初めて月経が来てから「しばらく」は月経不順がよくある。その「しばらく」はだいたい2年間が目安となるのだけど、この2年間の間はなにもしなくていい、というわけではない。
やはり、3か月月経が来ない場合は、立ち止まって理由を考える必要がある。
1年半月経が来ない、という10代の患者さんに数か月前に会ったが、摂食障害が背後にあった。月経が来ないという主訴のおかげで、幸いケアにつながってよかったのだけど、主治医が様子見しすぎてしまっていたと思う。体重的には決して普通の範囲に入るのだが、過去1-2年の体重の経過をグラフで見ると、明らかに激減した時期があった。体重はこの数か月で順調に増えてきたが、月経再開までにはまだしばらくかかりそう。
大学生の患者さんで、人生いまだかつて月経がない、という患者さんにも会った。主治医にはたびたび無月経を報告していたようだが、もう少し様子見てみましょう、でズルズル専門家への紹介が遅れてしまったようだ。人生いまだかつて月経がない場合は、かつてあった月経が止まった患者さんとはまた違う。考えられる原因がさらに増える。体の構造的に子宮や卵巣がないとか、膣が子宮と通じていない、などという場合もある。
バレリーナ、フィギュアスケーター、新体操選手、長距離選手などは、いわゆる摂食障害がない場合でも、長年にわたる激しい運動で、体脂肪が極端に少なかったり、体重も非常に軽かったりで、月経が止まるにとどまらず、低エストロジェンが骨粗しょう症の発症もきたすことが珍しくない。
「なんでもっと早く手が打てなかったかな。小児科医がもっと早く患者さんを送ってくれてたら。」と思ってしまうが、月経が止まったおかげで少なくとも今、手が打てていることをよかった、得した、と 患者さんの気持ちを盛り立てようとしている今日この頃。
アスリートとしての活躍が実って、大学のチームでも引き続き頑張ろうとしている患者さんに、あなたの無月経は運動が原因です、それだけでなく、あなたの骨は70歳代のおばあさん並みの骨粗しょう症があります、というのはなんと酷なことだろうか。歌手に歌うのをやめろ、と言っているに等しい。
まとめ:
月経不順を待ちすぎない。3か月たって再開なければ、専門家に相談を。
16歳になっても人生いまだかつて無月経の場合に primary amenorrhea (原発性無月経)というが、13歳で第二次性徴のサインがないとか、15歳でもまだ月経が来ないときには、専門家に相談を。(原発性無月経は、原子力発電とはまったく関係なし。)
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