2012年8月28日火曜日

ルチーンの診察内容に関する議論


子宮頸がん検診のために行うパップテスト(子宮頚部細胞診)は結果が良好であれば3年に1回でよいというガイドラインが浸透してきている。

それでは well-woman visit、いわゆる婦人科健診自体も3年に1回でいいのか、というとそうではない。そもそもwell-women visit は子宮頸がん予防だけが目的じゃない。予防的・健康教育的関わりのためには年1回の受診はとても意味がある。

年齢別押さえるべきポイントの例としては、10-20代の人にはHPV予防ワクチン、24-25歳以下の人や新しいパートナーのいる人にはクラミジア・淋菌感染症のスクリーニング、40歳以上の人には何も症状がなくてもマンモグラム、など。

症状・状況別の押さえるべきポイントとしては、避妊と性感染症予防のための介入、高血圧・メタボリック症候群の早期発見・リファー、更年期症状のアセスメントと対策、など。

ま、これらは診察する側からみた「必要性」であるが、会って話しあうことそのもののメリットに関しては、おおむね納得いただけるのではないかとおもう。

で、内診に関してはどうかというと、必ずしも毎年必要というものではない。内診によって、子宮や卵巣の異常を発見できることもあるが、卵巣がんに関して言うと、残念だが内診したからといって早期発見できるわけでもない。逆に、下手に内診をしたばかりに、患者さん本人にとっては大して問題となっていない子宮筋腫などを見つけてしまうこともある。 内診で何か異常があると、超音波検査などの画像診断に進むことが多いので、場合によっては、「無駄」な検査につながることもある。

20歳以下の女性の場合、もはやパップテストはしないし、クラミジア・淋菌感染症の検査を尿検体でできるから、膣鏡診や内診を行う必要性は特にない。もちろん下腹部痛があるとか、月経異常があるというなら別。  私の場合、今のところは職場のプロトコルに従って、20歳以下の患者さんにも膣鏡診&内診を行う場面が多い。

内診にしろ、その他の検査にしろ、行うことのメリットとデメリットを患者さんと話し合いつつ吟味して、年齢や症状の有無によってケースバイケースで、やるときもやらないときもあるというのが、ますますこれからのスタイルになっていくだろう。というか、そうしていくべきだろう。「婦人科=毎年股を広げてとにかくパップスメアするところ」 という時代はおしまい。

Medscape.com 経由で読んだ以下の記事はこの辺のことを考えるよい材料になった。

あとこの記事もよかった。
Obstetrics & Gynecology. 120(2, Part 1):421-424, August 2012.


1 件のコメント:

  1. このACOGの記事、PDFのがあればメールしてもらえないだろうか? メンバーになるのは多分フィーがいるよね? 時間があるときでいいのでよろしく〜。

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