以前勤めていた婦人科クリニックでは、未成年の患者さんの母親との関わりが難しいと感じることが時々あった。たとえば、
・患者さん(娘)自身はセックスを近いうちにするつもりはなく、避妊薬はまだ要らないと思っているのに、母親が強い危機感から(娘にボーイフレンドがいる事実や、自分自身が10代で妊娠した経験など)、娘に避妊薬を処方することをいわば強要するケース
・未成年であっても、避妊の相談や性感染症の検査に関しては、患者さんの守秘義務を守ることが法的に義務づけられている。ゆえに、母親たりとて私は診察の内容や検査結果を患者さんの許可なく話すことはできない。にもかかわらず、「私は未成年の娘の親だ!!」と情報開示を強要するケース
大学キャンパスに移って以来、患者さんのほとんどは18歳以上の成人なので、上記のような母親対策は不要になると思っていたが、まったく甘かった!
さすがに診察に付き添ってくる母親はまだ経験していないが、有事の際に急降下して駆けつけるヘリコプターのように、離れて住んでいても子どもと密に関わっている、いわゆる「ヘリコプター・ペアレント」が珍しくないもよう。子どもが親離れできてないというよりは、親が子離れできてない印象を受ける。
患者さんが自分の言葉で苦なく母親に説明できるくらい自分の症状や治療方針について芯まで納得しているか、迷いや不満はないかーーー患者さんの言葉や表情から私がどれだけ読み取って対応できるかが試されている。
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