2017年2月15日水曜日

Nexplanonの抜去に必要なエモーショナルサポート

子芋が現在勤めているクリニックは、インプラント(皮下埋め込み)避妊薬Nexplanonや子宮内避妊薬(IUD・IUS)の実施率がとても高いところであるが、スタッフの数も多いので、スタッフ一人当たりの実施数は、多いような、少ないような、である。

そんなわけで、これまでの通算(過去の職場も含めて)実施数でいうと、子芋の経験数はとても多い部類に入るので、誰かがちょっと難しいケースに遭遇すると、「子芋、ちょっときてちょ。」ということになる。

典型的なお呼び出し例は、Nexplanonのremoval (抜去)を試みているときに、なかなか先端部分まで到達せず、スタッフが気持ち的に不安になってきた、という場面。

実際のところ、Nexplanonは、入れるのはものすごく簡単(アプリケーターの針を差し込んでからNexplanon挿入完了まで、どんなにゆっくりやっても30秒くらい)だが、抜去には多少の粘り強さと分単位の時間がかかることが珍しくない。特に、やや深く入っている場合には、すごく長くかかっているように体感的に感じられる。

皮膚下にはっきりとNexplanonが触れられないほど深く入っている場合は、いさぎよくあきらめて、超音波下での抜去ができるところにリファーしたほうがよろしい。

でもほとんどの場合は、問題なく触れることはできて、それでも先端部分をつかまえるにつかまえられない、というとき。局所麻酔薬リドカインを注入して皮膚がむくんでしまうし、Nexplanonは動くし。特に、最近トレーニングを受けたばかりの人ほど不安になってしまって、むしろ普通である。(模型での練習は本当に簡単だから。)

選手交代、で子芋が代わってやると、案外簡単に先端がつかまえられるものだが、それは、子芋の技術というよりは、これは絶対にできるはずだ、という信念。それと、Nexplanonの固定(近位側の先端部分を強く押し下げて、なるべく遠位側の先端を皮膚の表面に浮かび上がらせるようにする。シーソーのように。)している手を動かさないのがコツ。

次もし誰かに呼ばれたら、あえて選手交代しないで、Nexplanonを固定する役に徹してみようと思う。そのほうが、本当の意味で、そのスタッフのサポートになると思うし、「できた」という達成感が次回への糧にもなると思うから。子芋がお手柄を奪ってしまっては、意味がない。

それから、処置を始める前に、患者さんに、これは挿入した時と比べて格段に時間がかかるけれど、それが普通だから、驚かないでくださいね、と前もって言っておくとよい。患者さんが心の準備ができるだけでなく、自分の気持ちを落ち着かせるのにも効果がある気がする。

それから、まだNexplanonの処置に慣れていないスタッフがしがちなことは、Nexplanon抜去のために遠位側の先端に切開(3-4㎜)をするときに、Nexplanonに垂直に切開をいれてしまうこと。これは、添付文書どおり、Nexplanon と並行の方向に入れたほうが格段にやりやすい。Nexplanon抜去の経験があるスタッフでも、しばらくやっていないと、ふと垂直方向に切開してしまって、思いがけず苦労することがあるので注意。

さいごに、この記事では 挿入(insertion)と書いたが、患者さんとの会話のなかでは、この言葉は避けて、placement というようにしている。IUDの場合も、IUD insertion とは言わず、IUD placement と言ったほうが、ギョーカイ用語ぽくなくて、よいと思う。

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