは32歳初産。マラソン&長距離選手にとって妊娠・出産はキャリアに大打撃を与えかねない一大事。オリンピックは4年に1度しかないし。そんななかどのように妊娠を計画したか、また妊娠中も無理こそしないものの意欲的にトレーニングを続けてきたかが記事から読み取れる。
走ることも妊娠することもどちらも大事なことで、人生で成し遂げたいことは遠慮せずにやるんだ、という彼女たちの気迫がものすごく刺激的である。
この記事を雑誌を持っていない人にも紹介したくてウェブサイトを探したら、あった!
http://www.runnersworld.com/article/0,7120,s6-238-275--13639-0,00.html
インタビューの冒頭はビデオで見られる。
http://rwdaily.runnersworld.com/2010/09/congrats-kara-and-adam.html
2010年9月28日火曜日
Women's Health Calendar の無料配布
米国政府の Office on Women's Health が出している Women's Health Calendar の2011年版の受付が始まっている。アメリカ国内(アメリカ領と米軍基地含む)のみへの発送だが希望者に無料で配布されている。
今年2010年の分ははPDFファイルで閲覧・印刷できるので、内容が気になる方はこちらをどうぞ。年齢・リスクファクター別スクリーニング検査の一覧、薬のラベルの読み方、セカンドオピニオンについて、またとても品のよい解剖図などが載っている。
http://www.womenshealth.gov/pub/2010WHCalendar.cfm
2011年版の申し込みはこちらから。
http://www.womenshealth.gov/pub/calendar/
今年2010年の分ははPDFファイルで閲覧・印刷できるので、内容が気になる方はこちらをどうぞ。年齢・リスクファクター別スクリーニング検査の一覧、薬のラベルの読み方、セカンドオピニオンについて、またとても品のよい解剖図などが載っている。
http://www.womenshealth.gov/pub/2010WHCalendar.cfm
2011年版の申し込みはこちらから。
http://www.womenshealth.gov/pub/calendar/
2010年9月27日月曜日
葉酸を含む経口避妊薬の誕生
9月24日、FDA(食品医薬局)が葉酸入りの経口避妊薬Beyaz を承認したとのニュースを読んだ。避妊薬としては従来のYazと内容的一緒。これに葉酸の代謝産物である levomefolate calciumを足してあるところが新しい。
葉酸の摂取は二分脊椎をはじめとする神経管閉鎖障害の発生を予防する。だから妊娠しうる年齢にあるすべての女性は1日400マイクログラム(0.4mg)の葉酸を摂取するよう勧められている。食事だけでは不足していることが多くて、葉酸単独のサプリメントもしくは総合ビタミン剤から必要量を確保する必要がある。でも実際のところ私の出会う患者さんでそれを実践できている人は少ない。
なんてったって、アメリカの妊娠の半数は予定外の妊娠である。神経管閉鎖障害の予防という意味でいうと、本人が妊娠に気づいてから葉酸摂取を始めたんでは時すでに遅し、ということが十分考えられる。(妊娠初期が特に大事な期間) ピルを飲んでいても飲み忘れなどで予期せぬ妊娠が起きることはあるので、ピルに葉酸を足してしまおう、という発想は手っ取り早い。(むしろ今までなかったのが不思議なくらいかも。)
ま、現実問題としてはブランドのピルは高い。そういうわけでBeyaz が出たからといってそれで恩恵を受ける患者さんは限られてしまうが、選択肢が増えたことは歓迎。
FDAの出している記事はこちら
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm227237.htm
葉酸の摂取は二分脊椎をはじめとする神経管閉鎖障害の発生を予防する。だから妊娠しうる年齢にあるすべての女性は1日400マイクログラム(0.4mg)の葉酸を摂取するよう勧められている。食事だけでは不足していることが多くて、葉酸単独のサプリメントもしくは総合ビタミン剤から必要量を確保する必要がある。でも実際のところ私の出会う患者さんでそれを実践できている人は少ない。
なんてったって、アメリカの妊娠の半数は予定外の妊娠である。神経管閉鎖障害の予防という意味でいうと、本人が妊娠に気づいてから葉酸摂取を始めたんでは時すでに遅し、ということが十分考えられる。(妊娠初期が特に大事な期間) ピルを飲んでいても飲み忘れなどで予期せぬ妊娠が起きることはあるので、ピルに葉酸を足してしまおう、という発想は手っ取り早い。(むしろ今までなかったのが不思議なくらいかも。)
ま、現実問題としてはブランドのピルは高い。そういうわけでBeyaz が出たからといってそれで恩恵を受ける患者さんは限られてしまうが、選択肢が増えたことは歓迎。
FDAの出している記事はこちら
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm227237.htm
2010年9月26日日曜日
初10km レース完走
Richard S. Caliguiri City of Pittsburgh Great Race の10km部門に参加した。
参加者に配られたTシャツ。色が写真でうまく写っていないけど、地は紺色。左上に描かれているのはダウンタウンの風景。
大会史上初の14000人が申し込んだというこの大会、10km部門で7958人、5kmでは4085人が完走した。10km部門では、市の東に位置するFrick Park を出発点として、Carnegie Mellon Univercity、University of Pittsburgh、Carlow University の前を通り、Boulevard of Allies から Mononhahela川を下に眺め、最後はダウンタウンのある三角州、Point State Parkでゴールする。
いや~、よかったー。32歳にして初めての10kmレース。1kmあたりのタイムは5月に出た Race for the Cure の5kmよりよかったので、練習の成果があったというもの。沿道の声援は素直にうれしかったし、CMUやDuquesne Univ のブラスバンドが演奏してくれていたのもよかったし、ゴール地点でもバナナの味は格別だったし、一緒にこの思いを友達のP子さんと味わえたのもよかった。給水地点をはじめいろんなところでボランティアをしてくれた人々に感謝。
5kmのときよりも慌てずまんべんなく走れた気がした。前回5km、今回10kmが無事走れたのなら、次はハーフマラソンが目標かも?
以下覚え書き
・出発点付近のトイレは長蛇の列。それ以上にスタート地点の列は長い。どっちみち自分のタイムは自分がスタート地点を通過してからゴール地点に至るまでの 実タイムになるので、先頭が出発したあとでもトイレを心ゆくまでゆっくりと済ませて、それからスタートしても全く問題ない。最初の1-2kmは大渋滞なの で、遅れて出発するくらいのほうが、むしろタイムはよくなるかも。
・寒かったら保温のためにゴミ袋をかぶっていってよろしい。(たくさんの人がやっているので恥ずかしくない。)
・給水地点が何キロ地点であるかは 一応頭にいれておくべし。
・参加予定者は大会前日、前々日に開かれる expo会場にゼッケンや参加賞のTシャツを取りに行く。この会場でランニングシューズやランナー用のいろいろなグッズを売っていた。
・ダウンタウンの駐車場、またダウンタウンから出発地点まで行くシャトルバスはとても混んでいた。
大会史上初の14000人が申し込んだというこの大会、10km部門で7958人、5kmでは4085人が完走した。10km部門では、市の東に位置するFrick Park を出発点として、Carnegie Mellon Univercity、University of Pittsburgh、Carlow University の前を通り、Boulevard of Allies から Mononhahela川を下に眺め、最後はダウンタウンのある三角州、Point State Parkでゴールする。
いや~、よかったー。32歳にして初めての10kmレース。1kmあたりのタイムは5月に出た Race for the Cure の5kmよりよかったので、練習の成果があったというもの。沿道の声援は素直にうれしかったし、CMUやDuquesne Univ のブラスバンドが演奏してくれていたのもよかったし、ゴール地点でもバナナの味は格別だったし、一緒にこの思いを友達のP子さんと味わえたのもよかった。給水地点をはじめいろんなところでボランティアをしてくれた人々に感謝。
5kmのときよりも慌てずまんべんなく走れた気がした。前回5km、今回10kmが無事走れたのなら、次はハーフマラソンが目標かも?
以下覚え書き
・出発点付近のトイレは長蛇の列。それ以上にスタート地点の列は長い。どっちみち自分のタイムは自分がスタート地点を通過してからゴール地点に至るまでの 実タイムになるので、先頭が出発したあとでもトイレを心ゆくまでゆっくりと済ませて、それからスタートしても全く問題ない。最初の1-2kmは大渋滞なの で、遅れて出発するくらいのほうが、むしろタイムはよくなるかも。
・寒かったら保温のためにゴミ袋をかぶっていってよろしい。(たくさんの人がやっているので恥ずかしくない。)
・給水地点が何キロ地点であるかは 一応頭にいれておくべし。
・参加予定者は大会前日、前々日に開かれる expo会場にゼッケンや参加賞のTシャツを取りに行く。この会場でランニングシューズやランナー用のいろいろなグッズを売っていた。
・ダウンタウンの駐車場、またダウンタウンから出発地点まで行くシャトルバスはとても混んでいた。
2010年9月23日木曜日
異様な白斑
何ヶ月も前のある日、通常通りパップスメア(子宮頚部の細胞診)を行っていると、直径1cmちょっとの白斑が頚部に見えた。分泌物がついてそのように見えることもあるので、綿棒でぬぐってみたが取れない。そういうものが見えたということを患者さんに伝えたうえで、念のためにコルポスコピー(頚部を拡大してみる特別な顕微鏡を使った診察)での診察をお勧めする、と伝えた。
2週間後くらいに戻ってきたパップスメアの結果自体は全く問題なかったので、それでもあえてコルポスコピーを強行することは「やりすぎ」に終わるのではないかと私は思った。あいにく自分はまだコルポのトレーニングを受けてないので、別のNPにわざわざ来てやってもらうことになる。だから彼女が来る日(月1-2回のみ)にあわせて患者さんには再来院してもらわないといけない。患者さんの時間的&手間的負担、またほかのNPに対応してもらわないといけないということを考えると、もし全く問題ない所見だったら「ただ小芋の心配しすぎでした。」ということになり、恥ずかしいことになるな、と思った。
それでも白斑の見た目がどうも気になって、コルポの予約を患者さんにやっぱり取ってもらった。患者さんが急用でキャンセルしたり、逆にNPのほうが家族の事情で急に休まなければならなかったりして、パップスメアから数ヶ月たってようやくコルポが実現した。
で、担当したNPに所見を聞いたところでは、結果は頚部にお酢をつける前はたいして目立つ白斑ではなかったけれども、お酢をつけた途端にかなり頚部の広範囲に病変が見えたと。印象としてはCIN 2 (中等度異型性)だと。今まだバイオプシーの結果まちである。
似たような白斑を伴った患者さんが前にあって、そのときはコルポ診上はまったく問題なく nabothian cysts (ナボット嚢胞)が複数見られただけだったと担当NPより報告を受けた。そのときは「あー、やっぱり私が単に心配しすぎだったんだな。」と思った。今回の例は「なんか変」と思った自分の感覚を信じたがためにそれが役立った(と思われる)例であった。
2週間後くらいに戻ってきたパップスメアの結果自体は全く問題なかったので、それでもあえてコルポスコピーを強行することは「やりすぎ」に終わるのではないかと私は思った。あいにく自分はまだコルポのトレーニングを受けてないので、別のNPにわざわざ来てやってもらうことになる。だから彼女が来る日(月1-2回のみ)にあわせて患者さんには再来院してもらわないといけない。患者さんの時間的&手間的負担、またほかのNPに対応してもらわないといけないということを考えると、もし全く問題ない所見だったら「ただ小芋の心配しすぎでした。」ということになり、恥ずかしいことになるな、と思った。
それでも白斑の見た目がどうも気になって、コルポの予約を患者さんにやっぱり取ってもらった。患者さんが急用でキャンセルしたり、逆にNPのほうが家族の事情で急に休まなければならなかったりして、パップスメアから数ヶ月たってようやくコルポが実現した。
で、担当したNPに所見を聞いたところでは、結果は頚部にお酢をつける前はたいして目立つ白斑ではなかったけれども、お酢をつけた途端にかなり頚部の広範囲に病変が見えたと。印象としてはCIN 2 (中等度異型性)だと。今まだバイオプシーの結果まちである。
似たような白斑を伴った患者さんが前にあって、そのときはコルポ診上はまったく問題なく nabothian cysts (ナボット嚢胞)が複数見られただけだったと担当NPより報告を受けた。そのときは「あー、やっぱり私が単に心配しすぎだったんだな。」と思った。今回の例は「なんか変」と思った自分の感覚を信じたがためにそれが役立った(と思われる)例であった。
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